宮田えりこ 議員
11年3月15日(火)
「雇用対策の抜本的強化と就職難打開を求める意見書」についての賛成討論 11年2月定例市会 閉会本会議討論
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就職内定率が過去最低となり、日本の将来を担うべき若者の深刻な状況は、経済社会の活力低下という点から見ても大変憂慮すべき事態です。
最大の要因は、リーマンショック前まで業績を回復している大企業が、採用を絞り込んでいることにあります。財務省発表の法人企業統計(2010,10~12)によると、金融・保険業を除く全産業での「利益剰余金」は約300兆円、1年間で8兆円近くも積み増しされており、その約半分を「資本金10億円以上の大企業」が占めています。売上高(全企業規模)が前年同時期比プラス4.1%に留まる一方、経常利益は前年同時期比プラス27.3%と大幅に増加しています。にも拘らず、労働者賃金の伸びはわずか2%です。愛知県など中部地区の採用内定率が低いのは、トヨタ自動車の採用手控えが影響していると指摘されていますが、まさにここに原因があります。「利益も内部留保も増やしながら、新規採用を減らしている大企業に追加の採用を協力に要請・指導すること」が求められているのです。
そして、「経済界、大学、政府による3者協議に、学生の意見、実情を反映させ、実効あるルール作りを早期に進め、学業と両立できる就職ルールの確立」が必要です。
青年が実行委員会をつくり集められた「京都若者アンケート」に寄せられた、大学4回生の声です。「3回生から就活開始でエントリーは150社。まだ決まっていない」「就活のせいで取りたい授業が取れなかった。友達とも会わないし孤独を感じる」。別の4回生男性も「ゼミに人がぜんぜん集まらない」「就活では圧迫面接も多かった。東京できついことを言われ、帰って風呂で1人で泣いた。鬱にならないようにしたい」と言うものです。
昨年11月、関係省庁、経済4団体、大学団体の代表が一堂に会し、就職活動のルール化を議論する政府の「新卒者等の就職採用活動に関する懇話会」がやっと開かれましたが、「議事要旨も含めて非公開」で企業側の委員名も公表されていません。担当者も「行政は事務局。当事者の意見交換の場」と一歩引いた姿勢です。
かつて、企業と大学の間で結ばれた就職協定がありましたが、個々の企業の協定破りの末、97年に廃止されています。帝国データバンクの調査では、採用活動の開始時期を遅らせることに反対する企業はわずか6.9%。いまこそ、政府が積極的な役割を果たし、今度こそ守られる合意をつくることが待ったなしで求められています。
さらに「失業の長期化の実態をふまえ、失業手当給付期間の延長と保険未加入給付期間終了後の失業者への生活援助制度を創設する」ことが求められています。
雇用のミスマッチは、学生や若者がえり好みして大企業を選んでいるからではなく、安定雇用、長く働き続けられる職場環境を求めている現れです。必要なことは「若者が安心して中小企業に就職できる体制をつくること」であり、国家予算の0.数%と低すぎる中小企業支援予算や政策の抜本改善、大企業との関係見直しなど山積している課題の解消です。現政府の「新卒者雇用緊急対策」も、柱は「大企業志向の強い新卒者」と「中小企業」とのミスマッチ解消で、抜本的な採用枠拡大、過熱した就職活動の是正について踏み出せていません。
卒業と同時に「失業者」などということがないよう、国・自治体、学校、企業が力を合わせて対策を進めるのは不可欠です。いまこそ政治が果たす責任と役割が問われています。
以上、党議員団を代表しての討論といたします。ありがとうございました。