とがし豊 議員
09年12月 1日(火)
とがし豊議員の代表質問と答弁大要 09年11月定例市会 本会議代表質問
京都市会ホームページ > インターネット議会中継 上で、録画がご覧いただけます。(約1年間)
雇用対策強化、就労支援、住宅確保対策を
左京区選出の、とがし豊です。日本共産党京都市会議員団を代表して質問します。
まずは、急を要する雇用・失業対策についてです。11月21日、26日の夜、私も京都駅で、生活に困窮している皆さんへの炊き出し、夜回りなどのボランティアに参加させていただきました。ある30代の若者は、3月に派遣切りに合い、その後、住宅手当の貸付でなんとかつないで部屋をかりハローワークに通い詰め、就職活動に取り組んでいるがなかなか仕事が見つからない。しかし、その手当てももうすぐ切れるということで、住む家も失う、どうしようと悩んでいるということでありました。支援活動に取り組む方のお話をお聞きしても、この1年あまりは派遣切りなどの影響で若い世代でも路上生活に追い込まれるケースが増えているとのことです。40代の男性が、大津市でいくら仕事を探しても見つからず、仕事を求め京都まで歩き、足はマメがつぶれて血まみれ、そんな状態で支援ボランティアに出会うというケースもお聞きしました。路上からハローワークに必死に通い、面接を受けている人もたくさんいますが、いくらがんばってもなかなか希望の光が見えてこない状況なのです。年末年始にむけ、市長先頭に現場の実情を把握し、行政が出向いて相談にのるという姿勢で臨むべきと考えますが、いかがですか。
巨額の内部留保を蓄えながら、雇用のためには1円も取り崩そうとしない大企業のやり方は本当に許しがたいものです。大企業による情け容赦のない派遣切り、下請け切りが続く中で、先月末に発表された全国の完全失業者数は344万人に達しており、派遣村が生まれた昨年の暮れよりも74万人も多い水準です。より深刻なのは、その失業された皆さんの失業給付が切れ始めているということです。年末までに100万人の失業給付切れが起き、派遣切りされた方の半数が再就職できないなど、非常事態です。4兆円を越す雇用保険の積み立てを使えば失業給付の延長は可能です。市長として、市民生活を守るために、雇用保険の「全国延長給付」の発動を国に求めるべきと考えますが、いかがですか。
住むところを失った失業者など、保護を要する人々はますます増えているもとで、京都市としての緊急の対策も求められています。京都市には、路上生活を余儀なくされている皆さんを一時的に保護する中央保護所という施設があります。派遣切りなどで昨年年末から入所の希望が殺到し、満杯で入れず、新規の入所者の抽選すら実施できず、再び寒空の下に帰されるという状況が生まれてきました。我が党も繰り返し支援策を求めてきましたが、先月18日から、ようやく簡易宿泊所の緊急の借り上げが前倒しで実施され、今月からはさらに追加の借り上げなどが始るなど、受け皿が拡大されます。しかし、これはきわめて一時的な住居の確保にとどまるもので、生活再建につながる支援策の抜本的な拡充が必要です。中央保護所にまず入所という対応から一歩踏み込んで、現在地での生活保護の申請受付を行い、市営住宅の空き室活用も含め、恒常的な住居確保をすることが必要だと考えますがいかがですか。お答えください。
昨日、京都市と京都府、労働局とが連携し「京都ジョブパーク」において、仕事の相談から生活・住宅などの相談をワンストップで実施する初の取り組みが行われました。この間、労働組合や弁護士・医師などの専門家が連携し、取り組んでいる京都版の派遣村の取り組みが行われていますが、ようやく行政においても同じような取り組みが始まりました。いっそうの充実が必要です。年末年始にむけて相談が多数寄せられるのは確実であり、そのときに、肝心の役所がしまっていては対応できません。ワンストップ・サービス・デイの経験を生かし、土日・休日、年末年始の緊急の相談に対応できる国・京都府・京都市の連携した「総合的な駆け込み窓口」を設置すべきと考えますが、いかがですか。
(細見副市長)「ワンストップ・サービス・デイ」を試験実施。予想を超える相談者の評価は概ね良好。年末年始の実施、定期開催は、京都労働局、府と協議する。失業給付終了で厳しい状況にあると認識。政府は個別の延長給付活用で、雇用のセーフティネット機能を果たすとしている。
(星川副市長)ホームレスの住居確保は、まず中央保護所入所が基本。自分で家を借り生活できると判断できれば、生活保護により敷金を給付し、住居確保を行う。現在は簡易旅館を借り上げ全ての人が入所。市営住宅入居は単身者向け住宅募集制度を活用する。
