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市会報告

北山ただお 議員

09年10月 1日(木)

北山ただお議員の代表質問と答弁大要 09年9月定例市会 本会議代表質問

 私は、日本共産党市会議員団を代表いたしまして、先ほどのくらた共子議員に引き続いて、市長並びに理事者に質問をいたします。

 先の総選挙では、国民に貧困と格差の拡大を押しつけ暮らしや雇用を破壊してきた自民公明の政治にきっぱりとした審判が下り、新しい政権が発足しました。日本共産党は、国民にとってよい政治は大いに推進し、悪い政治とはしっかりとたたかっていく「建設的野党」として奮闘していく立場を表明しています。国民の期待に応えて住民の声が実現する政治に向けてがんばる決意です。

国の責任で地方自治体の「財源不足」の解消を

 質問の第一は、「地方分権」の名による自治破壊、地方切り捨てを許さず、財源を確保して地方自治を発展させることについてであります。

 京都市は、今議会開会直前になって、今年度一般会計予算が155億円の財源不足になるとの見通しを発表されました。今年度の予算審議の中でも、京都市は今後3年間で財源不足額が964億円にのぼるとし、国民健康保険料をはじめとして施設使用料や児童館使用料など軒並み公共料金の値上げを強行したばかりです。深刻な財源不足の最大の要因は、市長が「第2回財政健全化推進本部会議」の訓示でも述べられたように、「地方交付税が平成15年度から20年度にかけて、約500億円減額されたこと」にあるのは明白です。しかも、その原因が不況による税収不足とされていますが、不況は自民・公明政治の構造改革の押しつけで営業が成り立たなくなったことによるものであり、国民のせいではありません。新しい政権は、「地域主権の確立」を掲げています。今こそ国に対して地方自治体財政確立に向けて財政確保するよう真剣に求めるべきでありますが、市長の決意を求めるものです。

 同時に、市長は先ほどの会議の中で「市民のいのちと暮らしを支える施策を後退させることは断じてない」と述べています。その決意を市議会でも述べていただくこと、さらに市民生活に多大な負担を押しつけて事態を乗り切ろうとする「未来まちづくりプラン」はきっぱり撤回すべきではありませんか。

 今議会に提出されている京都市バス・地下鉄会計決算で見ると、市バスの資金不足比率59.7%、地下鉄は133.5%となっており、財政健全化法に基づいて健全化計画を策定し、来年の予算議会で審議することになっています。ご存じのように公営企業は初期投資が莫大であり、収入も料金に頼る独立採算性が義務づけられていますから、公共性と経済性を経営の原則としながら経営は大変厳しい状態にあります。にもかかわらず、財政再生団体になる前から健全化計画が義務づけられ、国への報告義務や総務大臣の勧告など、自治体に対する国の関与を強めるものでしかありません。その上、総務大臣は財政再生団体に対して予算の変更を勧告できるというのですから、予算編成権という自治体の権限まで侵されかねないことになります。まさに地方分権に逆行するものです。勝手な線引きで地方自治体の主権を脅かす健全化法は認めず撤回させることが必要と考えますが、市長の見解はいかがでしょうか。明確な答弁を求めます。

(市長)本市財政は極めて深刻な状況。地方交付税の改革をはじめとした大都市の税財源の拡充を、国に対し強く要望している。
 「京都未来まちづくりプラン」は、危機的財政状況下でも、福祉・教育の充実をはかり、将来の京都に必要な施策・事業の道筋を示したもの。「プラン」に掲げる重点政策を着実に推進し、「京都に住んでいて良かった」と実感できるまちづくりをめざす。財政健全化法は地方自治体が議会の議決を経て早期健全化の取り組みを自主的に進めることをめざすもの。経営健全化計画の策定に向けた取り組みを着実に進める。

