赤阪 仁 議員
08年9月 8日(月)
赤阪仁議員の代表質問と答弁の大要 08年9月定例市会 本会議代表質問
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伏見区選出の赤阪仁でございます。日本共産党市会議員団を代表して質問します。
昨日の南区補欠選挙では、後期高齢者医療制度の廃止など、くらしの問題が争点になりました。事実上、自共対決の選挙戦となりましたが「市民の命と暮らしを守れ」の切実な声が多数寄せられ、日本共産党の佐野春枝さんが当選し、日本共産党議員団は20名に前進することができました。ありがとうございました。
また、この間、国政では9月1日、福田首相は突然の辞任表明により、政権を投げ出しました。安部前首相に続く、二代続けての政権投げ出しは、自公政治の行き詰まりに他なりません。日本共産党は、抜本的な景気対策、後期高齢者医療制度の廃止、労働者派遣法の抜本改正など、貧困をなくし、平和な日本へ、政治の中身を変えるために全力をあげます。
原油価格高騰・物価高から市民の暮らしを守れ
さて、最初に、原油価格高騰と物価高対策について伺います。
8月20日、京都で江戸時代から154年続いてきた老舗の染色・整理加工業者の杉本練染株式会社はこの間企業努力を重ね6年前から黒字に転換してきたものの、原油高騰による原材料、燃料価格の上昇で収支バランスが急激に悪化、先行きの見通しが立たず自己破産手続きを取って倒産しました。多くの関連業者と労働者の生活が危機に追い込まれています。
ある零細企業の社長さんも「原材料費は2倍3倍上がるのに発注する大企業の単価は切り下げ。今まで、単価の50%は人件費にまわったのに、原材料代が上がり人件費も出ない。」と悲鳴を上げておられます。
8月、京都の建設不況が厳しさを増している、と報道されました。今年に入ってほぼ毎月、建設業が倒産の最多発業種で倒産数は前年の倍。『下請けは受注額がたたかれる上、原材料高で収益が厳しい。財務体質が弱い小規模事業所から破綻している』といいます。
そこで伺いますが、京都の経済の主役である中小・零細企業への支援策を緊急に具体化すること。当面、制度融資の返済猶予を行い、原油価格高騰等の対応融資は原材料高騰の影響も含めた弾力的運用を行うことを求めるものです。いかがですか。
(細見副市長)すでに全庁的に取り組んでいる。原油価格高騰は多くの中小零細企業の経営を圧迫している。中小企業支援センターに特別相談窓口を設置し、51団体からヒアリング、161件の金融相談、231件の経営相談があった。4月創設の「原油価格高騰対策等特別支援制度」は1370件の企業の資金繰りの改善に奇与している。政府の緊急総合対策と連携し、中小・零細企業を支援する。
さらに、景気対策としての京都市の公共事業のあり方も問われています。一昨年、宇多野ユースホステルの建設工事では、入札の予定価格が低すぎることを理由に入札が3回も不成立という異例事態がおこりました。また、焼却灰溶融炉の建設工事の元請け業者が民事再生法の適用を受け、工事が停止、その後再開しましたが、2次下請け業者から孫請け業者への賃金の不払い問題がおきています。
そこで伺いますが、京都市の公共工事のうち地元中小企業・業者への入札件数・発注率とともに、発注額を高めることが必要ではありませんか。京都市発注の公共工事の下請いじめ、ダンピングをなくすために、最低制限予定価格を割り込む落札は行わないなど歯止めをかけるべきです。下請け、孫請けまで適正な雇用と労務単価、労働条件が確保されるよう契約に盛り込み、施工台帳での点検指導まで徹底して行うことを求めます。いかがですか。
(理財局長)市内中小企業への分離発注に留意し、契約件数は9割と高い。ダンピング受注防止のため、低価格入札は厳格な調査を行い、適正な取引推進に努力している。公共工事入札は競争性を確保し、市内中小事業者の健全な育成に努める。
