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市会報告

佐野春枝 議員

10年10月28日(木)

「空き缶持ち去り禁止条例」に対する反対討論 10年9月定例市会 閉会本会議討論

 

 日本共産党市会議員団は、提案されています議第92号「京都市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例の一部を改正する条例の制定」に対し反対の態度を表明しておりますので、日本共産党を代表して反対理由を述べます。

 この条例改正案の空き缶などの抜き取り禁止は、ホームレスの生存権を侵害し、ホームレスに対する社会的排除を助長するものです。この方々は、人として誇りをもって生きていくために、直ぐに食べる為の現金を手に入れることができるアルミ缶を回収して換金し、その日その日を精一杯に生きています。雨の日も風の強い日も、生きるために自転車で一生懸命額に汗して、缶を集めるホームレスの方々に、缶を提供し、激励の言葉をかけ、時には物品の支援をしてくださる地域の方々との共生や、仲間同士の支えあいなどもあり最低生活が何とか保持されています。どん底の生活になっても人間の誇りだけは持って生きられるよう働く道だけは絶たないでほしいと切に訴えておられます。

 10月20日の夕方には、当事者の方々やこの条例に反対するホームレスの方々を支援する団体、そして多くの市民の方々がこの市役所を人間の鎖で包囲しました。また、10月21日の「くらし環境委員会」では、保健福祉局も出席し、10月14日、15日に行われたホームレスの方に対する聞き取り調査の結果が報告されました。しかし、この調査は、本市の福祉施策の周知が目的でした。残念なことにホームレスの方々に対してこの条例の与える影響についての実態調査ではありませんでした。調査に協力された方々の中で、73%の方が本市の福祉施策を利用したことがあると答えています。制度を知っていても現在は、ホームレスの生活を送っておられるという結果からみても、施策の周知だけでは駄目だということが証明されたのではないでしょうか。

 先日の市長総括の際に市長は、ホームレスの「就労支援策」を打ち出しました。しかし、この未曾有の不況下でどれだけの就労の場が確保されるかは疑問であり、空き缶回収の代替策になり得ないことは明らかです。私も地域の方々からの声で、空き缶回収をされて暮らしているのは、ホームレスの方だけではない、地域の商店主の方も不況で商売がなりたたず、空き缶回収を行っている方がおられると聞いています。また、年金だけでは生活できず空き缶回収で生活を補っている方もあります。中々様々な事情があって生活保護を受けて生活するという風にはならない方もあります。

 この「缶・ビン・ペットボトル」の持ち去り禁止条例は、これらの人々の生きる糧を奪うものであります。この条例案には、ホームレス支援の充実やさらなる調査を求めるなどの付帯決議が付けられようとしていますが、そういった対策は、条例提案をする前にやるべきことで、即効性が無いからこそ、反対の声が更に大きくなっているのです。現にホームレス支援団体や当事者の方々が短期間の間に4000筆を超える反対署名が集まりました。また、わずか3日間で全国各地から44の団体や有志の方々からホームレスの生存を脅かし、排除を助長する条例改正案の撤回を求める声も寄せられています。

 日本共産党市会議員団は、このように人の命すら奪いかねない条例について反対する立場を表明致しまして私の討論とします。