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市会報告

西村よしみ 議員

07年5月29日(火)

西村よしみ議員の代表質問と答弁の大要 07年5月定例市会 本会議代表質問

 

 右京区より選出されました、西村よしみです。日本共産党市会議員団を代表して市長に対して質問します。
 わたくしは、日本共産党右京区生活相談所長として、市民のみなさんの「困りごと」や「暮らしのこと」、「地域要求」などお聞きをし、問題解決に取り組んでまいりました。最近は「市民税が高くなった」「国保料や介護保険料などが増えて生活が苦しくなった。どうにかして欲しい」とのご相談が増えました。わたくしは、このような市民のみなさんのご意見をしっかりと受け止め、今までの経験を生かして、くらし・福祉の向上や街づくりに力をつくす決意であります。

施設入所待機者の実態を把握し、サービス基盤拡充を

 まず、介護保険について質問します。
 私は、83歳の女性から「主人の介護が大変で、助けてほしい。また介護保険料が高いので安くしてほしい」との相談を受けました。
 81歳の夫は、介護認定は 要介護3でした。自力で立ち上がれず、寝返りも自分では出来ない状態でした。介助されて立っても今にも崩れ落ちるような身体です。自宅で介護を支えるのは、83歳の奥さんお1人だけです。
 ディサービスやショートスティなど在宅サービスを利用し、病院からは、「訓練すればもっと歩行もしっかりするから、家庭でも歩行にこころがけて下さい」と指導を受けていました。訓練を重ねているが なかなか歩行の改善は見えません。
 奥さんにとっては食事介助から、排泄処理、家事など1日の介護は大変な重労働です。食事の支度も苦痛になり ご主人が介護施設に行っているときが唯一息ぬきできる時間です。奥さんは、やがて介護で疲れてしまい、も体重が元気なころから15キロ減り、精神的にも追い詰められていきました。
 そして 今年2月はじめ、残念なことですが、ご主人は突然「容態」が急変して 病院に搬送された翌日にお亡くなりになりました。「早く施設に入りたい。そうすれば妻にも重い負担をかけないですむ」との願いが叶うことはなく、2人だけのいわゆる「老老介護」に悪戦苦闘しての結末です。
 この事例のように特別養護老人ホームなど施設介護を希望している方々は、年々増えていますが、基盤整備が遅れています。特養老人ホーム入所待機者の実数と実態を把握し、待機者解消と、高齢者と家族の多様な実態に応じたサービス基盤の拡充を行うべきです。また小規模多機能型居宅介護施設をはじめ、地域密着型サービスを計画的に整備拡充し財政支援を強めるなど介護保障をすすめるべきべきです。お答えください。

《保健福祉局長》平成16年に施設入所希望者や家族の現状や意識の調査を行い、第3期長寿すこやかプランでニーズに即した整備目標を明確にし、推進している。地域密着サービスについても国の交付金を活用して計画的に整備、プランの目標達成に努める。

保険料減免拡大・利用料の減免で市民負担軽減を

 高い利用料で必要な介護が受けられない人が多くおられるのが実態です。負担能力のない方にとっては、介護の利用を抑制することにつながります。「介護制度を利用したい」と相談される方は、まず利用料がいくらかかるのか心配され、高い利用料に「もうすこし我慢しようか」と言われます。
 昨年4月から京都市の介護保険基準額は23%値上げされ、第3期の額は第1期の1・6倍に増えました。しかも住民税や老齢者非課税措置の廃止などの影響で、収入が増えないにもかかわらず保険料が上がりました。中には保険料が2倍になった人もいます。昨年京都市では、「あまりにも高くなった介護保険料に異議あり」と約500人の市民が審査請求を京都府に提出されました。
 さきほど紹介した事例もそうですが、「介護保険料が大幅に上がって生活が不安になった」「将来、介護がしっかりと受けられるのか疑問だ」などの意見がだされています。
国は、介護保険制度発足時2分の1あった国庫負担率を4分の1に減らしました。京都市は、国に対して、介護保険施策に対する国庫負担を抜本的に引き上げるようはたらきかけるべきです。また介護保険料減免制度の拡充、利用料減免の創設など、市民負担を軽減すべきです。いかがですか、お答え下さい。

《保健福祉局長》税制改正の影響で新規課税となった方の保険料・利用料は、国の取り扱いをふまえ18年度から2年間の激変緩和措置を講じている。全国一律の制度であり、保険料・利用料の軽減措置も国の責任で適切に講じられるべきもの。全ての高齢者が必要なサービスを受けられるよう、国に要望を続ける。

