せのお直樹 議員
07年12月14日(金)
2006年度一般会計決算等についての反対討論 07年11月定例市会 閉会本会議討論
日本共産党市会議員団は、2006年度決算のうち報第11号の一般会計、報第13号国民健康保険事業特別会計、報第14号介護保険事業特別会計、報第20号駐車場事業特別会計は認定しないとの態度を表明しておりますので、その理由を申し述べ討論を行います。
市長は就任以後の12年間で「日本一の行政改革をやった」と胸を張りますが、一般会計の借金残高は3,043億円も膨れ上がり1兆円を突破しました。市民一人あたり74万円の借金です。
財政難のしわ寄せはすべて市民に押し付けられています。国民健康保険料は3回値上げされ負担増は42億円、介護保険料は62億円、学童保育利用料や敬老乗車証は有料化され、この決算年度では家庭ごみ袋まで有料化されました。この12年間でなんと358億円も市民負担が増えています。
一方、同和特別扱いによる市政のゆがみは、現時点で職員の逮捕者92人、懲戒処分は500人を超えるという異常な事態を生み出し、止まるところを知りません。
2006年度も、これらムダづかいと市民へのしわ寄せによるくらし破壊の流れのなかで、桝本市政の特徴を色濃く反映したものとなっています。
前年の2005年度は、国民健康保険料の値上げ、敬老乗車証の有料化、保育料の値上げ、施設使用料・利用料の引き上げ、市営葬儀事業の廃止や小児慢性特定疾患の独自策の切捨てなど市民負担増のオンパレードでした。ところが、市民の痛みをいっさい省みることなく決算年度の2006年度も家庭ごみ袋を有料化し、介護保険料や学童保育利用料の値上げなど、さらに50億円もの新たな市民負担を押しつけました。しかも、市民の負担を増やしながら、逆に市民サービスは後退させています。
学童保育は2002年度に有料化され、昨年度値上げされて年間3億7千万円の保護者負担となっていますが、保育条件は逆に悪くなっています。1施設あたりの子どもの数は増え続け、学校の教室くらいの狭い場所に、60人を超える子どもたちがひしめいている所が、全体の半分近くの62施設もあります。待機児対策で分室をつくっても職員の補充はアルバイトの2名だけ。現場に負担を押し付けるその場しのぎの対策しかとられていません。
また、昨年、伏見で生活保護を断られ、男性が母親を殺害する痛ましい事件がおきました。本会議で副市長は「反省すべきは反省し、きめ細かい対応に努める」と答弁しました。決算年度はその対応が注目されましたが、いまだに福祉事務所に生活保護の申請書もパンフレットも置かれていません。それ以外のパンフレットなどは100種類以上も置いているのに命にかかわる生活保護のパンフレットは置かない。できるだけ生活保護を受けさせないようにしようとする京都市の冷たい姿勢をはっきり示すものです。
国民健康保険では、およそ4000世帯に資格証明書が発行され、保険証の事実上の取り上げがすすめられています。今回の決算委員会で、小学校にあがる前の子どもさんがいる世帯7世帯に資格証明書を発行していることが判明しました。幼い子どもが病気になっても医者にもかかれない事態を引き起こしていることは重大です。また、資格証明書になっている方が病気になって区役所の窓口に行って相談しているのに、かたくなに保険証を渡さないといった対応もされています。資格証明書や短期保険証の発行は即刻やめて、国保加入者みんなに正規の保険証を渡すべきです。
滞納者が増えているのは保険料が高すぎるからです。京都市は払える保険料にするための十分な努力をしているといえるでしょうか。たしかに、京都市国保は、現在87億円の累積赤字を抱えています。しかし、これは市民が保険料を払わないから赤字になったわけではありません。赤字の最大の原因は、国が国庫支出金を1984年以降、全体で1兆6600億円と大幅に削減したことにあります。ただし京都市が赤字を拡大するようになったのは、桝本市長が就任後の1998年からで、1993年には黒字が81億円、基金もあわせると90億円の累積黒字を持っていました。その当時から比べると加入者は10万人も増えて歳出は約1.5倍にもなっているのに、市独自の繰入は2001年度の79億円が最高で、ほぼ70億円前後で横ばいです。赤字になる仕組みを市自身がつくって保険料値上げという形で市民にツケをまわしているのです。一般会計からの繰入金を増やして払える保険料にすべきです。
