倉林明子 議員
07年9月10日(月)
倉林明子議員の代表質問と答弁の大要 07年9月定例市会 本会議代表質問
生活保護行政の改善を
日本共産党の倉林明子です。先の参議院選挙では、日本共産党に全国で440万を超える得票をいただきました。お寄せいただいたご支援に心から感謝を申し上げます。今回の選挙結果は、自民党が改選議席を27人減らし、公明党が4人の現職落選と、安倍内閣、自民・公明与党に極めて厳しい歴史的な審判が下されました。「構造改革」の耐え難い痛みの押し付け、戦後レジームの見直しで危険な戦争に突き進む、暴走する政治に国民がブレーキをかけた結果ではなかったでしょうか。国民は切実に、現在の自民・公明政治にかわる新しい政治を求めています。党派を超えた国民のこの願いに答える政治の実現に、日本共産党も全力をあげて奮闘する決意です。
この間、構造改革路線が拡大してきた貧困と格差の実態は極めて深刻です。北九州市で生活保護を今年4月に「辞退」した52歳の男性が、保護廃止2ヵ月後に餓死状態で発見されました。つぶれかけた家に住み、「おにぎりが食べたい」と日記に記し、道端の野草まで食べていたとのことでした。2005年にも2006年にも同じ北九州市で生活保護が認められず孤独死した事例がありましたが、北九州市だけの異常事態でしょうか。
京都市でも1999年、山科区で生活保護の打ち切りによる餓死事件がありました。裁判で敗訴した結果も受けて、男性の餓死から5年後の2003年、ようやく生活保護廃止時に適正な対応を行うよう、保護が必要でなくなったことを確認するなどの留意点を示した局長通知が出されました。ところが、昨年2月には、生活保護が受けられず認知症の母を殺害する事件が発生したのです。この事件について、副市長は残念だとした上で、「今後、このような事件が二度と起こらないよう、反省すべきは反省し、きめ細かい対応に努めていきたい。」と答弁されていますが、具体的に何を反省し、この1年間どのような具体的な改善に取り組んできたのでしょうか。お答えください。
本市での生活保護の辞退者は05年度で533件、06年度が487件、生活保護の相談に来たものの保護受給に至らなかった人の割合は、1996年には60%だったものが、2000年代に入ると75%に跳ね上がってほぼ固定しています。本来、生活保護の申請は権利として保障されているものです。北九州市では緊急点検62件の内、4件について要保護状態であることを認め、生活保護申請を受理したとのことです。京都市でも北九州市のような事例はなかったと断言できますか。辞退者や相談しても保護が受けられなかった人たちの中に、本来保護が必要な人たちを見落としていなかったのか。改めて点検調査を行うよう求めるものです。いかがですか。
生活保護行政が生活困窮者を餓死や親殺しにまで追い詰める、あべこべの事態をつくっている最大の原因に、生活保護費を徹底して削減する政府の方針があります。昨年3月に出された「生活保護行政を適正に運営するための手引き」は、就労を「指導」し、指示に従わない時は保護を打ち切ること、「不正受給」に対しては積極的に警察へ告発するなど保護廃止のための「手引き」となっています。政府が本当に反省するなら、こうした手引きは撤回すべきです。市長はこの手引きの撤回を国に対して求めますか、求めませんか。いかがですか。
<上原副市長>保護が適用されない方にも、状況が変化した場合には再度相談に来てもらうよう、心情に配慮した細かな対応をおこなうことを福祉事務所の職制別の会議で周知した。
保護辞退の受理は、任意かつ真摯なものであり、直ちに急迫状態に陥るおそれがないことを確認するよう徹底している。改めて点検調査をする必要はない。
厚労省通知は、必要な人に必要な保護をおこなうための取り組みをまとめたものと認識している。
消費税増税の中止を国に求めよ
