市税条例等の一部改正に対する反対討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

市税条例等の一部改正に対する反対討論

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閉会本会議討論
井上けんじ議員
 日本共産党は、議第102号「市税条例等の一部改正案」に反対しておりますので、私は議員団を代表してその理由について討論を行います。
 本条例改正案は、地方税法等の一部改正に伴って、上場株式等の配当や譲渡益に係わる税率の特例措置の延長や少額株式投資に係わる非課税措置創設の延期とともに、原発事故による警戒区域内の土地や家屋・自動車等の所有者等が、代替の土地・家屋・軽自動車等取得の場合の税の減免、その他、寄付や罰則等についての変更案であります。原発被害者の支援については当然賛成であり、寄付金税額控除の適用下限額の引き下げも理解できます。しかし罰則の強化は慎重な運用が求められますし、また何よりも株式等の配当や譲渡益の税率の特例措置延長については、とうてい賛成するわけにはいきません。一般に証券優遇税制と言われているものでありますが、以下、この問題に絞って討論します。
 配当や譲渡益の税率の特例措置の延長とは、それ以前は20%であった税率が2003年から10%に軽減され、今年年末でその期限が切れるはずであったのに、その軽減措置を更に2年間延長しようとするものであります。そのため、税率20%なら、そのうち3%の市民税が含まれるべきところ、10%ならこれが1.8%にしかならず、従って、本市にとっては、年間約3億7千万円もの減収になるというものであります。
 反対理由の第一は、これが露骨な大資産家優遇税制の延長だからであります。一方、これに伴い少額投資に係わる配当や譲渡益に関する非課税措置の導入は、逆に2年間先送りとされています。大規模投資の大資産家には優遇措置延長、片や小規模投資家への非課税先送りとは、順序が逆ではありませんか。
 今日、所得税最高税率の引き下げや、法人税率引き下げ・研究開発減税、等々、高額所得者個人だけでなく、法人大企業も含めた行き過ぎた減税が、我が国の税収が大幅に落ち込んでいる最大の原因となっています。そしてそのツケが、消費税増税など国民に押しつけられようとしているのは、まさに強きを助け弱きをくじくものではありませんか。今回提案されている証券優遇税制の延長は、こういう日本全体の、格差拡大、赤字国債増発、歪んだ税財政制度の一環であり温存であり、だからこそ、賛成できないわけであります。
 第二の理由は、常日頃、財政危機を強調されておられる、その同じ市長が、今回、3億7千万円もの税収を減らす提案をされておられるからであります。財政危機だから「財政改革」が必要だと言われるわけですが、これは今後とも引き続き市民や職員へのしわ寄せを強めるという布石に他なりません。問題は、ではその「財政改革」の前に、財政危機を克服するための真剣な努力が本当にされているのかどうかということであります。財政危機だからガマンして欲しいと言いながら、どうして市の税収を減らす提案を、何の注釈もコメントも無しに、されるのでしょうか。
 現行法の枠内でも法定外税の創設や不均一課税、その他の制度が設けられています。これらの方法を採用し得るかどうか、その可否についての検討は如何ほどされたでありましょうか。かつて、有名な大牟田市電気税事件という訴訟もありました。条例によって電気ガス税を課していたものを、地方税法が非課税を押し付けたために、そこで市が減収分の損害賠償を求めて国を訴えた裁判でありました。学説では、憲法は自治体固有の財政権を保障しており、それを侵害する場合には地方税法の規定はその限りにおいて憲法違反であり無効ではないか、少なくとも優遇税制・租税特別措置を一方的に押し付けることは自治体固有の課税権を侵害するものではないかとも言っております。税源移譲の要望は、勿論私も理解しています。しかし、移譲された市民税が地方税法等の枠の中にいつまでも縛られていていいのかどうか、いろいろな角度からの批判的研究や議論が必要だと思いますが、残念ながら、今回の提案からは、市長のこういう研究やご努力の跡は全然感じられません。
 確かにハードルが高いことも事実でしょう。どう頑張っても、現行法上、自治体ではどうすることも出来ず、やむなく提案というのなら、せめて市長は、減収の押し付けは納得できないと政府に声を挙げるべきではないでしょうか。減税延長はおかしい、自治体独自の課税権を拡大せよと言うべきではありませんか。こういう努力や意思表示抜きの単なる提案では、結局、政府の大資産家・大企業減税政策、歪んだ税財政政策に追随しておられるだけだと判断するほかはありません。とうてい賛成するわけにはいかない所以であります。
 以上、理由を申し述べ、反対討論とします。ご静聴ありがとうございました。

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