井上けんじ 議員
10年9月30日(木)
井上けんじ議員の代表質問 10年9月定例市会 本会議代表質問
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南区選出の井上けんじでございます。日本共産党市会議員団を代表して市長に質問します。
緊急雇用制度の拡充を
まず最初に、市民生活の実態から質問に入ります。私の元に寄せられる様々なご相談の中から、一例を紹介します。ある37歳の青年は建設業の下請けへの派遣労働で、仕事がある日は朝6時から夜7~8時頃まで、日給7~8千円ですが、仕事自体は月に10日前後しかありません。月収10万円前後で家賃32,000円、クーラーも風呂もありません。健康保険も無保険、国民年金保険料も未納です。毎月は何とかなるとしても、以前仕事がほとんどなかった時に会社から前借りした分が未だに尾を引いているとのことです。ある大手の全国新聞の普及員は、契約が取れれば一件5千円の収入になりますが、なければ一銭にもならず、しかし寮費65,000円は収入にかかわらず払わなければなりません。それが払えなくて、私がお会いした時は、岐阜県の寮を飛び出して京都へ出て来たとのことでした。
市の財政改革有識者会議の資料でも所得200万円未満の世帯が4分の1、働く人の半分近くが正社員でない等の数字が紹介されています。全国的に所得格差が過去最大と、厚生労働省も発表しています。
課題は沢山ありますが、中でも働くことは、現役世代にとって生活の糧を得る唯一の手段ですから、私は市民生活の安定の為に、まず雇用と労働について質問します。
大企業の研究機関の一つである富士通総研のHPでは、デフレの原因は賃金の下落にあり、その下落の原因は非正規労働者の増加だから、デフレ克服には賃金格差の縮小、最低賃金の引き上げが必要、などと述べられています。8月に発行された厚生労働省の労働経済白書でも、非正規が増え低所得階層が増加、内需停滞に繋がったと分析しています。安心して働き続けられる労働環境の改善、賃金収入の改善は個人消費の拡大に繋がり、商業振興や不況克服のためにも大きな効果を持つものです。また膨大な失業や不安定雇用の拡大は、正規で働く人たちの賃下げや労働条件の悪化にも繋がり、ひいては社会全体にも暗い影を落としています。従って失業の減少と不安定雇用の改善は、正規で働く市民の労働環境改善にも波及し、広く市民生活全体の底上げ効果を持つとともに、今日の社会の閉塞感の克服にも通じるものであります。
本市でも雇用対策担当部長ポストが設けられ緊急雇用をはじめ前向きの努力がされてきましたが、雇用は臨時の一時的なものがほとんどで、年末のワンストップ相談も一歩前進と思いますが、仕事の紹介というより、当面の生活支援それも貸付相談が中心でした。憲法27条では働く権利が謳われており、これは25条の生存権を裏付けるものとして、国や自治体が、その機会と場を提供しなければならないという意味を含んでいるというのが権威ある解釈であります。政府に対し、労働者派遣法や雇用保険法、労働基準法の改善を求めること、正規雇用拡大に向け企業への働きかけを強めること等とともに、緊急雇用について、政府に制度の拡充延長を求めるとともに、本市でももっと独自の分野や業種を開拓、拡大充実させ、発展させるべきことを求めます。また市役所で働く人たちの中で非正規の職員を増やすことは、社会全体の雇用のあり方にも悪影響を与え、また、公の力の低下にも繋がるもので、拡大すべきではありません。これらについてお答え下さい。
(市長)国の交付金で143事業、3800人を超える雇用創出を実施。今般、1千億円予算化されたが、平成23年末で終了する。財源確保や事業期間の延長、実施要件の緩和、新卒未就職者向け事業の一般施策化など、明日にも京都府と国に要望する。
(人材活性化政策監)非正規職員は新たな行政需要に対応するもの。任用にあたっては労働条件の整備につとめている。
特に高齢者の雇用と半失業勤労者の生活保障について更にお聞きします。一般に高齢者が増えると勤労人口何人で支えなければならないなどと高齢化社会危機論が強調されますが、これは、年齢で線を引く機械的な議論であって、65歳以上でも働いておられる市民は前回国政調査でも65歳以上人口の22%もおられます。もっと働く機会を増やし勤労人口を増やせば、何人で支える云々の割合は変化します。要介護認定の出現率も、約18%でずっと安定しています。高齢化だ、危機だと煽るよりも、雇用の機会を増やす方が前向きではありませんか。シルバー人材センターは生き甲斐対策が中心で生計維持が主な目的ではありません。国民年金は満額でも生活保護基準にも足りません。健康で文化的な生活を保障する為、政府に年金の改善を求めるとともに、仕事を求める高齢者には雇用機会を提供すべきです。そこで質問します。高齢者雇用安定法では高齢者雇用の拡大について、自治体にも、そのための努力や、就業の機会を提供する団体の育成を求めています。高齢者にももっと仕事の場を保障し提供すべきではありませんか。答弁を求めます。
