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市会報告

加藤あい 議員

08年3月25日(火)

2008年度一般会計予算等についての討論 08年2月定例市会 閉会本会議討論

  日本共産党議員団は、議第1号平成20年度一般会計予算案、議第4号介護保険事業特別会計予算案、議第6号後期高齢者医療特別会計予算案などには反対し、議第3号国民健康保険事業特別会計予算案などには賛成の立場を表明しております。私は、議員団を代表してその理由を述べ、討論を行います。

 20年度予算案は、市長選挙直後ということもあり、義務的経費中心の骨格予算案という形で編成されたものと説明されています。
 この間、政府による「構造改革」、及びそれに追随する「行政改革」で市民には痛みばかりが押し付けられてきました。国民・市民がこれに厳しい審判を下したのが参議院選挙であり、市長選挙でした。市長の得票は有権者の14%に過ぎず、市民の多くは、国に追随し負担を押し付ける桝本市政の継続を望まず、「生活第一」で市政運営を進めてほしいと表明したのです。ですから、大事なことは、市民の批判票を謙虚に受け止め、生活第一などその内容を市政運営に生かすことです。
 しかし、市長就任後初めての予算であるにも関わらず、市立高校授業料の値上げを提案し、市民サービス切りすての財政健全化プランを継続、81億円を確保するとしています。市長は、市民負担について「必要最小限」「経済状態を十分に考慮」とは言うものの、「市民の負担は避けて通れない」との立場をあらためて表明されました。市民の厳しい生活実態をふまえない「市民負担を増やす」路線はやめるべきです。
 財政難で行財政改革をいうなら、市民へ負担を強いるのでなく、無駄な大型公共事業、不要不急の公共事業にメスを入れることこそが求められています。予算には、高速道路整備費は、出資金9550万円を含め約41億円が計上されています。歩道の補修費が平成7年度から6分の1になっている等生活道路整備が遅れているのとは対照的です。無駄な大型工事を見直し、市民のくらしに予算をふりむけるべきです。また、総事業費190億円、人件費除く運転コスト18億円もの焼却灰溶融炉建設予算の一部20億3500万円も計上されています。
 焼却灰溶融炉の建設については、予算審議を通じて、地球温暖化対策の取組にも逆行することがわかりました。焼却灰溶融炉が稼動すれば最大で4万7千トンの温室効果ガスが排出されます。プラスチック容器包装リサイクルの分別拡大での削減量が3万5800トンですから、それを1万トン以上も上回るもので、ごみ分別での市民の努力を台無しにするものです。これで、COP3開催地京都としての責任が果たせるのでしょうか。
 耐震改修助成制度に関して、地域要件の撤廃と助成率の拡充が盛り込まれました。これまでからわが党がくり返し求めてきた部分的改修への助成や分譲マンションの耐震改修助成についても一定の前向きな姿勢を示されました。しかし、依然として予算規模は1130万円であり、15件の改修分しか予算に組まれていません。耐震化90%目標を達成するには、7万7千件の住宅改修が必要であると本市の耐震改修促進計画で分析しているのですから、抜本的に予算を増やすことが必要です。
 教育の分野では、一部の学校で強化磁器の食器を使いながら、ほとんどの学校では未だにアルマイト食器が使われていることが、「教育格差の象徴」として市長選挙で大きな話題になりました。
 今回、教育委員会は「ランチルーム未整備の学校を含めた学校についても50名分の強化磁器食器を配分する」と強化磁器の対象を拡大する方針を打ち出しました。机・イスについても老朽化し破損したものの購入希望を募る等、新たな取り組みの方向が示されました。
 しかし、2004年に行われた市立小中学校の運営費の2割削減はほぼ同水準のままであり、学校間格差も解消されていません。貧困な学校運営費で業者によるトイレ清掃が月1回しかできず授業中も食事中もにおっているなどの実態が放置されています。誰の目にも明らかな学校間の格差について「学校間に基本的な格差はない」と全く実態を見ない立場にとどまっておられることは重大です。どの子にも同じ教育条件を保障する公教育として当然の立場に立ち、学校間格差の解消を進めることを求めます。
 東山区北部の5つの小学校と2つの中学校の統廃合による小中一貫校建設予算が計上されていますが、通学の安全上不安があると市民から声が出されています。安全対策についてはこれからの検討ということですが、新校舎の建設だけが先行して決められる拙速なやり方は慎むべきことを指摘しておきます。
 生活保護行政においては、申請権を侵害しないよう申請書とパンフレットを福祉事務所の窓口に置くことを求めてきました。リーフレットはすべての窓口カウンターに置かれたものの、申請書は未だにおかれていません。京都府の指導で府の各保健所をはじめとして約半分の市町村で窓口の見える所に申請書がおかれており、申請権行使の妨げを戒めるために申請書を窓口に置くことは、最低限やらなければならないことです。
 同和奨学金の返済肩代わりである自立促進援助金については2007年度執行停止、2008年度予算には計上しなかったことは遅きに失したとはいえ、当然です。同時に、「判定委員会で議論」と制度そのものを廃止し、返還請求をするという、はっきりした方針を未だに示されていないことは問題です。奨学金の返還について貸与者全員を調査し、必要な返還を請求すること、自立促進援助金制度は廃止することを求めます。
 職員の不祥事が続発しています。上下水道局職員に続き、元部落解放同盟幹部の環境局担当部長が懲戒免職になりました。「抜本改革大綱」で職員を指導すべき幹部が処分されたことで、改めて「大綱」では不祥事は根絶できないことが示されました。市長は引き続き「同和特別扱いはなかった」と言明されましたが、「一年以内に不祥事を根絶する」ことは、根本問題である同和特別扱いをやめることを抜きには達成できないことを、あらためて指摘しておきます。

