さとう和夫 議員
10年2月23日(火)
さとう和夫議員の代表質問と答弁大要 10年2月定例市会 本会議代表質問
市立病院の独立行政法人化は撤回せよ
第1に、市立病院の独立行政法人化について質問します。
これまで、京都市立病院は、昨年の新型インフルエンザが流行した折には、いち早く発熱外来を設置し市内感染症対策の要の役割を発揮し、市民の信頼に応えました。自治体病院に求められる感染症医療などの政策医療は、採算のとりにくい部門であり、民間が引き受けきれません。そこで市立病院には公共性を発揮し「地域医療」を守る役割が求められています。しかし、新型インフルエンザなどの感染症対策もあり、経営的には他の外来患者が減少するなど二律背反することもあります。
これが非公務員型の地方独立行政法人となれば、国の「公立病院改革ガイドライン」に示された経営効率化計画として、財務に係わる数値目標などをかかげた中期目標が計画として策定され、病院機構評価委員会によって中期計画の実績評価を受け、あれこれの勧告などを受けることとなりますが、全体の病床利用率をあげるとか、平均在院日数の目標値の縛りなどをあらかじめかけることは、本来、政策医療などにはなじまないのではないでしょうか。
2006年に独法化された大阪府立の5つの病院の先行例を見ると、患者さんにとっては、非紹介患者の初診料が1.5倍になったり、分娩料が約1.6倍になったり、セカンドオピニオン料が約2倍になったり、極めつけは駐車料金が完全有料化されるなど市民負担増が押しつけられています。ましてや、本市は独法化とあわせて病院の建て替えと管理運営をPFI事業でやるとしていますので、費用対効果評価で医療周辺業務にはいっそう経済効率の論理が押しつけられる仕掛けになっています。抗ガン剤投与を受けて食欲が減りがちな患者さんにはきめ細かな特別食の調理が必要ですが、外部委託がさらにすすめば、患者サービスは後退しかねません。
また、病院で働いている職員にとっては、業務実績を理由に医療事務や給食業務など間接部門の人員削減や非常勤・外部委託化がすすめられ、医師以外の医療職の大幅賃下げが打ち出されています。その結果、看護職の離職に歯止めがかからず、収益の上がらない診療科の医師の退職が相次ぎ専門医療ができなくなるところも出てきています。身分や給与など雇用形態の違いによる「チーム医療」の乱れも懸念され、ヒヤリハットのリスクを高めていると指摘されています。
さらに、運営交付金についても、削減されない担保はなく、3年ないし5年の中期目標期間の終了時に「業務のあり方」や「組織のあり方」を検討し、所要の措置を講じるとされています。つまり、独法化されれば、設立団体の議を経る手続きはあるものの、当初から解散を想定する規定を盛り込み「所要の措置」としているのは重大です。公営企業法の適用を受けて直営だった自治体病院を市から切り離し、国の「公立病院改革ガイドライン」の大枠に縛られた中期計画の評価次第では病院事業からも撤退することを明確に位置づけるというのが最大の狙いではありませんか。2007年12月の総務省による「公立病院改革ガイドライン」は、「官から民へ」「民のできるものは民へ」の号令で、3年後までに4つの類型に移行する計画の策定を義務づけました。あれこれの過渡的な形態はあるにせよ、最終的には民間移譲を視野に入れさせるというものです。まるでゴールは郵政民営化の時の「かんぽの宿」のように、民間においしいところの売却をせまるのと同じようなものです。
新たな感染症や災害時の対応を含め政策医療を後退させない担保はどこにあるのですか。また市立病院が自治体病院であり続けることを求める署名は2万5,000筆、京北病院の市立での存続を求める署名は2,500筆を超えていますが、この市民の声を市長はどう受け止めていますか。独立行政法人化は撤回し、市立病院のまま存続させるべきですが、いかがですか。
(市長)地方独立行政法人の定款案では政策医療の提供とその財源は市が担う事が義務づけられ、毎年の一般予算案として議会で審議し評価委員会での評価も公表する。いままでと変わらない。「患者切り捨て」「市の責任放棄、経営効率化優先」は根拠がない。自律的・弾力的病院経営に独法化は最適だ。
運賃値上げやリストラの「健全化計画」を見直し、利便性向上をはかれ
