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市会報告

倉林明子 議員

10年11月25日(木)

倉林明子議員の代表質問 10年11月定例市会 本会議代表質問

「地域主権改革」について

 日本共産党京都市会議員団を代表して市長に質問します。

 市長就任から間もなく3年になろうとしています。この間、未曾有の世界同時不況、政権交代と大きな激動がありました。政治を変えたいと願った国民が誕生させた民主党政権ですが、政権交代から1年2ヵ月が経つものの、市民の暮らしも景気も一向に改善の兆しは見えません。こうした中で、内政面でも外交面でも、失望と落胆が大きく広がっているのが現状です。今や「生活第一」、「クリーンな政治」という掛け声は消え、法人税の減税と消費税の増税がさけばれ、企業献金の復活です。「自立した外交」とは言い難い中国やロシアとの関係に、国民は怒りを募らせています。

 地方自治体との関係でも、自公政権時代の地方分権が地域主権と看板を変え、中身はさらに地方を切り捨てるものとなっています。今年6月に閣議決定された地域主権戦略大綱は、国と地方の役割分担を強調し、国が保障する最低基準であるナショナルミニマムと財政責任を投げ捨て、自治体に責任も財政負担もおしつけようとしています。現在、継続審議となっている地域主権改革一括法案では、今でも国際的にみれば低すぎる保育所や障害児施設などの福祉施設の最低基準をなくし、地方自治体で基準を定めるとしています。また、「ひもつき補助金を廃止し、地方が自由に使えるように」との名目で、来年度から補助金を順次一括交付金化し、総額での削減を狙っています。地方自治体に責任だけ丸投げし、財源を絞り込めば、国に代わって地方自治体が住民サービスの切り捨てを迫られることになるのではありませんか。財源が厳しい自治体ほど、住民に深刻な被害をもたらすことになり、地方自治を破壊することになりかねません。

 全国どこに住んでいても、福祉や教育、命や安全に関わる最低限のサービスを保障する責任は国にあります。ナショナルミニマムを外すなどやるべきではないと、はっきり国に対して声を上げるべきです。市長は三位一体改革についても良い面があるといい、一括交付金についても「裁量権の拡大はいいこと。総額が減らないように国に要望する」と答弁していますが、三位一体改革で最も被害が大きかったのが京都市ではありませんか。国の責任を大きく後退させる動きに対して、市民のいのちと暮らしを守る立場から、京都市長としてダメなものはダメだとはっきり言うべきではありませんか。いかがですか。

(由木副市長)今年6月に閣議決定された「地域主権戦略大綱」は、地域主権改革を推進していくものとして評価しているが、課題も残っている。国庫補助負担金は、社会保障や義務教育など地方の主要な財源であり、一括交付金化にあたっては、地方の総額の確保と自由度の拡大につながるよう国に求めていく。

財政改革有識者会議の提言について

 深刻な市民生活の実態が厳しさを増す中、住民に最も身近な地方自治体が、住民福祉の向上という役割をどう果たすのか、市長に鋭く問われています。市長は「福祉と教育は後退させない」、「トップクラスの福祉」を掲げ市政運営を託されました。9月市会でも「福祉はトップクラスだ」と認識を示しましたが、市民の実感とはずいぶんかけ離れているのではないでしょうか。確かに市税収入に占める福祉予算の比率が年々増加しているのは事実です。しかしこれは、貧困の拡大による生活保護費の増加や高齢化の進展などによるもので、予算が増えているから福祉が良くなっていると言われても市民は到底納得できません。国民健康保険料を2年連続値上げし、国保料が払えない市民を増やしたために、患者になれない病人が増えています。保育所に対する補助金を8億円削減し、保育所経営に深刻な影響を与えています。あなたの公約では充実を検討するとしていた市立看護短期大学は廃止を決めました。これでどうして福祉はトップクラスだと言えるのでしょうか。

