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市会報告

とがし豊 議員

10年9月15日(水)

地球温暖化対策条例改正案についての質問 10年9月定例市会 本会議討論

 日本共産党市会議員団は、繰り返し地球温暖化対策の強化を求めてきました。今回の条例案は、京都府と共同条例化をするとされています。共同条例化は単に温室効果ガス削減報告書などの書式が同一になるなどの事務的なメリットにとどまらず、京都市域の人間活動と密接にかかわる京都府域全体と連携して温室効果ガス削減に取り組むことができる条件を切り開くものです。今回の条例案の中には、市民団体の皆さんや私達が繰り返し求めてきた意見が多数盛り込まれておりますが、温暖化対策を実効あるものにしていく上で、よりよい条例とするために質問を行います。

 まず、市長の地球温暖化の現状に対する認識であります。文部科学省・気象庁・環境省が発行した「日本の気候変動とその影響」というレポートがあります。将来予想される気候変動の分析によれば、日本の平均気温の上昇が、世界の平均気温の上昇予測を上回っているとしています。また、気温上昇に伴い、冬日の減少ならびに真夏日、猛暑日及び熱帯夜の増加が予測されています。世界的には地球温暖化対策の強化で2度未満の気温上昇に抑える必要が指摘されていますが、日本の場合、2度上昇したらどうなるのか。洪水氾濫面積の拡大で1年あたり4兆9千億円の被害が拡大し、高潮浸水人口および浸水面積の増加で、3兆5千億円の被害となり、熱ストレスによる死亡リスクは平均で2.2倍に増加するというのが政府の研究結果です。3.2度の上昇の場合には、洪水・土砂災害・高潮・熱ストレスによる死亡リスクなどの被害想定額は17兆円になるとのことです。その点では、日本政府は他国の事情をあれこれいいわけにして手をこまねいている場合ではなく、率先して温暖化対策に取り組むべきです。地球温暖化対策の取り組みは待ったなしの課題です。

 今回の条例案では、第三条において温室効果ガス削減の目標を90年比で、2020年までに25%削減、2030年までに40%削減が明記され、前文では、温室効果ガス(1990年比)80%以上削減という低炭素社会を目指すことが明記されました。この目標設定の前提は、地球温暖化による深刻な被害を回避するため、世界の平均気温の上昇を2度以内にとどめるという科学的知見を認識してのものと考えますが、市長の認識はいかがですか。

 第5条では、京都市内にエネルギーを供給している事業者、すなわち電力会社・ガス会社に対して、情報提供の責務と市民・事業者・環境保全団体などと連携して温暖化防止に寄与する積極的な取り組みを求めています。京都市で排出される温室効果ガスの半分は電力に由来しており、エネルギー供給事業者を本条例に位置づけたことは非常に大事です。市内への電力供給の大半を担う関西電力は、舞鶴に1基だけで430万トンもの温室効果ガスを排出する石炭火力発電所を有しており、8月31日から2基目の営業運転が開始されました。つまり、舞鶴石炭火力発電所だけで京都市域全体から排出される温室効果ガスを上回る大量の温室効果ガスを大気中に排出していることになるのです。同じ火力発電でも、天然ガスへの転換や、森林資源などのバイオマスの活用など、温室効果ガス削減の方策はいくらでもあります。発電の際の温室効果ガス削減が進めば、省エネなどの温暖化対策に真剣に取り組む市内事業者やご家庭の皆さんのご苦労も報われるのですから、京都府との共同条例化の条件を生かした大胆な条例運用を行うべきです。

 条例案第5条では、エネルギー供給事業者に対しても、「事業活動に関し、地球温暖化の防止のために必要な措置を講じる」責務があるとしていますが、その事業活動における温室効果ガスの直接排出量の削減を強く求めるべきと考えますが、いかがですか。

 また、その際、大量の放射性廃棄物によって新たな環境問題を引き起こす原子力発電所に依存するのではなく、再生可能エネルギーの割合を大幅に引き上げるようにもとめるべきと考えますが、いかがですか。

 第10条の一番はじめに再生可能エネルギーの利用促進が書かれていますが、条例提案で示された目標に見合った規模での利用促進の計画をたてて取り組むべきです。

 日本共産党市議団は、温室効果ガス削減計画書・報告書制度の実効性を確保するために、増加計画になっている事業所なども含め指導と援助を強めるように一貫して求めてきました。そのもとで、条例上の規定がないもとでも京都市職員が直接企業に対して情報提供や助言を行うなど、運用上の改善で対応してきました。今回の条例提案では、第33条で特定事業所に対する京都市による「指導および助言」が明確に規定され、第58条では「報告または資料の提出」をもとめる権限も明記し、第59条では「立ち入り調査」が規定されました。虚偽報告や第58条による情報提供に応じない場合などには、勧告・公表などの措置を規定し、より条例の実効性を確保しています。

 京都市の特定事業者に対する「指導および助言」などの措置は、京都市自身の率先した取り組みなしには説得力を欠くものになります。以前、私は京都市長が市長自身に提出した温室効果ガス削減計画書が増加計画になっているという問題点を指摘し、京都市役所自らが率先行動すべきという点をただしましたが、この点で、本条例案の目標に見合った京都市役所自らの目標設定とその実行への決意をお聞かせください。

 第10条(1項10号)には、温室効果ガス削減のための地域内排出量取引の促進について規定されています。この地域内排出量取引を本当に温室効果ガス削減により効果的な仕組みにしていくためには、それぞれの企業に一定の温室効果ガス排出の上限を決める必要があります。その実効性を担保するためにも、業界団体あるいは企業と温室効果ガス削減協定を締結するなどすることを提案しますが、いかがですか。

 最後に、「京都議定書が採択された都市として先導的な役割を果たす」とした前文に恥じない、地球温暖化対策の抜本的強化を求め、質問を終わります。