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市会報告

倉林明子 議員

09年12月 1日(火)

倉林明子議員の代表質問と答弁大要 09年11月定例市会 本会議代表質問

  日本共産党京都市会議員団を代表し、市長ならびに関係理事者に質問します。

 自民・公明政権の退場という、歴史的な審判を下した総選挙から3ヵ月。今、新政権に対して、「政治を変えたい」という期待とともに、不安や批判の声も広がっています。年末を目前に、「くらし守れ」の願いは切実です。日本共産党は、この声にこたえ議会の内外で、日本の政治をさらに前にすすめるために全力をつくす決意です。

市民生活と中小企業を支えよ

 市長が就任されて2年。市民のくらし、経済・雇用の状況は、深刻さを増しています。有効求人倍率が低下し、9月時点で京都府内高校生の新卒就職内定率が37.6%にとどまり、中小企業の倒産が増加傾向を示すなど、景気悪化が市民のくらしを直撃しています。市民と中小企業の危機に対して、地方自治体として市民のいのちとくらしを支える役割を発揮することが、かつてなく求められています。

 来年度予算は市長にとって3度目の編成となります。市長は10月に開催された財政健全化推進本部で予算編成の重点課題に「セーフティネット」をあげ、「第一に留意すべきは、市民生活と中小企業、京都経済をしっかりと支えること」と訓示されました。一方で、2010、2011年度の財源不足が596億円に達する見通しと合わせて、示された対応方針の内容は、さらなる「行政改革」の推進で、聖域を設けず予算を削減するというものです。この間、財源不足額を確保するために実施されてきた「行革」では、国民健康保険料や介護保険料などの引き上げ、敬老乗車証の有料化など市民サービスを大きく後退させてきました。市民生活を支えると言いながら「行革」を進めるというのは、矛盾しているのではありませんか。市長は来年度の地下鉄の運賃値上げについて「厳しい社会経済状況の中、市民理解が得られるのか、極めて疑問だ」と述べていますが、その通りです。改めて市長の市民生活の現状についての認識をお聞かせください。

(市長)本市の中小企業、地場産業は回復の道筋を見出せず、市民生活は依然として非常に厳しい状況にある。新年度予算で、市民生活をしっかり守り抜くため、真に必要な行財政改革・創造の取り組みを進める。

 さらに、市長が重点とした「セーフティネット」を確かなものとするための提案を行います。第一に、中小企業を倒産させない手立てを尽くすことです。京都市の中小企業、地場産業は京都経済の土台を支え、多くの市民の雇用を確保しています。深刻な危機が続く下で、自らの給与を削ってでも「従業員にも家族がいる」と必死で雇用を守っています。国の雇用調整助成金が少なくない企業を下支えしていますが、要件緩和されたものの抜本的な拡充が求められています。期限の拡充と併せて、中小企業に対しては事業主の雇用保険への加入を認めるとともに家族従業員も対象とするよう国に強く求めるべきです。京都市の独自策として実施すべきは「仕事が戻ってくるまで、なんとか踏ん張りたい」と機械金属など少なくない中小企業に重くのしかかっている家賃やリース代などの固定費を補助することです。9月議会で「固定費は、普通の経済活動では個々の事業者が自己責任で対応すべきもので、中小企業全般に対して幅広く助成すべきものではない」との答弁でしたが、もはや普通の経済状況ではないのです。京都市の企業立地促進助成事業による補助金の交付額は制度創設以来、5年間で総額7億7800万円。そのうち、6億1500万円およそ8割を資本金3億円以上の大企業が受け取っています。これは大企業の固定資産税分などを補助するもので、実質的に固定費補助を京都市は行っているのです。大企業の固定費には補助が出せても、踏ん張っている中小企業の固定費補助がどうしてできないのでしょうか。京都市がやるべきは、中小企業に対する支援です。自治体の判断で制度は可能だとの中小企業庁の判断も示されています。制度の創設を切に求めるものです。お答えください。

