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市会報告

くらた共子 議員

08年3月 6日(木)

くらた共子議員の代表質問と答弁の大要 08年2月定例市会 本会議代表質問

医療・介護の切実な願いにこたえる市政を

 上京区選出のくらた共子です。日本共産党市会議員団を代表し市長ならびに理事者のみなさんに質問いたします。まずはじめに、市民の命にかかわる問題についてです。
 医療現場では、信じられないような事態が起こっています。「具合が悪く医者に行かなあかんと思ったが国保料が払えず、保険証をもらえず行けなかった。」これは、がまんしつづけた末に病状が悪化し救急車で搬送された患者さんの言葉です。ある医療機関の医師は、「飛び込んできた初診の患者さんは、進行がんですでに手遅れの状態だった。もともと糖尿病のある方で、以前は医者にかかっておられた。失業し医療費が払えず治療を中断していたことが、重い病気の発見が遅れた原因と考えられる。」と言っておられます。
 またある市民は、「胃に管を通して栄養を摂っている95歳のははの退院を迫られている。自分も病気がありとても家での介護はできない。せめてお金の続く限りは、なんとか病院や施設でお願いしたい。病院からは自分で探せと言われ必死に探すけれども受け入れ先はない。」患者になれない病人、入院したくても入院できず、入所したくても入れる施設がない。在宅介護の限界、介護心中は他人事ではない。こんな切実な声が渦巻いている状況を市長はご存知ですか。
 こうした状況に対し、京都府医師会の会長さんは、ホームページで「地方や弱者の痛みを全く感じずに経済界・大企業の要求のままに改革を進めてきた結果が、今日の格差社会を作り出した。我々医師も今日まで、生涯教育と技術の習得に励み、勤勉に医療に従事し、患者さんの感謝の気持ちを何よりの糧として、世界に誇るわが国の医療を支えてきたが、小泉首相誕生以降の度重なる医療制度「改革」により、勤務医を中心に医師の疲弊を実感している」と言明しておられます。 事実、国のすすめる医療費抑制政策は、人間の尊厳を守るどころか、「お金のないものは見捨てて当然」というやり方です。なかでも高齢者いじめはひどいものです。年金は減らされ、高齢者の税控除はなくなり、そのうえ4月実施予定の後期高齢者医療制度では、受けられる医療を74歳までのひとと差別し、制限するというのです。「年寄りを切り捨てるのか」の怒りが広がるのも当然のことです。
 2007年8月に京都府は医療機関に対し療養病床の転換についての調査を行いました。その結果は、「未定」と回答した医療機関が、医療療養型で67%、介護療養型で91%にものぼりました。京都府は、24年度末での療養病床数の確保目標を3000床代としていますが、実際に療養病床に入院している患者の状況をみて、介護・医療現場の実態に即した数とすることが必要です。新型の老人保健施設では、受け皿になりえない方が生まれることも明らかです。
 また京都府保険医協会の調べでは、現在、療養病床に入所している方のうち62%は、在宅に戻ったとしても日中、夜間とも介護できる人が居ないこと、13%が昼間独居となることがわかりました。この対策なしに療養病床の削減をすすめることは厳にいましめなければなりません。
 国は在宅療養の受皿に、地域開業医を総合診療医、かかりつけ医として責任を負わせようとしています。しかし、地域開業医からも、「今でも日中の仕事に追われている。体制のない中、どうして24時間365日の在宅医療に責任を持てるのか」と厳しい意見があります。そこでお聞きします。市長は、京都市として、療養病床に入院しているお年よりの実態を把握し、医療機関の意見も聞き、必要な病床数をはっきりさせるべきです。また受け皿の整備・確保のために国や府に意見を述べるべきですが、いかがですか。

<上原副市長>京都府は、国の基本指針を踏まえ、3月末までに「京都府地域ケア確保推進指針」を策定。必要な病床数や療養病床から移行する利用者の受け皿づくり、老人保健施設への転換支援策等を示す。
 今後とも府や他市とも連携し、利用者が必要なサービスを継続して受けられるよう、引き続き、国に対して必要な措置を要望する。