先日発表された、内閣府の「国民生活に関する世論調査」でも『日常生活で悩みや不安を感じている人』が調査開始以来過去最高の7割を突破しました。まさに、生活物資の高騰が市民生活を圧迫しています。子どもの修学旅行など学校積立金の滞納世帯が増え、学童保育料が払えず、子どもに『留守番』させる家庭が増えています。「物価は上がるが、年金は下がる。スーパーで半額になる弁当を待ち受けて買い、夜と朝の2日に分けて食べている」とお年よりが語っておられます。市民生活は危機的状況です。これに対し、原油等価格高騰対策緊急貸付事業が補正予算として1億円計上されました。歓迎するところであります。そこで市長に伺います。今こそ京都市独自の緊急対策が必要です。市長を本部長とする「緊急対策本部」を立ち上げ、影響調査を行い具体的支援策を講じる必要があります。今後冬に向けて寒い冬を越すための燃料代への直接支援が必要です。他都市でも実施しているもので、国も交付税措置をするとしている冬に向けた灯油代補助の実施の検討を求めます。夏季歳末特別生活資金貸付制度は1年間を通して実施し、貸付枠も拡大すべきです。さらに、今ある制度を拡充し、ただちに可能なものからはじめるべきです。いかがですか。
(細見副市長)他の政令市にさきがけ、冬季の暖房費をはじめとする生活資金貸し付けの緊急対策事業を提案した。1ヵ月半程度の貸付期間を設ける。
また、いくつかの介護施設を運営する法人では、風呂に使用する灯油・重油価格が、1ヵ月で78万円以上、送迎車のガソリン代ももちろん増え、年間で1千万円規模の負担増となり、このままでは満足な福祉事業ができないと語っておられます。
福祉施設の給食や、移送費に対する値上げ相当分の上乗せ補助を行うことが必要です。『暑い夏で燃料費は助かっているが、この冬、越せるかどうか問題。助けてほしい』と語る風呂屋さんに、燃料費への直接助成で浴場経営の維持・継続の支援をするなど、具体的な緊急対策を求めます。いかがですか。お答えください。
(細見副市長)障害のある市民の送迎サービスをおこなう事業所に対し、ガソリン価格高騰が利用者負担にならないよう、緊急的支援をおこなう。
消費税増税に反対すべき
次に、「消費税増税」問題について伺います。国民には社会保障財源の確保を口実に増税を押し付けながら、大企業には法人税減税の拡大は、納得できません。社会保障予算の自然増分を、毎年2200億円も抑制する一方で、年間約2000億円の米軍基地への「思いやり予算」は出し続けるというのですからとんでもないことです。国民にこそ思いやりと福祉の心を示し、無駄遣いをやめることです。国民世論は消費税増税反対が多数となっています。先日、NHKが実施した世論調査では、「増え続ける社会保障費の財源を確保するため」という条件付きでも、増税賛成はわずか22%、反対が51%と過半数に達しました。国民は、これまで何度も「福祉のため」という口実で増税をおしつけられながら、福祉切り捨てが続いた事実を体験しています。またどんな理由をもってしても、消費税増税などとんでもないという気持ちが、多くの国民の実感だと思います。深刻な不況と物価上昇のなか、消費税増税は、景気後退に拍車をかけ、中小企業の倒産に追い討ちをかけるものです。消費購買力を高め、景気回復をし、市民のくらし向きを良くすることが求められているときに、政府与党の消費税増税策に対しての市長の見解を伺います。いかがですか。
(理財局長)わが国の経済社会の構造変化を踏まえ、歳出改革を徹底してもなお必要となる社会保障給付の費用負担や地方消費税の充実を図る観点から、国民的議論をおこない、総合的に検討されるべき課題と認識する。
市民いじめの行財政改革はやめよ
次に、「京都未来まちづくりプラン」についてです。市長は7月末に発表した「京都未来まちづくりプラン」の骨子では、このままでは、2011年度までに実質赤字が総額964億円にもなるとして、京都市の独自策ができない財政再生団体になるという見通しを示しています。
そうなれば、国民健康保険料の1・34倍化、保育料は1・48倍化になると試算まで示して、「第二の夕張になりかねない」と市民を脅しています。更なる「行財政改革プラン」で「歳入確保」策としてあげているのは、公の施設の使用料、国民健康保険料、保育料等を値上げするということではありませんか。赤字の責任を市民に負担増で押し付けるやり方は納得できるものではありません。そもそも、なぜ深刻な赤字になったのか、その責任はどこにあるのか問われなければなりません。京都市の財政赤字の原因は、「国がやるべき地下鉄建設などの大型事業を地方自治体にやらせて財政困難にした」国の責任にあり、国いいなりで、ゼネコン儲けの大型公共事業を優先させてきた歴代市長にあります。さらに、拍車をかけたのが、市長が言う、国の「三位一体改革」による、地方交付税と国庫補助金の切り下げで、地方自治体の財源を困難に落としいれられているのです。つまり国と京都市の責任は重大で、市民に責任はありません。