 同時に、仕事おこしのあらゆる取り組みを強化することです。その一つが住宅改修助成制度です。府内各地で取り組まれ経済効果を確実にあげてきており、今年4月から制度を開始した京丹後市では130件、助成額は390万円、事業費は2億8587万円となり、経済効果はなんと73倍です。与謝野町では305件、助成額4650万円となり予算を大幅に上回る反響で、事業総額は7億3504万円と、16倍の仕事おこしにつながっています。経済対策としての実行を強く求めます。

  さらに京都府が今年初めて実施した公募型公共事業は、2300百件を超える応募があり、地元中小企業の仕事おこしにつながるだけでなく、住民要望の実現につながり歓迎されています。ところが、市内では対象にならないものも少なくありません。京都市でも同様の事業の創設をすべきではありませんか。今回京都府に応募された提案で京都市の管理する道路や河川改修などについては、具体化すべきです。いかがですか。

(細見副市長)雇用調整助成金は支給要件の緩和が決定された。事業主や家族従事者を雇用保険法の対象とすることは法の趣旨に則さないもので困難。中小企業の固定費は事業者が負担すべき基本的な経費で、中小企業支援の助成制度になじまない。住宅改修助成は、公益性や厳しい財政状況から大変困難。公共事業についての市民からの要望に対しては、土木事務所等で迅速に対応していく。

 第二に、新型インフルエンザの大流行から市民の命を守る取り組みです。死亡者が発生するなど、かつてなく市民の不安が高まっています。優先的に接種すべき人たちに対するワクチンの予防接種が開始され、低所得者には無料で接種できるよう対策が講じられたことは歓迎するものです。優先接種の人にとどまらず、今後予定される一般の方々の接種に対しても低所得者対策を拡充することを求めますが、いかがですか。待ったなしで取り組むべきは、インフルエンザにかかっても病院にいけないという事態を解消することです。厚生労働省も感染の拡大を防止し、重症化を防ぐ観点から、資格証明書の世帯に対して短期証を交付できるとしています。特別な事情にあるのかどうかという世帯の状況は後日確認すれば良いとしているのですから、全ての資格証明書交付世帯に対して緊急に短期証の発行を行うべきです。申請がなければ交付をしないというやり方では、結局受診抑制につながることは明らかです。決断を求めるものです。

(星川副市長)一般の成人は国が定めるワクチン接種の対象外。今後の国の動向を引き続き注視していく。

(保健福祉局長)本市では特別な事情がある場合、短期証を交付しており、今後ともきめ細やかな対応を行っていく。

地方交付税の復活、ムダ遣いをやめよ

 京都市の深刻な財源不足の最大の原因は、2003年度以降で約500億円もの地方交付税が削減されたことにあると、市長も繰り返し説明されています。監査の指摘にもある通り「三位一体改革が引き続き行われれば本市財政は立ち行かなくなる」ことは明らかです。地方財政の深刻な危機の要因はそれだけではありません。国と一体となって進めてきた大型公共事業の大盤振る舞いによる借金の増大があります。京都市では建都1200年記念の一連の事業、中でも地下鉄建設費が膨張したことが、大きく財政を圧迫する要因となったことは言うまでもありません。自民・公明の前政権は、自らが作った財政赤字を理由に、地方には地方交付税の削減と財政健全化法で強制的な「健全化」を押し付けながら、自らは15兆円ものバラマキを行い破綻しました。市長は「三位一体改革」については良いところもあったと言い、財政健全化法は正しいとの認識を示されましたが、これでは自らの首を締め、結果として市民に負担を押し付けることになるのではありませんか。前政権が地方に押し付けた「三位一体改革」と財政健全化法を撤回するよう、新政権に対して正面から求めるべきです。さらに地方交付税については、総務省が前年度比一兆円の増額を概算要求しているものの、行政刷新会議の事業仕分けでは、抜本改革を求めるとしており、地方に必要額が確保できるかどうかが焦点となっています。三位一体改革で削減された交付税は五5.1兆円にものぼり、その復活こそ求められています。交付税の改革に当たっては、一般財源保障制度としての機能を取り戻し、法定率の引き上げで、地方交付税の大幅な増額が必要です。市長の見解と確保に向けた決意を求めます。お答えください。