 市長は、公開質問状で後期高齢者医療制度の改善を求められたのに対し、「資格証明書の発行はやむを得ないのではないかと考えています。」と答えておられます。冷たい言葉です。年をとれば、なんらかの病気をもち、医療が必要になるのは当たり前ではありませんか。その高齢者から保険証を取り上げることは「医者にかかるな」と宣言するようなものです。
 現在は、国保加入者のうち、75歳以上の方から保険証をとりあげることはできません。ところが、厚生労働省の官僚は、「後期高齢者医療制度では、できるようになった」とフォーラムで発言しています。とんでもありません。ここにこの制度をつくった政府の冷たさが現れています。さらに、75歳でお年寄りを区切る政府の本音は厚生労働省社会保障審議会の特別部会報告をみれば明らかです。そこには、「後期高齢者の心身の特性」について「老化に伴う生理的機能の低下により、治療の長期化、複数疾患への罹患が見られる」「多くの高齢者に認知症の問題が見られる」「いずれも避けることができない死を迎える」などとまとめており、同時に、この制度により2015年までに2兆円、2025年までに5兆円の医療費が削減できるとの試算を示しています。つまり、「どうせ直らない、いずれ死ぬ」と言わんばかりに75歳以上の方の医療を制限することで医療費を削減するというのです。
 診療報酬は、診療の上限を決めるまるめ方式で、かかれる医療機関を限定し、75歳以上のお年よりが内科や外科、眼科や耳鼻科など、複数の医療機関にかかれないようにする。そのうえ検査の回数も制限し、入院した場合にも、早く退院させる病院には成果報酬をつける。極めつけは、終末期の医療を積極的にはやらない確約をとる医療機関を評価するなど、あの手この手で徹底して高齢者を医療から締め出そうとしているのです。まさに姥捨て山ではありませんか。
 この制度の撤廃を求める国民の世論を背景に、2月28日には民主、社民、国民新党、そしてわが党の国会野党4会派は後期高齢者医療制度の廃止法案を衆議院に提出しました。こんな制度は断じて許されません。市長はそうお思いになりませんか、国に対し後期高齢者医療制度の中止、撤回を求めるべきです、いかがですか。年齢に関係なく必要な医療が受けられるようにすること、ましてや保険証のとりあげはやめるべきです。いかがですか、はっきりとお答えください。

<保健福祉局長>現役世代と高齢者世代が負担能力に応じ、公平に負担することにより、持続可能な医療保険制度を実現しようとするもの。しかし被扶養者の新たな保険料負担や地方自治体の負担が増加などの課題がある。資格証明書の交付は、京都府広域連合が定める統一取扱指針にもとづき対応する。

子どもの医療費助成、妊婦検診拡充で、子育て支援拡充を

 つづいて、子どもの医療費についてお聞きします。子どもの医療費については、昨年度入院費については小学校卒業まで窓口負担を無料とするなど制度の改善がなされました。粘り強い市民の運動があり、わが党が一貫して求めてきたものです。
 子育て支援としてこの制度の拡充はより一層のスピード感をもって対応することが求められます。京都府内の市町村との比較でも、京都府から同じだけの補助を受けているにもかかわらず、京都市の助成制度は現在でも府内で最低なのです。
 市長は公開質問状への回答に「さらなる拡充については、子育て支援策全般を充実する中で、京都府とも十分協議し検討します」とされています。名古屋市は入院は中学卒業まで、通院も小学校卒業まで無料に制度を拡大する予算を提案しています。大阪市も昨年度に拡大した上に、20年度で更に前進の方針を打ち出しています。他の政令市の積極的な姿勢に比べ、本市の通院医療費の助成は、1月3000円を超える分で、しかも償還払いというのとでは、あまりにも格差があるのではないでしょうか。ぜひとも、本市でも早急に小学校卒業まで入院も通院も無料にすべきですがいかがですか。

<保健福祉局長>名古屋市は、県の補助をうけ拡充を図ると聞いている。小学校卒業まで入院・通院ともに無料化することは、多額の財政負担をともなうことから、京都市単独で実施することは困難。今後、府市協調のもと制度の充実について検討していく。