 市長にとって来年度予算は今期最後の編成となります。同時に来年度から今後10年間の京都市行政運営の基本となる次期京都市基本計画案が示され、今議会での審議が始まろうとしています。市民参加で策定された基本計画案を見ると、市民や事業者の責務は明記されたものの、京都市が何をどこまでやるのか、行政の目標と責任が明確に見えてきません。一方、基本計画と同時進行で策定するとしている財政改革の中身は極めて具体的に示されています。市長の諮問会議である京都市財政改革有識者会議が10月4日に提言を発表し、今後10年間の改革実行計画に反映するよう求めているものは、市民に大きな痛みを求めるものとなっています。9月市会で市長は具体的な項目については答弁できないとしていましたが、基本計画も改革実行計画も来年度から具体化が始まるものであり、実施に当たっては十分に市民意見も伺うとの答弁もされているだけに、予算編成に当たって基本的な考えを市民に説明する責任があると考えます。以下、有識者会議で提案されている具体的事項について市長の明確な答弁を求めるものです。

 第一に、個人市民税軽減措置の見直しについてです。この制度は昭和26年に高齢者および低所得者の税負担軽減を目的に創設されたものであり、年金額255万円以下の単身高齢者なら所得割も半額に免除する、所得割がかからない世帯は均等割も免除するなど京都市独自の制度です。提言では20万件、14億円の規模で行っている市税軽減措置全体の見直しを求めていますが、個人市民税軽減措置が廃止されれば約8万人、影響額は6億円に及ぶだけでなく、非課税世帯が課税世帯になれば、公共料金などの負担増にも連動します。保育料や65歳以上の医療費窓口負担助成制度などに影響し、低所得者や高齢者に雪だるま式の負担増になるものです。とりわけ高齢者にとっては、老年者控除の廃止など増税が相次いだだけに、今日、貴重な軽減措置となっています。市長は「持続可能な施策にする必要がある」と見直しの方向について述べていますが、低所得者を直撃する増税を実施した場合、市民生活そのものを持続不可能に追い込むことになるのではありませんか。市民生活への影響をどう認識されているのか。市長の見解をお聞かせください。

(由木副市長)市税の軽減措置、とりわけ高齢者に対する軽減措置は、国の非課税措置廃止を受け、現在では本市のみが実施している。その必要性を改めて検討すべきとの議論がされた。軽減措置の見直しは税以外の施策にも影響が及ぶため、厳しい社会情勢の中、市民生活に与える影響などを十分に考慮し総合的に判断していく。

 第二に、福祉施策の見直しについてです。提言では、「全国水準に上乗せしたり、京都市独自で実施している福祉事業のあり方を見直す」、「少なくとも他の政令市とのかい離を拡大させないといった目標設定が必要」だとして、敬老乗車証交付事業対象者の抑制と自己負担額の引き上げ、母子家庭等医療費助成制度の所得制限の見直し、学童う歯対策事業の検討を求めています。

 敬老乗車証は1973年、高齢者に対して敬老と社会参加の促進を目的に創設されました。高齢者の足を支えると同時に、交通局の財政支援という大きな役割を発揮してきた優れた施策です。2005年有料化されたものの、現在も12万人の高齢者が利用し、利用できない地域では拡充を求める声が少なくありません。また、母子家庭等医療費助成制度は、子どもが病気になった時に、安心して治療が受けられる母子家庭の命綱ともなっている制度です。まして、この所得制限は京都府と同じ基準で実施しているもので、これを引き下げることは同じ京都府内に住んでいるのに、京都市内に住んでいるというだけで制度の対象外となる母子家庭を生むことになるでしょう。学童う歯対策事業は永久歯に生え換わる小学生の時期に無料で歯科治療が受けられるようにしているもので、市民の健康の土台を支える役割を発揮しています。これらの制度は市民が京都に住んでいて良かったと実感できる貴重な施策でもあります。市長はこれも「持続可能な制度となるよう見直しが必要だ」と説明していますが、財源確保のためにこれらの施策を後退させれば、市民にいっそう大きな痛みを押し付けることになることは明らかです。

 市長は来年度の予算編成にあたって、重点課題の一番に市民のいのちと暮らし、安心・安全を支える施策・セーフティネットを掲げていますが、それならばこれらの施策を後退させないと市民に明確に宣言すべきです。いかがですか。

(星川副市長)厳しい財政状況の中にあっても、必要な方に必要な手当をきちんと行っていくためには、社会の変化を踏まえた施策・事業の不断の見直しが必要不可欠。市民の生活実態や思いを的確に捉え「今、市民生活に何が必要か」を念頭に、持続可能な福祉施策のあり方を検討し、市民のいのちと暮らし、安心・安全を守っていく使命を将来にわたって果たしていく。

