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市会報告

井坂博文 議員

10年2月23日(火)

井坂博文議員の代表質問と答弁大要 10年2月定例市会 本会議代表質問

 日本共産党の井坂博文です。党市会議員団を代表して、本市会に上程されております2010年度予算案を中心に市長並びに関係理事者に質問します。

 国民の「政治を変えたい」という強い願いのもと、民主党を中心とした新政権が誕生して半年が経過しました。

 鳩山首相は通常国会における施政方針演説で「いのちを守る」と繰り返しました。しかし実際やっていることは、逆さまで後期高齢者医療制度の廃止は先送りし、選挙で約束した保険料上昇に対する抑制措置も見送り、多くの県で保険料が値上げになるという「二重の後退」をしているではありませんか。また中小企業の法人税減税は見送られ、2010年度税制改正では、所得税の年少部分の扶養控除廃止、さらにマニフェストにはなかった住民税の扶養控除廃止、所得税・住民税の特定扶養控除の縮小まで盛り込みました。これでどうやって「いのちが守られる」のでしょうか。

 また、財源の確保をめぐっても混迷しています。その背景には、行過ぎた大企業・大資産家減税と軍事費という「二つの聖域」に切り込めない鳩山政権の姿勢があります。

 研究開発減税の上乗せ措置など大企業優遇税制を二年間延長し、大資産家を優遇する証券優遇税制も維持されたままであります。軍事費は自公政権と同じ五兆円規模が維持され、米軍再編関係費が1320億円と初めて1000億円を突破しました。

 仙石行政刷新大臣は、「消費税増税の議論を今から始めて、4年後か3年後ではなく、次の選挙のときにお願いしないと財政が持たない」とまで発言し、菅直人副総理兼財務相は「3月には消費税の議論を開始する」と明言しています。

 経済危機から国民の暮らしを守る問題でも、消費税増税に頼るという点でも、自公政権からの転換が見られないのでは、何のための政権交代なのでしょうか。実際に、最近の世論調査では内閣不支持率が支持率を上回り、民主党の支持率も下落を続けています。一方で自民党の支持率も低迷し、単純に自民党政治への復活を望むものでないことは明らかであります。「政治を変えたい」という国民の願いは、さらに大きな流れに発展することは間違いありません。

予算案に示される市長の政治姿勢について

 そこで、来年度京都市予算案に示される市長の政治姿勢に関してお聞きします。

 予算編成の基本方針として、市長は「生活安心・未来へのトライ予算」と銘打っていますが、現実はどうでしょうか。「約90億円の大規模事業を見直した」と言いますが、削減された道路や下水道整備などの予算の多くは、国からの補助金のめどがつかず予算計上できなかったものであります。逆に、むだな大規模事業である高速道路斜久世橋区間建設費に50億円、焼却灰溶融炉の整備・運営に28億5000万円など見直しをせず、聖域扱いとなったままではありませんか。

 また、「市民のいのちと暮らし、安心安全を支える」と言いながら、国民健康保険料は2年連続して値上げ、すべての世帯で約5億3200万円もの市民負担増となります。また、市長は一昨年「保育料は歯を食いしばってでも三年間は値上げしない」と約束したことを覚えていますか。なのに、1億4000万円の保育料値上げとはどういうことですか。さらに、子どもの医療費助成制度は京都府の低い水準に据え置き、市立看護短大の廃止、市立病院の独立行政法人化、保健所の廃止、支所化など、市民サービスの切り捨てと市民負担増のオンパレードではありませんか。これではとても「生活安心・未来へのトライ予算」と言えるものではありません。

 年明けに、父子家庭のお父さんから突然一通のメールが届きました。内容は「先日、(国保料の滞納で)京都市から差し押さえを受けました。仕事で使っている個人口座から全額抑えられ、事業資金はパンクしてしまいました。望みも持てず、生きていくお金も取られ、どうすることもできなくなりました。これが最後の言葉で遺書代わりにします」というものでした。びっくりして、夜中でしたが、すぐにお宅に駆けつけました。幸いにも大事には至っておらずひとまず安心し、お話を聞きました。

