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市会報告

井坂博文 議員

11年1月31日(月)

市会議員定数を削減する条例改正案に対する反対討論 11年1月臨時市会 閉会本会議討論

 

 日本共産党京都市会議員団は、今回の臨時市会に上程されております議第316号に対して反対の態度を表明しておりますので、議員団を代表して討論をおこないます。

 第一の理由は、やみくもな議員定数削減は、憲法に定められている地方議会の位置づけと役割の理念に反するからであります。憲法93条は、地方議会は国会の議院内閣制と異なり、議会と首長がともに選挙によって公選される二元代表制であること、議会と首長はそれぞれ独立し、かつ対等であり、互いに牽制しながらバランスをはかり、地方行政の公正な運営を図ることを明記しています。そして地方議会の役割を、議決と立法の機能をもった議事機関であるとしているのです。 

 また、議会は合議制であるがゆえに首長によるトップダウンとちがって、多様な住民の民意を可能な限り反映して、十分な討議を通して民意を調整し、意思決定を図るという重要な役割を担っています。だからこそ、憲法94条は、首長は住民の意思の集約をはかる執行機関であるが、議会は議案の議決とともに条例の制定を図る立法の機関として首長より優位であり、第一義的な住民代表機関と位置づけているのであります。

 議員定数を検討する際には、この憲法にもとづいた議会の位置と役割がふさわしく発揮されているのか、これからされるのかどうかの基準で判断されなければなりません。

 その点については、条例改正提案の市長意見においても「定数問題は、議会が立法機能、議事機関や行政執行の監視機関としての役割を十分に果たすかどうかという点を基本に据えるべき」と明確に述べているとおりであります。

 このようにやみくもな議員定数の削減は、憲法に定められた議会の存在意義と役割を後退させるものと言わざるをえません。

 第二の理由は、地方自治法の規定と議会制民主主義に照らして、問題があるからです。議会の存在意義と役割を発揮するためには、一定の議員数が必要であります。それは、市民の代表として多様な市民意思を行政に反映させ、行政施策に精通した議会論戦と政策提案をおこなう、にふさわしい定数が必要であるからであります。

 現在の京都市会の条例定数69人は、地方自治法に基づいて京都市会における必要な議員定数の上限72人をすでに3人も下回っています。この定数をさらに減らせば、多様な民意を汲みつくせなくなります。そうなれば、「議員の姿が見えない」「議員は市民の声を聞いて仕事をしているのか」という議会に対する市民の厳しい意見をますます増大することにつながり、まさに議会の自殺行為と言わざるをえません。

 民意が反映されない議会は、首長の市政運営に対する議会の監視機能を後退させ、議会を「イエスマン議会」へ変質させることになります。従って、請求代表者による意見陳述で述べられた「最小限の人員で最大の効果をあげる」という「少数精鋭議会」は、議会の多様な民意を反映させる機能を弱め、議会制民主主義の崩壊だと言わざるとえません。

 合わせて、意見陳述における「9名減員したとしても民意の損失は2・2%の削減でありたいしたことはない」との意見は乱暴であり、民意と議会制民主主義に対する重大な冒涜であります。

 第三の理由は、請求者の定数削減の理由に整合性と正当性がないからであります。

 そもそも「行財政改革は市の最優先課題である」として議員定数の削減による財政効果を論じていますが、民意の反映である議員定数という民主主義の問題を、財政問題とリンクして財政削減効果の比較で論じることはふさわしくありません。

 また、「現在の1・5倍を超える一票の格差を是正し、公平な選挙を実現する」と言いますが、格差是正には定数削減しかないのでしょうか? 72名の上限定数をふまえて、国政調査結果による各行政区の人口にもとづき、増員による是正も含めて検討すべきであります。

 また、「他都市と比べても京都市の定数は多い」と言いますが、議員一人あたりの人口は21,200人であり、19の政令市の中で9番目であり、決して多すぎることはありません。

 また、「京都府でも定数削減を実施した」と言いますが、京都府議会の定数削減は、格差是正すべき選挙区の順位を意図的に差し替えて、左京区を削減し、特定の会派の議員の減少を狙ったものであり、正当化すべきものではありません。

 以上述べましたように、今回の定数削減の提案は道理のないものであり、賛成できるものではありません。本来の一票の格差是正、定数是正は今回の国政調査にもとづいて十分に時間をかけて慎重に議論すべきであります。そのことをあわせて申し上げまして、私の反対討論といたします。