 また、子どもを安心して生み育てられる条件整備も、切実な市民の願いとなっています。
 大阪で、一度も妊婦検診を受けることなく妊娠後期となっていた妊婦が、救急車を呼んだものの、病院での受け入れができず死産するというショックな事態が起こりました。一度も医療機関を受診しないまま分娩に至る妊婦の事例が急速に増えており、産婦人科の現場の緊張も計り知れない状況だとお聞きしています。安全なお産を確保するうえでも、受け入れる医療体制の困難を取り除くうえでも、妊婦の安全を確保する条件整備は重要です。
 国は最低限5回分の検診を公費で負担するよう自治体に求めました。その後、市長は妊婦検診への公費助成を5回まで拡充すると言われましたが、いつまでに実施するおつもりですか、また、5回でも決して十分とはいえません。東京都台東区は、無料検診を14回に拡大し実施へと踏み出しました。本市もすすんだ自治体に学び必要な妊婦健診が受けられるよう、さらに助成を拡大するよう求めますがいかがですか。
 また、子どもを産み育てやすい環境をつくるには、国がその責任を果たすべきであることは当然のことですので、必要な財源を国に対してつよく要望するよう求めますがいかがですか。

<上原副市長>与党会派から要望されている公費助成拡充について、実施できるよう努める。さらなる拡充は、財政事情が非常に厳しい現状においては、困難な課題であると言わざるをえない。国に対して、十分な財政措置を講ずるよう、引き続き要望していく。

PFI方式での市立病院再整備は見直せ 

 つづいて、市立病院の運営にかかわる問題についてお聞きします。
 誰もが、いつでも、どこでも安心して受けられる医療を供給するために、公的病院の果たす役割は一層重要です。その役割を発揮するためには、病院の運営は万全でなければなりません。だからこそ要となる医師の確保は最重要課題であり、京都市は市立病院、市立京北病院の医師定数の確保に全力で取り組むとされてきました。
 しかし、現在もなお整形外科医をはじめ定数確保には至っておらず重大です。また、労働基準法違反である医師の長時間拘束勤務の解消についても、これまでの理事者答弁では、「市立病院の再整備の課題と合わせて改善する」とのことでありました。医師の過密労働は、すでに医師不足と合わせ社会問題となっています。
 京都市はこれまでに、医師数は偏在しているだけで不足していないとの認識を示してこられましたが、市立病院、市立京北病院の医師確保の難しさからも、現実を直視すべきではないでしょうか。今回、当面の対策として、医師確保を目的とした報酬の引き上げを提案しておられますが、国の医師養成政策を抜本的に改善することが必要不可欠であることは明らかです。
 市長は市立病院、市立京北病院の医師確保と、市立病院における医師の長時間過密労働の改善をいつまでに解決するのか明確にお答えください。合わせて、医師養成数を抜本的に増やすよう国に求めるべきですがいかがですか。

<市長>今後、検討委員会において、医師の給与等の処遇改善や長時間勤務等の解消について、早期に対応策をとりまとめ、順次実施していく。医師の確保は、他の政令指定都市等とも連携して国にたいして要望をおこなっており、引き続き抜本的な対策を強く求める。