 市バス・地下鉄の赤字は決して市民や行政の責任ではなく、地方公営企業法による独立採算性の押しつけや国の補助制度がきわめて劣悪なことにあるのは明確です。前市長及び現市長も、本会議答弁や市長総括質疑の中で「地下鉄事業は一都市で建設するには厳しい。国家的な事業とすべきだ」という趣旨を述べられました。さらにバス事業に対しては、大都市での補助制度はなく、地下鉄建設については実質2割そこそこの建設費補助や、安全対策バリアフリーなどの施設補助が少々あるだけで、これでは赤字体質から脱却することは大変厳しい現状にあります。日本共産党は、予算要望の中で地下鉄建設費の補助制度の抜本的改善、運営費補助制度の実現、バス補助制度の実現を一貫して求めてきたところであります。京都市においては国への要望や政令指定都市の国要望で「地下鉄事業に対する財政措置の拡充」を掲げていますが、今こそ腹を据えて国に対する要求を実現できる時であります。市長の決意を伺います。

 更に、地下鉄の健全化計画では、「5年ごとに5%の運賃改定」を掲げていますが、市民生活がこんなに厳しいときに値上げができるような状態でないことは明らかではありませんか。市バス・地下鉄事業経営健全化有識者会議の中間提言においても、運賃改定については次のように述べています。「収支上5年ごと5%の運賃改定は将来の資金不足抑制のための不可欠な条件となっていることは理解するが、改定が旅客減につながる可能性がないか、将来に渡って毎回実施し続けることができるかどうか疑問。増客対策に最大限努力すべき」。つまり、値上げという言葉はわかるが、実際は乗客増に徹すべきだ、と云うことでしょう。運賃値上げ計画はきっぱり撤回するべきと考えますが、いかがですか。

 同時に、地下鉄烏丸線の転落防止柵の設置は焦眉の課題です。国においても設置を義務づける方向に進んでおり、他都市における積極的なホーム柵設置の取り組みに学ぶべきです。早急に具体的な検討を行い実現に踏み切るよう求めるものです。いかがですか。

(由木副市長)地下鉄事業への支援を最重点要望の一つに位置付け、精力的に国に要望。「経営健全化出資金の継続」や「企業債償還期間の延長」なくして地下鉄の健全化はない。多額の資金不足解消には運賃改定を見込まざるを得ない。烏丸線の可動式ホーム柵設置は国による財政措置の大幅な拡充なしには設置は困難である。

市バス事業の充実、バス待ち環境の改善を

 次に市バス事業について質問いたします。

 京都市バスは、通勤通学、お買い物、観光、社会参加など1日31万6千人の乗客を運ぶ重要な交通手段であります。他都市との比較を見ましても、格段の輸送シエアーを誇っています。

 去る6月9日に、山科区鏡山学区自治連合会が、学区の中心部から地下鉄やJR駅に向かうバス路線の新設を求め、4118人の署名を添えて京都市交通局と京阪バス会社に要望書を提出されました。自治連合会の松下会長は「私はいつも地下鉄もバスもない鏡山から来ました、とあいさつしている。私たちの意図を汲み上げて欲しい」と訴えられました。山科区長や山科選出の市会議員6名も立ち会い、実現を強く求めたところであります。

 山科区では市バスが廃止されてから、地下鉄沿線は大変便利になりましたが、駅につなぐバス路線が不足しており、山科南西部の住民の方や、東部地域の方、北部などの方から「循環バス路線をつくってほしい」「地域から乗り換えなしで区役所やJR駅にいけるようにしたい」などの要望が出され、これまでも交通局や京阪バスに要望がされています。

 市内各地を見ましても、右京区の高雄地域や北区の西賀茂北部地域、伏見区向島や藤城地域、南区、左京区北部など市内周辺部では循環バスを求める声やダイヤの改善、始終発の延長など多様な要望が寄せられており、バス停留所での上屋やベンチ、点字ブロック、バス接近表示システムなどのバス待ち環境の改善を求める要望が相次いでいます。「交通権」という言葉も市民権を得ているように、市民の自由な移動を保障することは行政の責務であり、同時にバスに寄せる市民の期待も大きいのです。