今年も6月、国民健康保険料と住民税の通知に驚いた市民が区役所に、わずか1ヶ月足らずで去年に匹敵する4万人あまりが押し寄せました。相談を終えて区役所から出てこられた方は「決まったことだからというばっかり。こんなひどい値上げがあるやろか」「誰が決めたのか。年金者をバカにしている」と怒り心頭でした。一昨年の国民健康保険料の大幅引き上げ、昨年の大幅な住民税増税。6月は毎年のように区役所に市民が殺到する事態が続いています。今度の住民税の大増税は、税源移譲によるもので、所得税の減税分を差引けば増税にはならないと大宣伝したものの、住民の怒りはおさまりません。それもそのはず、 定率減税の廃止による大増税だったのです。住民税の大増税をやった自民・公明政権の責任が厳しく問われました。同時に、市長あなたの対応はどうだったでしょうか。住民税増税に対して、5月議会での答弁は「定率減税廃止は本来の税率に戻すもので、将来世代に負担を先送りしないための措置。」と国の言い分を代弁し、増税を認めています。さらに、市民にとっては増税なのに税源移譲だけを強調し、増税ではないかのように1600万円も使った大キャンペーンをやったことです。広告では税源移譲も含めた、三位一体改革を評価し、地方分権の推進につながるとして協力を求めましたが、とんでもないごまかしです。三位一体改革で実施された補助金の廃止、地方交付税の大幅削減は、国の財源確保を最優先にしたもので、今回の税源移譲を大幅に上回る規模です。つまり、国は改革と称して、地方に回す財源を大幅に削減してきたのではありませんか。三位一体の「改革」の結果は、住民には増税、地方自治体には財源の切捨てに他なりません。地方分権推進というなら、地方にきちんとお金を回してからいうべきではありませんか。格差を是正しようとするならば、真っ先に史上空前の利益をたたき出している大企業に対してこそ本来税率に戻すべきだとはっきり求めるべきです。日本共産党市会議員団は、低所得者に対するこの間の急激な増税を緩和し、格差を縮めるためにも、市税の減免制度をさらに拡充するよう求めるものです。
さらに、新閣僚から次々と消費税増税の議論が出ていますが、とんでもありません。安倍首相は選挙中、消費税を上げるとも上げないともいいませんでした。消費税の増税について選挙で是非も問わないまま、終われば直ちに消費税の増税とはあまりといえばあまりのやり方ではありませんか。そもそも、日本共産党はさらなる庶民いじめ、中小企業に打撃を与える消費税増税には反対です。自民・公明政権が国民に賛否を問わないまま増税するならば、民意を踏みにじる行為だといわなければなりません。来年度の消費税増税中止を国に求めるべきです。いかがですか。
<市長>安定的な歳入の確保にも資する税であることから、その役割はますます重要になっている。歳出改革を徹底しつつも、なお必要となる費用をどう負担していくのか、十分な検討がなされるべき課題。
加えて、消費税増税を、年金の国庫負担を2分の1に戻す財源として検討するのは、重大な公約違反です。2004年の総選挙で与党の公明党は、定率減税の廃止と高齢者課税分を国庫負担2分の1に引き上げる財源にすると約束していました。増税はすでに実施されたのですから、さらなる財源がなぜ必要なのでしょうか。年金を口実に二度も増税を国民に押し付けることは許されません。市長、約束通り国庫負担の引き上げ、実施するよう国に求めるべきです。いかがですか。
<保健福祉局長>すでに国は引き上げに着手しており、動向を注視していきたい。
高すぎる国保料を引き下げ、国保証取り上げ中止を
