佐野春枝 議員
11年3月15日(火)
2011年度国保会計予算案・国保条例改正案にたいする反対討論 11年2月定例市会 閉会本会議討論
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反対の第一の理由は、一人当たりの保険料を今年度と同額に据え置くとしながら、実質は半数の世帯にとっては値上げとなる予算だからです。世帯構成や所得によっては7万円近くも値上げになる場合もあるなど、同額に据え置くとした看板に偽りありともいうものです。これは単に保険料総額を被保険者数で割った平均にすぎないこと、実質同額に据え置くためには12億円の補填が必要ということなども委員会で明らかになりました。
第二には、平均で今年度と同額とは言いながら、これは今年度末で廃止予定の老人保健特別会計の剰余金3億円の一部を補填しただけで、本来の市の努力によるものではありません。限界に達している市民に対して値上げを回避するのは最低限の責任です。なぜ12億円の確保ができなかったのでしょうか。
第三に、この二年間では24億7千500万円もの黒字を生みながら、全く被保険者に還元することなく、過去の赤字の穴埋めに使われただけでした。即刻値下げに充てるべきではないでしょうか。
第四に、「もはや負担は限界に達しつつある」と、保険料が高すぎることを認めながらも、差押え件数の増加など一方的な徴収を強め、また短期証・資格証明書発行件数の増加など制裁措置をさらに強めていることです。滞納世帯はすでに加入者の1/4近くにまで及び、減免件数も高止まりです。特に差押え件数の増加は大問題です。
中でも学資保険の差押えのケースが、前年度で24件・金額は1031万円にも及び、保険料支払いに充当された額は247万円のぼることが、我が党が求めた資料で明らかになりました。子どもたちの進路に重大な影響を与えるものであり断じて認められません。全ての子どもさんに保険証を交付するよう改善された趣旨は、せめて子どもさんには責任はないということでありました。だったら、どうして子どもたちの学ぶ権利まで奪うのですか。絶対に許せません。生活実態を無視した、力づくでの徴収や制裁措置は直ちにやめるべきです。
第五に、国保法のどこにも、助け合いなどとは書いていないのに、相変わらず被保険者同士で助け合いをと、法律に基づかない考え方を押し付けていることです。すでに被保険者の中で無職者・年金生活者が53%を占め、また所得割基礎額を階層別に見ると100万円までが73.8%、200万円までの階層を加えると実に88.9%を占めるほど、所得の低さが際だっています。どうしてこれで助け合えるのでしょうか。国保の最大の構造的問題は、何よりも社会保障でありながら、国が必要な財政措置を怠り、また減らし続けてきたことにあります。国の国民健康保険に対する国庫支出金は、80年代の50%から現在25%へと半減しています。本来なら、今日の国保の危機を打開するために、国庫負担の増額を強力に政府に求めなければならないのに、制度改革とか広域化・一本化などと、政府への要求の矛先が全くちがう方向へ行ってしまっていることも、賛成できない理由です。
次に、議第52号 国民健康保険条例一部改正案は、最高限度額を引き上げるものであります。現在の73万円から77万円と4万円もの限度額の引き上げは、ごく狭い範囲の中に限っては改善のようにも見えますが、今回のような改定だけでは、却って限度額に近い階層での値上げを招く弊害の方が大きいものであり賛成できません。
以上、反対の理由を述べ私の討論とします。