(市長)地方交付税の総額確保や法定率の引き上げも含めて国に強く求めていく。財政健全化法は意義あるもので、地下鉄事業への国からの支援など、地方の実情を反映した運営を国に求めている。

 京都市も今こそ不要不急の事業に思い切ったメスを入れるべきです。未着工の高速道路三路線について、「一円の税金も使わない」と市長は答弁しましたが、油小路線の斜久世橋区間については2010年度末の完成ありきで突き進んでいます。作っても赤字になる路線であるために、この区間は京都市の道路として整備が進められています。総事業費270億円でこれまでに要した京都市の負担は42億円、さらに14億円が必要となる事業であるだけでなく、財源のほとんどが市債、京都市の借金で賄う計画です。いったん凍結を判断すべきです。また、焼却灰溶融炉がいよいよ完成し、来年6月から稼働するとしていますが、年間のランニングコストが22億円になる事が明らかになりましたが、改めて稼働を中止する事を求めます。いかがですか。

(建設局長)斜久世橋区間の整備により、交通渋滞の緩和、定時走行の確保による二酸化炭素の削減や所要時間の短縮が図られ、本市のまちづくりに大いに貢献する。

(環境政策局長)焼却灰溶融施設の運営にあたり、本市の厳しい財政状況や近年のごみ減量の状況をふまえ、効率的かつ経済的な稼働に努めていく。

社会保障政策の転換を

 新政権が誕生して3ヵ月、国民の願いに応える具体策はどう打ち出されたでしょうか。大きな転換が求められた社会保障政策では、後期高齢者医療制度廃止は新制度創設までの間、制度を存続させる方針が示され、「高齢者を年齢で差別する『うば捨て山』の制度、われわれの一生をどうみているのか」「選挙の時だけの方便か」と、国民には大きな失望と怒りが広がっています。市長は、この制度の廃止について「前の制度に戻すと大混乱になる」と答弁し、廃止を求める声については「京都市では全ての人の保険料が下がった」「一部の保険料が上がった人が声を上げたもの」との認識を示されました。これは事実も、市民の願いをも無視した発言です。国保加入者だけをみれば一時的に保険料が下がったものの、扶養親族となり息子等の健康保険に加入していた人の保険料負担は無かったわけですから、少なくない高齢者の保険料は上がったのです。さらに制度上、2年ごとの保険料改定により大幅な保険料引き上げは避けられないことを新政権も認めています。既に京都府内でおよそ15万筆の廃止を求める署名が集められ、京都市会は昨年の9月議会で「後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書」を賛成多数で可決しています。市長は、市民や議会にも廃止を求める声が多い事実を率直に認めるべきです。また、高齢者を大混乱に陥れた間違った制度をまずは廃止することこそ、市民の願いに応えることだと考えますが、市長の答弁を求めます。

(保健福祉局長)老人保健制度に戻せば混乱することは明らかであることから、新たな制度の創設を現政権で検討中。被保険者・自治体の過重負担とならないよう、また、医療保険制度一本化の早期実現に向けて、国に積極的に意見を述べていく。

 現在、京都府が都道府県単位の国民健康保険事業の一元化の検討を行っていますが、重大な問題があります。これは後期高齢者医療制度の「改革」に迫られた前政権が検討していたもので医療費抑制が大前提となっています。そもそも後期高齢者医療制度は社会保障費削減政策の象徴ともいえるもので、増え続ける高齢者の医療費を「適正化」すること、つまり高齢者の医療費を減らす事が最大の目的として作られました。新たな制度でも「医療費適正化計画」の策定で、都道府県に医療費抑制を競わせるものになりかねません。市長は「国保も制度の限界であり、全国統一的な誰もが安心して医療が受けられる新たな制度の発足を待望している」と答弁していますが、新たな制度を待望する前に、自公政権によって削られた国民健康保険に対する国庫補助の復活こそ求めるべきではありませんか。低医療費政策の延長線上で検討されている国保一元化に対しては、その検討の中止を京都府に対して求めるべきです。いかがですか。