次に国民健康保険料について質問します。高齢者は「受け取る年金は毎年減って、介護保険がごっそり持って行かれる。国民健康保険料を払ったら、とても病院に行けない。」と深刻です。高齢者にとどまらず、国民健康保険料が払えず滞納に追い込まれ、まともな保険証がもらえない世帯が増え続け、結果として、病気なのに適切な治療が受けられない、患者になれない市民が増えています。今年6月に受診した40代の男性は、宅配業務の下請で一日15時間働いても月々の収入が13万円前後しかありませんでした。腹痛で受診した時は、すぐに入院治療が必要だと言われたものの、国保の短期証の期限は既に1月で切れていました。滞納額は30万円を超えており、とても払えません。なんとか一部を支払って、短期証を受け取ることができましたが、短期証では、高額療養費の委任払いも一部負担金の減免制度も使えません。私は市長にお聞きしたい。一生懸命働いても保険料が払えない市民に、いざ病気になったらまず金を用意しろ、こういう対応で市民の命と健康が守れるとお思いですか。治療が受けられないのは、国保料が払えず、相談にも行けなかった市民の自己責任でしょうか。お答えください。
「持続可能な制度にするために公平に保険料を負担していただく」。市長は説明されています。確かに京都市国保会計は現在、87億円の累積赤字を抱えています。しかし市民が保険料を払わないから赤字になったわけではありません。赤字の最大の原因は国が、国庫支出金を1984年以降、全体で1兆6600億円と大幅に削減したことにあります。ただし京都市が赤字を拡大するようになったのは、市長が就任した後の1998年からです。1993年には黒字が81億円、国保独自の貯金である基金もあわせると90億円もの累積黒字を持っていたのです。その当時と比較すると、現在加入者は10万人増加、歳出は約1.5倍です。こうした支出の自然増に見合った、赤字補填措置を確保しないと国保財政の構造上、赤字が拡大する仕組みになっているのです。この間、京都市独自の繰入は70億円前後でほぼ変わっていません。この繰入を歳出の伸びに見合って確保するなら105億円の規模となるのです。自然増に必要な財源を確保せず、累積赤字をここまで拡大し、就任以来三度も国民健康保険料を引き上げた市長あなたの責任は重大です。
市長は国保でも財政問題が最優先になっていませんか。市民の命と健康こそ最優先する姿勢が地方自治体のトップには求められます。せめて給付の伸び率に応じて赤字補填措置を拡大し、負担能力に応じた国民健康保険料への引き下げ、真剣に検討すべきです。いかがですか。保険料の滞納世帯に対する制裁措置で、事実上の国保証の取り上げである資格証明書の発行は直ちに中止すること、制限付きの短期証もやめて正規の保険証の交付を強く求めるものです。お答えください。
<上原副市長>過去最高額を一般会計から繰り入れ、一人当たり保険料を前年度と同じ水準にし、政令指定都市の中でも低く抑えた。現在、巨額の累積赤字を抱えており、保険料の引き下げをできる状況にはない。
滞納世帯には、減免制度等の活用などきめ細かな相談をおこなっており、特別な理由もなく滞納している方には、法令に基づき資格証明書や短期証を交付することはやむを得ない。
後期高齢者医療保険制度について
来年4月から後期高齢者医療制度が始まろうとしています。75歳以上の高齢者を強制的に現在加入している保険から離脱させ、高齢者だけの独立した保険をつくるものですが、扶養家族で保険料の支払い義務のなかった人も含めて、全ての高齢者が保険料支払わなければなりません。さらに介護保険と同様、月額1万5千円以上の年金があれば、保険料は強制的に天引きです。都道府県単位で設立された広域連合ごとに保険料が決まることになりますが、厚生労働省の試算では、月額平均6200円、介護保険料とあわせると平均月額1万円を超える強制天引きです。受けられる医療の中身も安上がりの別メニューとはあんまりではないでしょうか。高齢者に対して新たな負担が生じないよう、実態も示して制度改善を求めていくべきです。保険料については、国保と同様に低所得者に対しては法定減免制度が設けられるようですが、それだけでは不十分です。生活保護世帯以下の収入しかない世帯が少なくありません。こうした低所得者層に対して免除する規定を盛り込むよう広域連合に対して、働きかけるべきだと考えます。これに必要な財源については、京都府とも連携し、一般会計からの繰入を実施すべきです。さらに、強制的な年金天引きや、保険料滞納者に対する保険証の取り上げ措置などは改めて見直すよう国に求めるべきです。いかがですか。
