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市会報告

ひぐち英明 議員

10年9月30日(木)

ひぐち英明議員の代表質問 10年9月定例市会 本会議代表質問

 

 左京区選出のひぐち英明です。日本共産党議員団を代表して質問いたします。

円高の緊急対策、中小企業への支援について

 はじめに、中小企業と労働者に対する支援についてお聞きします。

 わが党議員団はこの間、機械や金属加工業を中心に、市内の中小企業から円高による影響などについて緊急の聞き取り調査を行いました。ある事業主さんは「リーマンショックで大きく落ち込んだときは、従業員にも会社の状況を話して、給料もカットしながら、私は3分の1の給料にして、必死の思いで会社を維持してきた。最近になってやっと受注量が持ち直してきけれど、単価はそれ以前より3割ほど低い」と話されていました。また、別の事業主さんは「国内の需要が落ち込む中、中国との取引が増えてきているけれど、円高とユーロ安で苦しんでいる。安いヨーロッパの機械との競争。無理難題を持ちかけられるケースも多い」と話されていました。「1ドル95円で設定しているので、現状は輸出すればするほど赤字になる」といった話も出されました。どこでも共通に語られていたのは、「中小企業に高い技術力を持った職人がいるけれども、このままでは、ものづくりの技術の継承ができなくなる」という危機感でした。

 長引く不況に加えて、原油高騰やリーマンショックで中小企業は大打撃を受けました。たくさんの中小企業が倒産や廃業に追い込まれる中、従業員と力を合わせてなんとか困難を乗り越えてこえてきたところで、今回の円高です。仕事がない、あっても単価が安くて利益にならない、という状況に拍車がかかっています。現場のみなさんは仕事や生活が苦しいというだけでなく、このままではものづくりの高度な技術そのものが日本から失われてしまう、という危機感を募らせています。こうした現状をなんとしても打開しなければならないという立場で、わが党議員団は円高対策と中小企業への支援を求める緊急の申し入れを市長に対して行いました。

 そこで質問に移りますが、まずは、市長が本部長となって、円高対策本部を立ち上げ、緊急の対策をとるべきではありませんか。また、市長自身が現場に足を運び、中小企業の現状を聞き取り、施策に反映させるべきと考えますがいかがですか。さらに、本市で、ものづくり産業調査を実施してからすでに7年が経過していますから、あらためて中小企業のしっかい調査を行うこと、今回は、本市職員自らが現場に足を運んで調査を行う必要があると考えますがいかがですか。お答えください。

 原油高騰にしても、今回の円高にしても、投機マネーが経済の混乱と不況をもたらしていますが、この間、緊急保証など、融資の改善は一定図られて来ました。しかし、不況の長期化のために、融資の返済期間が迫る中で、「借り換えの保証料負担が大変」、あるいは「近い将来返済できるめどがたたない」といった声が聞こえてきています。京都府は、対象がきわめて限定はされているものの、機械のリース代への補助制度を9月議会に提案しました。本市でも苦しむ中小企業に対して、融資の据え置き期間の延長や金利の引き下げ、さらには、機械のリース代や固定資産税といった固定費の補助など、緊急の支援策をただちに取るべきと考えますがいかがですか。

 わが党はかねてから中小企業をしっかりと支援するという姿勢を示すためにも、中小企業振興基本条例の制定を求めてきました。この問題に関して、5月議会でわが党の赤阪議員が質問した際に、市長は「国が策定を進めている中小企業憲章の内容を十分に踏まえ、新京都市産業ビジョン(仮称)を年度内に制定する」と答弁されました。

 その後、6月18日に中小企業憲章が閣議決定されましたが、そこには、「中小企業は、経済をけん引する力であり、社会の主役である」と書かれており、「国の総力を挙げて、自立する中小企業を励まし、困っている中小企業を支え、そして、どんな問題も中小企業の立場で考えていく」と書かれています。

 中小企業が社会の主役であるということは、まさにその通りです。特に京都では、99%を占める中小企業の活性化が京都経済の活性化につながります。また、中小企業が雇用の大部分を支えていますから、雇用の改善と働く人の収入の増加につながり、消費も拡大します。中小企業への支援、特に困っている中小企業への支援を行うことが、京都経済の活性化と豊かな市民生活の実現に大きく貢献します。