 第三に、市職員の削減についてです。提言では、計画的な人員削減をすすめ、市民1人あたりの人件費を他都市の平均以下にし、「人件費の総額抑制に取り組むことが、財政の構造改革にとっては不可欠である」としています。特に政令市と比べて職員が多い教育や消防、ケースワーカーを削減すべき対象にあげていますが、比べる基準が問題です。人口だけを基準にしたもので、それぞれの政令市の特性や特徴を全く反映したものとなっていません。たとえば消防職員について見れば、他の政令市と比べても古い木造家屋の多い都市であることから、予防消防を業務として位置付けている事も職員の多さにつながっています。この職員一人一人が地域の防災力向上に大きな役割を発揮し、全国一火災発生率が低い成果を上げているのです。そもそも消防職員については、国の配置基準があり、京都市の到達は97%にとどまっています。生活保護のケースワーカーも国が定める一人当たりの担当件数の目安の80件を年度当初でかろうじて満たしているにすぎません。現場の教職員は多忙を極め、過労死ラインを越えた長時間労働も改善されないままです。他都市の水準に合わせるのではなく、市民の命と財産が守れる体制になっているのかどうか、目指すべき教育水準が確保できる体制になっているのかどうかが最も問われなければなりません。国の配置基準は最低限の目標として堅持すべきと考えますがいかがですか。

 日本共産党市会議員団は、見直すべき職員配置や職場もあるという立場を一貫して主張してきました。同和選考採用により、まともな仕事がない部署への現業職員の配置の見直し、教育委員会では授業を持たない管理職を減らすことなど、市民サービス向上と適正な職員配置にしていく努力は引き続き求めるものです。

 一方で、有識者会議も認めているように、賃金の指標となる市職員一人あたりのラスパイレス指数や平均給与月額は他都市並みであり、09年7月から実施している給与カットにより、実際には他都市を下回っています。市人事委員会の勧告でもこの給与カットについては「職員の士気や組織活力に及ぼす影響を考え合わせ、早期に解消されることを望む」と指摘せざるえない状況です。市民に必要な行政サービスを確保し、質を担保することを抜きに職員削減ありきで見直すべきではありません。いかがですか。

(星川副市長)市民一人あたりの人件費が、他の指定都市と比較して高い水準にある。将来にわたって財政を持続可能なものとするためには、職員数の更なる適正化や経費の節減などによる人件費の抑制は必要不可欠。
 そのため、策定予定の改革実行計画において、必要なサービス水準は維持する中で、本市の都市特性を踏まえつつ、他都市の事業実施体制等を詳細に分析し、定員適正化方針の道筋を示していく。

ムダ遣いの見直しについて

 そもそも京都市財政の危機が叫ばれて10年あまり、なぜこんな事態になったのか、どこに原因と責任があるのかを、まず明確にする必要があります。京都市の市債残高、いわゆる借金を大幅に増やした最大の要因は、国と一体となって借金に借金を重ねて大型公共事業を進めてきたことにあります。総額2900億円をかけた京都高速道路建設、建都1200年記念事業と銘打って進められた地下鉄東西線関連の五大プロジェクト事業などで発行した市債が、大きな負担となっています。さらに自民・公明の前政権が、三位一体改革によって地方交付税を5年間で507億円も削減したことが、今日の状況を招いているのです。

 京都市財政の危機の原因を作ったのは市民がムダ遣いをしたからでは決してありません。ムダ遣いをなくして、暮らしを守ってほしいという願いにこたえるならば、今後の10年間を考えた時、真っ先に見直すべきは、総事業費2900億円の未着工高速道路計画です。ところが、京都市基本計画案の中には、緊急時の幹線道路ネットワークの形成が盛り込まれています。これは第一次緊急輸送道路でもある高速道路を含むものではありませんか。市長は中止を求めた私の質問に対して「慎重に検討していけばよい」との答弁にとどまり、副市長は、「公債の発行額を抑えることと個別路線の問題は別」「投資の優先順位をどうするかを検討する」として高速道路の中止を明言しませんでした。今後10年間の財源不足は明らかだとしながら、市民のいのちや暮らしより高速道路を優先してよいはずがありません。「低炭素社会」の京都の未来像にも逆行するものではありませんか。環境モデル都市として世界を牽引すると言いながら、高速道路をさらに建設する行為は世界の厳しい批判を免れません。凍結を繰り返して責任をあいまいにするのではなく、今後10年間は新たな高速道路建設はしないと市民にも明らかにすべきです。いかがですか。