 つぎに、京都市立病院の再整備についてお聞きします。京都市は、市立病院の再整備をPFI方式でおこなうとしていますが、市民の命をあずかる病院の運営にはふさわしくありません。PFI方式は、政府が「民間活力の導入」のかけ声で推進したもので民間会社に公共施設の建設・管理・運営をまかせ、自治体は長期間の契約を結んでお金を支払うという行政手法です。事業が赤字経営になり破綻した場合でも、企業は責任をとらず確実に利益を手に入れ、自治体がリスクを負担するというものです。
 すでに、この方法の破綻が全国で起こっています。まず、国内で最初にPFIを導入した高知市の高知医療センターは、オリックスなどの特別目的会社と契約し、医療機器の保守点検からコンビニエンスストア運営まで一括受託しました。運営コストが予定を上回り、2006年度の赤字は22億円弱となっています。こうした事態のもとで、高知市議会、県議会は契約解除も視野に入れた強い態度で臨むことを求める決議を全会派一致で可決しています。
 また滋賀県の近江八幡市では、PFI方式の病院の破綻にとどまらず、近江八幡市そのものが財政再生団体に転落する危機に直面するなど、より深刻な事態が発生しています。近江八幡市立総合医療センターは、全国で始めて設計から運営までPFI方式を導入し、2006年10月に開院をしました。ところが、PFI方式の導入までは黒字であったものが、今年度末に約8億円の資金不足が見込まれ、わずか1年あまりで破綻状態となったわけです。
 いずれも特別目的会社の儲けの回収が最優先されている結果です。近江八幡市では、市長の諮問機関「近江八幡市立総合医療センターのあり方検討委員会」が設置され、この1月に提言を発表しました。そこには「何の対策もとらなければ、数年後には市は財政再生団体に転落する恐れ」があると指摘し、「経営形態の見直し」が必要であると提言しています。特に医療業界は、この間そうであったように、その時々の政府の方針により収入支出が大きく左右される業界です。にもかかわらず特定目的会社に支払う固定費だけは変わらないというのでは経営の自由度を奪い、将来設計を狂わしてしまいます。  
 京都市立病院は、民間では採算に合わない急性期医療や高度医療、感染症や難病医療を担っています。その市立病院の再整備は、近江八幡市など全国の事例を教訓とし、参入企業の採算を優先するPFI方式の導入はいったん見直し再考すべきですがいかがですか。

<保健福祉局長>財政負担を少しでも軽減するため、民間のノウハウを活用するPFI手法を導入し、運営を含めてコストの削減を図りたい。建設資金は起債により低利で調達することや、将来の不確定な大規模修繕はPFIの対象事業から外すなどの対策に反映させている。先行事例を十分に検証しながら、採算性を考慮した計画にしていく。

西陣の産地振興に向けた抜本・緊急対策

 つづいて、京都市の地場産業、「西陣」の問題についてお聞きします。
 西陣の現状は、生産数の減少や事業所数の減少に歯止めがかからないなかで、近年のきものの過量販売に端を発した和装業界全体のイメージ低下、信販ローンの慎重姿勢による高級品の販売不振、展示会販売の不振等がつづいています。さらに、原油高騰による原材料の値上げは、生産ラインの崩壊につながる深刻な状況です。
 今、地球的規模で、大量生産、大量消費、大量廃棄から、長く使い続けられ、環境にも優しいものづくりへと産業構造の転換が求められています。高品質「ほんまもん」をうみ出す京都の伝統産業がもつ強みを発揮できる時代ではないでしょうか。今こそ新たな価値観に基づく産地再生に向けた積極的な取り組みが求められています。この京都でこそ伝統の技を地域づくり、地域経済振興の主体として位置づけ発信するべきではないでしょうか。
 そのためには、産地組合の経験蓄積と調査研究を支援するとともに、行政が直接地場を視察調査、分析し問題点を明確にして具体的な解決策を講じる力量をもつことが切に求められています。 市長は、臨時局区長会の訓示のなかで、「自らが率先垂範して市民生活の現場を訪問する。市民の声を自分の耳で聞き、自分の目で見て、自分の心で感じて、それを即座に市政に生かす市政を目指している」と述べておられます。ぜひとも、地場産地の現場でその姿勢を貫き実践していただきたい。京都市は、これまで「売れることが先決」との考えを先行してきましたが、その努力を上回る産地の崩壊過程にあることを認識し、緊急対策として①現在の異常な生産減少の実態と原因を行政担当者が直接現場に入り把握すること②消費者保護の観点も含め、和装品の適正な価格の表示について徹底した情報提供を行うことを求めますが、いかがですか。

<産業観光局長>業界の実情を踏まえて、伝統産業施策を立案・実行していくことは、大変重要であるとの認識のもと、幅広い意見の把握に努めている。あらゆる機会を通じて実態把握に努め、伝統産業の振興にいかしていく。
 適正な価格を一律に判断することは困難な側面がある。京もの履歴表示などの業界団体が実施するとりくみを支援するとともに、きものよろず相談窓口を開設。業界団体と連携しながら、消費者への適正な情報提供に努めていく。