一方、働く権利を保障すべき国や自治体の役割は、その保障が十分でないならば、直接、生活保障の手だてを講じなければならない義務と表裏一体です。生活保護にかかわって、就労指導の過度な強調や受給の期限を定めようとする動きがありますが、自立できるかどうかは、仕事が見つかるかどうかの結果であって、予め期限を設ける問題ではありません。働きたいのは本人です。むしろ目標を持つべきは、働く権利をどう保障するかという行政の側にこそあると言うべきです。しかも京都府の最低賃金はやっと生活保護基準と同じ水準ですから仕事が見つかっても自立に至らないケースも出てきます。働く権利と生活保障への権利とを総合的に保障していく観点と施策が必要だと思います。仕事探しを個人の責任だけに押しつけたり、生活保護に期限を設けたりする方針は改めるべきことを求めておきます。
(保健福祉局長)京都市シルバー人材センターをつうじて平成21年4月から派遣事業を開始した。
介護保険の抜本的改善を
次に、介護保険と高齢者福祉について質問します。
介護保険法では「10年経てば必要な措置を講じる」と書かれ、現在、政府において法改正への準備が進められています。利用料がかかるので利用はしていない、老健施設入所に10万円もかかっているが在宅でもとても無理。残るも地獄、退所も地獄だ、など被保険者や家族のみなさんの声とともに、本来の仕事以外の対応が多過ぎるなど、ケアマネージャーさんなどからの切実な声も少なくありません。現場の労働環境も悪すぎます。
政府も見直し作業を始めていますが、そのたたき台となっているのが、地域包括ケア研究会の報告や財界の提言です。これらには、軽度認定者を保険給付からはずす、利用料を2割に引き上げる、などが謳われており、こんな方向が採用されれば、保険あって介護なしという今の介護保険の矛盾がますますひどくなるばかりではありませんか。市長はどう思われますか。まず見解をお聞かせ下さい。
(市長)利用者の増加と費用が膨らんでおり、持続可能な制度としていく必要がある。国は、平成24年度の制度改正に向けて、11月に議論をまとめる。より利用しやすい制度となるよう国に要望する。
私はむしろ全く逆の方向から見直すべきだと考えます。必要に応じた基盤整備、ホテルコストなどの撤廃、介護職員の労働環境の改善、介護報酬の引き上げ等が必要だと思いますが、加えて、より一層根本的な改善の方向について、以下質問します。まず給付が増えれば保険料も上がるしくみを改め、利用料は応能負担とすべきだと思いますが如何ですか。また給付制限の役割を果たしている支給限度額を撤廃し、更に要介護認定の廃止または弾力化などケアマネージャーの裁量を拡大すべきだと思いますが如何でしょうか。加えて国の負担割合を増やすことも特に緊急の課題だと思います。これらについて、それぞれ市長の見解は如何でしょうか。お答え下さい。
本市でも昼間独居の生活援助や病院内での介護、福祉用具の取り上げなど給付を制限する方向が、政府言いなり或いはそれ以上に進められ、保険外の10割サービスも増えています。また入浴サービスの廃止や緊急通報システムの負担増など、介護保険以外の高齢者福祉の分野での制度施策の縮小もすすめられています。配食サービスの対象を絞る変更は、介護保険の給付制限の手法を保険外の施策にも押し広げようとするものですが、政府でさえ、同居家族の考え方については機械的にならないようにと言っています。給付や施策の制限・縮小をやめ、必要で十分な給付と施策を目指すべきであります。
また、特に高齢者福祉への本市の関与がすっかり薄くなってしまったことも大きな問題です。ケアマネさんからも、先日、転居を要する生活保護受給者の家探しや契約、引越手配などなぜみんな当方で、私の方でしなければならないのかとのご相談がありました。民生委員さんからも、熱中症の独居老人の入退院を応援したが守備範囲はどこまでなのかとの声もお聞きしました。見守りや安否確認、高齢者の所在不明問題など、役所はどうしているのかとの声も寄せられています。保健センターや福祉事務所、介護保険課と、あちこち行った末に地域包括支援センターに行くように言われたという話もありました。相談に来られた市民に対し、民間の事業者を紹介するだけでなく、まず話をじっくり聞くことから始めたら如何でしょうか。市長は、高齢者の福祉や介護の現状にもっと心を寄せるべきではありませんか。