合わせて、65歳以上の国民健康保険料まで、年金からの天引きが義務付けられました。保険料徴収率の向上のためといいますが、とんでもない便乗です。国保料の徴収は京都市の仕事です。少なくとも京都市は滞納世帯に対して、きめ細かな納付相談をすることが原則的な対応だと説明されてきました。払えない方々の事情も聞かず、有無を言わさず強制天引きなど実施すれば、生活破たんを招きかねません。機械的な制裁措置は取らないとしてきた京都市の国保料徴収の原則とも矛盾するのではありませんか。
さらなる便乗は、国民健康保険加入者で、国民年金保険料の滞納があるものに対して短期証の発行ができるとしたことです。国民健康保険料だけはと、なんとかやりくりして払っている人でも、国民年金保険料までは払えない、こういう市民は決して少なくありません。国保料に加えて国民年金も払わないとまともな保険証がもらえないとなれば、国保料の滞納を逆に助長する要因にもなりかねません。年金の罰則を国保でやるなど、あまりにも乱暴ではありませんか。市民の理解が得られるものとは到底思えません。65歳以上から74歳までの保険料の天引きも、年金保険料滞納者に対する国民健康保険証の取り上げも京都市が実施しなければ、国が代わってやれない事務です。事務返上も辞さずに、見直しを求めるべきです。いかがですか。
<保健福祉局長>低所得者の保険料は、法の規定により、世帯の人員・所得に応じて減額するとしており、要する財源は、府、市町村が公費で負担する。
年金からの徴収や保険料滞納者への資格証明書の交付は、法律で規定されているものであり、実施はやむを得ない。
国民年金保険料の滞納世帯に対する短期証の発行は、他都市の状況等をふまえ、慎重に検討する。
負担増一辺倒の「行政改革」の見直しを
国民に貧困と格差を広げた政府の構造改革に、厳しい審判が下されました。市長はこの構造改革路線の地方モデルともいえるような実践をしてきました。市長が「日本一」だと自慢する行財政改革の問題は中身です。就任以来、3回の国民健康保険料の値上げは合計42億円、介護保険は合計62億円、家庭ごみの有料化は20億円など、あなたが実施した負担増は合計358億円。日本一なのは、負担増ではありませんか。さらに、生活保護世帯への夏季歳末見舞金や市営葬儀、無料敬老乗車証を廃止するなど、市民生活を支えてきた貴重なサービスまで廃止しました。負担増の撤回を求めるたびに「持続可能な社会の構築のため、適正な負担は避けて通れず、厳しい財政事情を勘案すれば、やむを得ない。」と答弁されてきましたが、財政再建を最優先し市民に負担を押し付けるやり方は政府とそっくりです。
市長は来年度の国への予算要望で「国の歳出削減のみを目的として『地方交付税削減ありき』の議論を進めることは、到底認められるものではありません。」と明確に述べています。そのまんま、市民の声を代弁するなら、市長は財政健全化のみを目的として負担やむなしとの議論を進めることは到底認められるものではありません。構造改革にアクセルを踏む、市民に耐え難い負担を押し付けてきた行革一番という考え方を改める時ではありませんか。あなたの言われる「日本一の行財政改革」をこれからも続けるおつもりですか。お答えください。
<市長>積極果敢に改革にとりくみ、全国最高水準の成果をあげてきた。他の自治体をリードする全国トップレベルの改革を大胆に推し進めてきた結果だ。引き続き、行財政改革を断行、継続していく。
