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市会報告

山中 渡 議員

11年2月28日(月)

山中渡議員の代表質問 11年2月定例市会 本会議代表質問

 

 日本共産党京都市会議員団を代表して、2011年度予算案について市長に質問します。予算編成にあたっての市長の基本姿勢を中心に伺います。

国の「税と社会保障の一体改革」の市民生活への影響について

●大企業の空前の大量資金を賃金引き上げに回し内需拡大を

 政治と社会の閉塞感が大きく広がるもとで、2011年度の予算を組むことになります。市民の暮らしを守り、福祉を向上させること。中小零細企業支援をしっかり行い、地域経済を再生させること。京都高速道路計画や溶融路施設など巨額の費用を要する不要施設を見直し、くらしのための財源を作り出す予算とすることが求められています。今予算案には市民の切実な願いであり、市民の運動と力を合わせて、共産党議員団が求めてきた施策もいくつか盛り込まれています。待機児解消にむけた保育園の新築や増改築。円高、不況のもとで中小企業への資金繰りを支援してきた国の緊急保証制度の3月末打ち切りに対して、経営支援緊急融資の創設したこと。旧コミニュティセンターが低料金で利用できる新しい市民施設となったこと。子宮頸がんワクチンやヒブワクチン助成の本予算化などの施策です。しかし予算案全体は、国民健康保険料の実質値上げや職員削減など、市負担増、市民サービス削減の構造改革のやり方を継続するものとなっています。とりわけ国が地域主権改革のもとで税と社会保障の一体改革など、更なる国民負担増の政治をすすめようとしているもとで、こうした予算が組まれることは市民生活をいっそう深刻な事態に追いやると考えます。

 そこでまず最初に、国の税と社会保障の一体改革が市民生活に及ぼす影響について伺います。

 菅内閣は与謝野氏を経済財政政策担当大臣にすえ、税制と社会保障の一体改革に取り組むとし、消費税増税の方向を打ち出しました。与謝野大臣は、さっそく就任後の対談等で消費税率15%発言をしたり、年金受給年齢の引き上げ発言をするなど増税と社会保障切捨ての方向を語っています。進め方もひどいものです。税と社会保障の一体改革を議論する「社会保障改革に関する集中検討会議」のメンバーが公表されましたが、自民党の税制調査会長であった柳沢前衆院議員や自公政権時代に社会保障にかかわる議論の中心的存在であった学者や財界代表者がほぼ全体を占めるなど、自公政権時代の税と社会保障の考え方をそのまま引き継ぐものです。菅首相は消費税増税しか財源確保の道はないと一路増税の方向を突っ走ろうとし、消費税増税の翼賛体制づくりももくろまれています。

 消費税増税を許せばどうなるか。1997年に3%から5%に増税されました。直後から景気悪化が一気に進み、中小企業の倒産などが相次ぎました。こうした経済状況の下で、翌年の1998年から12年連続して自殺者が3万人を超えるという異常社会が続いています。新たな消費増税を許せば事態がいっそう深刻になることは明白です。

 共産党は消費税増税によらなくても、経済の閉塞状況を打開できると提案してきましたが、学者研究者の皆さんの中からも「これだけ景気の悪いときに消費税増税をすればますます悪くなる。大企業の溜め込みを活用し賃金引上げを行うなど内需拡大の対策を優先させるべき」との指摘も目立つようになっています。

 国会で共産党の市田参議院議員が経済の閉塞状況のもとで、大企業には空前の資金が滞留している。使い道のない手元資金だけでも62兆円。賃上げなど社会に還流させることが必要と求めたことに対し、菅首相は「今の状況の中では、もう少し賃金が上がっていくことが望ましい。その点は市田議員と同様の見方をしている」と答弁したほどです。市長に伺いますが、賃金引き上げの必要性を認める首相答弁や滞留している大企業の空前の資金を活用した賃金引き上げこそ内需の拡大、国内景気や地域経済の再生につながるとの指摘について市長はどのようなご意見をお持ちですか。