第2に、地下鉄・市バスの経営健全化計画について質問します
今市会に、「市バス及び地下鉄経営健全化計画」が提案されています。この計画は、3年前制定された地方財政健全化法に基づいて、赤字比率20%を超える事業に策定を義務づけられたものです。旧政権のもとでつくられた地方財政健全化法は、国の責任を放棄し、勝手な数値を設定して、破綻した構造改革路線を地方に押しつけるものでした。
そもそも、大都市のバス事業については国の補助制度はありません。地下鉄事業については建設費の実質2割程度しか補助はなく、運営費補助はありません。歴代の市長の発言にもありましたように、都市の根幹施設である地下鉄を一都市の財政で運営することは無理であり、本来、国の責任こそ求められています。
国の責任を投げ捨てて地方自治体に責任を押しつけ、運賃値上げなど住民負担をもたらす地方財政健全化法はきっぱり廃止することを国に求めるべきですが、いかがですか。
(市長)この健全化計画は収入増加、コスト削減策に加え国に認められた地下鉄健全化出資制度の拡充、市バス健全化により生み出した財源の活用等で一般会計から可能な限りの支援を図るもの。最善の経営健全化計画だ。
(財政担当局長)地方財政健全化法は健全な財政運営を行ううえで意義あると認識している。
市バス経営健全化計画では、市民の要望がある循環バスや交通不便地域の解消などに手をつけず、一般会計からの補助を削りながら2015年度までに資金不足比率を20%未満に引き下げるとし、地下鉄経営健全化計画では、2018年度までに乗客5万人の増加を目指しながら、5年以内に5%の運賃値上げを強行するというのですから、果たしてこれで健全化が達成できるのでしょうか。来年度の運賃値上げを見送るのは、今日の社会経済状況や市民生活の現状から見ても当然ですが、地下鉄事業会計に繰り入れる起債の延長が国に認められたことによります。だだし、資金不足比率を引き下げるために市バス事業に繰り入れていた補助金を地下鉄事業に振り替えるやり方は、個別外部監査の報告でも恣意的な操作になるのではないかと指摘されています。市バス事業の生活支援路線補助金は市内周辺部の路線の利便性向上と潜在的な交通需要を掘り起こすために回すべきです。
昨年3月、交通局は「乗っておくれやす!市バス・地下鉄増客計画」を策定し、利便性の向上や「歩くまち・京都」総合交通戦略との連携など積極的に市民や利用者の期待に応えようとしているのですから、この方向にこそ、交通事業の未来があります。
改めて、値上げやリストラ中心の経営健全化計画は抜本的に見直し、市バスについては市民・利用者の声を真剣に聞くこと、コミュニティ・バスなどを実現すること、走行環境を思い切って改善すること、地下鉄については地下鉄駅の転落防止柵を設置することなどをおこなうと、そして国に補助制度の抜本的な改善を求めること、こうしてこそ、交通事業を再建する道となりますが、いかがですか。
(市長)この計画で5年毎5%の運賃改定を1回に抑え得て、将来の安定的運営の道筋ができる。計画達成めざす。国に安全対策、施設の更新や改良への補助制度の拡充を要望していく。
(財政担当局長)経営健全化計画は全庁をあげて着実に進める。
次に、地下鉄と近鉄が相互乗り入れ区間の近鉄向島駅から竹田駅までの区間で、現在、敬老乗車証が使えません。敬老乗車証が有料化され、特に向島地域など伏見区では敬老乗車証の受給率は市内平均の52%に対し、40%を割っています。原因は使い勝手が改善されていないからです。行政サービスの格差解消こそが急がれます。
地下鉄の乗客増対策からも、近鉄向島駅から竹田駅までの区間で敬老乗車証が使えるようにすべきですが,いかがですか。
(保健福祉局長)敬老乗車証は民営鉄道を対象としておらず、多額の費用を要するので困難。
就学援助の拡大と教育を受ける権利の保障を
第3に、教育及び子育て分野における「子どもの貧困」対策について質問します。