政府は今年もまた、大企業や大金持ちに1兆7千億円もの減税を行いましたが、定率減税の廃止による庶民増税分がまるまる減税分に回されています。あまりにも大企業優遇であり、いっそうの格差拡大をすすめるやり方です。大企業に減税の大判ぶるまいというやり方までそっくりだと思うのが、京都市の企業立地補助金です。04年度から始めた補助金の交付実績は全体で2億3千万円を超えています。その内の86%にあたる2億円が、資本金3億円以上の大企業わずか3社に対して渡っているのです。方や、市内企業の99%を占める中小企業に対する支援事業予算は、毎年減額されて今年度わずか4184万円にすぎません。応援すべき相手が違うのではありませんか。国の大企業優遇措置に加えて、京都市まで多額の補助金で大企業を応援すべきではありません。中小企業支援にこそ、予算をまわすべきです。お答えください。
<産業観光局長>大企業を中心とする生産拠点の集積は、地元中小企業との取引を活性化し、産業活力の向上に役割を発揮している。
教育格差の拡大の是正を
さらに、子どもにまで貧困が拡大している問題です。京都市ではここ10年間で就学援助をうける児童生徒数は約1.8倍、一人親世帯は1.4倍と大幅に増加しています。昨年のOECDの対日経済審査報告でも高学費が要因となって、親が働いていても貧困になっ1いる家庭の割合が高いこと、税や社会保障が負担の軽減ではなく負担増になっていることが指摘されています。「貧困が将来世代に引き継がれることを防ぐため、低所得世帯の子どもの質の高い教育への十分なアクセスを確保することが不可欠である。」と提言していますが、その通りだと思います。ところが、京都市ではこの十数年の間に、公立の定時制高校の定員が800人も削減されています。貧困を拡大再生産させないためにも、公立の定時制の定員確保の意義は大きいのではありませんか。これ以上の定員削減はすべきではないと考えますが、いかがですか。
「教育格差が拡大しているのではないか」との質問に対し、教育長は「格差や一部の学校の特別扱いはない。すべての学校の教育条件向上にとりくむ。」と答弁されました。しかし、どう説明されても学校間の違いはあまりにも明らかです。統合校の先駆けともなった洛央小学校は45億円でした。西京中高一貫校は99億円、御池中学は52億円といずれも本当に立派な学校が建設されましたが、一方で、雨漏りの修繕さえできないという学校や、新入生に新しい机や椅子さえ用意出来ず、建て替えのあった学校に廃棄処分となるものを貰い受けて使用せざるを得ない学校がある。こうした実態を格差というのではありませんか。こうした格差を率直に認め、改善すべきです。いかがですか。
公立高校の格差も明白です。堀川高校を始め、学力がなければ入れない専門学科を拡大させていますが、こうした専門学科は市内全域を対象にした選抜制度となり、その分減ったのが普通科の募集定員です。その結果、今年も北通学圏の不合格率は東通学圏の8倍、西通学圏は7倍も不合格率が高いという異常さです。十分、自宅から通えるところに公立高校があるのに、同じ学力でも住んでいる地域の違いだけで、合格・不合格に大きな違いが生じているのです。こうした地域間格差の是正、速やかに行うよう求めるものです。お答えください。
<教育長>先進的な学校の実践と成果をすべての学校に生かしている。格差や一部の学校の特別あつかいは断固ない。
本来的な定時制希望者がほとんどいない。定員を減らす一方で、全日制の定員を拡大。今春の全日制普通科の不合格者数は過去最少になった。
雨漏りの修繕を放置することは一切ない。不要な教材・教具の有効活用は当然。
「解同」特別扱いをきっぱりやめ、市職員の犯罪・不祥事の根絶を
次に市職員の犯罪・不祥事についてです。児童買春、銃刀法違反、詐欺、覚せい剤使用と職員の逮捕が相次いだ昨年、服務規律強化月間をやっても、逮捕者が相次ぎ、底なしの状況を呈しました。職員の不祥事根絶のための改革大綱を策定して一年間、その効果はどうだったのか、犯罪や不祥事を根絶できる京都市への改革ができたのかが問われます。
今年4月の第1次総括の成果として、「個々の職員の規範意識が向上している」とありますが、山科まち美化事務所全体で年休の不正な取得が発覚したことに続き、少なくない職員が服喪休暇を不正に取得していたことも明らかになりました。年休がなくなりそうになれば、不正に休暇を取得する、それをやすやすと認めてきた上司も含めて、規範意識が高いとはとうてい言えません。現状は何も変わっていないではありませんか。