(市長)企業活動は地域の富を生み出す源泉。国内需要縮小の中、生活不安を払拭し購買意欲を高めるためには、勤労者の賃金上昇が望ましい。しかし、企業は様々なリスクに備えて経営資源を確保しておかなければならない。今後とも、企業の経営安定化と成長が京都活性化と働く人々の生活向上に資するという理念の下、産業振興、地域活性化を図る。

●消費税増税と社会保障削減作業をやめるよう求めるべき

 社会保障についても例えば国民健康保険料は、国も市も「負担の限界」と認識している通り高すぎる保険料になっています。保険料の滞納世帯は全国では445万世帯、京都市では51000世帯にもなっています。年金額についてはこの4月から削減が実行さるなど、閉塞感はいっそう広がろうとしています。菅内閣のすすめる税と社会保障の一体改革で消費税の増税と社会保障のさらなる削減と国の責任後退を許すなら、市民生活がいっそう深刻な事態に陥ることは明らかです。市長はこれまでに消費税について地方の配分を引き上げを期待する発言をされています。ところが与謝野大臣は過日の記者会見で消費税増税分は全額が国のものと主張、地方への税収配分をきっぱり否定しました。消費税増税で残るのは国民、市民の負担増だけです。市民のくらしを本当に守る気があるなら、国に対して消費税増税と社会保障削減の作業をやめるよう強く求めるべきです。市長いかがですか。

(財政担当局長)税源の偏在性が少なく、税収の安定している地方消費税は重要な財源。税と社会保障の一体改革は国会であり方を十分議論される必要がある。動向を注視するとともに、必要な要望を行う。

住宅改修助成制度の創設を

●与謝野町など全国経験に学び、住宅改修助成制度の創設を

 市民生活の実態からみると、負担軽減の実施、地域経済再生のための有効策をとることは待ったなしです。京都市民の雇用者報酬、給料は減り続けています。中小零細の事業所の減少数も著しく、地域経済を支える力は大きく後退しています。共産党議員団は市民負担増の市政を転換し、地域経済再生につながる対策、無駄使いにメスを入れる対策などその具体化が緊急に必要と考えます。

 共産党議員団は、地域経済再生につながる緊急対策として住宅リフォーム助成制度の創設を提案するものです。共産党議員団は、すでに2004年11月「京都市木造住宅耐震改修工事費助成条例」「京都市住宅改修工事費助成条例」の二つの条例案を、市民の生活環境の改善、地域経済の活性化に寄与するとして議会に提案しました。地域経済の疲弊がさらに進行した今日、あらためてこの創設を求めるものです。

 住宅リフォーム助成制度は、全国で188の自治体が制度を創設しています。県レベルでは秋田県が今年度から制度を実施しています。22億円の予算で、昨年の秋時点で、経済波及効果は512億円規模と報告されています。また、政令市では相模原市が初めて住宅リフォーム助成制度の創設を決めました。京都府内でも与謝野町の取り組みが大きな話題を呼んでいます。全国でも京都府内でも取り組んだ自治体からは、補助金の10倍から20倍の経済波及効果を生み出したと自信をもった報告が相次いでいます。この間、与謝野町の経験を学ぶ機会がありました。過日京都の業界団体や労働組合など13団体の皆さんが京都府与謝野町の住宅改修助成制度を学ぶ企画を準備され、町長や担当職員の皆さんと懇談されました。共産党議員団からも代表が参加しました。報告を聞いて、改めてその経済効果の大きさだけにとどまらない、住民生活の様々な分野で元気を作り出している制度であることがわかりました。与謝野町の制度は改修、修繕などにくわえて新築も対象になっています。2009年度から始まり2年間で910件の利用があり22億円の工事が発生したと報告されています。町内の8割の業者に何らかの仕事が回ったと報告されています。関係業者の方の仕事が増えたことはもちろんですが、驚いたのは下水への接続促進など課題となっていた問題も解決に向かうなど住民のくらしの改善にもむすびついたこと。税の滞納問題の改善にもつながったことなどその影響力の大きさでした。まさに町民ぐるみで歓迎されている制度となっていることでした。このように全国でも身近なところでも自治体の生き生きとした経験を学ぶ無数の機会が生まれています。経済波及効果に終わらず、住民生活の大事な分野で新しい活力を作り出している与謝野町などの経験に学ぶべきと考えます。市長いかがですか。

