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市会報告

加藤あい 議員

08年5月22日(木)

2008年度国保事業特別会計補正予算に対する討論 08年5月定例市会 本会議討論

 平成20年度京都市国民健康保険事業特別会計補正予算について、日本共産党市会議員団は、会計上必要なものであり、賛成しています。その上で、問題点を指摘し討論します。

 第一に、国庫負担金と一般会計からの繰入の問題です。
 本補正予算は歳入不足分20億9000万円を繰り上げ充用するものですが、見込みよりも下回った要因に国の調整交付金の7億円減があります。国庫負担金はそもそも少ない水準であるのに、十分な説明もなく、7億円も後退するというのは問題であることを指摘しておきます。

 この間、京都市国民健康保険の被保険者の構成は大きく変わりました。2006年度時点で無職・年金者が全体の63%を占めるに至っています。被用者についても24%となっていますが、年収200万円までの世帯が約8割ですから、今や国民健康保険はフリーターや失業者など低所得者の保険となっています。だからこそ公的な負担が必要とされています。しかし、それが大きく後退させられてきました。84年以降、20年間で減らされた国庫負担は1兆6600億円に及びます。市当局も「大変なご負担をいただいている」と認める「高い保険料」の元凶は国庫負担の削減にあります。政府に対し、国庫負担を大幅に増やし84年の水準に戻すことを正面から求めていくべきです。

 一般会計からの繰入金について、市当局は「引き続き過去最高額を確保した」とされています。しかし、本市の任意の繰り入れとなる財政支援分繰入金は19年度決算見込みで70億7700万円で、過去最高の79億8500万円から後退したままです。抜本的に増やすことを求めます。

 第二に、「国民皆保険制度」についての認識と資格証明書の発行についてです。
  政府が国庫負担を大きく後退させるのと同時に進めてきたのが、被保険者への制裁措置です。本市においても、資格証明書発行は4137件にのぼり、10年前から比べて世帯数は1.4倍なのに、資格証明書の発行件数は10倍、短期保険証は約5倍と激増しています。未更新と資格証明書をあわせると1万289件にも上ります。

 国民皆保険を支える最後のよりどころである国民健康保険でこんなにも給付に制約を加えられている人がいることは重大です。いうまでもなく、制度を維持する責任は行政にあります。国民健康保険の構造的問題を放置して、加入者に責任転嫁をはかることは許されません。

 委員会において「保険料を払えば全国どこでも誰でも同一の医療を受けられるのが、国民皆保険制度」「公平性の観点から一定のペナルティー、資格証明書の交付はやむをえない」と答弁がありましたが、重大です。そもそも、「すべての人が保険証一枚で、どこでも必要な医療を受けられるようにしよう」とスタートしたのが国民皆保険制度です。国民健康保険法でも第二条で「国民健康保険は被保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な給付を行うものとする」と謳っています。第一条では、国保事業の健全な運営の目的を「社会保障及び国民保健の向上に寄与すること」に求めています。まず、すべての人に保険証を渡し、受診権を保障することは、行政として最低限やらなければならない仕事です。さいたま市が資格証明書の発行ゼロにふみだしました。千葉市が福祉医療の対象世帯については資格証明書発行の対象外にすると決めました。本市も資格証明書の発行をやめ、すべての人に保険証を渡す道にふみだすべきです。
 以上、問題点を指摘して討論とします。