 そこで、いくつかお尋ねいたします。

 第一は、バス待ち環境の充実です。夏の暑い日に高齢者の方が「バス停にベンチもなく、屋根もないためバスを待つのが苦しいです。何とかなりませんか」とか「バスがなかなか来ないのに立っているのがしんどい」と訴えられました。長寿社会になっていることもありますが、バスを待つのにベンチや屋根を設置することは最も身近なサービスではないでしょうか。私は山科区内のバス停の調査を行いましたところ、全バス停72ヵ所中、屋根があるバス停は18ヵ所・25%、ベンチは16ヵ所・22%でしかありませんでした。東山区で調査をした結果では、上屋が51%、ベンチが31%、接近表示が38%です。均一区間の市バスの停留所調査では、上屋34%、ベンチ35%となっていてまだまだ少ない現状です。バス停のベンチや上屋設置の要望に対して、理事者は道路管理者との協議や設置基準、財政問題などを理由に消極的な態度ですが、乗客を増やすためのもっとも具体的で親切なサービスなのですから、今こそ徹底した具体化を求めます。明確な答弁を求めます。

 第二に、利用者や市民、関係者の声を真摯に受け止めるための常設的な意見を聞く場を設けることです。経営健全化計画になると有識者会議などが開かれますが、ここでも市民・利用者の声を聴取することがありませんでした。定期的に声を聞くチャンスをもうけることは事業者の責任です。

 第三は、バス均一区間を市内一円に広げることや、1日・2日乗車券、昼間割引回数券  など観光客や市民からも要望の強いバス乗客サービスを思い切って拡大することです。修学旅行生や他都市からの観光客の方から「わかりにくい」「説明が不足している」「観光地を回るのには不便だ」といった声が寄せられていることはご承知の通りです。バス乗務員の方も「いちいち説明しなくてはならず、いっそのこと全市内共通が良いのではないか」といっておられました。観光都市・京都をこれほど売りにしているのですから、バス乗客サービスを思い切って拡大すべき時に来ているのではありませんか。均一区間を市内一円に広げること、そして1日・2日乗車券や昼間割引回数券などのサービスを拡大することを求めますが、いかがですか。

 第四に、市民からの要望の強いコミュニティバスや循環バスを実現することです。冒頭に鏡山学区の声を紹介しましたが、バス困難地域といわれるところに住んでいる方にとってバス路線の拡大や循環バスの実現は大きな願いです。もちろん交通局だけの努力では様々な困難がありますから、都市計画としてバス困難地域解消に努力すべきですが、いかがでしょうか。

(由木副市長)これまでからバス待ち環境の改善に取り組んできた。様々な方法で、利用者・市民の意見を恒常的に聞いている。乗車券等のサービスについて、民間の事業者と協調し様々な企画乗車券の発売などに努めている。均一運賃区間の拡大は一つの方向性。大きな課題もあるが、引き続き研究していく。コミバス導入は地元の主体的な取組の機運が高まった地域に対し、情報提供などの支援を行う。

「車の総量規制」つよめ、高速道路3路線の中止を

 次に、「歩くまち・京都」について質問します。

 9月9日に開かれた「第5回 歩くまち・京都総合交通戦略策定会議」で水田交通政策監は「たくさんの市民の皆さんから意見が寄せられ、しかも通常は反対する意見が多いのに、今回は積極的な声が多く期待がしめされている」と述べられましたが、まさに人が主役の魅力あるまちづくり、公共交通優先の歩いて楽しいまちは市民の願いです。

 私は、その中でも最も要となるのは「車の総量規制」をどう進めるのかということだと思います。新政権は高速道路の無料化を掲げていますが、どんどんマイカーが京都市内に流れ込めば、まちなかはいっそう混雑するばかりで、温暖化防止にも逆行する事態となります。一連の総量規制に対する真剣な取り組みを具体化すべきですが、いかがですか。

