岩橋ちよみ 議員
10年12月10日(金)
「切れ目ない中小企業支援及び金融支援策を求める意見書」に対する反対討論 10年11月定例市会 閉会本会議討論
京都市会ホームページ > インターネット議会中継 上で、録画がご覧いただけます。(約1年間)
日本共産党市会議員団は、切れ目ない中小企業支援及び金融支援策を求める意見書に反対の態度を表明していますので、その理由を述べ、討論を行います。
リーマンショックから2年、大企業の生産はV字回復を果たし、利益を急増させ、空前の金余り現象となっています。大企業は内部留保をこの1年で233兆円から244兆円に11兆円も増やし、預金など手元資金だけでも52兆円に達しています。一方、民間企業の賃金は、この1年間で平均23万7千円も減り、過去最大の落ち込みで中小企業のみなさんからは「不況にくわえて、急激な円高でいよいよ立ち行かない」と、悲鳴の声が上がっています。今、この中小企業支援を経済対策の柱にすえることが重要となっています。
この間、国は、中小企業支援、金融対策支援として、緊急保証制度の創設、中小企業金融円滑化法等の対策をすすめてきました。意見書にある緊急保証制度や中小企業円滑化法の再延長はもちろん必要です。
しかし、意見書では「官民ファンド・産業革新機構を有効に活用し、リスクマネーの提供を積極的に行う」としています。産業革新機構は、大学や企業の枠を越えて、研究開発から事業化に向けた各段階の課題に応じた支援を行うとしていましたが、その支援先としてあげられているのは、エレクトロニクス業界、特定の電機業界です。大手電機業界救済制度に他ならず、真に中小企業を支援することにはならず、賛成できません。また、リスクマネーを積極的に行うとしていますが、リーマンショックを再現させるものであり、投機マネーはすすめるべきではありません。
また、意見書では2011年度税制改正における法人税率引き下げを前提として財源確保を求めています。法人税率引き下げは、財界が強く求めているものですが、今、大企業は空前の金余りとなっているのです。この大企業に更に、減税する必要があるでしょうか。「日本の法人税は高すぎる。減税しなければ、企業が海外に出て行く」という議論もありますが、税と社会保険料をあわせた大企業の負担は、フランスの7割など、ヨーロッパよりも低くなっています。さらに経済産業省の調べでは、海外に出る理由に、税金の負担をあげた企業は8%に過ぎません。大企業に減税しても、減税分の多くが大企業の蓄えに回り、海外進出を食い止められないことを示しています。政策投資銀行が日本の大企業3638社を対象に行った調査報告では、企業が新たな設備投資を行う最大の判断基準は、製造業、非製造業ともに需要の動向にある、という結果で、多くの企業では需要のあるところで生産することが基本方針になっていると指摘しています。言い換えれば、企業の利益が投資や雇用に回らず、内部にためこまれてしまうのは、日本経済が極度の需要不足に落ち込んでいるからにほかならないことを示しています。菅総理も「企業が抱える現預金は200兆円を超える。この資金を国内投資などに誘導する必要がある」と述べています。そのためには、大企業に法人税の減税をすすめるのではなく、巨額の資金を投資や雇用など生きたお金として、日本経済に環流させ、中小企業・家計を応援し、内需を底上げする政策への転換こそ必要です。
以上、反対する理由を述べて討論とします。