介護保険事業では、大幅な保険料の引き上げが行われ、軽度認定者から介護ベッドや車椅子が取り上げられ、家事援助が大幅に制限されました。負担増とサービスの切り捨てに対して、なんら独自の救済策をとらなかった市の姿勢が厳しく問われるものです。施設入所待機者の状況も把握せず、地域包括支援センターへの補助も極めて不十分であり、自治体としての責任を果たしているとは言えません。
教育現場での学校間の格差拡大は目に余るものがあります。一部の学校には一点豪華主義で予算を投入してホテルのような校舎をつくり、ひのきの机を準備する。その一方で、安全の命綱である防火とびらの自動作動装置が壊れたまま針金で固定されている学校があります。改善命令が出されているのに、11月1日現在で実に、消防用設備で20件、防災設備で65件も改善しないまま残されている学校のあることが明らかになりました。雨漏りが激しく図書室の壁が剥がれおちて図書にかかったままで放置されている学校もあり、がたがたで穴のあいた机が子どもたちに押しつけられている学校もあります。子どもの教育条件に格差をつけることは絶対に認められないことです。
こうした福祉やくらし、教育の貧困を生みだしながら、公共事業のムダづかいや同和特別扱いは温存され、信頼回復のための不祥事根絶に向けた取り組みは極めて不十分です。
京都高速道路の5つの路線の内、2路線だけで関連道路も含めると700億円を超える負担になることが明らかになりました。しかも、市長は最後まで総額2,900億円にのぼる残り3路線の事業化に取り組むと言明されました。
また、クリーンセンターを1ヵ所減らして節約するといいながら、建設費200億円、人件費を除いても運転コスト18億円もの焼却灰溶融炉の建設に着工し、45億4千万円も使われています。しかも決算審議を通して、必要な人件費はいまだに明らかになっておらず、二酸化炭素排出量も企業秘密でわからないというのですから、まったく無責任な話です。市内高速道路の残る3路線はきっぱり止め、不要不急の大型の公共事業は見直すべきです。
本市は2010年までに温室効果ガス排出量を基準年である1990年から10%の削減を目標に掲げています。この目標が達成できれば、世界の取り組み促進に大きく寄与することになります。すでに、本市は「気候変動に関する世界市長・首長協議会」の一員として、あらゆる国に対して、京都議定書後の次期枠組み交渉において、温室効果ガス排出量を、2020年までに基準年比30%削減し、2050年までに80%削減する目標を設定するように強く呼びかけ、化石燃料への依存体質からの脱却を求めています。
ところが、このまま推移すると目標達成は程遠い状態です。国際社会において温室効果ガス排出量削減の新たな枠組みが話し合われているもとでCOP3開催地として本市の責任は重大です。10年の節目にあたり、10%削減目標を達成させるための対策強化を強く求めておきます。
最後に、同和と犯罪・不祥事問題です。昨年は市職員の犯罪・不祥事が続発し、議会には調査特別委員会が設置され集中審議が行われました。そして、同和の特別扱いが問題の背景にあることが、いっそう浮き彫りになりました。ところが、同和奨学金制度は廃止になったものの、その返済を免除する「自立促進援助金」制度は、今後2029年まで続けられ、総額で40億7千万円にもなります。同和特別扱い以外のなにものでもありません。制度を利用している者の中には選考採用制度を利用した市職員がいるはずです。奨学金を返還できないはずはありません。ところが市長はあくまでも返還請求を拒否しています。直ちに事業を廃止し、返還の能力と条件のあるものからは返還を求めるべきです。
また、市職員の保育料滞納と時効による不納欠損も今議会で問題になりました。時効処分となった現職員9名のうち、8名が同和減免を受けていた。滞納金額は226万円、月額平均1万円。5年以内に一度でも支払うか、分納誓約をとっておれば時効にはなりませんでした。毅然とした態度をとらず、時効にした責任は重大です。
さらに服喪休暇の不正取得問題で明らかになった作業マニュアルもない区役所作業員が長年にわたって放置されてきたことも重大です。
不祥事根絶をめざすとして昨年8月に「抜本改革大綱」が発表されましたが、この文書の中には、問題の中心である「同和」の「ど」の字も出てきません。ここに、あくまでも事の本質から目をそらそうとする市長の姿勢があらわれているのではないでしょうか。不祥事対策についてもマスコミや議会だのみで、モグラたたきのような対応に終始していることを厳しく指摘しておきます。
以上、認定できない理由を申し述べ、討論を終わります。