民間や嘱託職員任せにせず、市の職員が認定調査にも取り組んだら如何でしょうか。困難ケースなどでは市が直接、関与することも必要ではないでしょうか。そういう仕組み作りと態勢の確立を求めます。これらについてお答え下さい。
(保健福祉局長)支援が難しい人への本市の関与は当然必要。民生児童委員や老人福祉員等と連携している。要介護認定調査は、福祉介護課に18名の嘱託職員を配置し、対応している。 直接関与が必要な人には責任を果たす。
市民の声に耳を傾け、水族館計画の中止を
次に、梅小路公園の再整備と水族館建設について質問します。
市長は、建設に反対する市民の声に耳を傾けず、水族館の設置許可をおろすとともに、同公園の七条入口広場に来客用駐車場をつくる計画を推し進めてきました。しかしこの駐車場計画については、地元住民や公園の利用者の皆さんから撤回を求める声が広がり、先月末、白紙撤回が明らかにされました。この経過は、地元住民、利用者などの声を無視した計画はゴリ押しできないことを改めて示したものであります。水族館そのものに反対する世論と運動もまた、立場の違いをこえて更に広がっています。京都弁護士会も「許可を凍結し、再検討すべき、あらためて市民意見を聞くべし」との意見書を出されています。本市主催の「『京都再発見』フォーラム」でも、米国出身の研究者であるアレックス・カーさんは、水族館計画について、「観光客は求めていない」と指摘しています。9月中旬には、水族館の建築確認に対する「審査請求」が地元住民から提出され、設置許可に対する異議の申立て、更にこれの門前払いを不服とする訴訟も準備されています。水族館建設に反対する市民の声はますます広がっています。七条入口広場の駐車場計画の撤回は、市民の声こそが主人公であることを示しました。それならば、水族館建設そのものについても、凍結・見直しを求める市民の声にもっと耳を傾け、中止するべきではありませんか。お答え下さい。
また、梅小路公園の周辺整備ということもいわれてきました。それなら、御前通り東海道本線ガードの歩行者・自転車用通路の拡幅改善方につき、強く要望しておきます。
更に、水族館をはじめ、京都駅周辺では大型店も出店ラッシュですが、近隣商店街への影響が心配されるとともに、車の一層の増加も危惧されます。関連して京都駅八条口駅前広場整備計画も策定中ですが、各関係業界などからのご意見には十分に耳を傾け、同意と納得を得ながらすすめられるよう、十分な話し合いを求めるものです。
(市長)七条入口広場の駐車場計画は、「歩くまち・京都」を実現する最適な施設となるよう見直した。「京都水族館の展示に関する諮問委員会」が設置された。その提言を生かし、環境共生型水族館としていくために全力を傾注する。
市営住宅の問題について
次に、住宅問題について質問します。今年の春、住宅マスタープランが策定されましたが、住生活基本法の制定や住宅建設予算の大幅減額など、政府の公営住宅建設からの撤退・市場任せの方針への批判的観点が全く欠落しています。そもそも住まいは人権との立場が曖昧です。世帯数よりも住宅数が多く、家は足りている、そこでその売買や賃貸を市場に委ねるとのことですが、これでは住宅政策の放棄ではありませんか。民間の空き家への誘導なら、家賃補助や、市の借り上げによる公営住宅化などを検討すべきですし、また市営住宅についても、例えば南区の南烏丸団地の平均倍率37倍をはじめ、他にも倍率の高い団地もあるなど、増設はまだまだ必要です。単身者の枠の拡大も必要です。市営住宅は足りていると国や市が言うのは、入居資格者の収入基準を引き下げて資格者の範囲を狭め、応募を閉め出しているからではありませんか。建てない・入れない・追い出す方式から、建てる・収入基準の引き上げ等への政策転換が必要です。この立場で政府に要求するとともに、市も独自に努力すべきです。
そこでお聞きします。市営住宅を必要に応じて増設すること、少なくとも空部屋については早急に改修して募集すること、またストック活用計画の立案が遅れているようですがメドは如何ですか。また南区の八条市営住宅の建て替え計画はどうなりましたでしょうか。