介護ベッドなど取り上げた福祉用具を取り戻すべき

 次に、福祉用具の問題です。
 要介護1以下の軽度の高齢者は、昨年4月から原則として、介護ベッド、車椅子など福祉用具の貸与が受けられなくなりました。従来から利用している方も昨年9月末までの利用となりました。
 制度の変更で、京都市全体では軽度認定をされたおよそ3200人の人たちから福祉用具の貸与がなくなりました。明らかに制度改悪による「取り上げ」の結果です。
 ある施設のケアマネージャーにお聞きしました。
 昨年の制度変更のとき施設担当者は、福祉用具が貸与外となる利用者に、「制度が変わるのでベッドが利用できなくなります。ベッドはどうされますか」と聞く。もちろんほとんどの方がベッドがなくなると大変困るので、自費で5万円から10万円程度のベッドを購入された。中にはベッドの購入代金が高いのでやむなくホームセンターに行って1万円程度の機能的に不十分で安い「簡易ベッド」を購入された人もいた、というのです。
 また、生活保護世帯で要介護1の方の場合、ベッドの貸与が保護の対象ではありません。ある事例で、レンタル業者と本人の話し合いでなんとか月3000円の自己負担でレンタルをしてもらうことになった。しかし後日、この月3000円の費用も「支払えない」と本人より申し出があつた、というのです。所得の低い人には、大きな負担を強いる結果となりました。
 昨年の制度変更の趣旨は、高齢者の「自立」を促進する目的で、「要支援」の人に予防給付をするというものでした。しかし、実際は、貸与されていた福祉用具を取り上げられて、自費で買わされた、出費が増えたというのが実態です。家庭に負担をいっそう押しつけています。介護制度導入時にいわれていたのは、「『介護の社会化』で介護をみんなで支え、家庭での介護負担を軽くする」という趣旨でした。しかし、今起きている事態は「いっそう介護を家庭に押し付ける」ことになっています。
 滋賀県では、レンタル料の半分を県独自に助成し、住民を支援しています。助成制度を創設するなど介護ベッド、車椅子を必要な方々に取り戻すべきです。いかがですか。お答えください。

《保健福祉局長》起きあがりや寝返りができる方は対象外となった。他都市と連携して対象者の検討・検証を国に要望た結果、4月から一部見直しで、必要な方には引き続き利用いただいている。独自の助成制度の創設は考えていない。

市立京北病院の医師・看護師確保対策について

 次に、右京区京北の問題についてお聞きします。
 旧京北町が京都市に合併し2年が経過しました。合併後初めてとなる先の市会議員選挙で、多くの団体や住民のみなさんから、合併後の対策について要望をお聞きしました。合併後は、「京北自治振興会」が中心となって、地域の要望など取り上げ、街の課題を行政に反映させていく仕組みです。しかし「旧町時代に住民のくらしや仕事を支えてきたさまざまな施策が後退してきているので、京都市はしっかりと取り組んで欲しい」との意見があがっています。
出された問題について何点か質問いたします。
 まず市立京北病院の問題です。
 京北病院は医師・看護師不足がつづいており、地域医療を支える拠点病院としての役割を果たせるのか岐路に立つ深刻な事態が続いています。
 京北病院常勤医師は、2005年には6名いましたが、その後3名まで減りました。現在は、さらに減って、整形外科の常勤医師はゼロ。内科の常勤医師もゼロのために、2名の外科の常勤医師が内科外来の診療にまわって診ているというのです。そのほかは全て非常勤、嘱託医師になりました。
 市立京北病院は「救急指定病院」です。事故などで入院治療が必要な場合は、整形外科の常勤医師が必要です。しかし、常勤の整形外科医がいないため入院受け入れが出来ない事態がおこっています。また内科の常勤医師がいないことで入院患者の急変に対応できず、やむを得ず他の病院に搬送したという事例まで起こっています。
2月市会で市長は、わが党議員の質問に対して、京北病院の医師不足が「常態化するなど、これ以上悪化してはならない。増員が不可欠であらゆる手立てをつくしたい」。と答弁されましたが、いっそう後退をしているのではありませんか。
 私は、京北にお住まいのみなさんからお話を聞きしました。「常勤の医師が少なくなって、不安を感じる」という意見です。医師の減少で「自分の命と健康について、預けられる状況ではない」と言われました。このような不満から「車で行ける人は、1時間かけ第二日赤病院、市立病院や、南丹病院などに行っている」と言うのです。外来と入院患者数は平成16年から平成17年の1年間だけでのべ約1万人減少しています。「病院が衰退して過疎化を感じた」という人もいました。ただ「自分らの病院だから、近くにあるこの病院に診て貰いたい。いい病院にしてほしい」と語っていました。京北のみなさんにとっては 京北病院を守ることは、これまで自分たちが守り育ててきた故郷そのものを守ることである、との強い思いです。こういう患者さんや住民のみなさんの声を反映して最大限に医師確保をすべきではありませんか。改善はいつまでにおこなうのですか。答弁を求めます。
 また、看護師の当直勤務が、労基法違反の実態にあり、今年3月に園部労働基準監督署から改善指導がおこなわれました。月4回以内の宿直勤務であるべきところ、月6回以上になって、その改善を求めるものでした。
 4月に、市立病院から看護師が2名派遣されましたが、法違反の実態は解消されましたか。見通しはどうですか。改善の決意を求めます。