一昨年のリーマンショック以後の未曾有の経済不況で,親の経済状態によって子どもの教育を受ける権利がゆらいでいます。就学援助制度についていえば、小学校の認定率は03年16.8%から09年28.2%になり、中学校の認定率は18.2%から31.1%にまで増加しています。まさに、国の構造改革路線のもと、この6年間で約1.7倍にもなるなど子どもの貧困化がすすんでいます。また、学校の給食費の滞納は、2008年度の統計では、50校程度あり、金額ベースでは278万円もあります。就学援助制度がありながら、なぜ給食費の滞納が発生するのか。かなりの数の家庭が,現在の就学援助制度の認定要件では救いきれないか、又は就学援助の申請をためらわせる要因が働いているのではないでしょうか。
子どもの貧困率14.2%といわれているだけに、改めて就学援助の所得要件の緩和および水準の引き上げと区役所窓口でも就学援助の申請ができるようにすべきですが、いかがですか。
(教育長)所得基準は、生活保護基準や消費者物価指数に準じる引き下げは行わず、実質的に緩和されている。これ以上の新たな措置は無理。申請はいつでも学校でできる。区役所の窓口は考えていない。
私が受けた相談でも、子どもが小中学校時代に不登校問題で苦しんでいる経済的に困難な家庭が多くあります。生活保護を受けている母と娘の母子家庭から、「いじめなどがきっかけで不登校や引きこもり気味となり、このままでは生活保護の2世代化につながりかねない。なんとか友達のできる経済的に負担の軽い公立高校に進学させたい。子どもが元気に学校に通う姿が私の生き甲斐、パートのし甲斐。少しでも子供といる時間をつくりたい」という相談を受けました。「定時制も含めて高校に進学すれば、きっと友達もでき心休まる居場所も見つかるよ」とアドバイスしました。とくに、通信制普通高校にはない、多くの出会いが公立の定時制高校にはあります。ところが、この3年間、市内の定時制高校の2次試験不合格者数がでており、市教委の調査でも、2007年に42人、2008年に76人、2009年には58人となっています。
本市教育委員会は、「進路希望を学年当初にとると、全日制高校への進路を求めている子が大半であり、定時制の希望者はゼロに近い」とし、府立、市立の定時制高校の入学定員が2000年に1000人あったのを2009年度には440人まで減らしています。しかし、定時制希望者は、毎年増加しているのが現状で、高校の最後の進路保障の道である定時制高校の募集定員を増やして、希望者全員を入学させることが急がれるのではありませんか。通信制の学校の場合は、全員が学校に来ないことを前提に公募していますから、府立朱雀高校の通信制では、全員来たら教室に入れないといわれています。府立も市立も定時制高校は、器として入学できない状態ではないのですから、教育行政が高校に行きたいと願う子どもたちの進路を狭めてはなりません。このままでは、憲法15条の法の下での平等と26条の教育の機会均等に違反することになります。
勉強したいと意欲のある子どもを定時制高校の定員の枠で不合格にするのは、教育的ではありません。高校の授業料を実質無料化にするときに、定時制なら学び続けられるという子どもを定時制高校の定員枠ではじくことは、許せません。定時制の定員枠を広げるべきですが、いかがですか。
(教育長)定時制志願者は昨年約1割減。毎年増加している状況ではない。今年も定員の1/4の100人程度。全日制は10年間で1200名相当の定員拡大をした。定時制も前年と同じ440名を確保し努力している。
住宅確保要配慮者に対する行政責任を果たせ
第4に、人権としての住まいについて質問します。
本市では、「京都市住宅マスタープラン」を新たに策定する作業をすすめていますが、とくに問題なのは、住宅の供給を民間の住宅市場の機能にまかせ、住宅確保要配慮者に対する行政責任を放棄していることです。
国の住生活基本法と住宅セーフティネット法などを踏まえて策定される「住宅マスタープラン」が、未曾有の経済不況が深まる中で、全体の住宅政策をリードすべき「公的住宅のあり方」を後退させるものとなっています。しかも、その一環として、国の特殊法人改革によるUR住宅での削減・整備計画などが、UR住宅の高齢化した居住者の住宅不安をつくりだしています。独立行政法人都市再生機構法では、曲がりなりにも高齢者の住宅確保のための住宅セーフティネット法に規制され、「住宅の明け渡し規定」がないにもかかわらず、「事業への協力をお願いする」と称して事実上転居を強要しています。公的住宅にも持ち込まれてきている、こうした「市場の論理」を否定することこそが、いま必要ではないでしょうか。