(由木副市長)社会資本整備総合交付金は各自治体の裁量で使途を決定できる範囲が広がっているが、配分総額は拡大されず、半分以上は本市が負担しなければならない。厳しい財政状況の下では、一般のリフォームにまで助成制度を広げることは困難。

●市の耐震改修助成制度の抜本改善を

 住宅改修助成制度について由木副市長は「住宅の建設,住宅投資がかなりの経済効果を持つということは,これはもう、そのとおり」と答弁、都市計画局長も制度は「一定の経済効果をもつことは認識している」との答弁をしています。しかし本市は制度採用については、公益性や財源がないとして拒み続けてきました。公益性答弁には二つの問題があると考えます。第一は、住まいは人権を守る基礎施設との認識が本当にあるのかという点を指摘せざるを得ません。ヨーロッパでは、住宅政策が産業や経済政策と同様に位置づけられ、公的支援は常識になっています。第二は中小企業の深刻な実態を本当に認識しているのかという点です。景気悪化が進行し、中小企業がより厳しい実態にさらされている今こそ効果のある制度であるとの認識を深めるべきです。財源問題についても、先月28日の参議院本会議で共産党の市田参議院議員の質問に菅首相は「住宅リフォームの推進は極めて重要」としたうえで「地方公共団体による住宅リフォームへの助成制度については社会資本整備総合交付金を活用することができ」ると答弁。財源も示しました。この交付金を活用すべきでありませんか。経済波及効果があることは市も認めています。なぜこの制度を活用すると手を上げないのですか。市長いかがですか。

 すでに取り組んでいる耐震改修助成制度についても根本改善が必要です。予算を増額し、制度改善を行っているとしていますが利用実態は木造住宅耐震改修助成制度をはじめ、全部の制度をあわせた利用者実績は50件目標に対してわずかに11件にすぎません。制度創設以来、低利用の事態は改善されていません。低利用の原因ははっきりしていますか。利用しやすい制度の検討をするとしていますが、見通しはあるでしょうか。住宅リフォーム助成制度を軸にした制度に改善し、耐震助成制度をその枠の中に組み込む制度に改善することこそ利用促進につながると考えます。市長いかがですか。

(由木副市長)昨年の国の緊急経済対策にあわせて制度の拡充を行ない、以後、利用件数は着実に増加している。来年度当初から、木造住宅簡易耐震改修等助成制度について、助成内容のさらなる改善を行い、促進を図る。

巨額のムダにメスを入れよ

●京都高速道路の残る3路線計画の撤回を

 次に巨額の無駄になぜメスを入ないのか。この問題について伺います。

 その第一は京都高速道路計画です。まもなく斜久世橋線が開通するとしていますが、油小路線の交通量は、予測交通量の9割強、新十条通りの交通量は予測交通量のわずか2割という実態です。当初通行料金の割引など様々な手を尽くしてのこの結果です。ななめ久世橋線が開通してもそのメリットは少なく、交通量が急速に伸びるとは考えられません。これまでに京都高速道路建設に伴う総事業費は2839億円。市の負担は668億円にも及んでいます。低利用の実態は今後新たな負担が発生も危惧されます。そのうえに西大路通線や堀川通線など高速道路計画を延長すればどうなるか。高速道路計画の残る3路線について2008年の建設消防委員会で京都市は路線ごとの事業費を示しましたが、その総額は2900億円となっています。財政が大変だと言いながら、将来これだけの巨額の負担が生じる計画をなぜ残しているのか。市民の不安が出るのは当然です。下京区内の計画地域の声を聞いても「まだそんな計画が生きているのですか」の声が返ってきました。市長は「必要性も含めそのあり方を検討する」という答弁を繰り返していますが、現在凍結状態、4年間凍結方針に、市民からは何の心配の声も出ていません。検討の必要性などまったくないではありませんか。残る3路線を引きずる理由は何もありません。「検討する」との答弁を繰り返すのではなく、残る路線の延長計画が破綻していることを認め、撤回を打ち出すことが市長に求められているのではありませんか。市長いかがですか。