 それは、19年度の国保料は月1万円、20年度は臨時収入があって約4万円にアップ。しかし、リーマンショック以降は急速に仕事が減って、やむなく保険料が払えず滞納になっていました。役所に何回か相談に行ったものの、「制度がない」「払ってもらわなければ困る」と話にならず。本来子どもには交付される正規の保険証も届かず、子どもが風邪をひいても窓口で全額支払っていたそうです。そこに今年1月になって、口座の残金全額を差し押さえられたのです。

 ぎりぎりの状態で踏ん張っている人の仕事のつなぎや生きる希望を、行政が断ち切っているとは思いませんか?市長は「福祉はどんなことがあっても後退させない。市民のセーフティネットを守る」とよく言われますが、これでどうして市民生活を守っていると言えるのですか。お答えください。

(門川市長)生活保護費として718億円、保育所新増築による345人の定員増、13箇所の介護基盤施設整備、中小企業の融資対策として2200億円の新規融資枠を確保した。

 使用料等については、やむを得ず改定をお願いしている項目がある。保育料は、国の事業仕分けによる基準変更に伴い、概ね年収1500万円を超える高額所得階層の世帯について新たな徴収基準を設けた。国保料については、医療費の増加が見込まれるなか、これ以上赤字を拡大させないため必要最小限の改定をお願いしている。

中小企業・地場産業への支援を

 政治姿勢に関わって、中小企業支援についてうかがいます。本市では、京大桂イノベーションパークをはじめ、ベンチャー企業などの研究開発支援にずいぶん力を注いでいます。1月に、経済総務委員会の実地視察で現場を視察し、社長さんから「この施設があったから安心して製品開発が出来た」とのお話を聞いて、支援の必要性をよく理解できました。そこでは、Aランク認定企業が入居した場合、1ヵ月あたり8万円の家賃補助が出されています。

 しかし、ベンチャー企業の一部への支援だけでいいのでしょうか。京都のものづくりの伝統と技術を支えている中心は地場産業であり、町工場です。その産業基盤維持への支援こそ強く求められています。一昨年のリーマンショック以降の大不況の影響を受けて町工場の現実は危機的です。右京区のある鉄工所は、毎月の電気代の基本料金が24万円です。景気が良い時は何ともなかったのですが、注文が激減し、機械を止めても、この基本料金は毎月支払わなければならないといいます。伝統地場産業における工場の家賃やリース代も同様に負担は大変です。

 一般経費は生産や売り上げによって変動しますが、家賃や固定資産税、リース代金などの固定費は変動がありません。いま、この固定費が地場産業や中小企業・業者の経営を苦しめています。

 不況対策としての不況業種指定や融資枠の拡大、緊急融資の期間延長も歓迎されていますが、「中小企業、地場産業の支援」を言うのであれば、現在行っている家賃補助の間口を広げて、売り上げが大幅に減少した地場産業や「日本の宝」である町工場に対して、固定費への直接補助を行うべきではありませんか。緊急的かつ時限措置としての対応をふくめて機動的な対策を期待して答弁を求めます。

 あわせて、中小企業支援に関して2点要望しておきます。

 まず、政府の臨時交付金を活用した「スクール・ニューディール構想」による市立学校へのデジタルテレビの購入について。2月1日に、校長室と職員室に関して応札されましたが、すべて家電販売大手の「ヤマダ電気」(本社は群馬県)が落札していることが判明しました。昨年6月に、文部科学大臣が「臨時交付金の活用については、地域の中小企業の受注機会の増大につとめる」よう自治体に要請していたにもかかわらず、まったく逆行しているではありませんか。福岡県では入札条件を「県内中小企業」とし、名古屋市では「市内に本店を有する事業所」と基準を定めています。電機商業組合や民主商工会の緊急要望をうけて、一般教室のテレビは地元の電機店が少しは落札できました。今後とも、官公需の入札制度の見直しを強く求めておきます。