2月の京都市長選挙では高すぎる国民健康保険料に市民の批判が集中しました。市長は「951票の重みは忘れない」といわれました。ところが、この「京都未来まちづくりプラン」は、京都市の国基準以上のあらゆる施策の見直しを求め、後退させるものであり、格差と貧困の拡大につながるものであります。プランは京都市の「赤字」を口実に『財政再生団体』になる前にと、市民負担増と痛み押し付けを前倒しで実施するものです。この計画の先には、金銭の負担能力のない市民は福祉の対象からはずされる、冷たい市政は見えますが、「人間らしい市民生活」の向上をめざす展望は見えてきません。
憲法第25条は、すべての国民は人間らしい生活をする権利があり、国と地方自治体はそのために「福祉を向上させる義務がある」としています。市長は、市民とともに汗するとして「共汗」という言葉を使っていますが、『共汗』を口実に市民負担を増やすのは当たり前と言う政治姿勢は、自らの公的責任を後退させるものではありませんか。今問われなければならないのは、国と市の責任であり、税金の無駄遣いにメスを入れ、使い方を市民本位に切り替える事こそ求められているのです。国に対し、地方交付税と国庫補助金の増額を求めるのが市長の責任ではありませんか。そして京都市の財政悪化を拡大し、赤字借金をふやした、京都市内高速道路計画、先にありきの財政支出こそ見直しをすべきです。総事業費約3028億円の京都市内高速道路、新十条通と油小路線の2路線の京都市の負担は関連道路を含め716億円を超えました。斜久世橋区間の工事完成のために、建設用地を確保する多額の補償金を払った上で、その代替地として市有地の一等地3ヶ所をワシ興産株式会社に約62億円で議会への詳細報告も承認もなしで売却したというのは、目的のためには税金はいくらでも出す、ムダ遣いの典型ではありませんか。財政難というなら、今後約2900億円とも言われる残り3路線計画こそ、真っ先に中止・表明するべきです。「クルマ依存社会からの脱却を図るための大胆なマイカー抑制を進め、ライフスタイルのあり方を検討する」とする京都市の方針とも矛盾しているではありませんか。お答え下さい。
(市長)三位一体改革で、地方交付税等は算定方法見直しが大都市に厳しいものとなった。市税収入を上回る規模で削減され、財源不足が見込まれる深刻な事態である。国に交付税総額の確保や国庫補助金改革と税源移譲を一体とすることなど、地域主権の時代にふさわしい税財政の確立を求めている。京都高速道路3路線は、総合的な交通体系構築、社会経済情勢等を勘案し、必要性も含め、あり方を検討していく。
後期高齢者医療制度の廃止、地域医療を守れ
つづいて市民の医療・福祉施策について伺います。
先日、8月15日終戦記念日は今年3回目の後期高齢者医療保険料の年金天引きの日でした。年金振込み通知書を見たお年寄りは、「戦前はお国のために早く死ねと言われ、今、医療費の抑制のため早く死ねと言われているようで腹が立つ」と怒っています。
こうした国民の怒りに対し、政府は、負担軽減と先送りで取り繕うとしていますが、『お年寄り』を年齢で差別する医療制度であることには変わりありません。収入のないお年寄りまで、保険料の負担をさせ、保険料が払えない滞納者は保険証を取り上げる。医療費が全額負担となれば、金のないものは治療も受けられません。医療内容に差別がある仕組みを持ち込む、後期高齢者医療制度は廃止しかありません。
日本共産党は医療費の抑制を最優先にし、75歳以上のすべてのお年寄りのいのち切捨てを図る後期高齢者医療制度は廃止すべきと考えます。市長は、市長選挙で「お年寄りに生きがいを」と公約しておられます。市長は後期高齢者医療制度がお年寄りを大切にする医療制度であると考えますか。いかがですか。