(交通政策監)車の総量抑制は難しい課題で総合的な施策の展開が必要。近く策定の「歩くまち・京都」総合交通戦略を積極的に推進し車の総量抑制を実現する。

 同時に、車の総量規制は地球温暖化防止と一体のものです。先の国連総会で、鳩山首相は、日本が温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減すると表明し、これまでの政権に比べて画期的な中期目標を示しました。日本共産党も、総選挙政策で「地球温暖化をくい止める国際的な責任を果たし、地球環境を守ること」を訴え、25%削減を大いに期待するものです。京都市は、議定書発効の地として当初「10%削減」を掲げておりましたが、目標達成には厳しい現状です。京都市は、環境団体や市民団体の反対の声を押し切って、市内高速道路建設を強行してきましたが、今こそ世界の流れに沿って、残る高速道路3路線については明確に中止を宣言すべき時ですが、市長の決断を求めます。

(建設局長)京都高速道路の整備は、地球温暖化対策に寄与するとともに、活力ある本市のまちづくりに貢献するもの。残る3路線は、総合的な交通体系の構築や社会経済情勢等を勘案し、必要性も含め、そのあり方を検討していく。

梅小路公園の水族館計画は白紙撤回を

 次に梅小路公園の水族館計画について質問します。今年7月、オリックス不動産とJR西日本は京都市に「京都水族館整備構想及び京都鉄道博物館構想」の届出を連名で提出、7月29日には「京都市まちづくり条例」に基づく住民説明会が行われました。

 事業時期も事業内容も大きく異なる二つの計画が一体の開発構想として提出されるなど異例の手続きとなっています。また、説明会の席上で京都市は、水族館計画は既定の方針であり見直しの考えがないとの態度も表明しました。

 オリックス不動産の水族館構想に対する京都市の対応ははじめから異例続きです。昨年7月に構想が持ち込まれると直ちに「京都水族館整備検討委員会」を立ち上げ、検討委員会が「計画妥当」との答申をだして以降、一気に既定方針とばかりに事態を推移させてきました。「市民しんぶん」に水族館特集を組む、また、この6月にはオリックス不動産とJR西日本の構想を前提にした「梅小路公園再整備の方向性(案)」を作成し、市役所や区役所の窓口に置くなど、異例の力の入れようです。

 しかし、市民の反応はどうでしょう。計画構想に対する疑問の声が相次いでいるではありませんか。昨年秋の市民意見募集では寄せられた意見の7割以上が反対意見でした。7月29日に行われた住民説明会でも反対や計画の再考を求める意見が相次ぎました。さらに7月13にから8月10日にかけて行われた水族館と鉄道博物館構想に対する意見募集では「水族館計画は反対」「動物保護の観点からも反対」「なぜ一つの構想届けなのか」「説明会のやり直しを」等々、反対意見や疑問、不安の声が9割以上を占めました。

 市長にお聞きします。水族館など二つの構想が連名で出されて以降はじめての住民説明会や意見募集で9割以上の市民が反対や疑問の声を上げたことをどのように考えますか。市長はかつて「過去にも反対運動があったが、断固たる決意で行政を進めてきた」と開き直りの発言をされ、8月5日の記者会見では、「説明会としてはうまくいった」「良い説明会だった」とコメントされましたが、今後も市民意見に耳を貸さず、計画は既定の方針どおりの態度をとり続けるつもりですか

 今、様々な団体・個人の皆さんが水族館計画などに反対し、疑問を投げかける運動を展開されています。過日、5つの市民団体から水族館整備構想検討委員の皆さんに公開質問状が出され、水族館と鉄道博物館の二つの構想が実行されると梅小路公園の本来の性格が損なわれることになり、「答申」の再検討が必要であることなどの指摘がされました。マスコミも「社説」で京都市は市民が納得する説明をしていないことを指摘しています。こうした市民の指摘や疑問の声は市長に届いていますか。市民の様々な運動と指摘にもとづいて、両計画はきっぱりと白紙撤回すべきと考えますが、お答えください。