京都市の犯罪・不祥事体質の根底には、長年にわたって同和行政の名の下に、行政の透明性や公平性をゆがめてきた根深い体質があります。部落解放同盟に対して、資金提供を行うために組織的な裏金づくりをしていた1983年の3億円公金不正事件、こうした体質に暴力団が付け入り1986年には第二次公金不正事件を招いたのではなかったでしょうか。裏金で資金づくりができなくなって以降、要綱を作って補助金として表から公金を提供し続けました。2003年には、この補助金も実態のない不正なものであったことが裁判で判明し、部落解放同盟にあの手この手で不正に公金を提供し続けたことが明らかになったのです。
同和問題の解決を口実に、金だけでなく運動団体の幹部の一部に、人事権も丸投げしていたことを市長は既に認めています。不当・不正なことでも同和と名がつけば、まかり通る組織にしてきたことが最大の要因ではありませんか。同和選考採用した職員だから、不当・不正な行為だとわかっていても、指導できない体質が出来上がってきたのではありませんか。昨年、星川副市長は「補助金問題と今回の不祥事案は原因・背景が異なる。」と答えましたが、何がどう違うのでしょうか。説明を求めます。
同和特別扱いがいまだに続いていることを、繰り返し指摘する中で、部落解放同盟の幹部で市職員だった元東山のケースワーカーについては、特別扱いがあったことを認められました。しかし、いまだに特別扱いが続いているのではありませんか。今年7月、市職員に対する職務強要事件の判決がありましたが、判決では、恐喝された背景には、市職員が「同和関係団体の申し入れを考慮した」「行政の公平性及び透明性の見地から問題がある」と指摘しています。職員が申し入れを考慮した相手は21世紀錦林まちづくり推進研究会会長代理であり、部落解放同盟錦林支部の支部長の肩書きを併せ持っています。同和補助金不正受給をしていた当時も部落解放同盟錦林支部の支部長だった人物です。今もこの人物は、京都市上下水道局の係長、れっきとした職員です。地元協議といいながら、実態は部落解放同盟幹部との協議ではありませんか。特別扱いはやめろと市長が指示を出してもやめられないのはなぜなのか。やめられない職員の問題でしょうか。不正に補助金を取得していた当事者である市の職員に断固とした対応が取れない市長にこそ、問題があるのではありませんか。看板を地元団体と変えて、実態は部落解放同盟の一部幹部を特別扱いする体質を容認しているのは、市長あなた自身ではありませんか。こうした特別扱いはきっぱりとやめるべきです。明確にお答えください。行政の公平性と透明性を確保することなしに、市政に対する信頼は得られないことを指摘して第一質問とします。
<星川副市長>運動団体との関係は、見直しを進めてきた。現時点で新たな問題を生み出すような不正常な関係、特別あつかいは一切ない。
指摘の答弁は、同和補助金問題は、関係見直し前の運動団体に毅然とした対応ができなかったために起こった事件であること。昨年の連続不祥事は、基本的には運動団体の特別あつかいに直接起因するものでないとの認識をのべたもの。
ただ、一部に経過を引きずる形で、問題なしとしない点が残っていたのも事実。万一、現在も残っていれば、厳正に対処する。
職務強要事件は、本市の毅然とした告発によって実刑判決が出されたもの。われわれの調査では、問題ある事実は一切ない。判決文を入手し、必要があれば適切な対応をとる 。
第2質問
答弁を聞かせて頂きましたが、市民負担増も職員の犯罪・不祥事も、これではなにも変わりません。参議院選挙で国民が示したのは、負担増にノーという明確な審判でした。とまらない負担増、やまない職員の不祥事に、市政を変えて欲しいとの願いが大きく広がっています。日本共産党市会議員団はこの願いに応えて市政転換へ、全力をあげる決意を申し上げて質問とさせていただきます。