(保健福祉局長)負担能力に応じて支え合う持続可能な医療保険制度実現へ実施された。6月には保険料軽減策が講じられている。本市としては、高齢者が将来にわたり安心して医療を受けられるよう必要な改善を国に求めていく。
さらに7月、厚労省は、2012年度をめどに、医療費抑制を図るため療養型病床を全国で約35万床あるベッドを15万床まで削減する目標を、約22万床としました。医療現場の実態を無視し、社会保障費削減先にありきで、都道府県計画の単純な机上計算で削減数を決めているからです。6割の削減目標を4割にしたとはいえ、大幅なベッド削減に変わりはありません。こうした機械的なベッド削減は、患者の行き場をなくし、医療・介護難民を作り出し、家族まで悲惨な事態を引き起こすのは目に見えているではありませんか。必要な数は自治体が責任を持って調査し、ニーズを積み上げるべきです。
今年度中に、京都市は国のガイドラインに基づく「公立病院改革プラン」を策定しようとしています。京都市立京北病院では、療養型病床の見直しにともない、大幅なベッド削減になるのではと懸念が広がっています。住民アンケートでの、8割を超す「療養病床を残してほしい」という住民の声を重く受け止めるべきです。医師、看護師不足を解消し、地元の地域医療を守る自治体病院としての役割を担えるように京都市長は公的責任を果たすべきと考えます。国に対しても療養病床削減計画の中止を要求すべきと考えますが、いかがですか。
国の社会保障費削減の方針に対し、日本医師会は、先日7月15日付の朝日新聞と日経新聞の広告で「社会保障費2200億円の削減に反対し、国民とともに国民医療を守るために戦います」と宣言しておられます。京都府保険医協会は7月19日、第61回定期総会決議で政府による長年の医療費抑制策が医療崩壊をもたらし、小泉政権以来の構造改革が拍車をかけたと批判、「問題を根本から解決するには構造改革路線からの国政の転換以外に道はない」と強調されています。医療費抑制のために、住民の命を犠牲にすることは断じて許されません。
(保健福祉局長)現在、療養病床の取り扱いも含め審議会で検討中。答申をふまえ地域のニーズに見合う体制の確保に努める。地域の実情に応じた医療療養病床数の確保、療養病床の転換についての財源措置は国に要望している。
あらゆる同和特別扱いをやめよ
続いて京都市の「同和行政」について質問します。先の京都市長選挙の前から、同和特別扱いをなくせ、同和奨学金を市民の税金で肩代わりする「自立促進援助金」制度は廃止せよとの厳しい世論の声が高まりました。これに対し、京都市は住民訴訟の大阪高裁判決の確定を受けて07年度から予算執行を停止し、08年度分は予算計上もしませんでした。今年3月に設置された「京都市同和行政終結後の行政のあり方総点検委員会」は、先日第6回の会合で「自立促進援助金制度は廃止する。01年度以降の援助金の受給者から返還を求めていく」と決定し、「『高裁判決』において違法と判断されたのは、行政裁量権を逸脱した行政運営である」と厳しく指摘しました。日本共産党市会議員団は、同和特別扱いはやめ、「自立促進援助金制度」はきっぱりとやめることを求めてきましたので、今回の返還請求については歓迎するところであります。京都市は大阪高裁判決を真摯に受け止め、謙虚に反省し、速やかに制度廃止を行うべきです。同時に、わが党議員団の予算要望書で求めているように、01年度以前の返還についても、返還請求権を行使し、返還できる経済力のある人からは返してもらうのは当然と考えます。奨学金が返還困難な人へは国の返還免除基準を参考に制度をつくるべきです。重ねてあらゆる同和特別扱いを廃止し、完全に終結することを求めるものです。いかがですか。
(市長)本制度は同和問題の解決にむけて大きな意義があった。しかし、住民訴訟で平成13年からの一律支給について一部とはいえ違法との判決を受けるなど反省すべき点があった。「同和総点検委員会」の中間報告を最大限尊重し、制度を廃止し、返還を求めるべきとされた方に対しては、十分説明し誠意をもって返還を求め、市民的理解がえられるよう抜本的な改革をおこなう。
定時制高校の定員の確保を
