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市会報告

くらた共子 議員

07年5月29日(火)

平成19年度国保事業特別会計補正予算に対する討論 07年5月定例市会 閉会本会議討論

 

 日本共産党市会議員団は、議第59号平成19年度国民健康保険事業特別会計補正予算について、会計上の必要な措置として賛成します。その上で、問題点を指摘し討論を行います。まず、国保会計が赤字となる原因には、政府が財政支出を抑えてきた問題があります。国は、国庫支出金を減らしつづけ1984年には49,8%あった割合を04年度には34,5%にまで引き下げました。このことは国民の命を守り、健康の保持増進を図る国の責任を放棄することであり重大です。さらに、国の調整交付金は、保険料の徴収率が下がれば減らされ、徴収率が上がれば減額分を解除するというもので、交付金減額というペナルティで自治体を縛り、保険料徴収を強化させるやり方であり許されません。

 自治体がその使命である住民の福祉の向上に努める責務を果たすうえで国の財政支援は必要不可欠であることから、交付金でペナルティをかけるやり方を止め、国庫負担を早急に元に戻すよう本市としても国に強く求めるべきです。また、府の補助金も市の要求額1億7000万円に対し、7500万円と少なすぎます。本市の要求額に見合った補助金が確保されるよう強く求めるべきです。

 つぎに本市として改善すべきことの第一は、一般会計からの独自の繰入金の問題です。平成18年度の一般会計からの繰り入れは見込みで、70億4830万円となっており、過去最高額の13年度79億8500万円から後退したままです。他都市との比較でも一人あたりの独自の繰入金は、16,735円と、平成17年度の結果、13政令市のなかで下から二番目にとどまっています。抜本的に独自の繰り入れを増額し払える国保料にすべきです。つぎに、資格証明書と短期証の発行の問題です。2月時点で、18年度の資格証明書は3080、短期証は1万6315交付されています。資格証明書の発行件数は前年度より約1000減っているとのことですが、保険証の郵送方法の変更により、新たに返戻件数として3478件の報告があります。このなかには、これまでの資格証明書も含まれているとのことですから、前年度から資格証明書が減ったといえるものではありません。その他、保険証の未更新件数が3237件あることも含め、保険証を受け取っていない市民の実態をつかむ必要性は一層強まっています。

 病人が患者になれない問題は深刻です。委員会では、1ケ月の短期保険証で医療機関を受診した方が、「1ケ月で病気は治らない。責任がもてない。」と受診を拒否された実態も示し、京都市の認識を問いました。資格証明書、短期証の発行は、病気を早く発見し、早く治し、健康を保持増進させる国民皆保険制度の目的に逆行するものであることは明らかです。「資格証明書、短期証は公平性の観点から必要。資格証明書の世帯は納付意識が低い」との理事者答弁は、市民の命と健康を守る視点が抜け落ちたものと言わなければなりません。命に対する制裁は許されません。資格証明書・短期証の発行をやめ、払える国保料にする努力を求めます。また、17年度の保険料賦課方式変更の際、保険料値上げの激変緩和措置として行った、非課税世帯の所得割部分の3割減額は続行すべきです。国による定率減税の廃止による増税、老年者控除廃止等の税制改悪の影響は、とくに高齢者で所得の少ない世帯を圧迫しています。収入も増えないのに課税世帯になり、そのうえに国保料の値上げが押し付けられる。市民はたまったものではありません。いま、京都市に求められているのは、市民の暮らしの実態をみようとする福祉のこころであり、「払える保険料にしてほしい」この切実な市民の声を受け止める姿勢です。以上、問題点を指摘して賛成討論といたします。