日本共産党市会議員団は、提案されています議題78号、80号及び94号の関西広域連合加盟に関係する議案について、反対の態度を表明していますので、以下議員団を代表して討論をいたします。
反対する第一の理由は、関西広域連合ができた背景をみれば、主権者国民の声を基にした住民のための自治体づくりでなく、関西経済連合会が当初からすすめたように、財界主導の地方自治体づくりだからであります。
関西広域連合で強調されている広域防災、観光、医療などの連携は、これまでも各自治体間の連携で実施しているものであります。むしろ関西広域連合が主にすすめようとしているのは、財界の意向を受けて「広域産業基盤の整備」、メガ・リージョンであります。
関西広域連合は例えば、首都機能のバックアップ、国際空港や国際コンテナ・港湾などの対策、北陸新幹線や中央リニア新幹線の早期実現など、関西の広域産業基盤の強化を推進する計画を上げています。
第二の理由は、加盟によっていっそう本市の財政負担が増えるからであります。
当面、国の3つの機関を関西広域連合へ移管した場合、その事業費の規模は9900億円になります。その場合の本市の分担金が増えることや、住民負担が増えることなど、委員会で質しました。答弁では、「無制限に増えるものではない」と答えて、本市の分担金が増えることを否定しませんでした。
今でさえ国は、国民が求める施策について、「予算が厳しい」と冷たい対応であります。関西広域連合や基礎自治体へ必要な財源を国が移譲するのか、その保障はどこにも無いではありませんか。
第三の理由は、住民自治に逆行するからであります。
関西広域連合への加盟について、「東京一極集中や二重行政といった弊害を打破」し「国や都道府県から権限と財源を移譲し、地域の事は地域で決めることのできる地域主権型社会へと転換していかなければならない」という趣旨の説明がされました。しかし、関西広域連合加盟は、二重行政打破どころか、「四層行政づくり」であります。
委員会答弁で、関西広域連合が決めた事であっても、「基礎自治体は独自の意思決定を持つ」と言われました。しかし、関西広域連合の決定を基礎自治体が従わなければ、関西広域連合の存在そのものも問われます。逆に決定に従うことを強めていけば、基礎自治体の事務決定権を弱めることにもなります。まさに矛盾しているではありませんか。
また答弁で、関西広域連合に参加して「積極的に京都市としての意見を言う」と言われました。しかし、連合議会における京都市会から選出の議員はたった1人であります。これで、69人の議員、147万市民の声を反映させることができるでしようか。
震災がれきの広域処理について、関西広域連合が「放射線基準」を決めました。連合長は、「これを市町村に徹底したい」と話しました。京都市民に大変大きい議論がある問題であるにもかかわらず、関西広域連合が「先に」且つ「拙速に」基準を設ければ、基礎自治体の自治権がますます弱まるではありませんか。
反対する第四の理由は、関西広域連合は道州制に道を開くことだからであります。
関西広域連合も道州制についても関西財界の意向で進められてきたことを指摘してきました。
本会議でわが党委員の質問に対して市長は、地方自治制度は「特別自治市制度を創設するとともに」、「道州制を導入することが望ましい」と答えられました。府内自治体の首長で、そこまで踏み込んで言っているのは門川市長だけであります。
関西広域連合の次は道州制へ。委員会答弁でも「広域連合」と「道州」は制度が異なると答えるばかりで、道州制への移行について否定しませんでした。
道州制とは、新たな自治体合併が上から押し付けられ、いまの京都府も市町村も再編成され、住民自治がますます遠くなり、憲法の地方自治が形骸化される恐れがあることを指摘しておきます。
最後に、今回の関西広域連合への加盟手続きについて申し上げます。
関西広域連合加盟の問題は、京都市政及び京都市会のあり方にとっても大変重要な議案であります。新たに特別地方公共団体への加盟問題にもかかわらず、市民へ説明する場も広く意見を聞く機会も設けられませんでした。
このような拙速な加盟手続きも問題であることを指摘して、議案に対する反対討論を終わります。