(市長)説明会の状況や提出された意見書はすべて承知している。反対意見の中には誤解もあり、水族館に期待する声もある。今後とも、丁寧な説明と情報伝達に努める。水族館計画は、財政の厳しい本市で、地域経済の活性化、市財政への寄与など得られるメリットは非常に大きい。梅小路公園に水族館・鉄道博物館を新たに迎え、日本を代表する公園として、魅力を発信するものとなるよう取り組んでいく。

市営住宅の改善、エレベーター設置を

 次に、市営住宅に関して質問いたします。 現在、京都市では約2万戸の住宅を管理していますが、住宅審議会の公的住宅小委員会報告でも「住生活の分野において憲法第25条の趣旨が具体化されるよう、公平かつ的確な住宅セーフティネットの構築を図る」と述べられているように、今こそ福祉としての住宅政策が求められています。

 質問の第一は、新たな市営住宅の建設を行うことです。国において新規住宅建設はストップさせる方針の下で、本市においても新たな住宅建設がストップし、木造住宅の建て替えや特定優良賃貸住宅の供給が中心となっています。住宅審議会において、住宅の空き家対策でストック活用すると云っていますが、市営住宅の募集に対する申込倍率が6月の募集で平均16・5倍になっていることにしめされるように市営住宅確保は重要な行政課題です。積極的に用地を確保して新規住宅建設に取り組むことを求めるものです。

 第二は、市営住宅の修繕負担区分を見直し、行政の責任分を増やして快適な住環境を確保することです。「風呂がまの修繕を」「流し台の更新を」「大型ごみの撤去を」という声がたくさん寄せられています。こうした修繕部分は思い切った見直しを行い京都市負担にすべきことを強く求めるものです。また、風呂のない市営住宅には、市の責任で風呂を設置されるよう求めておきます。

 第三は、中層住宅のエレベーター設置を完了させることです。市営住宅入居者の3割が高齢者であり、今日の社会環境から見ても全住宅にエレベーターの設置を行うことは社会的な要請です。エレベーター設置による電気代などの共益費負担がネックとなっている点については、住宅入居者の所得が低いこともあり福祉的観点で支えるべきではありませんか。

 第四は、空き部屋対策です。最近の京都市の調査では、空き室が一般住宅で915戸となっています。国の補正予算も活用して一定の改善はされたものの、まだ一部にしかすぎません。早急な改善を求めます。

 第五は、家賃値上げは行わないことです。昨年、公営住宅法の施行規則が改悪され、入居者の収入基準が引き下げられました。家賃減免制度の見直しや公営住宅における定期借家制度の導入の検討などが「市営住宅の住宅セーフティネットの構築」と称して行われようとしていますが、現下の社会情勢のもと、住民負担とならないよう強く求めます。

 以上5点について答弁を求めます。

(都市計画局長)住生活基本法で「量」から「質」への政策転換がはかられ、ストックの有効活用が求められている。厳しい財政状況のもと、新たな市営住宅の建設は考えていない。既存の市営住宅について、空き家の整備による公募個数の増加やエレベーターの設置に引き続き取り組む。修繕費用や家賃などの入居者負担については、住宅審議会での審議の結果をふまえ、適正な負担となるよう努めていく。

30人以下学級の実現、定数内常勤講師の正採用を

 次は、教育に関して2点お尋ねいたします。

 教育とは、すべての子どもが持っている成長・発達する権利を保障するための社会の営みであります。とりわけ学校教育は、すべての子どもに基礎的な学力を保障し、子ども達が社会の主人公として行動できる能力の基本を身につけることを助ける責任をおっているのです。