(保健福祉局長)府が検討する国保の一元化について、被保険者が将来にわたり安心して医療を受けられる国保制度となるよう、引き続き、必要な意見を述べていく。

 また、10月に発表された日本医師会の提言では、受診抑制を防止する観点から、患者の窓口負担の軽減を提案しています。日本の医療費の窓口負担は無料が原則の先進国と比較しても、異常に高く、先進国のレベルこそ目指すべきです。当面、子どもと75歳以上の高齢者の医療費の無料化の実現を国に強く働きかけることを求めるものです。かつて、高齢者の医療費無料化は京都府の制度として創設され、全国の制度ができるさきがけとなりました。京都府に対して、子どもの医療費無料化の拡充と合わせた高齢者医療費無料化の新たな制度創設を求めるべきですが、いかがですか。同時に、京都市の独自策として医療費窓口負担の軽減策を拡充することを求めます。お答えください。

(保健福祉局長)子ども医療費、75歳以上の高齢者の医療費無料化は、大変厳しい財政状況の中、地方単独事業として実現することは極めて困難。他都市と連携し、国に対し子どもおよび高齢者の医療費にかかる補助制度の創設などを強力に要望していく。

 さらに、保育所の国の最低基準の緩和が、地方分権の名の下に打ち出されましたが、国の保育に対する責任放棄であり、絶対に認められません。そもそも国の最低基準が策定されたのは、今から61年も前です。わずか、畳7畳に6人の子どもに先生がひとり、遊びも食事も昼寝も、一日の大半を子どもたちが過ごすスペースとしてはあまりにも狭すぎます。今でさえ定員外の子どもを受け入れ、保育所は満杯です。さらに基準を緩和すれば、今以上に狭い部屋に子どもたちを詰め込むことにつながります。園庭がなくても、高層ビルでも認める方向も示されていますが、とんでもありません。待機児解消というなら、保育所の増設こそ進めるべきです。11月9日には京都市保育連盟、京都市日本保育協会、京都府保育協会の3団体が緊急集会を開き、施設基準の見直しに反対するアピールを採択されています。アピールにもある通り、保育所に係る最低基準は国の責任において堅持、向上されるべきです。京都市は、独自の上乗せ配置基準で保育士を確保し、プール制により、民間保育所の質を確保してきた歴史と実績があります。市長は国に対し、最低基準の見直しを行わないよう強く求めるとともに、基準の拡充に向けた積極的な提案を行うべきです。お答えください。

(子育て支援政策監)地方分権改革推進委員会の勧告を受けた゛厚生労働省の方針では、本市における影響はない。本市では、従来から国基準を大幅に上回る改善を行っており、十分な財源措置を今後とも国に要望していく。

 今、新政権に対して最も市民が心配しているのが、増え続ける社会保障費の財源をどう確保するのかという点です。民主党がマニフェストで打ち出した子ども手当に要する費用は5兆3000億円、財源として検討されているのが、配偶者控除などを廃止するというものですが、全世帯の18%、約920万世帯が負担増となり、その平均額は年額4万円にも及ぶという報道もされています。国際的に見ても低い子ども手当の増額は必要なことですが、庶民増税を国民は了解しているわけではありません。

 社会保障の財源となる税金は、能力に応じて応分な負担を求めることを原則とすべきです。大企業や高額所得者に対してこそ負担増を求めるべきであり、株取引で得た所得に対する証券優遇税制などきっぱり見直すよう国に求めるべきです。いかがですか。

(由木副市長)子ども手当の財源は、現在、政府で検討中。地方に負担が生じないよう、他の指定都市とも連携し国に対し要請していく。国の財源は、税制改正等の論議の中で幅広く議論されるべきである。

