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市会報告

宮田えりこ 議員

10年9月29日(水)

市立急病診療所を廃止する条例に対する反対討論 10年9月定例市会 本会議討論

 日本共産党市会議員団は、議題101号 急病診療所条例の廃止について反対の態度を表明していますので代表してその理由を述べます。
 今回提案された「急病診療所条例の廃止」は、山科区など市内3ヶ所の京都市立の急病診療所を5ヵ月後、来年の3月1日で「すべて廃止」し、今後は、「京都府医師会が運営する二条駅前の診療所に業務を委託」するというものです。
 反対の第1の理由は、区民・利用者に充分な説明もないままでは、不安が増すばかりだからです。 
 特に山科区では小児科の廃止に不安が広がっています。京都市は「移転先である京都府医師会館は、地下鉄、JRの結節点にあるため、現在より交通の利便性が向上する」「現在3ヵ所に分散している診療所を1ヵ所に集約することで複数の診療科目(小児科、眼科、耳鼻咽喉科、内科)の受診が可能となり市民の利便性が向上する」としていますが、とんでもありません。病気の子どもを連れて行けというのでしょうか。夜中はどうするのでしようか。鉄道駅まで遠いのが地域の実情です。

 山科の社会保障推進協議会の皆さんによるアンケートにはリアルな声が寄せられています。「ゴールデンウィーク初日に子どもがヨウレン菌にかかったことがあった。休み明けまでお医者さんに診てもらわなければ大変なことになっていたと思う」「休日でも症状の軽いうちに受診しておけば重症化せず、週明けには登校でき親も仕事を休まなくていい。仕事との両立にとっても大変必要」というものでした。
 子どもにとって症状が軽くても安心して受診できる診療所は、子育て中の保護者の拠り所なのです。
 第2の理由は廃止は市民ニーズに逆行し、公的責任を後退させるものだからです。京都市立急病診療所は、1979年から30年以上も、休日における急病患者に対して初期診療体制の確保と診察サービスを提供してきました。受診者は年々増え、昨年は、新型インフルエンザの大流行により内科・小児科あわせて例年にない5,705人という多くの方々が受診。特に、山科区にある東診療所での小児科受診者数は前年度より300人多い1,934人でした。東部、西部地域での公的責任を放棄・後退させることになるのは明らかです。

 第3の問題点は、地域の医療環境に対応した京都市の施策が示されていない点です。子どもの病気は待ったなし、救急医療体制の充実が子どもの命を救います。答弁でも「小児救急の必要性には全く同感」との認識は示されました。しかし、「既存医療機関で対応可能」「東部の小児救急体制については悪化しないだろう」との言葉を繰り返すだけで、その根拠は何も示されませんでした。今回、小児科の診察時間を深夜帯(24時~8時)にも拡大し、現在、2次救急病院に集中している症状の軽い患者の受診を減らすことは必要な対応です。しかし、東や西の診療所では、逆に、既存の病院に軽度の患者をさらに集中させることになります。先に紹介したアンケートでも、「救急病院は待ち時間がとても長く子どもがかわいそう」との声が聞かれました。東部のある病院(武田HP)では小児救急の将来見通しについていまでも、「現在の24時間365日の小児救急医療体制を維持するのが困難になってきている」こと、「将来的には地域の先生方に更なる時間外診療応援をお願いせざるを得ななくなるのでは」としています。

 右京区にある内科西診療所では、「ものすごい数の人が新型インフルエンザで受診。とにかく忙しく体制を増やして対応せねば厳しい状況であるのに、そんな診療所が無くなればどうなるのか」と西京で開業する医師から出ています。

 地域の医療提供体制を支えるべき京都市が真っ先にその拠点を廃止するなど自治体の役割を放棄するものに他なりません。廃止ではなく拡充こそが求められていることを申し上げ、反対討論と致します。