介護分野の労働条件の改善を
次に、介護分野における労働条件の改善について質問します。一部に、人材不足の続く介護分野に注目し、失業した方をそこで雇用すればよいという議論がありますが、そんな単純なことで解決できる状況ではありません。現場でお聞きしますと、「介護の仕事は続けたいけど、こんな低い賃金では家族を養えない」「人手不足の中で無理をして体をこわす」など、志も能力もある職員が次々と職場を去る状況が続いています。人材不足になっている一番の原因は、仕事の過酷さに加えて賃金が低いということであり、処遇改善は切実な課題です。ところが、4月からの介護報酬の改定は、それまで行われてきた連続的な介護報酬切り下げを補うことすらできず、まったくの焼け石に水でした。追加で行われた処遇改善策も、2年半の期間限定で、対象も一部にとどまることから、京都社保協の事業所アンケートでも、恒常的な処遇改善である月給や時間給の引き上げは2割程度にとどまっています。「これで本当に処遇改善策といえるのか」と現場から声があがっています。その上、介護関係の労働者の賃金を引き上げようとすれば、保険料や利用者負担の値上げにつながるという介護保険制度の重大な問題があります。「介護労働者の賃金を月額4万円引き上げる」と公約している新政権に対して、その実現を迫る上で、介護報酬とは別枠で、政府の責任で介護施設の労働者の賃金の引き上げを行う財政措置を求めるべきですが、いかがですか。やむなく介護の分野から離れていった労働者が再び介護の職場へと復帰することになれば、人材不足も解消し、その労働力の移動にともなってさまざまな分野での雇用が確保できるのではないでしょうか。
(保健福祉局長)今年から影響額の2分の1相当を国が措置。H23年まで介護職員処遇改善交付金制度を実施。厚労働大臣はH24年度以降も取り組むと表明。現場の実態をふまえ、国への要望を続けていく。
地球温暖化対策、ごみ減量を
次に、地球温暖化対策について質問します。今年の7月の主要国首脳会議では、「世界全体の平均気温の上昇を2度を越えないようにすべき」と合意されました。2度以上の気候変化を認めてしまうと経済活動どころか人類の生存すら危ういからです。国連気候変動に関する政府間パネルの科学的結論としても、歴史的に大量の温室効果ガスを出し続けてきた先進国は、2020年までに1990年比で25%~40%の温室効果ガス削減が求められています。すでに、温暖化による被害が、集中豪雨や米の品質劣化、ナラ枯れ被害の拡大など、私達の身近なところにも影響を与え始めています。今この瞬間に対策を怠れば甚大な被害をこうむることになります。世界では、温暖化対策に積極的に取り組むことで、逆に新たな地域活性化につなげる動きが強まっています。日本においても、産業界を巻き込んだ手立てをきちんと行えば、家計の実質的な負担を抑えて、30%削減達成も可能です。京都議定書発祥の地の市長として、国に対して、2020年までに温室効果ガス削減の中期目標を、25%にとどめず、30%削減という野心的な目標へと引き上げるように求めるべきです。いかがですか。
温暖化対策で、特に大事なのは、日本の温室効果ガス排出の8割を占める産業界にいかに実効ある措置をとらせるかです。日本では、日本経団連の自主行動計画まかせにした結果、京都議定書締結以降、排出量を減らすどころか逆に増やしています。EU・ヨーロッパ連合などでは、排出権取引制度や環境税にとどまらず、国と産業界との間で「公的削減協定」を締結し、削減措置を講じ、温室効果ガス削減に成功しています。日本経団連などは「国際競争力が損なわれる」といいますが、日本の大手自動車メーカーなどもEU内で操業するときには、公的削減協定に参加しています。国に対して、産業界との間に「公的削減協定」を結ぶことを求めつつ、京都市独自にも、事業所などとの間で「削減協定」を結び地方から国の温暖化対策のあり方を問うてはどうでしょうか。いかがですか。
(市長)市民や事業者との「地域力」を生かし、環境家計簿の普及、エコドライブ推進、省エネ家電への買い替えを推進。国が抜本的な対策を行うことが必要不可欠。環境税の早期導入、温暖化防止への制度の整備を引き続き国に提言する。
