トップ > 市会報告 > 2007年 > 07年2月定例市会 >

市会報告

北山ただお 議員

07年3月13日(火)

公営企業等特別会計予算案に対する討論 07年2月定例市会 閉会本会議討論

 ただいま山本正志公営企業等予算特別委員長からご報告がありましたように、日本共産党市会議員団は議案8件のうち、議題21号市バス事業予算案については反対し、他の議案7件については賛成していますので、私は議員団を代表してその理由を申し述べます。

 公営企業は、地域水道、病院、水道、下水道、市バス、地下鉄と、どれも市民生活に密着した事業であります。同時に市民にとって料金や使用料などの負担を伴うものでもありますから、公営企業法第3条では、その本来の目的である公共の福祉を増進するようにつとめなくてはならない、と明記しているのであります。しかし、公営企業にとって今日ほど事業運営が危機に落ちっているときはないと言っても過言でない深刻な状況になっています。市民サービスよりもコストダウンや効率化が優先され、公的役割が後景に追いやられているのです。劣悪な国補助制度による膨大な赤字、運賃や使用料の定期的値上げによる市民負担の押しつけ、押し寄せる民間委託化、これでは福祉の増進どころか、市民生活圧迫と財政危機押しつけの事業になっています。日本共産党は、今こそ独立採算の押しつけを辞めさせて、国の補助制度の抜本的な拡充と必要な資金の確保、に全力を挙げることそして市民サービスの向上のための一般会計繰り入れの確保を求めるものであります。

 市バス事業予算案に反対する理由について申し述べます。第一は、市バスの「管理の受委託」を、バス750両のうち375両、二分の一にまで拡大し、事実上の民営化に道を開く予算だからであります。委員会質疑の中で、民間委託の路線では事故の発生が多くなっていること、運転手の乗務時分が極端に長くて睡眠が不足し安全運転に自信が持てないとの声が出されていることが明らかになりました。「管理の受委託」は最後の切り札、と市長は盛んに強調されますが、乗客の安全な運行は公営バスの最大の使命であるにも拘わらず、安全がないがしろにされる事態は民間委託の限界を見た思いであり、今からでも管理の受委託を撤回して安全運行を確保し、市民・利用者の信頼に応えるべきであります。

 第二の理由は、市民・利用者の要望となっている地域循環バスの実現に背を向けていること、路線やダイヤの改善を求める声に消極的な態度を示しているからです。公営交通は、きめ細かく市民の足を守ることが責務であり、8つの行政区の基本計画では循環バスが必要であることが確認されているのに実施する努力がされていません。更に均一区間と調整区間を撤廃して、1日乗車券や通勤フリー定期券などサービスの一元化を実施することを求めてきましたが、「民間バスとの調整が困難」として必要性を認めながら足を踏み出そうとしていません。大学生の定期券の改善やエリア内通勤定期券の開発など、一定の努力がされてきたのですから、今こそ乗客サービスの拡大に踏み切ることを求めるものです。新年度は敬老乗車証の有料化が強行されて3年目の予算となります。国の税制改悪により敬老乗車証の自己負担金が3千円から5千円になったり、1万円になったり、負担の増大が乗客を減少させ市民の信頼を失わせていることが公営交通発展の芽をふさぐ役割となっています。市長は昨年の予算委員会議論で、「5千円でも月にすれば420円であり負担はできる」、と答弁され、「収入が変わらないのに負担が増えるという痛みがわからないのか」との市民の怒りを買ったことは記憶に新しいことです。私は、敬老乗車証の本来の目的であった「市民の社会参加」という観点に立ち返り、有料化を撤回して市民に広く市バスを利用してもらうことを求めるものです。
 なお、わか党がかねてから求めてきた自動車整備士の新規採用について、2008年度から採用するとの市長答弁がありました。市バス整備部門を直営で堅持することを表明されたものであり歓迎いたします。確実に実施されることを強く求めておきます。

 残余の議案については賛成しますが、ここで各議案における若干の問題点を指摘しておきます。地下鉄事業は赤字が161億87百万円で累積赤字が2904億円、不良債務が308億円と膨大な赤字体質となっています。これは地下鉄建設に対する国の補助制度が極めて劣悪であるためであります。市長は、地下鉄建設を1都市で行うことは難しい、と答弁されてきましたが、他都市とも連携して補助制度の一層の改善に全力を挙げることを強く求めておきます。

 上下水道事業におきまして、鉛製給水管の取替について、新たに年間4億円の予算で布設替えを進めること、宅地内の鉛管取替工事に対する京都市独自の補助制度を実施することとなりました。補助制度の市民への周知や工事業者へ徹底することを強く求めるとともに、一層の工事進行の努力を求めます。下水道会計において、借金の返済が大幅に進んでいます。これは定期的に繰り返されてきた使用料の値上げによる市民の負担増によるものであります。今後使用料の値上げを行うことなく、大規模な幹線工事の見直しや不要不急の工事見直しを行って行くことを求めるものです。

 市立病院につきましては、市民のいのちと健康を守る市立病院において、医師や看護師の確保が緊急最大の課題であることが論議されました。京北病院においては整形外科医の退職などで一層深刻な事態であります。市民の命を守るため早急な対応を行うこと、更に医師・看護師不足は国あげての課題でありますから国に対してもしっかり要望していくことを求めるものです。

 最後に、政府系金融機関の再編に伴って、公営企業会計の資金確保の砦である公営企業金融公庫についてであります。私が委員会審議でも指摘しましたように、再編・民営化の最大の目的は「貸付規模の縮小」でありまして、事業を抱える京都市おいては安定した資金の確保をする上で極めて重要な問題です。この点でも、他都市との連携を強め、あらゆる接点での要求を行って、事業運営に責任を持つように求めておきまして討論といたします。ありがとうございました。