 ところが、現在検討中の新京都市産業ビジョン(案)をみていますと、中小企業支援という言葉はあるものの、「困っている中小企業を支える」という視点が見られず、十分と言えるものではありません。市長は「中小企業憲章の内容を十分に踏まえる」と答弁したのですから、京都市が総力を挙げて、困っている中小企業を支えるために、どんな問題も中小企業の立場で考える必要があります。新産業ビジョンにとどまらず、中小企業振興基本条例をつくり、京都市として中小企業をしっかりと支援するという姿勢を明文化するべきでありませんか。お答えください。

(市長)円高が長期に続けば、下請中小企業の受注減少や雇用の減少など、日本経済全体にかかわる深刻な問題となる。本市として、中小企業支援センターに「円高関連特別経営相談窓口」を開設。また京都府とともに、金融機関に対して中小企業への円滑な資金供給を申し入れた。さらに明日(10月1日)、国に対しても円高の影響を受けている中小企業への支援に関する緊急要望を行う。

 中小企業経営動向実態調査や本市職員等による企業訪問、関係経済団体との情報交換などを行ってきた。引き続き、様々な機会を通じて中小企業の実態把握に努めていく。

 「中小企業金融円滑化法」や「緊急保証制度」の延長を国へ要望するともに、本市融資制度の円滑な制度運用に努めていく。固定費は、本来、経済活動において個々の事業者が負担すべきもので、補助として馴染まないと考えている。

 本年6月に閣議決定された「中小企業憲章」の内容を十分ふまえ、中小企業振興を柱の一つとした「新・京都市産業振興ビジョン(仮称)」を年度内に策定していく。

待機児童の解消、保育の充実について

 次に、保育についてお聞きします。

 「2人目が生まれたけれど、上の子と同じ保育園がいっぱいで入園できずに困っている」「子どもが保育園に入るのがこんなに難しいとは思わなかった」、こんな声が次々と耳に入ってくるほど保育所への入所が難しくなっています。本市の待機児童数は、年度当初、昨年と比べて56人増えて236人となっています。待機児童の解消は緊急の課題です。

 この間、本市では、定員外入所を次々と増やしてきており、その数は、今年度当初、2,598人にまでふくれあがっています。5年前の2005年には、定員外入所は2,014人でしたが、その時点で京都市自身が「施設規模における許容の面からも、保育環境を損なわない範囲での受け入れは限界に来つつある」との認識を示しています。限界に達しているとした時点より、さらに600人近くもの定員外入所を増やしているのですから、「保育環境を損なわない範囲」を大きくこえています。このしわ寄せは当然子どもに行くわけですから、保護者や保育者の願いにも反していることは明らかです。待機児童の解消は、すでに保育環境の悪化をまねいている定員外入所で対応するのではなく、保育所そのものを増やすことで対応するべきではありませんか。お答えください。

 さて、今年から変えられたプール制についてですが、市内の3分の1の保育園で補助金が減額になります。主にベテラン保育士さんのいる保育園で補助金が減額になりますが、京都市は「バランスの取れた職員配置」にするための仕組みだと説明してきています。補助金が減額されるある保育園の職員構成をお聞きしました。この保育園は正職員のうち、20代が26%、30代が21%、40代が26%、50代が26%です。新人からベテランまで非常にバランスの取れた職員配置であります。しかし、補助金は削減される、というのが、今年度からの仕組みです。あまりにも矛盾に満ちています。

 結局、今の仕組みは、低すぎる国の運営費基準に合わせるかたちで補助金を削減した上で、保育園の運営費が足らないのであれば、定員外入所を増やすなど、今以上に無理をしてでも、特別なことをして稼ぎなさい、というものです。そうではなく、どの園でも新人からベテランの保育士さんまで安心して働き続けられる給与を保障することこそ、子どもの保育環境の改善につながります。プール制を改悪したことにより、子どもの保育環境が悪化しつつある現状に目を向け、いったんプール制を元に戻し、さらに充実させる方向で補助金を増額させるべきではありませんか。お答えください。

 昨年11月議会において「保育制度に関する意見書」を全会一致で採択しています。ここでは、「保育所の最低基準は国の責任において堅持するとともに、十分な財政措置を行うこと」、さらに「現行の入所方式は優れた仕組みであり、直接契約制度は導入しないこと」を国に対して求めています。また、本年の5月議会で採択した「地域主権改革一括法案に関する意見書」では、保育所などの最低基準に関して「財政保障の基準ともなる、文字通りの最低基準であって、諸外国と比べてきわめて低い基準にあることから、むしろその引き上げこそ求められている」としています。ところが、政府が6月25日に発表した「子ども・子育て新システムの基本制度案要項」では、直接契約制度の導入が明記され、さらに、国の保育の最低基準をなくし財源の保障も投げ出す内容となっています。これらは、国の保育の公的責任を放棄するものであり、本議会で可決した意見書の内容にも全く反するものです。本市の保育行政への影響も甚大でありますから、国に対し、国が保育に関する責任を果たすよう、現行の「最低基準」を堅持すること、低すぎる基準の拡充こそ必要だと求めるべきと考えますがいかがですか。お答えください。