京都市においても住宅総数が世帯総数を上回り,空き家が増加し続けていることをあげながら、一方、住宅ストックとしては最低居住面積率の改善が遅れていることも指摘されています。
現に、直近の市営住宅空き家募集の抽選倍率では一般世帯向けでは43.0倍、57.3倍とか、極端なところでは82.6倍にもなっているではありませんか。しかも、高齢世帯が増える中で,伏見区の向島NTの単身向けでは、50.5倍、東九条のシルバー単身向けは69.0倍になっています。それほど、より住みやすく、より安価な公営住宅に対する市民の要望は高いのです。
住宅マスタープランの策定に当たり、住宅確保要配慮者の住生活に公的責任を果たせるよう市内中心部での民間賃貸マンションなどの空き家を借り上げることなども含め、住宅政策を転換すべきですが、いかがですか。また、民間の供給する賃貸住宅の最低居住水準未満率を解消するためにも、公営住宅の新規建設を国に求めるべきですがいかがですか。
さらに、不況の二番底が懸念されるこの時期だからこそ市住家賃減免制度の改悪はやめて、一般住宅とこれまでの改良住宅の家賃格差の解消をすすめつつ、家賃減免制度はいったん元にもどすべきだと思いますが、いかがですか。
(都市計画局長)住宅確保要配慮者の居住安定は空き家が増え続ける中でストック重視、環境への配慮から既存住宅を使うのが方針。市住の新規建設は考えない。家賃減免制度の見直しは国の平成21年度の公営住宅の収入基準改正に合わせたもので適切だ。改良住宅家賃は公営住宅と同様、収入に応じた家賃制度になっている。
ホームレス支援体制に、総合的相談窓口の設置など、市の本気の姿勢を示せ
第5に、ホームレス支援対策について質問します。
昨年8月末の政権交代後、昨年末には再びボランティアによる「年越し派遣村」が必要とならないようにする運動も広がり、国と自治体による「公設派遣村」ができました。就労相談や住宅確保のための国や自治体による「ワンストップ・サービス」も取り組まれました。しかし、同時に課題や問題点も明らかとなりました。
それは、期限付きの一時的な緊急宿泊施設による収容であり、安定した居宅にならなかったこと、即就労につながるケースは少なかったこと、求職活動を支える生活支援につなげる努力が引き続き必要なこと、などなどであります。とりわけ、「ワンストップ・サービス」については、国も地方自治体に、年末年始の閉庁期間も生活保護の相談と申請がリンクするよう求めたところ、一部の自治体が同意せず、生活保護の相談と申請をリンクさせることは通達に入らなかったとされています。しかし、実際には対応した自治体も多くありましたが、本市はやりませんでした。
「ワンストップ・サービス」などを取り組む際、ホームレスが集まってくると自治体の生活保護費負担が増えるなどの理由で、施策の展開を回避するのではなく、できるだけのことはするという決意と構えが自治体として求められると思いますが、いかがですか。
また、派遣切りなどにあったホームレスの支援をするために、「ワンストップ・サービス」を、本市として、当面通年化し生活保護の相談と申請をリンクさせるべきですが、いかがです。さらに、中央保護所や緊急宿泊施設の拡充などをすべきと思いますが、いかがですか。
次に、具体的な事例を挙げて、ホームレス支援における住宅の確保について質問します。
Fさんは一昨年9月に働いていた建設会社が倒産し,従業員寮を追い出された56才の元土木作業員でした。マイカ通勤している知人の自動車が駐車場に帰ってきてから,翌朝出勤するまでの間、車中で雨露をしのがせてもらう1年近くの路上生活でした。なかなか次の仕事も見つからず、蓄えも底をつき、お金を借りるあてもなくなり、人づてに私の処に相談にきました。早くアパートを見つけ、病気治療をしながら本格的に仕事探しがしたいとのことでした。
Fさんのケースは、いわゆる非正規切りにあったホームレスではありません。また、橋の下や公園のブルーシートや段ボールハウスに野宿し行政の目視可能なホームレスでもありません。派遣切りにあい社員寮を追い出されネットカフェを常宿とする「見えないホームレス」に近い存在でした。一見、雨露をしのげているが、手足をゆっくり伸ばし,気兼ねなく寝られる場所がない,求職活動の際、ここが住所ですといえる場所がない、文字通りのホームレスでした。
