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市会報告

倉林明子 議員

10年5月28日(金)

国民健康保険事業特別会計補正予算に対する賛成討論 10年5月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党市会議員団を代表して、議第63号国民健康保険事業特別会計補正予算に対する討論を行います。平成21年度の不足額を繰上げ充用する補正などは必要なものであり賛成します。しかし、国民健康保険加入者の実態は極めて深刻な状況にあり、国民健康保険が市民の命の砦としての役割を発揮されることがかつてなく求められています。以下、事業の運営にあたって改善を求める意見を述べます。

 第一に、高すぎる国民健康保険料は加入者の負担能力を超えており、直ちに保険料引き下げを行う必要があるということです。星川副市長は「所得に対してかなり高額で、被保険者の負担は限界に達しつつあると認識している。」と答弁しましたが、実態は加入者の限界を超えています。低所得世帯が年々増加し、所得割が賦課できない世帯が加入者のほぼ半分を占めるに至っています。こうした世帯は年収で65万円未満、生活保護基準を下回る水準です。平均でも80万円足らずの所得にとどまっており、加入者の多くが生活維持費の確保さえ厳しい実態に置かれているのです。今年の値上げは、京都市が市民の貧困をさらに拡大していると言わざるを得ません。

 第二に、徴収率があがらないのは、保険料が高いことに最大の原因があり、京都市が徴収率向上対策本部で示した「滞納処分は徴収率向上に絶大な効果を有する」という考え方は間違っています。

 この対策本部に集約された昨年度の滞納世帯の財産調査は3月時点で78000件とすさまじい数です。職員を財産調査に追い立て、きめ細やかな対応などできない状況に追い込んでいるのではありませんか。「取れる保険料は確実に確保し」「短期間で確実に効果が期待できることを担保」するとして、差し押さえを推進していますが、職員を取り立て屋にしてはなりません。

 「そもそも財産がないという滞納者も多くいる」と対策本部会議で職員が発言している通り、払えないからやむなく滞納しているのです。生活維持費まで差し押さえる滞納処分は直ちにやめ、生活困窮者に対しては処分の停止を行い、条例減免や一部負担金減免制度も十分に活用して、市民が安心して医療を受けられるよう必要な支援を行うことこそ求められています。生活維持費を下回る年金まで差し押さえをしている事案も発生している事実を踏まえ、法令に違反している事例がないのか自ら調査し、明らかにすべきです。

 第三に、京都市の財政状況を理由にした国保料の値上げは既に破たんしているということです。値上げによる国保料の収入増を見込んでも、加入者の所得が減少しているため国保料収入総額は減るばかりです。国保会計が赤字になっているのは市民が保険料を滞納しているからではありません。国が国保収入に占める国庫支出金の割合を58%から現在は25%まで減らしていることが最大の原因です。政府が財政責任を果たすことが一番に求められていることは言うまでもありません。

 民主党政権は国保の広域化を目指すと言いますが、後期高齢者医療制度と同様の仕組みを国保にも持ち込むと言うだけで、これでは加入者の負担は軽くなりません。広域連合になれば、京都市は徴収業務を担うものの、窓口に市民が相談にいっても独自に救済できる手立てを持てなくなります。国民健康保険法は法第一条で「社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と明記しており、この目的を達成する責任は政府にあります。副市長は「政府の財政措置を強く求める」と答弁しましたが、その通りです。日本共産党市会議員団は一致点で、京都市とも共同して全力を挙げることを表明して賛成討論を終わります。