(建設局長)堀川線など残る3路線については、総合的な交通体系の構築や社会経済情勢等も勘案し、必要性も含め、そのあり方を検討していく。

 また、180億円をかけて建設した焼却灰溶融施設は、4月の試運転で基準の42倍のダイオキシン類を発生させ、現在も本格稼働に至っていません。京都市は、安全性の確保を確認した上で稼働したいとしていますが、稼働すれば16億円の年間経費が必要となる施設です。京都市唯一の最終埋立地であるエコランドを今後70年間使用できるようにするために焼却灰溶融施設を稼働させる必要があると、副市長は説明しますが、最終埋立地を延命させるための最も有効な手段はゴミそのものを減量することです。実際に分別収集の導入や景気の低迷の影響も受けて大幅にゴミが減量してきたために、建設当初は15年間で満杯になるとされていたエコランドが、今では今後50年間使用できるようになったのです。焼却灰溶融施設を16億円かけて稼働するよりも、徹底したゴミ減量の取り組み、リサイクルの促進こそエコランドを長く使える道であり、環境モデル都市にふさわしいやり方です。焼却灰溶融施設の稼働は中止し、財源を市民のいのちと暮らしを守る施策に振り向けるべきです。いかがですか。

(環境政策局長)523億円かけた本市唯一の埋立処分地を70年以上活用するため、本格稼働は必要不可欠。稼働にあたっては、ごみ減量に応じた効率的かつ経済的な運転に努め、経費削減を図っていく。

財政健全化の目指すべき方向について

 財政を健全化させるために政治に求められる最大の課題は、国も地方もあげて、深刻な経済危機を打開することです。日本経済は今、大企業の「空前の金あまり」の一方、労働者の賃金は下がり続ける異常な事態です。民間企業の賃金はこの一年間で23万7千円も下がりましたが、大企業は、内部留保をこの1年間で11兆円も増やし、244兆円に達しています。この巨額の資金を、投資や雇用など生きたお金として日本経済に還流させることが、どうしても必要です。最近発表された財界系のエコノミストが「賃上げこそ最高の成長戦略だ」と提言しています。「企業全体が賃金を抑制し収益を増やし、お金を貯め込めば、社会の需要が冷え込み、モノが売れず企業自身の首を絞める結果となる。といって個々の企業が賃上げに踏み切ることも難しい」として政府の出番だと言うのです。規制緩和の流れを逆転させ、賃金が上がりやすくなる政策パッケージを確実に実行すべきだとしていますが、その通りだと思います。日銀の白川総裁も国会で「大企業、大銀行の経営者からも『お金が余って仕方がない』『使い道がなくて困っている』という話をみんなから聞く」と答弁しています。政府は景気対策として法人税の減税を行おうとしていますが、金余りの大企業に減税しても、内部留保に回るだけで、景気回復につながらないことは明らかです。外需頼みから内需を拡大する、社会保障を拡充させて将来不安を取り除く、中小企業を応援し、国民の生活を支える政策に変えることこそ、一番の経済危機打開の道ではないでしょうか。

 来年度の予算編成にあたって、市長が訓示されたとおり、「市民のいのちと暮らしを守る、安心・安全を確保する、中小企業、京都経済をしっかりと支える」予算案とする決意を求めるものです。お答え下さい。

(市長)長引く景気低迷の影響により、市民生活は依然として厳しく、京都経済も極めて厳しい状態が続いている。投資枠の2割縮減など試行的に着手し、必要な財源を確保して、市民のいのちと暮らしを守り、中小企業をしっかり支え、将来の京都の発展、成長のための戦略を実現する予算としていく。

