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市会報告

西村よしみ 議員

10年3月19日(金)

2010年度一般会計予算案等に対する反対討論 10年2月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党市会議員団は、議題1号平成22年度一般会計予算案、同じく国民健康保険事業特別会計予算案、後期高齢者医療特別会計予算案などについて、反対しておりますので、私は議員団を代表してその理由を述べ討論を行います。

 反対する第一の理由は、新年度の予算は、市民への負担を増やし、住民のくらしと福祉を守る自治体の役割を、大きく後退させるものであり、市民の願いに逆行している内容だからであります。

 市長は予算について、「市民のいのちと暮らし、安心安全を支え」「未来へのトライ予算だ」と説明されました。しかし質疑においてハッキリしたのは、市民は「命と暮らしに安心・安全」の実感を持てず、未来への希望も奪い去る予算となっていることであります。

 国民健康保険料は、すべての階層で値上げされ、新たに5億3千2百万円の負担増です。京都市国保の被加入者の構成は、所得基礎割ゼロの世帯が45、3%あり、所得が100万円以下の世帯を含めると70%以上を占めています。今回の値上げは、大半を占める低所得世帯いっそうの負担を強いるものです。国保料の納入率を見れば、5軒に1件が滞納し、資格証明書交付は4000世帯以上と深刻な事態です。

 滞納を理由にした生活費の差し押えについて、「徴収率を上げることが至上命題」との副市長の答弁は、市民のくらし・命を守ることを放棄するような発言であり、絶対に許せません。市民の命と健康を奪うような資格証明書交付は直ちにやめるべきです。

 市長は一昨年、12月の記者会見で「保育料は歯をくいしばっても3年間値上げしない」と言明しました。予算をそれを反古にして値上げ提案をしています。質疑では「国基準の変更で、市の政策的判断ではない」との答弁でした。本当に公約を守るのであれば、鳩山政権の福祉縮減に抗して、京都市が国基準に上乗せ措置するなどして、公約通りに保育料の値上げを撤回すべきです。

 民間保育園プール制の見直しに反対して、先日も市役所前で保育関係者の「怒りの座り込み」が行われました。新プール制によるシュミレーションを見た関係者から、「昇給をストップしないといけない」「ベテランの保育士の給与を抑えないといけない」など不安が広がっています。民間保育園プール制見直しは、これまで京都市の保育水準を一体となって支えてきた民間保育園の苦労を踏みにじるものであり、保育の後退をまねくものであり、許せません。

 ほかにも、動物園入園料、入湯税導入、産業技術研究所での手数料等値上げ、と畜場利用料値上げなど、厳しい市民生活、営業をかえりみないものです。

 反対する第二の理由は、「財政が大変で予算を組めない」と不安をあおり、福祉などを後退させながら、他方でムダな大規模公共事業はすすめていこうとしているからです。

 財源不足が300億円を超えた主要な要因は、何よりも国が地方交付税を大幅削減したことや市民税、法人市民税などが大きくダウンしていることにあります。

 国に対して財源確保を更に強めること、市民のくらし応援で担税力を高めることが今こそ必要なときはありません。

 「徹底したコスト意識でゼロベースから業務の見直しをおこなう」と述べられた市長の決意は、市民負担増にむけてではなく、無駄な事業にメスを入れる方向でこそ発揮されるべきです。

 高速道路建設については、未着工の「三路線」等の建設計画はそのままで、新年度は「斜久世橋区間」整備に50億円も予算化されました。環境という観点や巨額の税金の使い方という点で問題があり市民的に批判のある事業であり反対です。また、市内のクリーンセンターは今後、縮小する計画であるにもかかわらず、焼却灰溶融施設は、そのまま稼動しようと28億5千万円を計上しています。この施設の維持管理費については、今後さらに増加していくことも明らかになりました。こうした不要不急の事業にメスを入れるべきです。