(子育て支援政策監)近年の男女共同参画社会の進展や不況の影響により、就労を希望する保護者が増加しており、待機児童が増加する傾向にある。緊急対策として、補正予算で保育所の新設1箇所、分園の新設3箇所、合計135人分、合わせて480人分の定員拡大を図る。

 4月から民間保育園の主体的な経営の促進やバランスのとれた職員配置を目指した新プール制が発足した。約40億円の予算を計上しており、この制度の下で、保育水準の更なる向上につながるよう取り組んでいく。

 本市は、国基準を上回る職員配置基準の改善を独自に行っており、現行の保育水準を維持するため、国に対し十分な財政措置を強く要望していく。

サル・シカ・イノシシなどの鳥獣害対策について

 次に、サル・シカ・イノシシなどの鳥獣害対策についてお聞きします。

 左京区北部の久多では、田畑にサルが入り込み大きな被害を受けています。田んぼでは、稲の穂が実りかけたころにサルが入り込んで、青々としたまだやわらかい稲の穂先をしごいて食べてしまいました。サルに入られた田んぼはあたり一面踏み荒らされてしまい、稲が倒されていました。この地域は、60代は大変若い方で、70代、80代の方々が田畑の耕作を担っています。そうしたみなさんが、手をかけて手をかけて育ててきた稲を食い荒らされてしまうのですから、地域のみなさんの落胆の度合いは大変大きく、「もう、来年は田んぼはやめにしよう」などと言う声が次々に出されるという状況です。畑にしても同様です。イモや、カボチャ、大根、キュウリなどありとあらゆるものが食べられてしまい、つくる意欲を失っています。高齢のみなさんが、多少しんどいと思いながらも、田畑の世話をすることで外にも出て、からだを動かすことによって、健康にもつながっています。また、田畑をしていれば、まちなかに住んでいる子どもさんたちも手伝いに帰ってきますし、定年後はまた久多に戻ってくることにもつながります。鳥獣被害の対策を抜本的に強化することは、住み続けられる地域づくりの対策そのものにほかなりません。

 大原で話をお聞きしても状況は同様です。田んぼや畑は電気柵で囲われていますが、その周りはイノシシが毎日出没し、水路や山の斜面を掘り起こし、水路が石や土砂で埋まってしまっていました。この土砂をどけるのも大変な苦労です。また、「イノシシの子どもは電気柵の間から入り込み、作物を荒らしてしまう」と言われていました。ここでも「もう来年は田畑をやめにしようか」との声が聞かれました。

 鳥獣被害は中山間地に限った事ではありません。京都市内の里山に接している地域では、あちこちで重大な被害を受けています。住宅街にも入り込んできますが、そこでの被害はおもに生活被害です。家庭菜園などの被害に加え、サルが家の中に入り込み、仏壇のお供えをとって逃げる、冷蔵庫をあけて中の食べものを食い散らかして逃げる、その際にフンなどを撒き散らしていくなど、被害は深刻です。サルの追い払い対策チームが自治会などを中心につくられるなど、地域のみなさんの努力が続けられていますが、対応には限界があります。「人が大けがをする被害が心配」といった声があちこちから寄せられています。

 そこでまずお聞きしますが、農作物の被害にしても生活被害にしても、市長は、鳥獣被害が年々ひどくなっている状況をどのようにお考えですか。抜本的な強化を図る必要があると感じられませんか。お答えください。

 本市では、牛やヤギを使っての対策や、犬を使っての対策など、新たな対策が取られはじめています。また、防御ネットへの補助なども従来から取られてきていますが、十分に対応できていないのが現状です。こうした追い払い対策だけでなく、獣の個体数を減らすための捕獲の対策の強化が求められています。本市でも計画的、あるいはその都度、捕獲の許可を出しており、猟友会のみなさんや鳥獣保護員さんに大変がんばっていただいているものの、捕獲件数は許可件数の3分の1、4分の1といった数にとどまっています。せめて、捕獲許可を出した件数を達成できるだけの対策を本市の責任として取るべきではないでしょうか。

