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市会報告

さとう和夫 議員

08年12月16日(火)

2007年度一般会計決算等についての反対討論 08年11月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党市会議員団を代表して、報第14号・平成19年度一般会計歳入歳出決算および23号については、認定せずとの立場を表明していますので、その理由を述べて討論します。
 そもそも、H19年度は国による構造改革に基づく国と地方の「三位一体」の改革が行われ、本市においても財政非常事態宣言のもと「財政健全化プラン」と「市政改革実行プラン」及び「京都市基本計画第二次推進プラン」が進められた桝本市政の最後の年度でありました。
 特に、H19年度は国による定率減税の廃止など税制改正で国民負担増8兆円が押しつけられた年でもありました。本市においては市民税の増税通知による各区役所などへの来庁者は六月のわずか15日間に15,700人、国民健康保険料の通知書が送付され区役所などへの来庁者は22,000人にものぼりました。年金生活者を中心に、延べ四万人近くの市民が新たな負担増の不安にかられ区役所の窓口に殺到したのであります。すなわち、この間の構造改革による税制改正で、H17年以来、控除対象配偶者の上乗せ部分の配偶者特別控除の廃止、生計同一の妻の均等割非課税措置の廃止、さらに老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮減、65歳以上の者に係わる非課税措置の廃止、非課税限度額の見直しなど課税ベースの拡大の積み上がりで39億円、また定率減税の縮小廃止で66億円、合計して市民に約100億円超の負担増が押しつけられたのであります。本決算では市税徴収率が増加したことを自慢していますが、個人市民税の普通徴収分はH18年度の97・0%からH19年度は95・6%に大幅にダウンしたのは、市民のおかれている暮らしの苦しさからではありませんか。
 その一方では、上場株式等の譲渡益と配当金に係わる軽減税率適用に伴う本市の減収額は個人市民税や府税交付金の合計は15億9000万円にもなっています。本市の市税減収分は地方交付税で補填されたわけではありません。老年者控除の廃止と公的年金等控除の縮減と65才以上の者に係わる非課税措置の廃止など年金課税の強化分だけでも16億円の市税収入が増収となっています。まさに庶民増税で金持ち減税してやる逆立ちそのものではありませんか。
 にもかかわらず、門川市長は決算の実績報告で「H19年度の一般会計の収支状況は、地方交付税や臨時財政対策債が大幅な減収となったものの市税収入の増収や減収補てん債の発行に加え特別の財源対策として公債償還基金からの借り入れ」で、「三年連続の実質収支の黒字」を確保したと得々と説明しています。市財政が苦しいのは、国と地方の「三位一体の改革」がもたらしたものではありませんか。すなわち、国が財政再建を理由に地方交付税を削り、社会保障費を毎年2,200億円ずつ抑制していることが、地方自治体の本来の役割である住民福祉を破壊しているのです。
 そこで、一般会計決算の認定しない理由をのべます。
 第一に、ゆりかごから高齢者の命の綱の緊急通報システムまで事務事業の見直しで市民サービスを大幅に後退させてる点です。保育所定員外入所の拡大で定員を大きく超える入所児童数となっていますが、保育水準を高めるためのプール制への本市の補助は据え置いたままです。保育水準を下げるか職員処遇を切り下げるか、民間保育園を締め付けています。学童保育の充実に関しても179学校区のうち、3割は学童クラブ事業がありません。就学援助制度や市立高校授業料減免制度はH18年度の切り下げを継承しています。学校運営費も2割カットのままです。市バス・地下鉄に乗れる敬老乗車証は手続きを煩瑣にすることで交付率はH16年度の70%から53%まで落え込み1億4000万円も減額しています。高齢者に市バス地下鉄を利用させにくくすることで本市負担を減らそうと言う下心が見え透いています。在宅支援の緊急通報システムの補助も減額しました。