また、京都市独自の取り組みとして、温室効果ガス削減計画書・報告書の制度があり、149の特定事業所が参加しています。現在、各事業所から提出されている3ヵ年計画では、27の事業所が温室効果ガス排出を増加させる計画となっています。企業も、従来の延長線ではない、環境と両立した企業発展の道筋を定めなければならない時だけに、指導の強化が必要です。事業所から提出されている各計画が削減計画となるように、現在改定作業を行っている温暖化対策条例に「助言と指導」を位置づけるべきです。いかがですか。
大規模事業所に対して温暖化対策を求める上で、年間25万トンの温室効果ガスを排出している大規模事業所でもある京都市自身も襟を正して取り組まなければなりません。ところが、京都市が京都市自身に提出した温室効果ガス削減計画書では、削減どころか、3年間で1万9041トンも増加させる計画になっているのです。計画書には「平成22年度には焼却灰溶融施設が稼動していることから、温室効果ガス排出量が大幅に増加する見込みである」と書かれています。これまで京都市は、焼却灰溶融施設を稼動しても、市役所トータルで削減するので大丈夫と議会で説明してきました。結局、現状では、焼却灰溶融施設が排出する4万9千トンの温室効果ガスを打ち消すだけの削減ができないということなのです。2008年度には、プラスチック容器包装の分別収集の通年化とごみ減量などの市民の努力によって、1万3596トンの温室効果ガスを削減できたのですが、この努力を、簡単に台無しにしてしまうのが、焼却灰溶融施設です。焼却灰溶融施設の稼動を中止して、市役所自身の温室効果ガス削減計画書を、増加計画ではなく、きちんとした削減計画に練り直すことを求めます。いかがですか。
(地球環境政策監)特に排出量増加傾向の事業者を訪問。調査、指導、省エネ診断による助言を強化。焼却灰溶融施設から排出されるCO2は、ごみ減量や施設の効率的運営により、ごみ処理部門全体として排出量を減少させていく。
次に、ゴミ減量について質問をします。廃プラスチック製容器包装の分別収集の全市実施から2年がたちました。分別を通じてプラスチックゴミの多さを実感するとともに、分別しているだけで本当に環境にやさしいのか、そもそもゴミになるようなものを売る社会の仕組みそのものを変えなければいけないのでないか、などの声もあがっています。使い捨て容器や包装をいくら使っても、その結果うまれるごみの後始末のお金はほとんど市民の税金でまかなわれます。拡大生産者責任を徹底して、ドイツなどのように、使い捨て容器の回収費用も、事業者側の負担になれば、使い捨て容器は減少し、ビール瓶のような形で繰り返し使う容器などが新たな形で復活し、リサイクルに莫大なお金とエネルギーをつぎ込まずにすみます。温暖化対策を通じて、社会構造の根本的な変革が問われている今こそ、ごみ行政の転換していく好機です。容器包装リサイクル法の見直しにあたって、拡大生産者責任を徹底し、設計・生産の段階から、ゴミ発生を抑制できるような仕組みを盛り込むように、国に対していっそう強く働きかけるべきです。いかがですか。
ごみ対策において家庭ごみ以上の対策がもとめられるのが事業系ごみです。横浜市では、事業系ごみの資源化の徹底を行い、事業系ごみを半減させました。どのように半減させたのでしょうか。横浜市は、大規模事業所については「ごみ減量計画書」を提出している約2600事業所のうち毎年1000件の事業所に各清掃事務所の職員が出向いて立ち入り調査を行い、昨年度には、さらに、計画書の義務のない中小事業所も含め1600件以上の事業所への指導を行っています。ごみの受け入れ先である焼却工場では、日常的に搬入物検査を行い、古紙やびん・かん・プラスチックなど資源化可能なものがあった場合には、その資源物を持ち帰って資源化するようにていねいに指導しています。昨年度だけでも16万台近くのごみ収集車を検査する徹底ぶりで、事業者の側の意識も変わりゴミが激減したのです。京都市の場合はどうでしょうか。事業系ごみの大半をしめる業者収集ごみについて、1年間に1回しか搬入検査をせず、わずか34台にとどまっています。調査回数を増やし、ごみの再資源化を促せば、焼却にまわるゴミの量を大幅に削減できます。京都市には、2300の事業所からごみ減量計画書が提出されていますが、それらの事業所の指導を担当する職員は昨年まで、わずか4人。今年度に入ってようやく7人となりました。4人だったときの立ち入り実施件数は185件にとどまったことを考えても、体制がまったく追いついていません。事業系ごみ対策の抜本的な強化をはかるとともに、「減量計画書」に基づく指導に当たる人員を確保すべきです。いかがですか。