私は福祉事務所に同行しましたが、ホームレスの人はいったん中央保護所に入ってもらうとし、中央保護所では病気の人はソーシャルホームなどにいくか、働けるのであれば自立支援センターに入ってからでないと居宅保護の相談には乗れないと支援員にいわれました。Fさんは見ず知らずの人との集団生活になじめず、Fさんは睡眠不足からノイローゼになりました。こんなことなら,路上生活の方が気が休まるとまで思いつめましたが、病気の治療のこともあり、指導にしたがい、知り合いからの紹介でアパートを確保し,現在は居宅保護となっています。
本市はホームレス相談を下京福祉事務所で受付をし、中央保護所に一定期間収容し,その後就労可能かどうかで自立支援センターやソーシャルホームなどに3ヶ月から6ヶ月の期間で収容しています。この期間中に現金管理や社会復帰のための習慣を身につけ、居宅保護につなげることを一般的にしていますが、これで問題ないのでしょうか。
2003年7月の「ホームレスに対する生活保護の適用について」と題する厚生労働省の通知では「ホームレスに対する生活保護の適用に当たっては,居住地がないことや稼働能力があることのみを持って保護の要件にかけるものではないことを留意し,生活保護を適正に実施する」としています。
同じく2003年10月の大阪高裁判決では,ホームレスが生活保護による居宅保護を求めた際、更正施設などでの収容保護を押しつけることは行政の裁量権の逸脱としています。
さらに、昨年の「年越し派遣村」が問題提起したことは、派遣切りにあって会社の寮から追い出された人々の相談に乗りながら、再び寒空のもと路上に放り出すことが許されるのか、窮迫していることを現認しておきながら見過ごすことは,行政の不作為責任が問われるのではないか。まさに窮迫状態は職権保護するに値するのではないかと、問われたものです。
ホームレスの人が居宅保護の相談をしても、段階を踏む施設保護のレールに乗らなければ,居宅保護につながらない実態について、これは事実上の申請権の侵害に当たるのではないかと思いますが、いかがですか。
野宿生活者が居宅保護を求めても,施設保護に行政が誘導しようとするところに、敷金ゼロ・礼金ゼロ・仲介手数料不要あるいは連帯保証人不要などのゼロゼロ物件を扱う業者がいわゆる「貧困ビジネス」として、割り込んできています。現に、ホームレスを対象としたゼロゼロ物件をとりあつかう生活保護費のピンハネをする「囲い込み屋」とも呼ばれる不動産業者が、社会的に問題視されています。アパートやワンルームマンションの単身者向け空き室を所有者から3万円程度で安く仕入れて,生活保護の単身者向け住宅扶助基準42500円めいっぱいで賃貸する、あるいは又貸しし、敷金礼金も限度額いっぱいを設定するなどの商法で、賃借人に提供する。貸す方の側は、雨露をしのげればいいだろう、ぜいたく言うなの論理。借りる方の側は、選べる立場じゃない、「泣く子と地頭ならぬ大家さんには勝てない」という泣き寝入りの論理。こうしたところに貧困を食い物にするビジネスが成立するのも、行政側に不十分な住環境での施設保護優先策があり、その結果、要保護者の「人権としての住宅保障」の水準まできりさげることになっていると言わなければなりません。
行政が住宅確保などのための総合的相談窓口をしっかり持つことが必要と思いますが、いかがですか。以上で、私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
(副市長)昨年暮れの「ワンストップ・サービスディ」積極的に対応した。内容に応じて管轄の福祉事務所に相談や申請につないできた。国の離職者向け支援諸施策を活用しそれでも困難な人には生活保護制度で対応する。ホームレスの宿泊場所の確保の為中央保護所での受け入れと平成21年11月から簡易旅館の借り上げによる緊急一時宿泊事業を実施している。4月以降も継続実施の予算案を本市に提案している。ホームレスの居住生活可能有無の確認は国の生活保護法に則って適法且つ適切に対応している。申請権を侵害していない。市営住宅の入居は一定の要件を満たせば応募できる単身者向け住宅募集制度で対応する。