西村よしみ 議員
08年10月 3日(金)
2007年度公営企業等決算に対する討論 08年9月定例市会 閉会本会議討論
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私は、議員団を代表し、その理由といくつかの問題点を指摘するものであります。
はじめに報第11号、京都市自動車運送事業特別会計決算を認定しない理由を述べます。
第1の理由は、黒字決算の背景には、市バスの管理の受委託化を2分の1まですすめ、「経済性」、「効率性」を優先させ職員のリストラをすすめたことであります。また、交通局がおこなっている「5年間嘱託運転手」は全体の21%にも達しており、ここにも同じ仕事でありながら雇用の格差を生じさせています。賃金の格差や労働の格差を生んでいる「若年嘱託職員制度」は廃止すべきであります。雇用の安定を確保し、利用者の安全を守るためにも、すぐにも正職員に採用すべきであります。
第2の理由は、市民サービスの向上、公共交通の充実を求める地域などへの対策が不十分なことであります。例えば、要望が多い「コミュニティバス」の具体化をもとめる市民要求に対しては、「地域の主体性」を強調するのみでした。また、敬老乗車証の利用拡大を求める声に対して極めて消極的な対応です。「調整区間は運賃が高い」の声、「バス運行回数が不足している地域への対策」など、市民の切実な要望に対しては不十分な対応でありました。交通局は市民要望にこたえ、公共交通ネットワークを充実するためにもさらに積極的な役割をはたすことを求めるものです。
次に、報第12号、平成19年度京都市高速鉄道事業特別会計決算についてです。地下鉄東西線、二条~太秦天神川駅建設にかかる事業費の圧縮や京津線、京福線とのアクセス、新たな都市交通の整備や乗客を増やす努力などについては評価します。
しかし、財政に課題があります。地下鉄建設費は膨大な累積赤字を抱える状態であります。決算委員会でも、地下鉄財政の改善には、補助制度など財政措置の抜本的強化を求める強い意見が出されました。答弁でも市長は「国に対して制度的な改革を要求していかなければ、京都市だけの努力では耐えきれない」と答えられましたが、いっそう取り組みを強化するよう求めておきます。
また、地下鉄利用客が増えるもとで、烏丸線の安全対策、ホーム転落防止可動柵の設置については早急に実現すべきです。財政負担を理由に検討課題としていますが、実現にむけての具体化を強く求めるものであります。
次に、報第8号、平成19年度京都市立病院特別会計決算です。
診療報酬の引き下げや普通交付税措置の削減など医療をとりまく厳しい状況のもとで、市立病院は、病棟での7:1看護体制の整備などで黒字決算となっています。さらに平成19年度から新たに「地域ガン診療連携拠点病院」としての努力もされ、今後も公的病院として政策医療に責任を持つと表明されていますので認定します。
市立病院施設整備計画におけるPFI手法については、他の自治体の失敗例のもとで、大幅な見直しを余儀なくされています。「資金調達を自前でしなくていい」としていた最大のメリットすらなくなっています。PFI手法の採用については見直すべきです。
また、社会保障費2200億円の削減を前提とした国の「公的病院改革ガイドライン」は、公的病院の社会的使命をはたすよりは、経営の効率化を求める内容で問題であります。「ガイドライン」に沿う形で、公営企業法の「全部適用」や「独立行政法人化」の方向で議論が出されていましたが、これらは公的病院としての政策医療に責任を持つという立場と矛盾するものです。
京北病院については医師確保が困難であったことから患者数が減少しました。20年度には内科医、この10月には整形外科医が配置されることとなりましたが、今後、総合的な地域振興対策も併せ、地域住民の要求に応える医療の供給と、経営の改善がもとめられます。市長総括質疑で、副市長は「市立病院として存続することを前提とし、7科目4診療所を残す」と答弁されました。経営面では、医師、看護師の配置により、改善が見られるとの報告もありました。京北地域の住民は病院を守ってほしいという強い願いがあります。一方、労働基準監督署から指摘されている看護師の当直勤務の労基法違反の是正も早急に解決しなければならない課題です。更なる医師・看護師体制の充実と、職員の就労条件の改善をすすめることを求めます。
また、京北地域の介護については、「介護の受け皿の必要性は認識している」との答弁がありました。医療機関の機能の充実を前提とした新たな介護福祉施設の設置など、地域の介護ニーズに対応する施策を求めておきます。
次に報第9号ないし第10号、上下水道特別会計決算については認定します。
近年水需要が減少傾向にありますが、市民の命を守る安心・安全な水を確保しながら、上下水道施設の耐震化対策、環境対策への努力がなされています。また、鉛管の取り替えは計画を持って進められています。しかし創設された「取替え助成制度」の利用者数が少ない状況にありますので、市民的啓発を強化して、鉛管取り替えを促進することを求めるものであります。
社会的貧困化が進む中、市民相談体制の充実や上下水道料金の福祉減免制度創設を市長部局とも連携して、早急に実現すべきであります。
公共下水道 大手筋幹線・大手筋南幹線の工事費について、再入札もなく当初の契約額の1.7倍にも膨張した契約変更がおこなわれたことは、入札の信頼性を損なうものであり、直ちに改善すべきことを求めておきます。
平成19年度で「汚水資本費補助金」が廃止されましたが、この制度の廃止は、新たな市民負担を呼び込むことになりかねません。制度の意義をふまえて「汚水資本費補助金」の復活を求ます。
最後に、決算議会においては、市民の生活基盤である公営企業の役割の重要性が改めて問われました。独立採算制を押し付ける国に対して京都市は、地方財政をまもり、市民の命と暮らしを守るため、公的責任をしっかりと発揮するための対策を強く求めて、私の討論といたします。