 次に、公契約条例に関して要望しておきます。先日、全国で初めて公契約条例を制定された千葉県野田市の市長から条例制定の経過と条例の内容についてお話を聞きました。

 条例の内容は、①公共事業の質の確保という視点から従事する労働者の賃金の負のスパイラルをなくす、②官製ワーキングプアをなくすために業務委託に対して縛りをかける、という極めて常識的なものです。 

 野田市長は「条例制定後、評価されることがあっても、非難されたことはない。国から何のチェックもかかって来ていない。たぶん、時代の要請にマッチしたものだと考える」と、後に続く自治体への期待を述べています。

 また川崎市でも、11月議会で市長が「国に要望している公契約法の制定が進まない中で、法整備に向けて先鞭をつけ、適正な労働条件の確保を図る意味で条例は、一定の評価ができるものと考えている。条例制定にむけて検討したい」と前向きな姿勢を示しています。

 国に対して公契約法の制定を求めつつ、本市においても独自の条例について検討するよう強く求めてろおきます。

(門川市長)京大桂ベンチャープラザなどで、新事業創出を目指す研究開発型の中小・ベンチャー企業に対する賃料負担の軽減など支援している。一般的な家賃等の固定費については、本来、経済活動において個々の事業者が負担すべきものと考えている。

子どもの医療費助成制度の拡充を

 次に、政治姿勢にかかわって、子どもの医療費に関してお聞きします。現在、京都府の子どもの医療費助成制度は、入院が小学校卒業まで月額200円ですが、通院は月200円が3歳未満までにとどまり、これと同じ水準は舞鶴市、綾部市、そして京都市だけとなっています。その中で舞鶴市は今度の予算案に、通院を小学校入学前まで引き上げることとなりました。綾部市も当選した新市長が選挙マニフェストで「月額200円を就学前までに拡充します」と明記しました。また、昨年10月に日本医師会は「義務教育修了までの外来医療費の無料化をめざす」という提言を発表しました。いよいよ待ったなし、機は熟しています。

 京都府が入院も通院も小学校卒業まで無料化を実施すれば、京都市も同様に引き上げることが可能になります。京都府と京都市が、ひと・いのちが大切にされる政治を実現するために力を合わせること、それこそ市民が求める府市協調の真の姿ではないでしょうか。

 京都市独自に子どもの医療費助成制度を入院も通院も小学校卒業まで対象に引き上げ、京都府に対しても強く求めるべきではありませんか。答弁を求めます。

(浅野保健福祉局長)国による補助制度のない中、通院も小学校卒業まで拡充するには、新たに約22億円もの多額の経費が必要。本市の大変厳しい財政状況の中、実現はきわめて困難。引き続き京都府と制度のあり方について研究をすすめていく。国に対し、今後とも、他都市と連携し、財源措置を要望していく。

本市財政の財源不足対策について

 第2に、本市財政の再建策と予算執行のあり方についてお聞きします。本市財政危機の要因は不況による市税収入の落ち込みと地方交付税の大幅な削減にあります。今回の予算案でも、市税収入が市民税法人分の128億円をはじめ、前年度比164億円減額という過去最大の落ち込みです。地方交付税は76億円増の948億円を確保し増額したといいますが、純粋の交付税分は657億円で前年度並みにとどまり、大半は借金である臨時財政対策債の増額で補っています。さらに基金を取り崩して財源に充てるという応急処置に頼らざるをえない事態になっています。

 市長は予算編成真最中の昨年12月に、財政構造の改革を進めるとして、「京都市財政改革有識者会議」を設置されました。

 この時期に歳出の財政構造改革に絞り込んで、外部の有識者会議を設置した目的は何か。破たんした構造改革路線を蒸し返し、市民負担増の予算案という市民批判をかわすことを狙ったのではありませんか。第1回目の会議で由木副市長は「小泉改革の時の経済財政諮問会議の時のような議論をしていただければたいへんありがたい」とあいさつされました。副市長が、首相官邸で小泉首相の秘書官の補佐役として小泉改革の舞台裏を担ってきたことはよく知られていますが、小泉構造改革とは、三位一体改革で地方交付税を大幅に削減し、毎年の社会保障費2200億円の伸びを抑制し、大企業の派遣切りを促進し、貧困と格差社会の拡大という今日の日本社会の危機をつくりだした張本人ではありませんか。副市長のあいさつは、時代の流れに逆行するものと言わざるをえません。

