ひぐち英明 議員
10年5月28日(金)
「普天間基地の即時無条件撤去を求める意見書」の提案説明 10年5月定例市会 閉会本会議討論
鳩山首相は、普天間基地問題について、25日の衆議院本会議で、「国内、日米間で協議を重ねた結果、沖縄県内に、具体的には辺野古周辺にお願いをせざるを得ないという結論に至った」と明言しました。政府は、この内容で、今日にも、日米の合意文書を発表するとしています。これは、沖縄県民と国民に対する最悪の裏切り行為にほかなりません。
沖縄県民は、4月25日、9万人を超す県民が参加した「島ぐるみ」の集会を開き、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設反対の意思を国内外に表明しました。この大会には、自民党から共産党まで党派を超えての参加があり、さらに、県知事と県内41の市町村長がすべて参加しました。その後、鳩山首相が沖縄入りし、県知事らに普天間基地の県内移設を要請しましたが、このことは、県民の怒りの火に油を注ぐことになっただけであります。
沖縄での米軍犯罪は、復帰後だけでも5,500件を超え、その一割が凶悪犯罪です。米軍機の耐え難い爆音、墜落、演習の火災が後を絶ちません。世界で見ても、こんな異常な外国軍の基地はありません。この普天間基地のフェンス越しに普天間第二小学校がありますが、アメリカの連邦航空法では利用禁止区域内となります。つまり、アメリカ国内では基地などつくれない場所であるのに、それが沖縄ではなぜ許されるのでしょうか。この小学校の子どもたちの避難訓練が毎年米軍機の墜落を想定して行われています。訓練のねらいは、身近にある飛行場から離着陸を繰り返す飛行機によって常に墜落の危険にさらされていることを知り、的確に避難を行えるようにするというものです。普天間基地の周りには、ほかにも学校や病院や住宅が建ち並んでいます。アメリカでも、存在が許されない危険な基地が、これ以上、国民を苦しめ続けること断じて許されません。
もともと鳩山首相の選挙公約は、普天間基地を「国外、最低でも県外」に移し、県民の負担を軽減することでした。しかし、鳩山政権が今取っている態度は、アメリカに言われるままに、沖縄に県内移設を要請し、しかも自公政権が提案していたものと同じ方式での辺野古への新基地建設を持ち出したことは、明らかな公約違反です。県民の意思が固く、県内移設の同意が取り付けられそうにないからといって、アメリカとの合意を優先し、その合意を盾に県民の意思をおさえつけようなどということは絶対に通用しません。これは、国民・県民よりもアメリカの意向を優先させるものにほかなりません。
わが党の志位和夫委員長は、4月21日に駐日米大使と、5月7日にはアメリカ・ワシントンで国務省日本部長と懇談し、「普天間の基地は日本のどこにも受け入れる場所はない。無条件撤去しかない」ということを伝えました。ところが、鳩山首相はアメリカにものを言うのではなく、沖縄に行き、アメリカ政府の言い分を代弁したのですから、「いったい鳩山政権はどこの国の国民を代表する政府か」との批判の声が沸き起こるのは当然です。
こうした混迷を深める最大の原因は、鳩山首相が「抑止力」論の呪縛にとらわれていることにあります。沖縄の米海兵隊は中東であれアフリカであれアメリカが戦争するときには真っ先に駆けつけてたたかう「侵略力、戦争力」そのものであり、沖縄や日本を守るために存在するわけではありません。このことは、沖縄の新聞・沖縄タイムスも、5月24日の社説で、「抑止力」で「沖縄の過重負担を正当化するには無理がある」として、沖縄の海兵隊がアフガン・イラク派兵などで不在が多く、残る部隊もアジアに遠征していることを指摘し、「鳩山首相が『学べば学ぶほど』と語った抑止力はいったいなんだったのか。海兵隊を知るほどに県外・国外移転の可能性が見えてくるはずだ」と書いています。このほかにも、さまざまな新聞が海兵隊の「抑止力」論を批判しています。
政府は、「抑止力」という名のもとに、米軍基地の被害を押し付けることはもうやめて、沖縄県民、国民の意思として、普天間基地の無条件撤去をアメリカに対して堂々と求めるべきであることを述べて、提案説明とします。