(建設局長)これまでの整備で市内幹線道路の交通渋滞が緩和され、所要時間短縮、二酸化炭素削減が図られている。斜久世橋区間の完成で、山科から大阪方面までが直結するので、更なる整備効果が期待できる。

 残る3路線は、総合的な交通体系の構築や社会経済情勢等も勘案し、必要性も含め、そのあり方を検討する。

●焼却灰溶融炉の運転中止を

 もう一つが焼却灰溶融炉の運転中止の問題です。昨年から試運転はストップしたままです。今月になって耐火煉瓦の新たな亀裂が見つかったとのことでさらに試運転再開が延びています。経過を聞きますと昨年12月施行業者の住友重工は亀裂を確認していたこと。1月6日に市に報告があり、その後原因調査を指示したが2月1日時点でも、想定しうるあらゆる項目を調査、検討中との住友重工の報告があり、2月の委員会で報告したとのことでした。今回も亀裂確認から1ヶ月以上たって明らかになるなどダイオキシン検出の時と同様に、相当時間がたってから公表されることが、また繰り返されました。工事が完成して1年以上もたつのに、まだ調査、検討が必要な欠陥施設であることが改めて明白になったわけで、欠陥施設との判断をすべき時ではありませんか。宇治、城陽の施設が廃止決定をしましたが、昨年12月、仙台市も第一に、運転管理コストが高い、第二に、焼却灰を溶融しても想定した減少効果が得られなかった。第三に、温室効果ガスの排出も大きい、第4に、国が最終処分地の残余が15年以上確保されている場合は補助金を返さなくても良いとしたことなどをあげ、溶融路をめぐる大きな状況変化があったとして廃止を決定をしました。本市施設は、試運転でいきなり42倍のダイオキシンの検出、それも設計ミスが原因という考えられない施設であったこと。埋め立て処分地についても市民のごみ減量の努力で国の言う15年確保をはるかに超える50年もつことがはっきりとしているではありませんか。本市の進めている焼却灰溶融炉は欠陥施設との判断をし、運転中止を決断すべきです。市長いかがですか。

(環境政策局長)東部山間埋立処分地は、最終処分地として22年の歳月と523億円を投入した貴重な財産。今後70年以上活用していくために、焼却灰溶融施設は必要不可欠。ダイオキシン類が検出されたが、1月に対策工事は完了した。耐火レンガの亀裂は運転に支障ないが、原因調査し、安全性を確認したうえで、来年度早期の本格稼働をめざす。

指定管理者制度の下で働く人の安定雇用と労働条件向上の具体策を

 指定管理者制度について伺います。

 指定管理者制度については京都市においても370を超える施設において採用され、今予算でも拡大しています。昨年の国会で、共産党国会議員団は、指定管理者制度が深刻な官制ワーキングプアを生み出していることを指摘しました。この指摘に総務省は「指定管理者制度は公共サービスの水準の確保という要請を果たす最も適切なサービスを提供するもので単なる価格競争による入札とは異なるものである」という通知を出しました。その中でとりわけ労働条件に関し、労働法制の遵守、雇用、労働条件の適切な配慮を求めています。以前にも私は、指定管理者制度のもとで委託条件が低く、現場では正規職員を雇うことが困難なこと。パートやアルバイト雇用などで経費を抑えざるを得ないこと。年間100万円少しの年収しかないケースもあることを指摘し、市民に安定的なサービスが提供する点でも労働条件の改善が必要との指摘をしました。こうした現状が今日もなお改善されていません。総務省の通知にあった労働法制の遵守、雇用、労働条件の適切な配慮という点では実態把握も含めてどのような取り組みをされてきましたか。そのうえで通知の趣旨に沿い、指定管理者制度の下で働く人たちの安定雇用と労働条件向上のための対策を具体化すべきと考えますが市長いかがですか。