 その狙いは、会議に提出されている当局資料にも如実に表れています。本市の財政構造の特徴として義務的経費、とりわけ扶助費と人件費の多さをあげています。その資料では「一般会計における中長期の財政収支見通し」として、扶助費が平成21年度1491億円から30年度には1979億円に増え、国保会計等への繰出し金が525億円から1139億円に大幅に増額する、と推計しています。 

 この数字が独り歩きして、財政構造の議論をすればどういう結論が出てくるでしょうか。「扶助費の伸びは、生活保護費の増大であるから、保護費の支給基準やケースワーカーの配置基準を見直すべき」あるいは「国保会計への繰出し金を減らすか、保険料を値上げするしかない」という結論しか出てこないではありませんか。

 実際に会議を傍聴しましたが、「もっと受益者負担を増やせる」「この施設は民営化できるのではないか」「非正規職員や委託事業の人件費はもうひと絞りできるのではないか」「すぐに事業を削れなくとも使用料徴収で収入を増やせる」などなど・・・。一部の委員の方の意見を除いて、とにもかくにも市民生活の実態より財政赤字解消が最優先、赤字なら市民負担増もやむを得ない、という財政再建至上主義とも言うべき意見が大半を占めていました。

 しかし、財政赤字解消一辺倒の視点で自治体財政の評価をしてよいのでしょうか。「市民生活の安定こそ財政の安定である」という視点が必要です。「住民のいのちと暮らしを守る」という自治体本来の役割を果たす立場に立ち、市民生活全体を支援し、担税力(税金を払えるだけの力)を培い、長期的視野で市税収入を引き上げための議論が今こそ求められているのではありませんか。

 また、市長が年頭訓示で「徹底したコスト意識でゼロベースから業務の見直しをおこなう」「あらゆる過去のしがらみを断ち切る、タブーを排除する」と述べられた決意は、市民負担増にむけてではなく、無駄な事業にメスを入れる方向でこそ発揮されるべきです。具体的にお聞きします。

 稼働させるだけで年間22億円ものランニングコストがかかる焼却灰溶融炉は、今年6月からの稼働を中止すべきです。現実に市民の努力で毎年ゴミの排出量が減り、東部クリーンセンターも閉鎖することになります。今後の灰の量は確実に減っていきます。ごみの減量審議会においてもCO2排出削減のために全面稼動の見直しを求める声が上がっています。また新政権のもとで未着工の高速道路建設計画の見直しが進んでおり、残る市内高速道路三路線は、今こそ思い切って中止すべきではありませんか。また、斜久世橋区間の建設工事の凍結を求めます。市長いかがですか。

(由木副市長)中長期的な視点で、抜本的な財政構造の転換を図るため、「京都市財政改革有識者会議」を設置した。

 焼却灰溶融炉は、東部山間埋立処分地を今後70年以上使用可能とするもの、油小路線斜久世橋区間は、既に6割方進捗しており道路網の基幹となるもので、いずれも本市にとって必要不可欠なもの。残る3路線は、総合的な交通体系、社会経済情勢等も勘案し必要性も含め検討する。

市民不在の市政運営から、「市民が主人公」の市政運営への転換を

 第3に、市民不在の市政運営から「市民が主人公」の市政運営への転換を求めます。

 市民不在の市政運営の象徴が、突然提案された「京都市内11行政区の保健所廃止の方針」であります。関連議案によれば、①市役所に「京都市保健所」を設置する、②既存の11保健所は廃止し、保健所支所とする、③今市会で条例改定をおこない4月から実施する、というものです。

 そもそも保健所の事業は、1947年に制定された保健所法によって、公衆衛生の理念に基づいて事業運営されてきました。1994年の地域保健法によって、その理念の後退があったものの、昨年の新型インフルエンザ流行の際に、その存在と役割の強化が強く指摘されたところであります。