次に、教育問題、定時制高校の募集定員について伺います。2000年には1000名の定員であった京都市内の夜間定時制高校の募集定員が、2008年には440名まで減らされ、76名もの2次不合格者を生み出しました。「中学生の時には、いじめにあって、ほとんど学校に行けなかったが、定時制高校に来て、生きることの楽しさを知った」「自由に、ゆっくり学べる場として、ありのままの自分を受け入れてくれる学校がある」と定時制高校の生徒が語っています。「一人ひとり複雑な事情を抱えている子どもたちを夜間定時制教育は受け入れてがんばっているからこそ、その火を消してはならない」、と考えます。そもそも「希望するすべての人に後期中等教育を保障する」という目的で作られた夜間定時制高校は、今新たな不登校、引きこもりなど教育課題を抱えた子どもたちはもちろん、中卒労働者が高卒資格をとる生涯教育の場としても重要です。さらに、貧困と格差の拡大が進む今日、経済的理由での定時制高校への進路希望者も増加しています。教育委員会は「夜間定時制入学者は不本意入学が多く、不本意入学を減らすために全日制の定員を増やしている」と回答してきました。しかし全日制の定員が増えても、定時制の志願者数は減らず、2次不合格者は来年春も増加すると懸念されています。
そこで伺いますが、京都市内の夜間定時制高校に入学を希望する子どもの進路を保障する定員を確保すべきと考えますが、いかがですか。
(教育長)例年、中学3年の9月調査では定時制希望者は定員の2割、100名前後であり、大多数は全日制を希望。全日制の9年間の定員拡大は1100名。来年度の定時制高校の定員は440名を確保。中学生の進路保障の観点から十分な定員を確保している。
教職員の超過勤務時間の縮減、30人学級の実現を
次に教職員の超過勤務について伺います。「先生、話を聞いて」と子どもたち。「分かるまでじっくり教えたい」という先生方。学校は子どもも先生も、超多忙です。一昨年40年ぶりに行われた文科省の教職員勤務実態調査で7・8月でさえ月平均の超過勤務は約80時間、過労死ラインに相当することがわかり、事態は深刻です。02年2月に厚生労働省が策定したガイドラインでは、労働局が月45時間以上の時間外・休日労働は健康障害のリスクが高くなるとして事業所に改善を求めています。今年4月23日、京都市教組組合員9人(塩貝光生団長)が、「超過勤務を是正して、もっと子どもたちと向き合う時間を!」と京都市を相手に訴えた超勤裁判で、京都地裁は、教育行政の違法性を認定し、原告1名に安全配慮義務違反として55万円の慰謝料を支払うことを命じる判決を下しました。この背景には毎年の現職死亡者、メンタルの疾病で休む先生の増加、公務災害認定を求める裁判が増えるなど、職場の長時間労働の実態があります。今なお続く「過労死予備軍」といわれる教員の過酷な勤務実態は緊急に改善が求められている課題です。
そこで、教育長に伺います。子どもの教育条件と教職員の労働条件は表裏一体の関係です。現在の学校現場に長時間労働の実態があると認識されていますか。教職員の超過勤務時間の縮減対策、健康・安全管理をすすめる具体策を直ちに講じる必要があると考えますが、いかがですか。
(教育長)国の全国調査では残業時間は月40時間程度。健康管理医の全校配置や診断項目を設定し、健康対策を実施。少人数教育や全小学校への専科教員の教員加配、教員の事務の効率化を進めている。
また、先生が子どもとじっくり向き合うために、小学校の35人学級、中3の30人学級など少人数学級は教育効果を上げています。○つけ、宿題の点検、日記指導など少人数になり、一人ひとりに目が行き届く指導ができる、と先生、子ども、保護者の方からも喜ばれています。国に対し第8次教職員定数改善計画を早期に確立し、30人学級の実現と教職員定数増の予算化を盛り込むように求めるべきではありませんか。
(教育長)平成15年から小学1・2年での35人学級実施、昨年度から中3の30人学級実施など、毎年10億円を投じ全国トップレベルの少人数教育を推進している。しかし、独自に全学年で30人学級を実施するには、毎年80億円もの財源が必要。学級編成基準引き下げなどを国・府に強く要望する。
伏見区の問題について
最後に伏見区の問題について3点伺います。
①淀南地域の学童保育所の増設を