(由木副市長)「基本指針」にもとづき必要に応じて応募団体から、給与規定を含む就業規則や雇用契約書等を提出させ、服務規定や給与規定が整備されているかなどについて審査。労働関係法令に基づく適正な労働条件の確保を図っている。

地域主権改革が地方、福祉や社会保障に及ぼす影響について

 地域主権改革論についてお聞きします。

 市長は自公政権時代の「地方分権改革推進法」のもとで地域主権につながる税財源の委譲を要請するなど、地方への権限委譲に期待を表明されています。「地域主権改革」が本当に地方の権限を拡大し、地方を大事する改革でしょうか。民主党の地域主権改革論は、自公政権時代の改革委員会の勧告そのままです。保育園の面積基準を自治体任せにする、障害者施設の人員配置も自治体任せにするなど、国の責任放棄の拡大ではありませんか。どの地域に住んでいても同じ公共サービスが受けられることを保障する国の役割放棄であり、国が果たすべき責任までを地方におしつけるのが民主党の地域主権改革論ではありませんか。地方財政についても民主党政権は、昨年に地方交付税の歳出枠を固定することを決めました。地方財源が抑制されることになります。このままでは保育園や障がい者施設運営に重大な支障が出るではありませんか。市長いかがですか。

(星川副市長)当該法案に基づく権限移譲は地方自治体が最低基準を無制限に定められるものではなく、国の基準に合わせて条例を定めるもので、施設のあり方は大きく変わらない。

関西広域連合と道州制問題について

 次に関西広域連合と道州制問題について伺います。

 関西広域連合について先月市長は「国の権限委譲がされる段階になって4市そろって関西広域連合に参加したい」との考え方を示しました。

 関西広域連合と道州制ですが、もともと関西財界が東京に対抗して、関西圏の社会資本整備を最優先に進めることを目的に強く要望していた構想です。具体的には関西圏の高速道路整備や大阪湾岸開発など描かれています。また、住民福祉については地方自治体が引きうけたら良いともしてきました。最近では関経連の会長が政令市の参加促進を求める発言もしています。大阪府知事はこうした関西財界の要望に沿った役回りで道州制を視野に関西広域連合の動きを強力に推進しています。

 市長は、これまで、関西広域連合について「道州制導入に向けての第一歩であるべき」との認識を示し、また、関西の経済団体との連携を強調し、現在は政令市の権限が明確でないとして、オブザーバー参加といっています。市長に伺いますが、市長は関西広域連合や道州制に対する関西財界や大阪府知事が構想する大阪湾岸開発などを優先させた関西の社会基盤整備の考え方について賛成されているのでしょうか。

 一方、奈良県知事は、関西広域連合について「議会を設置するような新たな自治体を自治体の上に重ねることは、屋上屋を架すことになる。さらに責任の所在があいまいになる。府県から上位の団体である広域連合へ権限を移すことになれば、それは分権ではなく、集権だ。住民への行政は、できるだけ住民に近い行政組織が行うべき」などを理由に反対しています。現に第2回の関西広域連合の議会で、議員の質問に兵庫県知事が答弁されていましたが、関西圏全域に及ぶ問題について一県知事が責任をもった答弁はできません。責任の所在があいまいとの奈良県知事の指摘はそのとおりと考えます。また。関西広域連合で議論していることは災害時の広域連携など自治体間連携でできることばかりです。京都市も災害時の広域連携について、自治体間連携でできるとしてきたように、関西広域連合が屋上屋を架すとの指摘についてもそのとおりと考えますが、市長はどのようにお考えですか。

(市長)関西広域連合は中央集権体制を打破して地方分権の突破口を開くもの。指摘のように特定地域の開発を優先させる議論を行ってきたものではない。住民にとって真に実のあるものとするため、事務・権限移譲の段階で、関西4都市揃って正式参加を確認した。