 お隣の大津市では、鳥獣被害に関して、鳥獣害対策室という部署を設けて、専属の職員が対策にあたっています。追い払い対策はもちろん、捕獲に関しても猟友会への補助にとどまらず、1頭あたりの補助金を出したり、サルの大規模な捕獲作戦を行ったりしています。さらに、捕獲したサルに関しては、飼育のためのオリまでつくっています。本市でも捕獲に関して、抜本的に対策の強化を行うべきではありませんか。お答えください。

 また、本市の場合は、捕獲の許可は林業振興課、防御柵の補助は農業企画課、生活被害の受け付けは区役所が窓口になるなど、それぞれの部署がそれぞれに対応しています。本市も大津市の鳥獣害対策室のように、情報を集中し対策を中心になって立てていく部署をつくり、専属の職員を配置すべきではありませんか。お答えください。

(細見副市長)近年、農林業の低迷、山村の過疎、高齢化等により、野生鳥獣被害が山間部やその周辺市街地で多発し、営農意欲の低下とともに市民生活に支障を来している。防除柵の設置、レンタカウ(牛)やモンキードッグの育成などの取り組みを進めてきたが、追い払い対策には限界があり、さらなる強化対策が必要である。

 本年度からはサルの出没動向をふまえ、京都府猟友会への捕獲予算を倍増し、個体数の抑制に本格的に取り組んでいる。

 本市関係部局の連携、京都府や隣接する府県などとの広域的な対策、地元対策組織との連携強化のもと、市民生活の安心・安全を確保していく。

葬儀場の建設について

 次に、葬儀場の建設に関してお聞きします。

 左京区上高野では、昨年5月、住宅や飲食店が建ち並ぶまちなかで葬儀場の建設が始まりました。事業者は、工事を始める前日に、突然近隣住民に工事着工のお知らせを配布し、しかも、そこには葬儀場であることすら記載されていないということでした。工事が始まった段階で、住民が何をつくっているのかを工事業者に尋ねても「私の口からは何も言えません」としか答えないということで、地域住民に全く隠したまま葬儀場の建設が強行されました。本市の葬儀場建設の際の指導要綱が100㎡以上を対象とするということで、99.73㎡で計画し、住民への事前の周知義務を逃れるという徹底ぶりでした。そこに住み続けている住民のみなさんを欺く事業者の態度に怒りの声が上がったのは当然です。その後、住民のみなさんは業者に対して工事の中断と住民との話し合いを求め、また、京都市には業者に対する指導を求め、議会には請願が提出されました。これはほんの一例で、京都市内では、葬儀場の建設に関して、その地域に住まれている住民のみなさんとトラブルになるケースが後を絶ちません。

 議会に提出された、葬儀場建設に関しての指導を求める請願だけで見ても、この10年間、毎年のように提出され、昨年は3件、今年度もすでに5月議会に1件の請願が提出されています。

 この間、行政も議会も市民のみなさんからの要望にもとづいて議論を進めてきました。その結果、中高層条例を改正し、葬儀場は高さに関係なく中高層条例の対象になるようにし、さらに、葬議場の建築等に関する指導要綱をつくり、住民との話し合いの促進と建物の規制の強化が図られてきました。また、先ほど紹介した、面積を99㎡で計画し、住民への周知義務を逃れた例を受け、昨年には、指導要綱の100㎡以上を対象とするという条項を撤廃する改正も行われています。一歩ずつ前進はしてきているものの、残念ながら根本的な解決になっていません。

 この間の議論を通じて感じるのは、亡くなられた方のための施設である斎場や墓地と同様に、葬儀場も法律による規制が必要だという点です。本市で条例や指導要綱をつくっても、上位法が無いためにその内容に制約ができてしまうというのが実態です。すでに本市は国に対してこの件に関しての要望を行っていますが、葬儀場は全国的にも住民とのトラブルが多発していますから、他都市にも呼びかけるなどして、さらに要望を強める必要があると考えますがいかがですか。

 また、法規制を待つだけでなく、本市における更なる取り組みも必要です。今の条例や指導要綱に従っても、住民への周知が行われるのは業者の計画および設計が固まった後であります。これだけトラブルが多発している施設ですから、計画が固まる前の構想段階で、まずは住民との話し合いを行うような工夫が必要ではないでしょうか。本市には大規模商業施設などを対象としたいわゆる「まちづくり条例」があり、この条例では、設計に入る前の構想段階で住民への説明が義務付けられています。こうした仕組みを葬儀場建設の際にも取り入れる必要があると考えますがいかがですか。お答えください。

(都市計画局長)平成17年度に指導要綱を策定、国に対しても、建築基準法における葬儀場の位置づけを明確にし、立地規制するよう要望してきた。大都市間で、葬儀場に係る紛争事例や法令に基づく立地規制の手法について、情報共有を行っている。