 つぎに、枯渇しているものづくりの希少道具の問題についてお聞きします。
 経済産業省の平成18年度「伝統的工芸品産業調査報告書」に、西陣産地でいまもっとも危惧されていることに手織りの織機に関する生産用具の調達困難があげられています。なかでも「竹おさ」と言って、たて糸の位置を整えよこ糸を打ち込む際に職人さんがガチャッとひとこしひとこし織り上げる道具は、たったひとり残っておられた職人が亡くなり、つくるひとがなくなってしまいました。代用品では、同じ織物の風合いは出せないもので、産地での職人の育成が取り組まれてきました。ところが、業界全体の景気停滞により、用具の需要が減少し、せっかく育成した竹おさの職人の仕事がありません。西陣織工業組合では本市の雇用対策事業「京の匠ふれあい事業」の活用など苦肉の策もとってきましたが、現在は職人の育成もストツプしています。
 この間、京都府は、全国で道具類を製造している職人の情報データーベース化を検討していく方針を明らかとしています。文化庁は文化財保存の立場で、技術者の育成、道具保存への取り組みを行っています。2月28日の国会予算委員会でわが党のこくた恵二衆議院議員が文化庁、経済産業省、業界、行政の連携と、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」での生産用具と原材料の位置づけを求めたのに対し、甘利経済産業大臣は、業として成り立たなければ、道具の保存ができないことを認め、道具も振興の対象となるとの認識を示しました。
 市長は、「伝統産業もしっかりとやる」と言ってこられましたが、産地の危機を乗り越えるためのスピード感ある具体的な対応が必要です。「伝統的工芸品産業調査報告書」は、今後の後継者育成の方向性として、大学卒業後の人を対象に募集し、西陣織工業組合が職員として雇う形、将来を保証する形も検討しながら、人材確保を考える必要があると提起しています。市長はこれに対し具体的にいつまでにどう対策を打つお考えですか、後継者育成や、技術の継承には独立した予算が必要です。これまでに育成した職人も含め、安定的に技術がいかされるよう国、府とも協力して全国的な体制、環境整備をいつまでに達成する考えかお答えください。

<産業観光局長>府や国とも連携を図りながら、道具の製作技術の円滑な継承と安定的な供給を実現する仕組みを検討していく。ステンレス製の竹おさが開発されており、代替品の研究・開発も必要と考えている。

 最後に、ものづくりの作り手の暮らしの問題について要望します。
 伝統工芸士の称号をもつ70歳台の意匠紋様師は、「長年つきあってきたメーカーが潰れ、新しい受注先を得るのは大変。半世紀かけて身につけた技を活かす仕事の場が欲しい」と仰っています。50歳台の西陣織の職人さんは、「昨年の12月中旬まではなんとか仕事があったが、それでも多くて月10万円にしかならなかった。時給に換算すると454円。今年の1月以降はパッタリと仕事が途絶えた。食べるために、織機を置いてアルバイト先を探して働いている。仕事があればまた織りたい。」と仰っています。この方は、多くて月10万円という収入なのに、織機部品の交換や修理に6万円かかったこともあると言われていました。
 地場は大変深刻な状況です。景気低迷が根底にあるとはいえ減産につぐ減産の狭間で産業を支えている職人の生活実態はまさにワーキングプアの状況です。直近では整経業者の方からも1月下旬の九州地方での新たな呉服問屋の倒産の影響を懸念する声もお聞きしています。雇用対策事業の京の「匠」ふれあい事業は20年度も継続となっておりますが、求められる予算規模にはまったく足りません。技の継承を支え、伝統産業を守るためにも予算の大幅増額を求めまして、第一質問を終わります。

<産業観光局長>緊急対策として一定の成果をあげているが、これだけで雇用の問題が克服できるとは考えていない。需要の拡大が何よりも重要であり、和装産業を戦略的に活性化させる施策を実施するなど、需要の拡大に向けた積極的なとりくみを推進することにより、雇用の創出に結びつけていく。

第2質問

 後期高齢者医療制度のご答弁がございませんでした。明確に中止・撤廃を求めましたのにたいし、お答えはございませんでした。しかし、平気で人の命を切りすてるような、こんなひどい制度はやはり京都市として認めるべきではありません。高齢者を差別する、これはもはや医療の倫理にも反する制度であることは明らかです。重ねて、国に対し、この制度の中止・撤廃を求めるよう、強く要望し質問を終わります。