水族館構想手続きの中断を

 次に、梅小路公園の水族館建設構想について質問します。市長が構想を発表されて以来、市民の疑問や反対の声は広がるばかりです。市長は「丁寧な説明と情報伝達に努める」と言われたものの、どんな水族館になるのかさえ、未だ市民にも議会にも知らされていません。京都市からの情報提供がないまま、1800㎥のイルカプールをメインにした構想をもっていることが、オリックス不動産が国に応募した環境モデル事業の内容で明らかになりました。本気で市民に説明する気があるのなら、全ての情報をなぜ知らせないのでしょうか。市民の声を受け止め、水族館構想は一旦白紙に戻すべきです。

 水族館に対して反対の声が広がる中、京都市が提案してきたのが、JR鉄道博物館とセットにした梅小路公園再整備の提案です。水族館もJR鉄道博物館も、いずれも都市公園法上では教養施設であり、既存施設と合わせて公園面積の12%が建築面積の上限です。ところが、鉄道博物館の建設面積だけでこの上限を超え、明らかに都市公園法に反する構想となっています。建設局は屋外展示ゾーンがあるとして都市公園法違反ではないと強弁しますが、屋内も屋外も一体の教養施設となることは明らかです。本来都市公園は、公共オープンスペースとしての基本的性格があると同時に、災害時の避難地・避難路としての機能があります。そのため、原則として公園面積の2%までしか建築物は建てられません。この間の規制緩和で建築できる建築物や面積上限に特例が認められたものの、本来の都市公園の機能を後退させることがあってはなりません。梅小路公園は下京区内で唯一の広域避難場所であり、避難面積の確保は最優先されるべき公園です。公園管理者でもある京都市が、都市公園機能を後退させる計画を持ち込むこと自身あってはならないことです。水族館建設は既定の方針だと突き進めば、市民の反発はいっそう強まる事でしょう。市長は徹底した情報公開と説明責任を果たし、改めて市民の意見を真摯に聞く必要があると考えませんか。そのためにも一旦、構想手続きは中断すべきです。いかがですか。

(由木副市長)事業者がまちづくり条例に基づく見解書を作成中。建築計画や展示内容も固まり次第、公表される。事業者が情報を積極的に公開し説明責任を果たすことは当然のこと。商店街をはじめとする地域の方々に積極的に説明し、意見を聞くよう事業者に求めており、必要に応じて本市も参画していく。

市立看護短期大学の存続、拡充を

 市長の方針だと強引に進められているのが、京都市立看護短期大学の廃止手続きです。関係者が長年望んできた、市立看護短期大学の四年制大学化の願いを踏みにじるもので、到底納得できません。一方的な方針決定と同時に、問答無用で来年の入学生の募集を停止したことは学校関係者にとどまらず多くの市民に怒りを広げています。あかね同窓会は臨時総会を開催し、募集停止の撤回を求める決議を採択、存続を求める署名は25日に追加提出され、1万筆を超えています。副市長が意見を聞いたという私立大学関係者は「市看の四年制化は税金の使い方の間違いだ。市がやるのではなく私学への助成をすべき」と発言されたとのことです。市民の税金の使い方について、私立大学からの意見は聞いても、市民の意見がなぜ聞けないのか。聞く相手を間違っているのではありませんか。4年制の大学化に必要な費用は20億円、来年からの稼働が予定されている焼却灰溶融炉の運転にかかる費用は22億円、1年間稼働を延期すれば作れる財源です。同窓会の決議、寄せられた署名の重みをどう受け止めているのか。説明を求めます。

 市長は当選直後、市職員に対して「温もりのある市政運営を」と市民の目線を大切にし、謙虚で公正、相手の立場を思いはかる行動が大切だと説いています。市長自らがこの立場にたってこそ訓示も生きるものです。市立看護短期大学の廃止方針を撤回し、来年度の学生募集を再開することこそ、市民の目線を大切にし、市民の声を謙虚に受け止めることと言えるのではないでしょうか。市長の答弁を求めます。