 昨年度、請願を受けて、新たに小規模な葬儀場に対しても、建築計画の段階での事前説明を求める等、指導要綱の改正を行った。事業者に対する指導を継続していく。

左京区役所および保健所の庁舎移転について

 最後に、左京区役所及び保健所の庁舎移転について、3点お聞きします。

 まずは、区役所への公共交通によるアクセスの問題です。昨年開庁した伏見区役所は、自家用車での来庁者で駐車場がパンク状態で、周辺住民にも多大な影響を及ぼしています。左京区の場合、区役所の松ヶ崎への移転が発表された時点から、公共交通の不便さが指摘され続けてきています。このままでは来庁者が不便なのはもちろん、自家用車による周辺環境の悪化は深刻なものとなります。京都市自身が課題と言ってきているにも関わらず、来年5月が開庁という段階になって、いまだに住民にも議会にも何の説明もありません。シャトルバスの運行なども手法として考えられますが、行政としていったいどんな案を考えているのか、今、この時期に示す必要があります。その上で住民からの意見を聞き、住民の声を反映した公共交通としなければ、せっかくつくったのに住民が使いづらいものとなりかねません。公共交通の確保について、どんな案を考えているのか、いつその案の提示をされるのか、ご答弁ください。

 次に、岩倉出張所についてお聞きします。岩倉自治連のみなさんが提出された出張所の存続を求める請願が5月議会で採択されました。この請願では、区役所の移転にともない出張所の閉鎖が示唆されていることを指摘した上で、2万6千人の人口を抱える岩倉出張所の存続と、誰でも使える会議場の設置を求めています。議会の意思としてこの請願を全会一致で採択したのですから、市長はその意思を十分に受け止める必要があります。住民の願いに応えて、岩倉出張所を存続させるべきと考えますがいかがですか。

 私は、かねてから左京区のまちづくりに関して、区役所機能は住民の身近なところにあるほうがよいということで、1カ所に統合するのではなく、分散化し、支所を増やす、あるいは出張所の機能の拡充を求めてきました。その観点から、岩倉出張所については存続させるだけでなく機能の充実こそ求められていると考えますし、吉田の現区役所の跡地についても、区役所機能を残すなど、身近な行政機関として活用するべきと考えます。住民のみなさんの願いに沿った対応をされるよう強く要望しておきます。

(星川副市長)左京区役所や交通局など庁内各局が連携し、総合的に検討を進めている。バス路線については、市バス、京都バスとも協議し、できるだけ早期に考え方を示し、少しでも利便性が高まるように努力していく。

 岩倉出張所については、先の市会において採択された請願を念頭に置きつつ、人口規模や地理的条件をふまえた市民サービスの確保の在り方などについて検討を行っていく。

 次に、区役所移転にともなう、北泉通りの拡幅と高野川への橋の建設の問題についてお聞きします。周辺住民のみなさんは、昨年8月4日に、北泉通りの拡幅と橋の建設について突然説明を受け、大変驚きました。この計画は昭和2年、実に83年も前に決定されたものですが、近年になってここに転居されてきた方は市の担当職員に「あなたが生きているうちに道路ができることはない」と言われたそうであります。住民のみなさんからは、「すでに付近に橋はたくさんある」「景観を損なう」「巨額の税金を使う必要はない」ということで「橋の建設の中止を求める要望書」が提出されました。本市は、「区役所建設の際のワークショップで、交通アクセスの点から橋の要望が出された」と説明していますが、この付近にはすでに北山通りの松ヶ崎橋、馬橋、人道橋、北大路通りの高野橋とたくさんの橋があり、既存の道路を使うことで交通アクセスは十分確保できます。この橋をつくる場合、まだ、どれほどの予算額になるのか示されていませんが、最近架けかえた高野橋は約11億円かかったとのことですから、同様の予算規模になることが予想されます。それだけの巨額の予算を使って、しかも住民との合意もない橋の建設を強行すべきではありません。現在の道路を使えば交通のアクセスは十分可能ですし、また、本市は財政難を強調しているのですから、この際、この事業は中止すべきと考えますがいかがですか。お答えください。

以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

(建設局長)建設中の新左京区総合庁舎への高野川東側地区からのアクセス向上を図るものであり、平成21年度から実施している測量、地質調査、橋梁の予備設計等の街路基本調査の結果をふまえ、地元のみなさんへの説明、関係機関との協議を進め、早期の整備を目指す。