宮田えりこ 議員
07年5月29日(火)
「京都市市税条例の一部改正」についての反対討論 07年5月定例市会 閉会本会議討論
この2件は、2007年の地方税法改正にともなう条例の規定整備で、ベンチャー企業への優遇措置であるエンジェル税制の拡充、鉄道駅構内にある商店施設部分を固定資産税の課税対象とする「駅ナカ」課税の見直し、新・信託法制定に伴う受託者課税及びたばこ税の整備などが内容となっています。
また、今回は条例改正の必要がないものの、地方税法の改定で上場株式などの配当・譲渡益は軽減税率を延長する証券優遇税制がすすめられています。これは、優遇措置のもとでも2007年税収見込み額が、配当割969億円、株式など譲渡所得割1384億円と、個人住民税の均等割見込み額2349億円を超える規模になっており、実際には一握りの富裕層に減税の恩恵が集中する金持ち減税となっています。
この税率の軽減は、個人資産の「貯蓄から投資へ」を課題に、株式市場の低迷や金融機関の不良債権問題に対応するものとして5年間の時限措置で導入、昨年の政府税制調査会答申では「現在の財政状況は大幅に改善している」ので、「期限到来とともに廃止」するとされてきたものです。しかし、「軽減税率の継続を」との経済界の強い働きかけにより、延長が決められてしまいました。
府の収入となる府税ですが、京都市への影響も大きく、本来税率の20%に戻されれば入ってくるはずの府交付金12億7700万円が減額になるものです。株の取引で大きな儲けを出す人々への更なる優遇措置であり、ただちに廃止すべきものなのです。
これらの一握りの富裕層への優遇税制の一方で、市民への負担はさらに進んでいきます。18年度から廃止となり現在2年間の経過措置が取られている住民税の老年者非課税措置は、平成20年度からは全額負担となり、年金収入が200万円の方では、17年度の27800円の税負担が、20年度には2万円近くも増えます。介護保険料は、住民税が非課税か課税かで段階が違ってくる仕組みになっていますので、住民税課税と連動して介護保険料も増えることになります。一番大きいのは定率減税の全廃による影響で28億円、市民55万人の規模です。夫婦と子ども2人、給与収入700万円のモデルケースでの負担増は41,000円、これにはさらに均等割4000円も加わり1割近くもの増税となります。
この間、国でも地方自治体でも、「税源移譲だけに限った所得税、住民税の合計額は変化しない」「負担は変わらない」と宣伝してきましたが、定率減税全廃による増税が庶民に押し付けられることになります
負担能力のある金持ちや空前の儲けを上げている大企業への減税、生活が脅かされるほどの負担を強いられている庶民には一層の増税が進んでいくのです。このような流れに賛成するわけには参りません。景気回復や市民生活へ大きな影響を及ぼすこの条例改正には反対することを重ねて申し上げ、討論といたします。ありがとうございました。