ひぐち英明 議員
07年10月 5日(金)
テロ対策特別措置法に関する2つの意見書案に対する賛成討論 07年9月定例市会 閉会本会議討論
テロ特措法にもとづくインド洋での自衛隊の活動について、石破防衛大臣が「海上阻止活動への支援」などとのべ、あたかも警察活動への協力のように言っていますが、これはとんでもないごまかしです。例えば、2006年9月、自衛隊がアメリカ軍の強襲揚陸艦に給油し、そこから飛び立った攻撃機が、アフガニスタンへの空爆のために136回の攻撃飛行を行なったことを、アメリカ海軍が明らかにしています。アメリカ軍による空爆はクラスター爆弾などを使用してきたことも明らかになっており、まさに無差別攻撃というのが実態であり、この攻撃のもとで、多くの子どもや女性、お年寄りが犠牲になっています。
また、市民団体が入手したアメリカ海軍の航海日誌などで、2003年2月25日、日本の海上自衛隊からアメリカ軍の給油艦を介して、80万ガロンの油を受け取ったアメリカ軍空母・キティホークが、給油直後にペルシャ湾に入り、イラク作戦を実施していたことが明らかになっています。テロ特措法はアフガン戦争への支援に限定した法律であるはずです。ところが、イラク戦争まで支援していたことがアメリカ海軍の公文書で示されているのなら、こうした自衛隊の活動は、憲法に違反しているだけでなく、テロ特措法すら逸脱した行為であることは明白であります。
さらに、アメリカの軍事力による対応が、テロをなくすどころか、テロと戦争の悪循環を激化させていることは、世界の国々が実感をしています。アフガニスタンでのアメリカ軍による報復戦争開始から6年が経過しましたが、アルカイダはつかまらず、タリバンが復活しているのが実態です。この戦争の中で民間人の犠牲者が多数つくりだされており、そのことが、新たなテロの土壌を拡大してきています。かつて、国連事務総長も、軍事力だけでテロを敗北させることができると考えるなら間違いを起こすことになる、と指摘しましたが、その間違いが現在進行しつつあります。
今、日本がなすべきことは、第一に、米軍の戦争を支援するという、憲法に違反する活動はどんな形であれ中止し、海上自衛隊をインド洋から撤退させることであります。第二に、テロ根絶を名目にした報復戦争から、国連を中心とした警察と司法による解決の道、政治的解決を中心とした道に切り替えるための外交努力を行なうことであります。第三に、貧困と飢餓をなくし、干ばつ対策を行い、教育の改善をはかるなどの民生援助を抜本的に強化し、テロが生まれる根源を除去することであります。世界に誇る平和憲法を持っている日本こそ、この方向を推進する立場に立つべきであります。
最後に、テロ特措法は、アメリカの報復戦争を支援するために、憲法第9条を踏みにじって自衛隊を海外に出動させるという明らかな憲法違反の立法であること、そして、その報復戦争では、テロはなくならないことを再度指摘し、その延長はもちろん、新たな法律をつくっての給油活動の継続も断じて許されないことを述べて、討論と致します。