 市長は、予算編成において「大規模公共事業を90億円削減し、生活関連施設の整備など増やした」と説明しました。しかし、これは、国の事業仕分けで補助金が縮減されたことで、結果的に公共工事予算の「削減」がされただけであります。さらに国に対しては増額を求めていくというのですから、「大型公共工事の削減」のかけ声とは全く矛盾しています。

 今こそ不要不急の大型公共工事推進の方針は転換し、福祉・教育・医療などの整備をさらにすすめるべきです。

 「財政再建」は必要な課題でありますが、その基本は、「市民生活」を守っていくことにあります。

 京都市財政改革有識者会議で副市長から、「小泉構造改革のときのような議論をして欲しい」と挨拶がありました。構造改革とは、「強いものを応援し、弱いものをくじく」もので、昨年国民が審判を下したやり方であります。

 市長は予算編成の考え方として、「京都未来まちづくりプランを着実に推進する」としましたが、このプランこそ「京都市版構造改革計画」であります。市民への負担増と自治体の役割を後退させるような「未来まちづくりプラン」は、撤回することを強く求めます。

 第三に問題なのは、市政運営について、多くの市民の声には耳を傾けず、「トップダウン」ですすめていることです。

 梅小路公園の水族館計画についても反対の声が多いにもかかわらず工事を進めようとしています。市長は「行政は市民のみなさんの意見を聞きながら決断する時は決断しなければ前に進まない」「京都の未来はない」とまで答えています。京都の未来は、市長の決断だけで決めるものではありません。市民の意見こそ尊重されるべきではありませんか。

 市民合意を得ないままの水族館建設計画は白紙にもどすべきです。

 市内の保健所の再編が突然提案されました。医療関係者や市民の意見を十分聞くことなく提案からわずか2か月で実施しようとしています。関係者への説明責任について問うと、「主な団体には議案発送後説明」していると答弁がありました。またこの問題で市民から意見を聞くよう求めましたが、「今は必要ない」と驚くべき答弁でありました。いずれも「何を言おうと結論先にありき」の強行姿勢で、市民不在といわなければなりません。その上、行政区の保健所の公害対策窓口までも撤退するとんでもない組織再編となっています。保健所の再編は、保健衛生行政の後退であり認められません。

 第四は、中小企業をさえる取り組みの願いに充分に応えていないことであります。

 市内の99%を占める中小業者は、仕事そのものをどう確保するのかが緊急の課題です。そのため、地方自治体では官公需への発注の機会を確保し広げていくことが全国的に取り組まれています。しかし2月開札の学校の校長室・職員室用のデジタルテレビ等の入札は、群馬県に本社を置く大手ヤマダ電機が全行政区の全てで落札しました。その後も入札はありましたが、地元業者の落札は一部にとどまっています。

 売上が落ち込む中小業者の強い要望の固定費補助については、事業者が負担すべきものと冷たく拒否をしています。しかし、固定資産税を免除する企業立地促進助成制度や、ベンチャー支援として家賃補助などを、本市はすでに固定費補助の仕組みを持っています。こうした仕組みをさらに広げて、危機に落ち込む中小業者を支援すべきです。

 制度融資枠の拡大や緊急保証制度の対象拡大については、中小業者の融資需要に応えるものであります。京都市として、中小業者への金融施策を着実に実施されることを求めます。

 第五は、職員不祥事への対応です。

 今回の都市計画局職員の収賄容疑の逮捕は、予算を審議する前提の深刻な問題です。市長は「不祥事は1年で根絶する」と公言していましたが、市長就任後も逮捕者は5人でとても根絶されたとは言えません。しかも公益通報があったにもかかわらず、結果的に機能しなかったのです。質疑では、「公務内非行は組織的チェックで防ぎようがあり、チェック機能は有効に機能しているが、充分に浸透していなかった」と応えました。なぜ「浸透」できないのか、危機感の希薄さの現れであります。

 市長自ら市民の信頼回復へ全力を挙げて不祥事根絶に取り組むべきです。

 以上をもって、私の予算案に対する反対討論とします。