 第二に、市民の反対を押し切って導入した指定ゴミ袋の有料化は第二の住民税である実態がはっきりした点です。指定ゴミ袋の有料化で市民が納めたお金は約21億円、半分が手数料に消えて、予算計上された13億円のうち新規事業3億3000万円の半分しか執行できず多額の不用額を出しています。今回の未来まちづくりプラン案では他の部局の事業に回されることがはっきりしめされました。京都市のすべての事務事業は京都議定書の温暖化ガス排出抑制が課せられるとの論法ですべての事業に流用できるのであれば、結局第二の住民税だったということではありませんか。
 第三に、財政難をいいながら不要不急の大型事業を続けている点です。
公共交通の優先や歩いて楽しいまちづくりに逆行する不要不急の京都高速道路5路線計画を前提とした斜め久世橋線建設を進めています。東北部クリーンセンターの焼却飛灰溶融炉の改修や東部山間部の焼却灰溶融施設整備43億円など温室効果ガスの排出抑制に逆行する不要不急の事業まで含まれています。同和特別扱いの清算が問われる中で、コミセンや市立浴場への支出があります。
 第四に、「財政健全化プラン」の仕上げで職員1300人のリストラの結果、職場での人手不足は慢性化し年1000時間を超える超勤者は49人にも達している異常な事態となっている点です。特に、教育委員会出身の市長の下で事務職員に時間外勤務命令をだしながら、サービス残業の実態を隠蔽する二重帳簿もつけていました。未払い残業は年間5万時間を超えているなど、労働基準法違反がまかり通る「現代の蟹工船」職場ではありませんか。その一方では、教育委員会のタクシーチケットの利用は、およそ公務による残業とは思えない場所といえる深夜の木屋町界隈から自宅までという記載のものまでありました。いったい法令遵守はどうなっているのですか。
 第五に、市長をはじめ京都市の多数の幹部職員が、日本共産党以外の市議・会派が懇親目的で開くビアーパーティや新年会、正副議長の就任祝賀会などの出席費用として、公費である交際費を使っていたことが明らかになった点です。また、日本共産党を除いて「正副議長・議運理事との懇談会」「市会運営委員会との懇談会」を開催し、交際費を支出していることも判明しました。これは行政を監視しチェックする議会と執行機関との緊張関係を損ね、行政の公平性と中立性をも損なうものであり、なれ合いとの批判は免れません。 次に、駐車場事業特別会計については、バブルの時代の不要不急の大型公共事業のツケであり、醍醐駐車場などは利用者の使用料収入で管理運営費もまかなえない惨憺たるありさまであります。
 最後に、H19年度の一般会計などの決算審議を通じて、市政に今問われている課題も明らかになってきました。本年2月に誕生した門川市政はこうした冷たい桝本市政による「財政健全化プラン」と「市政改革実行プラン」を引き継ぎ、さらに上乗せする「京都未来まちづくりプラン」案を先日発表しました。
 その最大の狙いとするところは、「国基準以上」「他都市並み以上」「市独自」などの事務事業を見直すというものです。たとえば本市独自の民間保育所の職員待遇改善のための「プール制」への支援を切り下げようとしています。市会が国に対して「社会保障費の毎年2200億円の削減路線を廃止してください」と全会一致で意見書をあげましたが、国には社会保障費の削減をしないよう求めながら「本市では社会保障の削減をします」ではつじつまがあわないではないですか。また、市バス・地下鉄をはじめとする料金や使用料の値上げなど市民サービスをさらに削減するのも、同じ矛盾です。さらに、1000人を超える職員リストラをすすめるために、退職不補充から退職勧奨までやろうというのであれば、労働者へのしわ寄せで経営不振を乗り切ろうとする民間大企業の人員削減計画などと軌を一にするものです。100年に1度ともいわれる未曾有の「金融危機」のもと、不要不急、無駄を削り、市民の生活を下支えすることこそ、すなわち住民福祉の増進するのが、地方自治体の本来の役割です。市民に負担を押しつける市政リストラは、やるべきではありません。
 以上、認定せずとの理由を述べて、討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。