 厳しい財政状況が明らかになる中、議員も身を削るべきだとのご意見も少なくありません。私たち議会もこの声を正面から受け止めなければなりません。この間、京都市会は全会一致で議員報酬の5%削減や費用弁償の半減、海外行政視察の自粛などの取り組みを進めてきました。日本共産党市会議員団は、これまでも費用弁償の廃止や海外行政視察の中止を申し入れてきましたが、今議会に市民生活の実態や厳しい財政状況を踏まえて、議員報酬の3割、一人当たり約500万円を削減する条例案を提案させていただきました。年間総額約3億3千万円の削減効果を上げるもので、市民生活を支える財源の一部とすることが可能です。議会も聖域にせずという姿勢を市民のみなさんに示す事になるのではないでしょうか。各会派のみなさんのご議論とご賛同を心からお願いするものです。

 議員は多すぎるという厳しい意見が寄せられるのは、市長の提案なら何でも賛成というオール与党体制が長年続いていることも一つの要因です。地下鉄東西線の膨張も、高速道路建設も国民健康保険料の度重なる値上げも、日本共産党以外のみなさんが賛成して、市長と一体となって進めてきたものです。一旦は議会で否決された看護短大廃止条例でさえ、数の力で2ヵ月後には原案通り可決しました。市民の願いが届かない、市長の提案を変えられない議会に対して、不満と不信が広がるのは当然です。それでは議員の定数を減らせば、市民の願う議会の改革となるでしょうか。地方政治は、首長と議員が住民によって選ばれる二元代表制がとられています。市民の多様な意見が適切に反映される議員定数があってこそ議会の役割が発揮できるのです。現在の京都市会の定数は69人、法で定めた上限定数を既に3人下回り、議員一人当たりの人口は2万人を超えています。これ以上の削減は、市民の声を議会から遠ざけることにつながるもので実施すべきではありません。市民のために働く、市民の声を議会に届け、市長に対してもはっきりものが言える議員が増えてこそ、市民の願う議会改革につながるのではないでしょうか。

市職員不祥事の根絶について

 最後に、市長の公約である市職員不祥事の根絶について質問します。覚せい剤取締法違反での逮捕者が続出するだけでなく、生活保護費の横領など京都市職員の不祥事が続発した2006年、市民の信頼を大きく失墜した痛苦の教訓から、京都市は不祥事根絶を誓い、改革の方針を打ち出しました。市長は1年以内の不祥事根絶を公約に掲げたものの、就任以来の逮捕者は8人、今年に入って新たに2人の覚せい剤取締法違反による逮捕者が出ています。さらには買春、暴行、都市計画局では収賄事件も発生し、教育委員会では教頭先生の飲酒運転による事故など、今年度の懲戒免職処分はすでに5人となっています。先月諭旨免職となった教員が、今月10日に強制わいせつ容疑で逮捕されています。こうした不祥事の続発は、京都市に対する市民の信頼を大きく損ねるものであり、市政運営の土台を揺るがす問題だとの認識を持つべきだと考えますがいかがですか。

 職員不祥事の背景として、京都市が長年行ってきた同和特別扱いの採用、採用後も公務員に必要な教育や指導を行ってこなかった反省はどう生かされたのでしょうか。厳罰主義の徹底だけで不祥事の再発を防げないことも明らかです。改めて原点に返り、市職員が市民の奉仕者として、やりがいを自覚して仕事に専念できる環境整備が進められているのかどうか、総点検を求めるものです。市長の公約である職員不祥事の根絶を堅持する決意を求めて、私の第一質問を終わります。

(市長)職員の意識や行動は大きく変わってきており、積極性や創意工夫の気風は、着実に広がっていると実感しているが、不祥事の根絶に至っていないことも事実。ごく一部の者のために、多くの職員の真摯な努力が否定されることは無念。今後とも、公務員としての自覚を欠く職員に対しては、断固たる姿勢で臨み、これまで以上に、全庁"きょうかん"実践運動をはじめとする職員のやりがいや誇り、使命感を高めるとともに、職場の風通しをよくする取り組みを強力に推進する。

第二質問

 京都経済も市民生活の実態も、深刻な状況にあることを認めながら、福祉を後退させないとなぜ明言できないのか。市長が「福祉はトップクラスだ」といくら叫んでも、市民をごまかすことはできません。

 高速道路も焼却灰溶融施設の本格稼働もきっぱりやめると言わないのは、本気でムダ遣いにメスをいれる姿勢がないといわざるを得ません。

 財政赤字を理由に、市民に痛みを求め、福祉を後退させるやり方は地方自治の本旨を投げ捨てるものだと厳しく指摘し、質問を終わります。