 介護保険事業については、軽度者からの介護ベッドの取り上げなど国の制度改悪で必要な介護サービスが受けられない状況が広がっています。だからこそ、保険者として自治体が必要な介護を保障することが求められます。「昼間は家族が留守になるけれどサービスが受けられない」、「入所させないと介護者が倒れるが施設がいっぱいで入れない」などサービス基盤が追いついていない現状もあります。国の「介護適正化」の名による「介護切捨て」を許さず、自治体としてできることを最大限やるという立場への転換を求めます。
 次に、後期高齢者医療特別会計予算案についてです。本制度については、見直し等を求める意見書が530以上の自治体で決議され、署名がすでに届けられた分だけで500万筆にのぼる等、中止の世論は大きく広がっています。高齢者を医療からしめ出し、医療費を抑制することを目的に創設する制度は、断じて認められません。

 国民健康保険事業特別会計予算案については賛成します。保険料の賦課割合はこれまで、所得割つまり「能力に応じた負担分」が46%、均等割と平等割つまり応益分が54%という割合になっていました。それを、「能力に応じた分」を50%に増やして応益分と半々にし、被保険者にかかる均等割を引き下げ、低所得者と多人数世帯に配慮した区分構成へ変更を行うものです。また、一般会計からの市独自分の繰入金は今年度と同額が確保され、9億7400万円の基金が取り崩されることにより、平均保険料が維持されました。その結果、低所得世帯の多い本市国保加入世帯9割の保険料が引き下がることになります。「高すぎる国民健康保険料の引き下げ」は市民の願いに沿ったものであり評価します。
 一方、国の年金控除縮小の影響で保険料負担があがる世帯が2万2000世帯発生します。高齢者はこの間国の税制「改悪」の影響で、毎年負担が雪だるま式に増えており、市として救済措置をとるべきです。これまでから指摘してきた資格証明書の発行中止についても、引き続き拒否されました。発行によって市民の「医療を受ける権利を奪い取っている」との認識にたち、直ちにやめることを求めます。また、京北町の保険料緩和措置の打ち切りも提案されています。後期高齢者医療制度を口実に打ち切ることは協定違反であり、本市として、負担軽減措置を講じることを求めます。
 以上、予算案に対する態度を申し述べ、討論といたします。