《保健福祉局長》全国的な医師不足の影響で常勤医の確保が困難。市立病院から昨年4月より内科専攻医1名、今年5月研修医2名を派遣している。看護師の宿直や夜勤の負担が多い実態を解消するため、市立病院から4月に2名派遣、6月にさらに1名追加派遣する。市立病院とのさらなる連携を含め、あらゆる手だてを講じ、医療・看護体制整備に努める。

栗尾峠など山林の大規模伐採について

 次に、栗尾峠など山林の大規模伐採について質問します。
 京北で山林大規模伐採がされて問題となり京都市は平成17年、栗尾峠地区、栃本地区、塩田地区で樹木の伐採跡地の亀裂、地質、植生などの調査をもとに、京都市としての「対応方針」を出しました。その内容は「早期の再植林指導」「定期的巡視」をおこなうというものでした。
 それから2年が経過しましたが、その後の京都市の「対策」の実効性が問われています。業者によって大規模に伐採された後、跡地は一部植林がされましたが、未だに植林がされていない箇所が残されて、年月がたつにつれて、土砂の崩落も発生しています。京都市として、引き続き業者に対して強い植林指導をおこない、治山対策をしっかりと行うべきです。
 この写真は、栗尾峠の国道162号線沿いガードレール直下の 土砂崩落個所のものです。特に問題なのは、ガードレールを支える鉄柱は、コンクリートで固定されていますが、そのコンクリートの下の土砂が崩落しています。この個所は、急カーブの地点で大変危ない難所です。このまま放置すればさらに崩落が大きくなり、国道への影響も予測されます。したがってこの国道沿いの土砂崩落個所は、直ぐにでも改修して安全確保をすべきです。いかがですか、お答えください。

《産業観光局長》杉、ヒノキの再植林地域と、広葉樹の活用地域に分け、再植林地域の予定の植林は指導により完了した。ひきつづく現場監視と、必要に応じて土砂流出防止を講じる。162号線の路肩崩落は応急措置をし、パトロールしている。二次崩落の危険は少ないが、まもなく改修工事に着手する。

山林の倒木被害に対し森林再生への補助拡充を

 次に、雪や台風などの山林の倒木被害について質問します。
 京北の山に入ると、雪や強風などで倒れたままの木が数年放置されているところが各地に残されています。地元の方の説明では、「数年前に倒れた樹木は、伐採・搬出・加工に大きな費用がかかるのでそのまま放置されている」ということでした。
 京北で長らく林業をしてきた方は、「一抱えもある70年育てた桧が倒れたときは本当にがっかりする。昔は、森林組合が直ぐに来て写真を撮り被害の状況を調べて、再植林のための対策をしてきた。しかし今は、植林しても採算が取れないのでほったからしや。みんなそうしている。特に京北の山は、年々荒れてきている」とのことでした。
 植林もすすまず、山が荒れた状態で残されていては、基幹産業である林業を守り育てていく事になりません。また治山対策という観点からも大きな問題が生じます。林業の活性化や森林整備の促進は、農山村にとって待ったなしです。今、みなさんの願いは、零細林業農家に任せておくのではなく、基幹産業育成の観点から大きな対策をして欲しい、ということです。
 行政的補助は、倒木の伐採、搬出、処理、植林に対して一定程度ありますが、林業家個人の負担がまだ大きいのです。今のままで、たとえ補助を受けて再植林をして育てても、採算があわず赤字経営となるので植林を控えているのです。林業家のみなさんが木を育てることができなくなり、山仕事を職業とする人も減っています。森林組合も仕事が減ってきています。仕事興しの点でも対策を取る必要があります。京都市は、林業振興対策を今後どうしようとしているのですか。また、倒木被害対策として伐木処理や植林をする場合に、林業を営むみなさんの負担を軽くするため、補助をいっそう拡充すべきです。いかがですか、お答えください。

《産業観光局長》降雪による被害は甚大、18年からの3カ年計画で再植林を支援している。通常の植林より高い82.6%の助成。森林再生が計画的にすすむよう、関係機関が協力して林業者支援にとりくむ。

