自動車事業について反対する第一の理由は、「管理の受委託」が継続されているからです。その狙いは、乗務員の給料を際限なく引き下げていくことにあり、 安全を最大の課題とする運送事業において許せません。また、運転手の採用では、5年という嘱託期間が改善されていません。5年もの嘱託制度は他都市にも見 られない厳しい採用であり、改善を強く求めるものです。
第二の理由は、交通不便地域に対する対策が極めて不十分だからです。委員会において、北区の西賀茂車庫以北のみなさんから、バス路線の設置を求め る請願が提出されました。交通局は狭隘(きょうあい)な道路が問題といいながら、建設局と相談すらしていません。北区に限らず、周辺部での交通の利便性の 低さは、敬老乗車証の交付率の低さを見ても分かります。南、伏見、西京、左京など周辺地域における交通不便地域では、バス路線の設置や循環バスの実現な ど、市民の足を確保するための要求は大変強いにもかかわらず、交通局の姿勢はきわめて不十分です。
さらに、3月14日から施行されている205号系統へのドライブレコーダーの設置については、個人情報に配慮して実施するとの説明でしたが、バス に4箇所も設置して、しかも音声まで記録するというのは、乗務員に対する監視でもあり、また、乗客のプライバシー保護の点で問題があり、乗客の安心すら奪 いかねません。慎重な取り扱いが必要であることを指摘します。
今回の審議の中で、バス待ち環境を向上させるものとして、今年度に引き続き、ベンチの設置を100基分計上されたことや、民間事業者ともバス待ち環境向上について協議をされていることについては評価できるものであります。
高速鉄道事業については、地下鉄財政再建計画で運賃の値上げを前提にした計画のままであります。今でも初乗り運賃は日本一高いにもかかわらず、そ の運賃をさらに値上げすれば、客離れにつながることは明らかです。そもそも、地下鉄事業における巨額の借金が生まれた一番の原因は地下鉄建設に対する国の 補助金が少ないことにあります。さらに、今後、地下鉄烏丸線の施設更新事業が10年で400億円の財源が必要と試算されています。地下鉄の施設更新に国の 補助はありません。副市長の答弁では、施設更新への国補助の実現に向けて「全力で努力する」との決意表明がありましたので、転落防止柵への補助や高金利企 業債の借り換えも含めて、一歩でも二歩でも前進できるよう求めます。
上下水道事業については、鉛製給水管の取替の事業規模を、今年度に引き続き、1万2000件とするなど積極的な取組については評価できます。市民 の安心を守る立場から宅地部分の取替えの助成制度についても、助成額の引き上げなど、積極的な取組を求めます。また、厳しい経済雇用情勢の下、水道料金の 福祉減免制度の創設などすべての市民に命の水を供給するという観点からの取組みを行なうことについても検討すべきです。 雨水の浸透施設への補助制度を創設することはわが党が一貫して求めてきたところであり、市民の利用しやすい制度とするよう求めます。
下水道事業の補正予算でも論議になった消費税は、下水道に限らず、公営企業全体にかかわる問題で、副市長も「膨大な額」と答弁しています。民主党 政権が、消費税の引き上げを狙っている今、事業に責任を持つ京都市が、消費税の引き上げに反対すること、少なくとも公営事業については適用除外とすること を国に対して働きかけることを強く求めまして討論といたします。