 保健所の廃止と支所化は住民サービスの後退につながることは明らかです。具体的に三つの問題点を指摘します。

 一つは、保健所が支所になることは単に「看板が替わるだけ」ではありません。現在持っている機能が失われてしまいます。例えば、医師、保健師、看護師、栄養士などの配置基準も実質形骸化されるのではないか。

 二つ目に、保健所長の権限がすべて市役所内にある「京都市保健所」に集中し、その管理の下におかれ、行政区ごとの機敏な施策展開が出来なくなるのではないか。

 三つ目に、支所長は医師でなくてもよくなり、再び新型インフルエンザの大流行が発生した場合、現場での正確な判断や的確な指導が出来なくなり、重大な事態を引き起こすのではないか。

 私は先日、平成19年度から、18区の保健所の支所化を実施している横浜市を視察してきました。視察を終えて、先ほどの懸念が的中していることを確信しました。

 横浜市では、支所長は医師でなくてもよくなり、退職する医師が続出しています。現在18区のうち7区の支所長が医師でなくなり、この傾向はさらにすすむと言われています。現場の方にお聞きすると、感染症患者が発生した場合でも本庁のマニュアル通りの対応しかできず、患者の入所命令に関しても本庁の保健所長の決裁が必要となり、迅速かつ適切な対応に問題が生じていたそうです。さらに、本庁との決裁事務が煩雑化し、内部事務に手を取られ、本来の地域に出る活動が低下しているとのことでした。さらに、支所化を契機にケースワーカーや保健師の定数が削減され、技師が大幅に減員されています。

 本市における保健所支所化の目的と狙いも人員削減と人件費の抑制ではありませんか。まさに、この問題は市長の政治姿勢が問われています。

 どこに「市民の暮しは後退させない」という理念があるのですか。しかも、これだけの大改変を、市民や職員へのまともな説明もせず意見を聴く機会もなく、4月から実施しようとすることは市民不在の極みであります。保健所の廃止、支所化の方針を撤回し、市民生活と公衆衛生を守ることを強く求めますが、いかがですか。

(保建福祉局長)新型インフルエンザなどの感染症や食の安全に関わる健康危機事案などの影響を最小限にとどめるためには、正確な情報を集約し、迅速かつ的確に全市統一的な対応が必要。そのため保健所を全市一体的な組織にし、各行政区に「保健センター」を設置する。「保健センター」で、現行の保健衛生サービスを継続して実施し、地域保建を更に推進していく。

梅小路公園の水族館計画は白紙撤回を

 市民不在の市政運営のもう一つは、梅小路公園の水族館建設問題であります。水族館計画は、市の「設置許可」が未だに下ろせず、ようやく提出された事業者の「見解書」も市民の疑問や意見には「ゼロ回答」の有様です。いま、京都市にとって必要なことは、徹底した情報公開と説明責任をはたし、市民の意見を聞くことです。

 わが党市会議員団がこの1月の新聞に掲載した「市民の憩いの場、梅小路公園に水族館はいらない」との市政報告には、多くの市民の方から賛同と激励の意見をいただきました。

 1月のまちづくり消防委員会において、オリックスの参考人招致は自民党、民主党の反対で否決されました。新聞報道によれば「市の担当者が与党会派を回り、業者に1月中にも地元説明会などを開催させる、と説得して自民党も態度が軟化した」といわれていますが、突如決まった説明会は1学区50分でパワーポイントによる一方的な「水族館の展示内容の説明」でありました。それでも参加した住民からは「やっと緑が増えてきた公園になぜ水族館を建てるのか理解できない」「広域避難場所に指定されている公園に、なぜ水族館をつくるのか」などの声が続出し、「今日で説明会は終わりとしない」と業者も表明せざるをえませんでした。さらに「全市民対象の説明会を開くべき」「京都市も説明会に参加を」との声が強く出されたのが特徴でした。