 質問の第一は、小中学校において直ちに「30人以下学級」を実現することです。少人数学級は、子ども達をていねいに育てるために必要な条件であり、学校現場や保護者の中でも強い要望であります。この間お会いした先生方からは「電子黒板よりも先生を増やしてください」との強い要望がありました。又、ベテランの先生からは「今の学校現場を見れば、先生を大幅に増やすことこそ国の責任。新しい政治になったのだから何としても実現して欲しい」と訴えられました。世界の現状を見渡してみますと、経済協力開発機構(OECD)加盟の30ヵ国の平均から見ても大幅に遅れています。OECD平均で見ると、小学校は1クラス21.4人、中学校で23.9人で、日本は小学校で28.2人、中学校で33.2人です。民主党マニュフェストでは、「OECD加盟の先進国平均水準なみの教員配置をめざし、少人数学級を推進する」としています。教育条件の改善をめざす新しい政治の下で、小学校中学校の全学年で30人以下学級の実現を強く求めるものです。市長の決断を求めます。

(教育長)本市は全国トップレベルの少人数学級を推進している。30人学級の本市独自の実現は、毎年約80億円が必要で、実施は困難。40名の学級編成基準の引き下げなど教職員定数の抜本的名改善を国や府に強く要望していく。

 第二は、小中学校教職員の定数内常勤講師の問題についてであります。小中学校の常勤講師は現在927名。本来正規職員として配置すべきものであります。現在学校現場では、過労死ラインを超える過酷な教職員の勤務と超過密勤務を余儀なくされている実態があることは、文部科学省勤務実態調査にもしめされています。マスコミも教師の働き方の問題を大きく報道するなど、教職員の働き方の問題が大きな社会問題となっています。調査に携わった小川東大教授は、「先生の長時間勤務なしには、学校経営が成り立たなくなっている。こんなに休息時間が少ないのは労働基準法違反の状態だ」と述べておられます。ぎりぎりの努力で教育に携わっている定数内常勤講師については、直ちに正採用とする事を求めるものですが、いかがですか。

 同時に、非常勤講師についても、学期ごとの採用ではなく、少なくとも1年間雇用する先生については、年間を通じての採用とすべきです。

(教育長)常勤講師は期間を限定した任用が大半を占め、正規教員を採用しての配置はできない。将来の児童生徒数の減少に備え、1年ごとに任用する常勤講師の一定数確保は必要。常勤講師は、正規教員とほぼ同等の勤務条件が保障されている。

休日急病診療所の廃止計画はやめよ

 最後に、京都市休日急病診療所廃止計画についてお尋ねいたします。

京都市は今年度予算の中で、市内3ヵ所で実施している休日急病診療所を廃止して2年後に二条駅前に開館予定の京都市医師会館内に統合しようとしています。今、小児救急や医師不足が社会問題になっている中、休日に安心してかかることのできる診療所を廃止することは社会の要請に逆行するものです。しかも、山科休日急病内科小児科東診療所は、地域の方々、とりわけ若いお母さん方の強い要望で設置されてきたものであります。現に、この間の利用者数を見ますと、小児科で年間およそ2000人、内科でおよそ600人の方が受診され、地域の救急病院と遜色のないほどです。山科社会保障推進協議会では、さっそく廃止計画に対してアンケート活動に取り組まれました。その結果を見ますと「小さい子どもを遠くの病院で診てもらわないといけないのは不安です」「休日は小児科の先生がいない」「休日に子どもが熱を出すことがあり気軽にかかれるところが無くなると困ります」など、不安の声が大変多いのです。

 もちろん山科にも、休日に救急患者を受け入れる医療機関はあります。しかし、気軽にかかることのできる診療所は住民の心のよりどころです。いのちを守る大切な役割を果たしている山科休日急病診療所は是非とも存続させるべきと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。

 以上を持ちまして、私の質問を終わります。

(保健福祉局長)来年秋に二条駅前に開館予定の新医師会館に統合することで交通の利便性が高まり、診療体制の充実も図れる、山科・醍醐地域の医療体制では、近隣3箇所の救急告示病院等で十分に診療できる。