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市会報告

くらた共子 議員

08年6月 5日(木)

2008年度市バス・地下鉄事業特別会計補正予算に対する討論 08年5月定例市会 閉会本会議討論

  日本共産党市会議員団は、議第51号バス事業補正予算、議第52号地下鉄事業補正予算に賛成の態度を表明しております。わたくしはこの二つの議案について討論を行います。

 まず、議第51号についてですが、これは壬生の旧交通局庁舎の解体撤去に伴う費用の補正で必要なものです。京都市は操車場機能を残すとしていますが、施設の大規模な解体撤去に伴い、アスベストなどの飛散防止をはじめ、近隣住民への十分な説明と合意、生活環境への配慮と安全確保に努めることを求めておきます。

 次に、議第52号については、東西線第三セクター区間を直営化することによる株式の買い取りを行う補正です。直営化により法人税や金利負担の軽減など、今後の財政的な負担を軽減する効果が認められることから、わが党は賛成をするものです。

 同時に、この第三セクターは、区間の工事をめぐり建設費が2倍以上に膨れ上がり臨時議会が開かれ、全会一致で当時の市長の警告決議が上がるなど大問題となった経過がありました。

 第三セクター京都高速鉄道株式会社は、御陵から三条京阪間の建設などを目的として1983年4月8日に設立され、当初京都市が51%、民間が49%の出資でしたが、現在は京都市が83.35%、民間が16.65%出資となっている会社です。

 この第三セクター区間の建設工事は、当時の運輸大臣の指示により、鉄建公団(現在の鉄道運輸機構)が担当し、資金は日本鉄道建設資金が当てられました。この第三セクターは鉄建公団が建設した線を買い取り、それを京都市交通局に貸すことにより線路使用料を取り、25年間で償還することになっていたものです。

 この第三セクターの工事区間は12回も契約変更が行われ、建設工事費が当初の610億円から1,550億円へと2.54倍も膨張し、巨額の税金負担を発生させました。そして、このことがその後の市財政を逼迫させる要因となり、市民生活へのしわ寄せを生じさせています。

 1994年7月の臨時議会で原因解明の質疑が行われました。議会では、第三セクター部分の工事契約書や鉄建公団との契約書の提出を求めても、第三セクターが「民間会社」であることを理由に、肝心の資料はほとんど提出されず、真相は未解明のままです。今議会においても、当時、情報が開示されなかったことの問題点が指摘され、情報開示と説明責任を果たすことの重要性があらためて強調されました。

 今回の補正予算の審議においても、この教訓が十分に活かされているとは言えません。京都市は第三セクターを解散し、直営化することで600億円の負担軽減ができると説明しましたが、600億円の根拠について十分な説明もなく、議員からの再三にわたる指摘を受けてやっと資料が提出されましたが、それも極めて不充分なものでした。市長は「徹底した情報公開」を強調されていますが、今後の市政運営の教訓とされるべきです。

 第三セクター設立の際に、京阪電鉄の営業権放棄や京阪車両の乗り入れ問題があった点では、当時、「公営方式でやる余地はあったはず」という声もあったと聞いています。第三セクターが事実上破綻した責任は、関係民間会社、株主にもあることは明確です。関係会社には応分の負担を求める必要性を指摘しておきます。

 最後に、地下鉄建設に対する国の補助制度は劣悪です。前市長の「地下鉄建設のような膨大な投資をする事業は一都市だけでできるものではなく、国家的事業としての位置づけでしないと無理がある」との答弁がありましたが、大規模プロジェクトを地方自治体に押し付け、借金まみれにさせた国の責任は重大です。この問題の抜本的解決なしに財政の改善はありえません。国に対し、支援制度の改善をつよく働きかけるよう求めまして、私の討論といたします。