宮田えりこ 議員
10年3月19日(金)
「幼児教育の無償化と保育サービスの充実を求める意見書」に対する反対討論 10年2月定例市会 閉会本会議討論
乳幼児期の1年1年は、発達・人格形成の土台をつくる貴重な期間であり、すべての子ども達へゆたかな保育・教育環境を整えることが必要です。しかし日本の乳幼児教育の予算はOECD諸国平均の半分しかなく、質も量も貧弱で、改善が求められてきました。意見書で述べられている「幼児教育無償化」や「保育の質の確保」「保育所の拡充」「仕事と子育ての両立ができる社会の実現」を『国の責任の下、取組むこと』としていることについては、日本共産党としても求めてきたことであり賛成できます。
問題は待機児解消についてであります。ここでは「国の責任の下で」とはせず、本来必要な「認可保育所をきちんと増やす」事を求めていません。「待機児解消に努める自治体の創意工夫を最大限活かせるよう支援のあり方を検討すること」を求めており、これは国の保育改革に呼応する危険な表現となっています。
今、国は「子ども子育てビジョン」を決定し、国・地方の「役割分担の検討」として子育て施策を地方負担でやらせる方向をにじませています。保育サービスの「量」の拡大として大きくは、民間企業の参入、園と保護者の「直接契約制」の導入を進めるもので、待機児解消はというと「入所定員の枠だけの拡大」であり、広さの変わらない空間に、より多くの子ども達を生活させ、詰め込むことで対応するものです。他にも給食の外部調理の容認、高層ビルなど園庭がなくてもよい、避難・耐火基準撤廃などの「規制緩和」を進める方向であり、これでは子どもの発達・成長のみならず、安全と命までもが脅かされますし、国は、お金をかけず「保育所に入れさえすれば良い」環境を「規制緩和」でつくろうとしています。
つまり、今回の意見書は、待機児解消に努める地方自治体で、その自治体が創意工夫しやすいようにということを口実にして、子ども達の安全や成長に必要であるべき最低限度の基準、充実こそ必要なこの基準の「緩和」を求めるものになっています。そんな方向で国への支援を求める内容は、認められません。
本来、子ども達にとって取り帰せない一度きりの取り返せない貴重な発達の時期、人格形成の土台をつくる乳幼児期の、この1年1年について、予算を抜本的に増額し、認可保育所をきちんと増やし保育士にとっても子どもにとっても、ゆたかな環境を保障することを「国の責任の下で取り組む」よう求めるべきであります。
以上、党議員団を代表しての反対討論といたします。ありがとうございました。