岡崎地域活性化ビジョンについて

 岡崎地域活性化ビジョンについて伺います。

 京都市は昨年7月に岡崎地域活性化ビジョン検討委員会を設置し、岡崎地域のビジョン案の検討をはじめました。今年になって検討委員会のビジョン案の中間まとめが公表され市民意見募集が行われてきました。

 また、京都市は検討委員会の設置とほぼ同じ時期の昨年9月、国に対し京都総合特区に関する提案を行い、そこでは岡崎地域について「国際交流、文化観光公園として位置づけ」たうえで「岡崎にふさわしい賑わい施設の導入事業」などを掲げています。岡崎公園区域や疎水域などの既存の施設群を一体性をもった公園区域とし、MICE戦略や観光の重要拠点とする、さらに公園内には岡崎にふさわしい民間活力によるにぎわい施設、宿泊施設の誘致をはかるとしています。

 検討委員会の中間まとめは、こうした京都市の考えなどを採用し、岡崎の軟式野球場やテニスコートである岡崎グランドにカフェ、レストラン、ショップ等の賑わい施設いわゆる商業施設を誘致することが描かれています。中間まとめだけでは賑わい施設をどの場所にどのような規模のものがつくられるのかは見えてきません。京都市の考えが現在の岡崎グランドを廃止し、賑わい施設をつくるとの構想であるなら岡崎グランドの利用実態などどう踏まえているのかが問われることになります。岡崎グランドの軟式野球場は7割。テニスコートは9割とそれぞれ高い利用実態となっています。利用者の皆さんからは関係者の意見が反映されていないとの声があがっています。また、近くに活断層が集中していることもあり岡崎グランドは広域避難場所としても高い関心がもたれています。中間まとめでは広域避難場所として機能を引き続き確保するとの記述はありますが、災害時の避難場所が具体的にどう確保されるのか見えないと心配の声も聞きます。

 過日のくらし環境委員会で、京都会館の命名権の売却を秘密裏にすすめ、市民、議会に一切報告のなかったことに強い批判の発言があいつぎました。市民意見を募集する形をとりながら「もの」によっては秘密にするような使い分けがされるのでは、このまま岡崎グランドがどうなるかなど不安や心配の声が出るのは当然です。

 市長に伺います。第一に、この3月にはビジョンを策定したいとしていますが、岡崎グランドを使用されている関係者をはじめ、広域批判場所の心配の声や市民の意見を本当に聞いているかとの声にどう応えるつもりですか。いかがですか。

 第二に、新たなにぎわい施設の登場で岡崎の景観が変貌しないのか。また京都会館の再整備にかかわって高さがネックになることから規制緩和の検討に入ったとの報道もあります。岡崎地域の高さ制限を新たに緩和するようなことは考えてないのかどうか。京都市全体に厳しい景観規制をかけ市民に協力を求めている下で、この地域であらたな規制緩和に踏み出すことは新たな問題を生み出すことになります。岡崎地域の高さ制限緩和はしないと明言すべきと考えますがいかがですか。

 第三に、総合特区提案と検討委員会の中間まとめの関連について伺います。総合特区提案には公園内のにぎわい施設の一つとして宿泊施設が上げられていましたが中間まとめでは宿泊施設の記述がありません。当初市が構想していた公園内の宿泊施設誘致についてはやめることにしたいのかどうか。市長お答え下さい。

(市長)岡崎地域活性化のとりくみは、景観や地域資源をしっかり守りながら、文化・交流ゾーンとしての機能強化、更なる賑わい創出をめざすもの。①ビジョン検討にあたって、市民、地元関係者、有識者、文化芸術、経済界など19名からなる開かれた検討委員会で、熱心に意見交換いただいた。②京都会館、京都市美術館や国立近代美術館など多くの施設が現在も基準を超えている。将来に継承し必要な改修や機能充実のためには都市計画上の一定の見直しが必要。③一部で岡崎グラウンドにホテルを誘致するといった誤った情報が流されているが、そのような考えは全くない。