高齢者が7割を占め、私もエレベーターの設置や耐震補強等を求め続けてきましたが、2年前の委員会で建替えを検討とのご答弁があった後、動きがありません。経過を明らかにされるとともに、今後の方針は、団地住民が主人公との立場で立案されるよう強く求めるものであります。また、市内UR住宅のうち、耐震補強未改修のために新規募集停止となっている団地がありますが、区役所など市の施設と一体になっている建物もあり、早急に耐震補強工事の実施及び新規募集の再開をURに働きかけるべきだと考えます。これらについてお答え下さい。
(由木副市長)市営住宅の総戸数を増やすことは考えていない。空き家整備を進め、公募戸数の確保、適切な維持管理、長寿命化を行う。新たに「市営住宅ストック総合活用計画」の策定作業を進めている。八条市営住宅も、この計画の中で活用の方向性を示す。
URの賃貸住宅は、公的賃貸住宅としてセーフティーネットの一端を担っている。その役割を果たせるよう働きかける。
TVの地デジ移行は延期すべき
続いて、TVの地デジ移行の問題について質問します。来年7月からTVの電波がデジタルに変わるということで、チューナーを付けるだけでいいのか、アンテナの交換も必要なのか、電波障害の範囲が変わるのか、なぜ故障もしていないのにお金を出して買い換えなければならないのか等々、いろいろなご質問やご意見が寄せられています。総務省の今春の調査では、これは、その調査方法にも問題ありと言われているものでありますが、受信機の普及は府で79.2%、ビル陰対策は、少し前の調査とはいえ市内で21%にしか過ぎません。間もなく最近の準備状況のデータが発表されるとのことですが、大きく準備が遅れている原因は、国策でありながら情報が少なすぎること、国民市民任せになっていることです。個々のご家庭での疑問や質問に答えるとともに、特にビル陰対策が急がれます。建物に電波が遮られる虞のあるご家庭の場合、複数のビルがあればその建物の特定や、話し合いが必要ですし、またマンションなど、そのビルの所有者が複数の場合、その所有者同士の話し合いもまた必要です。国が一方的に電波を変えるのに、こういう話し合いや共聴施設設置の場合の費用負担など、ほとんど当事者同士に任せてしまっていることも大きな問題です。総務省の総合対策との文書では、わざわざ「例えば京都市では...短時間で多くの世帯の対応が必要な地域」と紹介しています。学者やジャーナリストの皆さんが7月に発表された提言でも「今のままではTV難民が数百万規模で発生するおそれがあり延期すべき」と指摘しています。
今のままではとうてい間に合わないと思いますが、市長の見解と認識は如何でしょうか。お答え下さい。元々、公共の電波でありながら国民の声も聞かずに進められてきた経過があり、だからこそこういう疑問が渦巻いている状況ですから、政府に対し、来年夏のアナログ停止は延期するよう求めるべきと考えますが、この点についてもお答え下さい。
(総合企画局長)市の建物は年内に、山間地域の共聴施設の整備は年度内に完了する。国は、7月に比叡山中継局の新設、1千回の説明会、1万7千件の高齢者宅訪問を実施した。全市民が地デジを受信できるよう要望する。
教育費の保護者負担の軽減、30人学級の実現を
最後に教育にかかわって、教材費などの負担軽減、30人学級、人権教育等について質問します。
今、格差の拡大と貧困化が大きな社会問題になっていますが、教育の分野でも、経済格差が教育格差となっています。人権としての教育が重大な危機に瀕しています。今年1月の市会委員会で教育長は「教育が十分に保障されない子どもたちがいる」と言われました。その現状認識には敬意を表しますが、ではどう保障していくのでしょうか。
何年か前の話しですが、ある母子家庭の子どもさんが高校受験を控え、私も頼まれて応援しようということになりました。お母さんも病気がちでした。九九もアルファベットも最後まで十分に言えません。勿論この子には責任はありません。何とか私学へ進学しましたが学費が続かずに中退、その後仕事を点々とし、今は体調不良で自宅療養されておられます。私との受験勉強中、その子が「分かるって嬉しいことやね」と言った言葉が私には忘れられません。同時に、お母さんが「小遣いもやれないし学校の費用もいろいろかかる」といわれていたこともまた忘れることが出来ません。
一方これは現在の話しで中一と小三の2人の子どもの母子家庭のお母さんですが、姉の部活の費用がかかる、合宿とか対外試合、ユニフォームそれも夏冬、勿論普段も二人にお金がかかる。辞書に楽器、コンパス絵の具、習字の道具に裁縫道具ドリル・テストに図工工作、預かり金に修学旅行、本当に大変です、というお話でした。