市内産木材需要拡大の施策をさらに

 さらに、市内産木材の需要拡大のため、木材活用の活性化に取り組む必要があります。長野県では、県産材50%以上使用すれば融資金利が当初5年間は無利息、その後の利息は2%にする「県産木材」融資制度をしています。鳥取県日南町は、町産材の住宅や納屋、作業場を建築すれば40万円まで補助する」制度を今年4月からスタートさせました。
 京都市は、昨年から住宅のリフォームに対して、25万円相当の市内産木材の柱、板、床材などの提供を始めていますが、利用はわずか19件にとどまっています。さらに拡充するために、現物提供形式とともに、「市内産木材」を活用した住宅改修助成制度の創設や公共施設への積極活用をすすめていくべきです。お答えください。

《星川副市長》市内産材活用は林業振興、地域活性化の重要課題。京の杣人工房実施とともに、リフォームに対する木材供給事業を開始利用は19件だが拡大が期待される。市内産材普及活用の気運が高まっている。また、市立学校を中心にした市内産材積極的活用に取り組んでいる。

地下鉄延伸に伴い、右京区市バス南北路線の再編・小型循環バス実現を

 次に、市バス問題について質問します。
 京都市は、地下鉄東西線 二条-天神川間の延伸開業について、当初予定していた 来年3月開業を2ヶ月前倒して1月に開業させ、新駅名を「西大路御池」駅と「太秦天神川」駅とする方針を明らかにしました。右京区の新駅建設地には区役所総合庁舎の建設もすすみ、新しい都市基盤として市民的期待も大きいものがあります。
 右京区の「太秦天神川」駅開業にともなって重要なのが新駅を中心とした市バスや京福電車とのアクセスによって、市民の利便性や観光地の交通対策をいっそう向上させることです。
 ところが、現在の市バス路線では 御池通り東方向は 地下鉄新駅に直結する路線がありません。また、北の高雄、宇多野、御室方面及び南の葛野、西京極方面から地下鉄新駅及び総合庁舎へ直結する市バスがありません。住民のみなさんは 「今のままのバス路線では区役所に行くにもひと苦労する」という意見です。右京区の市バスは、一条通り、三条通り、四条通など、東西路線に偏重しており、南北方向への移動は 数本のバスを乗り換えるか 遠回りしなければならない不便な状態です。
 住民団体「右京区民の足を守る会」が、公共交通について調査、研究、など積極的な取り組みを行い、右京区での市バス新路線の提案などを市民の立場でおこなっています。この団体の提言や、わが党が実施した「住民アンケート」に寄せられた要望は、「天神川通りを南北に走り、右京区文化ホール・JR花園駅、地下鉄太秦天神川駅、市立体育館、阪急駅などを結ぶ市バス路線をぜひ実現して欲しい」、また右京区の公共施設を結ぶ小型循環市バスを走らせて欲しいとのご意見です。
 右京区は、「京都市基本構想」をもとに「右京来夢らいと計画21」を発表しています。市民参加で作られた同「計画」は、地下鉄東西線を基点とした 天神川通りの市バスの再整備として「コミュニティーバスの運行」を掲げています。
 新駅は、いよいよ来年一月開業ですが、市バス南北路線の再編や小型循環バスの運行など、市民の要望に応えるべきです。いかがですか。

《桝本市長》地下鉄開業に伴い地元の皆様からバス路線の要望を多くいただいている。交通局で市バス路線再編検討委員会を設置し、検討している。地下鉄開通時に一体的に再編する。再編にあたっては、地下鉄駅や公共施設へ便利に行けるよう、右京区南北を結ぶバス路線の整備を図るなど、区民の皆様に喜んでいただける市バスとなるよう取り組む。

地下鉄に結ぶ京福新駅の安全確保を

 最後に、京福電鉄は、地下鉄「太秦天神川駅」に結ぶ新駅を三条通りに設置を計画し、その建設は京都市がおこなう予定です。利用者にとって利便性は高まりますが、交通量が多い三条通りに「乗降駅」を設置の場合、利用客が危険にさらされるために、安全対策が求められます。住民のみなさんは安全確保がなおざりにされないか、と心配しています。事故が発生してからでは遅すぎます。京都市の責任で、信号機の設置などを公安委員会にはたらきかけるなどして、積極的に安全対策を講じるべきです。どのように取り組まれるのか、お答えください。
 以上、市長の積極的答弁を求めて質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

《建設局長》京福電鉄と協力し、新駅設置をすすめている。道路の安全、高齢者や障害者にも安心して利用いただけるよう公安委員会と協議し、京福や地元と調整している。