(環境政策局長)廃棄物発生抑制や事業者の経済負担など国に働きかける。事業系ごみは、市ごみ量の半分以上である。家庭系ごみに比べて減量余地がある。今年から大規模事業所のごみ減量指導員を増員。対象事業所を拡大。業者収集のマンションごみの分別徹底、クリーンセンターへの搬入調査強化など事業系ごみの減量・再資源化を強力に推進する。
ごみ袋代を値下げし、市民負担軽減を
次に、ゴミ袋の値段について質問します。生活が厳しくなる中、「せめてこのゴミ袋の値段を下げてほしい」というのが市民の切実な願いです。京都市は、この有料指定ごみ袋を販売して、毎年9億円を儲けています。当初は、その財源をゴミ減量やリサイクル機会の拡大などの市民の取り組みの支援に使うとされていました。ところが実際はどうだったでしょうか。約束どおりに新たなゴミ減量施策・リサイクル機会の拡大に投じられた予算は、今年度で1億4千万円にも届きません。結局、大半は有料化以前からの事業に、税金の穴埋めとして使われました。先の決算議会では、その一部が施設運営費に流用されていたことが、わが党議員の追及で明らかになりました。それでもお金が余るからといって、今年度からは基金に貯め込み、よりいっそう自由に使い続ける仕組みまで作られました。これは、明白な約束違反ではありませんか。余っているのなら市民に還元すべきです。市長、これだけ市民生活が大変なのですから、ゴミ袋の値下げに踏み切るべきです。いかがですか。
千葉県の八千代市では、負担軽減をもとめる市民の声に押され、有料化から四年後にゴミ袋の値下げを行いました。ごみ袋の値下げを行うとゴミが増えるとの与党会派の心配をよそに、実際には、ゴミ袋の値下げを行った年にはさらにゴミが減らせたのです。八千代市や、地元の方にお聞きしますと、ゴミ袋の値段や分別などをめぐる大論争の中で市民のごみへの関心が高まり、それが、ごみ減量の理由になった、とのことでありました。有料化によってゴミが減ったから、この値段をさげるわけにいかないなどという京都市の言い訳は通用しません。京都市においても、ごみ袋の値下げに踏み切るべきです。その上で、市民的なごみ減量の議論を行い、新しい循環型社会推進計画を練り上げるべきです。いかがですか。
京都市は、現在、森林環境税の創設などを検討されているとのことでありますが、本当に環境に役立つのでしょうか。そもそも、広く言われている「環境税」というのは、温室効果ガス排出に対する課税であって、その使い方も、年金財源や減税などの形で市民や企業に還元され、一部分を温暖化対策に投じるというものであります。住民税に上乗せするという安易なものであれば、それは、「環境」を口実にした単なる庶民増税です。その点に留意しなければならないことを指摘しておきます。
(環境政策局長)指定袋制導入目的は負担感をもたせ、ごみ減量・リサイクルを促進するもの。指定袋価格は低いとごみ減量に繋がらない。高くても市民負担が重い。他都市状況を踏まえた価格設定。有料化以降、約2割減少。現行価格は妥当。
左京区のまちづくりについて
最後に、左京区役所移転問題など左京区のまちづくりについて質問します。左京区役所の新庁舎の建設工事が9月から着工されました。しかし、最寄りのバス停から徒歩10分以上、人によっては15分以上もかかる場所に移転するのに、公共交通をどう確保するのか、区民に対しては何一つ示されていません。車に乗れない人が行けないような新庁舎にしてはなりません。区民の意見をよく聞いて、開庁までに新庁舎への公共交通を確保すべきです。いかがですか。また、現在ある吉田の庁舎についても、左京区南部の利便性を確保し、新庁舎への車の集中を緩和するためにも、売却せずに、支所機能を含めた公的施設を残し、左京区南部のまちづくりの拠点にしていくことを強く求めて、第1質問を終わります。
(由木副市長)新総合庁舎への公共交通の確保は地域住民から庁舎整備のワークショップ等を通じ、意見・要望を聞いており重要な課題。周辺道路の整備状況を考慮し、関係部局と総合的に検討を進めている。
第二質問
昨日行われたワンストップ・サービス・デイの様子を私も拝見させていただきましたが、多くの方がご相談に訪ねられていました。年末の実施は協議中との事ですが、一回かぎりの実験にとどめることなく、年末年始の継続した取り組みとすることを重ねて求めるものです。
地球温暖化対策のとりくみについて、国に先駆けて野心的な中期目標を示したと答弁されていました。しかし、大規模事業所に対し、温室効果ガス削減を指導する立場にある京都市こそ、最も自らの行動について襟を正すべきであり、地球温暖化対策に逆行する焼却灰溶融施設の稼動に固執する態度は改めるべきです。以上で、質問を終わります。