日本共産党 京都市会議員団

　日本共産党議員団は軍事利権疑惑の徹底解明を求める意見書を提案していますので、わたしは議員団を代表して、提案理由を説明いたします。
　軍需専門商社「山田洋行」元専務、宮崎元伸容疑者に引き続き、守屋武昌前防衛事務次官が、贈収賄の疑いで逮捕されました。過剰な接待をめぐる疑惑が、政治家・防衛官僚・軍需産業をめぐる一大汚職事件へと発展してきています。疑惑の解明をさらに進め、歴代防衛庁長官経験者など政治家とのかかわりや、「山田洋行」以外の軍需企業からの防衛官僚や政治家への働きかけなど、軍事利権の全体が明らかにされる必要があります。
　現在逮捕されている宮崎容疑者と守屋容疑者に関しては、接待ゴルフだけでも数百万円から1千万円を越す接待があったとも言われています。これらの見返りに、「山田洋行」による自衛隊装備品の水増し請求を、守屋容疑者がもみ消した疑惑、航空自衛隊の次期輸送機・CXや海上自衛隊の新型護衛艦のエンジン選定や納入で守屋容疑者が「山田洋行」に便宜を図った疑惑、また、宮崎容疑者が「日本ミライズ」を立ち上げた後、引き続きアメリカの軍需メーカー、ゼネラル・エレクトリック社の代理店となり、CXエンジンを防衛省から受注できるよう働きかけた疑惑など、さまざまな疑惑が指摘されています。いずれも重大であり、すべての疑惑は徹底して解明されなければなりません。
　また、今回のことは個人的な犯罪にとどまるものではありません。「山田洋行」は守屋容疑者だけでなく、自衛隊制服組も含め、広範な防衛庁関係者に接待攻勢を続けてきたといわれています。さらに重大なのは、政治家とのかかわりであります。
　額賀元防衛庁長官・現財務大臣と久間元防衛大臣は、守屋容疑者の証人喚問で宮崎容疑者達の宴席に同席していたとされていますが、「山田洋行」から政治献金を受け取ったことのある政治家は、この2人も含めて17人にも上る、という報道もされています。これらの政治家が接待や政治献金と引き換えに、「山田洋行」のために自らの職務権限を行使したことがなかったのかどうか。こうした疑惑を抱かれる政治家は、みずからすすんで事実を国民の前に明らかにする必要があります。かつて、耐震偽装問題が大きくクローズアップされ、業者が逮捕された際に、民主党の当時の国会対策委員長が、司直が動き出したからといって国会が手をこまねいて見ているのではなく、「いささかも手を緩めることなく全容解明と責任の所在の明確化をしっかりと行っていくべきである」と主張していました。今回も、同様であり、容疑者が逮捕されたからといって、司直にすべてをゆだねるのではなく、国会が真相の徹底究明と責任の追及をすすめなければならないのはあたり前です。
　「山田洋行」をめぐる疑惑は、軍事利権疑惑の、あくまで「氷山の一角」にすぎません。額賀財務大臣は「日米平和・文化交流協会」の秋山常勤理事と勉強会を開いていたとしていますが、この秋山氏は、政界と軍需産業をつなぐパイプ役として動いているといわれている人物であります。秋山氏が中心となって毎年、日米で開催する日米安全保障戦略会議には自民党だけでなく民主党からも政治家が参加しています。しかも、その参加費に税金や軍需産業からの賛助金があてられていたことも指摘されています。
　今こそ、こうした政治家・防衛官僚・軍需産業のゆ着の構造と軍事利権の全ぼうを明らかにしなければなりません。疑惑の根を断ち切るためにも、責任を持って徹底解明に当たることを強く求めるものであります。みなさんの賛同を求め、提案説明とさせていただきます。