(市長)これからの看護職員の養成と確保について、公と民の果たすべき役割を見直し、民の力を活かして、看護短大の四年制化を実現するとともに、公として、すべての私大看護学生に対する奨学金制度の創設や看護職員の離職防止対策等に取り組むことにしたもの。 今後とも、様々な意見を参考にしながら、この方針の具体化にとりくみ、将来の京都市における優れた看護職員の確保対策に万全を期していく。

民間保育所補助金の拡充を

 最後に民間保育所に対する補助金について質問します。07年11月、大阪国税局の税務調査で保育連盟における使途不明金の発生を保健福祉局が把握してから、2年。今回の一連の調査で全容は解明されたと言えるでしょうか。京都市が保育連盟の市職員OBと行ってきた公金の執行、管理のずさんさは驚くばかりです。保育連盟に多額の余剰金を発生させ、会計上は表に出ない簿外処理を容認するだけでなく、その使い方まで決めてきたのが京都市自身だったということです。遅くとも1982年には余剰金の発生が確認され、同年に簿外処理もしていたと推定されています。監査は「不適切な公金の処理に所属長等の幹部職員の関与や了解があった」と断定、つまり京都市が、組織的に間違った公金の処理を行ってきたという指摘です。今回の使途不明金の発生の土壌を作った京都市の責任は重大であり、保育行政に対する市民の信頼を失墜させた責任が問われた問題です。ところが、「責任の大半を保育連盟の元常務理事に押し付けて幕を引いた」と新聞が報道しましたが、まさにその通りではありませんか。身内に甘い京都市の体質を示すものだといわざるを得ません。市長の認識を問うものです。お答えください。

(市長)特別監査の指摘をふまえ、事務処理の適正化を指示するとともに、関係職員の処分、今議会への補助金条例の提案など、保育行政に対する信頼回復に取り組んできた。連盟の使途不明金は、連盟による徹底的な調査が行われ、市への返還も始まっている。法的な対応も準備されており、本市としても十分に助言・指導していく。

 問題なのは、6000万円を超える使途不明金が一体何に使われていたのか、いっさい明らかになっていないという点です。市職員OBと京都市しか知らなかった公金の執行に関わって発生している不明金です。OBの個人的流用だったのかどうかも含め、公金が何に使われたのか。徹底した解明を行うべきだと考えますが、いかがですか。

 多額の剰余金が問題になりましたが、その大半が保育の向上に使用されていたとの調査結果を踏まえれば、民間保育所の運営には欠かせない補助金だったことは明らかです。これを機会に、民間保育所に対する補助金などを削減する動きがありますが、とんでもありません。現在進行しているプール制検討委員会に対しても、保育園関係者から運営費が削減されるのではないかと心配の声があがっています。今、京都市が行うべきは、制度の透明性を図り、適切な事務執行へ直ちに改善することと同時に、民間保育所の運営費を拡充することです。長年、京都市の保育行政の中核となって奮闘いただいている民間保育所の現場に財政難のしわ寄せを押し付けることがあってはなりません。来年度、民間保育所運営費の拡充を行うことこそ、京都市保育行政に対する信頼回復につながるものだと考えますがいかがですか。お答えください。

 以上、私の第一質問を終わります。

(星川副市長)民間保育園への援護費について、特別監査の指摘をふまえ、すみやかに事務処理の適正化を図った。プール制については、時代の要請に即した制度の在り方について検討委員会で抜本的に議論中。適切かつ効果的な執行をはかり、保育水準の向上と保育行政の信頼回復に努めていく。

第二質問      

 総選挙の審判を下した市民の声を、市民の切実な願いを市長はどう受け止めたのでしょうか。後期高齢者医療制度の廃止を求める声が、なぜ真摯に受け止められないのでしょうか。

 市民の声が聞けないという姿勢は、水族館構想でも市立看護短期大学についても同様でした。市長が決断した事でも、市民の声を謙虚に聞く姿勢がトップには求められます。自分が決めた事は何が何でも押し通すという態度は、まず改めるよう強く求めるとともに、民間保育所の補助金については、市長自らの反省が全く感じられない答弁でした。これでは、保育行政にかかる信頼回復はできない。強く指摘して質問を終わります。