そこで私は、まず学校教育にかかわる教材費など諸経費の保護者負担の軽減を求めますが、如何でしょうか。本来、無償化は授業料と教科書だけに止まるものではありません。順次、目標と計画をもって軽減を図っていくべきです。また就学援助制度も、4年前、所得限度額が30万円程引き下げられ、結果として950人が対象外になりました。せめて以前の水準に引き上げ、対象を拡大すべきです。これらについてお答え下さい。
更に高校については、授業料無償化を朝鮮学校と私学にも広げることが次の課題だと思います。多文化共生と市長も言っておられます。子どもの学ぶ権利は万国共通です。また私学のある高校生は「泣く泣く学校を去っていく友だちに何と声をかけたらいいのか、今でもわからない、公立とどう違うのか、私たちは有権者ではないが主権者だ」と言って声を挙げています。ヨーロッパでは大学でも授業料無償化が常識といわれている時代に、せめて準義務教育化している高校については、公立と私学を区別する理由はありません。国連人権規約では、大学も含めて無償化をめざすべきだと謳われています。京都府や本市においても主に低所得世帯を対象とした入学支度金や奨学金制度など、それぞれ改善も図られており、当面、これらの一層の改善に向け、教育委員会と保健福祉局との連携強化による独自努力や、また京都府への更なる働きかけを求めますが、根本的には、公立高校と同じレベルでの無償化に向け、政府に対し強力に働きかけるべきだと思います。
加えて、すべての子どもたちへの、行き届いた、人権としての教育の充実のために少人数学級についても質問します。この夏に中央教育審議会の分科会が学級規模の引き下げを提案、その早急な具体化が求められています。世界の主要国が加盟する経済協力開発機構の調査でも、主要20数カ国の小中学校の一学級平均生徒数は22~23人で、日本の生徒数は2~3番目に多い、と発表されています。本市教育委員会でも小学校1・2年生や中学3年生で独自に頑張って頂いていますが、他の学年へも拡げるよう一層の努力を求めます。加えて、文科省の意見募集でも30人学級を求める声が8割も占めていますから、一般的に少人数学級という表現ではなく、具体的に30人学級という要求を掲げ、今すぐ政府に求めるべきだと思いますが如何ですか。私立高校の授業料無償化と30人学級について、それぞれ答弁を求めます。
以上のように、人権としての教育を更に押しすすめていくうえでの課題はまだまだ少なくありませんが、一方、教育委員会の「人権教育をすすめるにあたって」との方針は、子どもたちに人権としての教育をどう保障していくかというよりもむしろ教える内容について強調されています。特に違和感を感じるのは「同和問題にかかわる課題」と書かれている部分であります。「同和問題を児童生徒に理解させる」とのことですが、一体今の世の中で何をどう理解させるというのですか。「同和問題解決のための取組は、...本市人権行政の重要な課題のひとつ」とのことですが、そもそも市長の言われる人権行政とは、国民の人権を守るはずの国や自治体が全く登場せず、専ら市民対市民の問題に矮小化されています。本来市民の人権を守るべき市長が自分の役割を横に置いて、逆に市民を諭すという、逆立ちした関係になってしまっています。人権行政とは、市長が市民の人権をどう守るかという課題であります。一方、同和行政はすでに8年も前に終わっています。今日では最早行政や教育の課題ではありません。人権を教えるというなら、憲法を全体として教えるべきです。同和問題を理解させる云々の部分はキッパリ削除すべきです。答弁を求めます。
以上、市民の働く権利や生存権、居住権、教育権などを守るために、それぞれ積極的なご答弁を期待し、質問を終わります。
(教育長)就学援助は、17年度以降も予算を増額し、13億4千万円を確保した。小学生の長期宿泊体験学習、中学生の学習確認プログラム等も加えている。
所得基準額は生活保護基準引き下げに準じた就学援助の引き下げをせず、5年間据え置いている。新たな措置は困難。
私立高校の授業料は、府の独自制度により授業料無償化が図られている。国に公立なみの無償化を要求していく。
文科省は、学級編制基準を8ヵ年計画で引き下げる予算要求をしており、実現を要望していく。
「人権教育をすすめるにあたって」は、人権教育の指針として、外国人や障害のある人に係わる課題とともに、同和問題を人権問題の一つとして位置づけている。子どもたちの発達段階に応じた人権教育の取り組みを進め、「人権文化」の息づく社会の構築を目指す。