 まったく住民合意が得られていない計画をこのまま進めることは許されません。水族館建設計画は白紙に戻すよう強く求めます。いかがですか。

 市政運営にかかわってもう一点指摘しておきます。強い反対の声を無視して、市立看護短大廃止条例の提案をしていますが、到底認めることはできません。市長は、「市立看護短大の4年制化」だと強弁してきましたが、仏教大学の看護学科新設にあわせて市立看護短大を廃止するものに他なりません。存続を求める署名は短期間に1万6000筆を越え、市立看護短大同窓会も、市長あてに廃止方針の撤回を要望されています。これらの声に応えて条例案を撤回するよう強く求めておきます。

(市長)水族館計画は、民間活力を生かした画期的な事業手法。経済への波及効果も大きい。京都府は「子ども向けスポットや施設」の満足度が44位。新たな魅力が本市に加わるようしっかり取り組んでいく。

同和行政の終結にあたって、コミセンの転用計画について

 第4に、コミセンの一般利用に関してお聞きします。

 昨年の11月に「コミセンの転用に関する基本的な考え方」が公表されました。第1次分として楽只、岡崎、吉祥院、上花田、改進の5箇所のコミセンについて転用計画の素案が公表され、あわせて「今後の転用検討の考え方」では「原則として、貸館機能を中心に、市民の自主的な活動を支援する」とされました。これまでも、コミセンは一般開放されて以来、申し込み方法など運用の制約がありながらも、多くの団体や個人が利用してきました。その経過を尊重して、どのような施設への転用をしたとしても、貸館機能を維持継続し、市民の活動・交流拠点としての機能をはたすように求めます。いかがですか。

 私も、先日開催された楽只コミセンの説明会に出席しました。高齢者のダンスサークルから「他の会場を使ってきて、ようやくこのコミセンにたどり着いた。今は無料だが、有料になったら行く場所がない」と話され、女性団体からは「料金は低くおさえ、減免制度もつくってほしい」との声がありました。市民活動の支援を掲げるならば利用しやすい土曜日、日曜日は全面開所とし、勤労市民のために夜間も全面開放すること。その際に、利用料金は無料の継続を求める利用者の要望に応えるように求めます。以上、コミセンの転用計画の具体化に関してお答えください。

(星川副市長)市民の身近な活動・交流拠点として、気軽に集える会議室等も設ける。市民サービスの向上を図るため、休日、夜間の開所も実施できるように取り組んでいく。適正な受益者負担の観点から、有料化も必要と考えており、料金体系については十分検討していく。

平和行政について

 質問の5点目は、被爆二世として、本市の平和行政に関してお聞きします。今、「核兵器のない平和な世界を」の声は、文字通り世界に広がっています。京都市は、昨年3月に広島・長崎の両市長が中心となって呼びかけた平和市長会議に正式加盟しました。この平和市長会議の目的は、「原爆による悲劇が二度と繰り返されてはならないとの信念のもと、核兵器廃絶に向けた市民意識を国際的な規模で喚起し、核兵器のない平和な世界を実現すること」とし、「2020ビジョンキャンペーン(核兵器廃絶のための緊急行動)」を策定し、2020年までの核兵器廃絶にむけた様々な取り組みを展開しています。

 そこで、平和市長会議加盟1年となる今年は、それにふさわしい行動と企画をおこなうよう求めます。5月のNPT再検討会議、8月の広島・長崎への原爆投下にあわせて本市の公共施設において被爆の実相を伝える原爆写真やパネルの展示、被爆者による被爆体験の語り部、など企画したらいかがでしょう。また、2020ビジョンキャンペーンの重要な節目として位置づけられているNPT再検討会議に京都市から正式に代表を派遣したらどうでしょうか。市長の英断を求めます。

(星川副市長)昨年11月には、核兵器を巡る深刻な状況を含め、広く平和問題について講演会を実施した。

 核不拡散条約再検討会議には、平和市長会議として代表団を派遣することとなっている。今後とも、都市間交流や市民レベルでの交流、市政の様々な行事、機会を捉えて人類共通の願いである世界恒久平和の実現にむけ、努力していく。