地下鉄事業と安全対策について

●地下鉄の財政問題について

 地下鉄事業とホームの安全対策について伺います。

 地下鉄財政問題です。地下鉄東西線の建設費用が借金となって重くのしかかっています。

 これまで地下鉄は借金の利子の支払いに追われてきました。これまでに施設の償還期間の延長などの措置が取られたことでようやく2009年決算から現金収支が黒字になり、借金本体を減らす財政構造になりました。地下鉄財政再建計画にもとづいて地下鉄運営が行われますが、再建計画は運賃値上げを前提にしています。計画通りいかなければ再度の値上げを行うとしています。しかし今の初乗り日本一という地下鉄運賃を値上げすれば乗客離れにつながることは明らかです。もともと地下鉄事業における巨額の借金が生まれた一番の原因は地下鉄建設に対する国の補助金が少ないことです。また、加えて今後、地下鉄烏丸線の施設更新事業が新しく発生します。10年間で400億円の財源が必要と試算されています。地下鉄の施設更新には国の補助はありません。このままでは本市の財政はいっそう深刻な影響を受けることになります。国に対し、制度改善を迫ることが必要です。地下鉄は京都のまちづくりや環境対策にとって重要な公共交通であるとの役割と位置づけをいっそう明確にすること。そのうえで国の特別の対策を強力に求めることが引き続き必要です。地下鉄事業に対する国に対する財政支援の取り組みについて市長の決意を伺います。いかがですか。

(由木副市長)国にはこれまでから支援策の充実を求め、第三セクター区間の直営化等が認められ、経営健全化へ道筋を見いだした。23年度は、地下鉄施設の改修・更新事業費に対する補助制度の拡充を強く要望している。

●転落防止柵など地下鉄の安全対策を強めよ

 地下鉄の安全対策強化について伺います。今年になって、国土交通省はホームからの転落防止ための安全対策について鉄道各社の報告を求めるとしました。国としてもホームからの転落防止にむけ安全対策を進めるとしています。障がい者の皆さんは鉄道駅ホームは欄干のない橋のようなものと、その危険性を指摘されていますが、これまでの障がい者団体のみなさんの調査でも全盲者の3分の2の方がホームからの転落を経験しているとされています。党議員団は繰り返し地下鉄烏丸線のホームの安全対策を求めてきましたが、ホームドアは技術的には可能だが、130億円もの費用がかかり財政上対応できないとしてきました。設置にあたって国の支援策がないことも問題になっていました。今回、国が重大事故につながりかねないと対策に乗り出した機会をとらえ京都市として積極的に取り組む姿勢を打ち出し、転落防止対策の国支援を具体化するようつよく求めるべきと考えます。また当面、転落防止柵など低経費でできる対策や危険個所への人員配置、警報設備の拡充など緊急策をとるべきと考えます。市長の見解を求めまして第一質問と致します。

(由木副市長)可動式ホーム柵は事業者負担が大きくハードルが高すぎる。国に支援を求める。これまで様々な安全対策を講じてきたが、新たに来月25日から、列車接近を知らせる警報音、乗車方向をわかりやすくする案内放送など行う。

第2質問

●岡崎地域活性化ビジョンについて

 岡崎活性化ビジョンですが、総合特区の構想は、これまでの小泉時代と違いまして、複数の規制緩和を認める内容になっています。いま京都市は市内全体に厳しい景観規制かけて、市民の協力を求めている時です。例外を重ねるなら、京都の町づくりの基本が壊れかねないと指摘しておきたいと思います。そして私は場所を特定したのではなくて、公園区域内に宿泊施設をつくるのかどうかという質問をいたしました。再度明確に答えていただきたいと思います。

 溶融炉ですが、普通1年たっても使うめどが立たないような施設は、返品があたりまえです。レンガの亀裂などが全国では、爆発事故につながったことは明らかではありませんか。あらためて、この問題について、運転中止、そういう立場で検討をされるよう強く求めて、第二質問を終わります。

(市長)中間報告をパブリックコメントにかけ、答申にもとづいて計画をつくるが、岡崎地域に宿泊施設をつくることは中間報告でいっさい出ていない。その考え方を尊重していくことは当然。