まず、淀南地域の学童保育所の増設についてです。京都市最南端、美豆小学校区の際目町には「桃の里児童館」があり、学童保育所が併設され、現在54名の子どもたちが通っています。しかし、この学童保育所は、美豆地域の子どもにとっては、淀川をはさんで美豆小学校から放課後30分かかりますし、6時の終了と同時に、また30分以上かけて橋を渡り自宅に戻らないといけない状態です。淀大橋の歩道橋上は、風が強い日は子どもが吹き飛ばされそうになり、帽子は禁止、ランリュックに給食袋をつけると自動車にひっかかるから禁止と言われているほど危険な橋を渡っているのです。地域の保護者の方から、「もう一つ学童保育所が学校内にあったら安心して通わせられるのに」との声が10年来出ています。地域住民や保護者から地域特性に配慮して、学童保育所を小学校内に設置してくださいとの要望が強く出されています、せめて美豆小学校内に分室を設置し、子どもの放課後の充実を求めますが、いかがですか。
(子育て政策監)一元化児童館130館の目標達成に向け、待機児童の解消と環境改善のため分室設置を行っている。放課後まなび教室を全小学校で展開し、児童館との有機的な連携を図っていく。桃の里児童館は待機児童がいないことから、分室設置は考えていない。
②神川中学校のマンモス校の解消を
二つ目にマンモス校の解消問題です。伏見区桂川南西部の神川中学校は、約2万8千人の市民が住む神川地域のたった一つの中学校で、付近の三つの小学校の広範囲から生徒が1016人通学しています。来年春には322人が卒業し、新入生が約400人入学する見込みです。中学校の真横に、中学校と同じだけの約900人を超すマンモス校・羽束師小学校があります。広域学区ですのでバス通学が石原町などは許可されていますが、バスの本数が少ないので利用も困難です。体育館、運動場も1人当たりの面積が狭く、コンピューター室も一つしかないので利用回数も触れる回数も他の学校の子どもより少ない。100人以上のテニスクラブ員がいるのにたった一つのテニスコートで練習。図書室の本も1人当たりの冊数も少ないし、特別教室が確保できず、勉強する普通教室を確保するのが精一杯という状況です。地元の人が、一日も早くマンモス校の解消をと要望すると、「新しく建てるのは難しい。10年待てば子どもが減る。財政上困難」との回答でした。しかし、この10年来子どもは増えていますし、校区内では、まだまだ住宅開発が進み、子どもが増える地域であり、「周辺のマンモス校は放ったらかしなのか」と地域住民から声が上がっています。神川中学校のマンモス校解消は長年の地元の願いです。そのために、直ちに地元、学校との協議をはかり、改善するよう求めるものです。
(教育長)15年度に中学校8教室、19年度に小学5教室を増築。今年度から運動場を約2倍にした。自治連を中心としたまちづくり協議会の意見を聞き、教育環境を整備する。
③納所排水機場新設工事について
最後に納所排水機場新設工事にかかわる問題について伺います。納所排水機場新設工事はそもそも老朽化した現在の施設に代わる排水機場を建設するもので、本年5月30日までには土台部分の工事が完了予定のはずでした。当初予算5億7千万円、その後予想外の湧き水を理由に約1.5倍に引き上げられました。しかし先日5月30日までの工事完了予定の直前、3ヵ所約3千万円の工事が完了していない事実が分かり、施工業者との前代未聞の契約解除となりました。さらに、浸水対策のための公共工事が、地下水の異常出水による周辺地域の地盤沈下を引き起こし、多数の隣接する家屋等で「土間や壁面のひび割れ」などの家の傾き、水道管の破裂、側溝の亀裂、地盤沈下による重大な事態を引き起こしています。公共事業の管理監督責任者として、市長は、地盤調査や地盤対策など、市民に説明責任を果たし、完全補償を行うのは当然であります。また、このような異常な公共工事の契約解除、付近住民への被害の原因究明と再発防止策を立てる市長の決意をもとめます。お答え下さい。ご静聴ありがとうございました。
(建設局長)原因究明のための地質地盤調査や家屋等の被害状況調査をしている。被害住民への説明、地盤改良の工事、家屋補修や補償をおこなう。今後、安全対策に万全を期す。