 いま全国の被爆者はおよそ23万人、京都市内には800人。それぞれが心と体に原爆と放射能の深い傷を持ちながら核兵器廃絶を訴えています。

 この7年間、被爆者は原爆症認定を求める集団訴訟をたたかってきました。裁判の結果は原告の被爆者が21連勝し、昨年の夏には当時の麻生首相が1審で勝訴したすべての被爆者を原爆症として認めることを中心に和解が成立し、12月には敗訴した原告を含め、原告全員を対象とする原爆症基金法も制定されました。

 いよいよ残るのは、原爆症認定のあり方を定めた被爆者援護法について、認定基準の見直しです。先日被爆者と厚労省の定期協議の中で、厚労大臣は「放射性起因性という基準を緩和する方向で法改正を検討する」と述べました。高齢化した被爆者に時間はそんなに残されていません。国が早急に認定基準を変更するよう地方から声を上げて頂きたい。いかがですか。

(保健福祉局長)認定基準及びその運用を批判する判決が出たことから、国に対して被爆者救済の立場になった制度運用を図るよう要望してきた。今後の国の動向を見守りつつ必要に応じて要望していく。

「政治とカネ」の問題について

 質問の最後に、選挙で選ばれた政治家である市長の政治姿勢に関って、今重要な焦点である「政治とカネ」の問題に関してお聞きします。民主党小沢幹事長が東京地検特捜部の事情聴取を受けました。政権党の現職幹事長が地検の事情聴取を受けたのは戦後の政治史上でも異例のことであり、異常事態です。結局、小沢氏は不起訴となりましたが、側近である元と現在の秘書3人は起訴となりました。世論調査でも国民は納得していません。今、問われているのは、国民の税金による公共事業が政治献金によって左右され、政治家に還流されたのではないか、という疑惑であり、政治的道義的責任が問われているのです。小沢氏が国会で説明責任をはたすと同時に、民主党も小沢氏の国会招致を実現し、自浄能力を発揮すべきであります。

 こうした問題が何度も繰り返される根本には、企業や団体からの政治献金を温存してきたことがあります。この際、これらの献金を即時禁止することが強くもとめられています。同時に、小沢氏がかつて所属していた新生党や自由党の解党の際の残余資金22億円、その原資に政党助成金がふくまれている疑惑も問われています。従って、政党助成金のあり方も見直し、撤廃すべきであります。

 市長に伺います。「政治とカネ」の問題にかかわって、疑惑解明のために国会は責任を果たすべきとは思われませんか。また根本的な解決のために、企業・団体献金の即時禁止、政党助成金を廃止することが不可欠であるとの認識がありますか。お答えください。

(市長)企業・団体からの政治家個人への献金の禁止や使途の報告など、法を遵守すべき。国民の政治への不信を招くことのないよう、そのための仕組みの再構築が必要。議会制民主主義のもとで、開かれた議論がなされ、改革が進められるものと確信している。

第2質問

 答弁を頂きました。市長は市政運営の基本的考え方として「ピンチをチャンスに転換する」と言われましたが、ピンチに立たされているのは市民の営業と暮らしの方ではありませんか。その認識があるのですか。

 固定費の補助制度に関して、最近の国会審議で鳩山首相は「町工場は日本の宝--この灯を消してはならない」と述べ、わが党の申し知れに対して「機械のリース代については、融資と同じ扱いにして、利子分だけですむようしていく扱いも検討してみたい」と検討を約束されました。本市においても検討したらどうですか。「ピンチをチャンスに転換する」機会は、ベンチャーだけでなく町工場に対して与えるべきではありませんか。

 市長は、「市民のみなさんの意見をしっかり聴くこと」を強調されました。ならば市立看護短大の存続を求める署名1万6000筆、市立病院と京北病院は市立のままで存続をもとめる署名2万6000筆、院内保育所青いとり保育園の民間委託に反対する署名1万3500筆の声にどう応えるのですか。そして「梅小路に水族館はいらない」と建設予定地を包囲した「人間のくさり」に対して、どう応えるのですか。

 結局、市民のセーフティネットをズタズタに崩壊させ、市民不在の市政運営の予算案ではありませんか。その点を指摘し、引き続く予算委員会で徹底審議することを申し上げて質問を終わります。