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市会報告

ひぐち英明 議員

07年3月13日(火)

「新景観政策」関連条例案に対する賛成討論 07年2月定例市会 閉会本会議討論

 議第47号ないし議第52号の新しい景観政策に関連する条例について、日本共産党市会議員団は賛成の態度を表明していますので、議員団を代表して討論します。

 14の世界遺産を抱え、世界に誇る歴史都市であるこの京都において、景観の保全と再生は、京都市にとって、特段の努力が求められる課題です。ところが、国の民間活力路線のもとで京都のまちこわしが大きく進み、日本建築学会や京都弁護士会、まちづくりの住民団体などが京都の景観破壊を告発し、再生のための提言を行なってきました。
 日本共産党議員団も、1991年に提言「市民の暮らしがいきづく歴史都市京都のまちなみと景観、緑と自然を守るために」を発表し、京都の景観保全とまちづくりの28項目の提案を行うなどし、議会でもこの問題を繰り返し指摘してきました。「提言」では、京都の景観保全について、国の責務を求めた特別立法の制定や美観地区の細分化などの提案を行い、市民が住みつづけられるよう、規制緩和はせずに制度の充実・強化をはかるよう求めてきました。
 今回の景観政策について、新聞のアンケート調査で、市民の8割以上が賛成と答え、7割以上が一定の規制を受け入れると答えていることは、市民の期待が大きいことを示すとともに、景観破壊を多くの市民が憂い、解決を求めている意思表示でもあります。 京都市が今回の景観政策を、市民の参加と協力のもとで、積極的に推進するよう強く求めるものです。

 市長は議案提案の中で「京都の歴史都市としての存在価値や独自性が、まさに失われんとしているのであります」と述べていますが、こうした状況が生まれたのはなぜでしょうか。
 それは、この間京都市が、高さ規制を緩和し、60メートルの京都ホテルなど、建物の高層化を認めてきたからにほかなりません。都心部でもノッポビルが乱立し、高層マンションの建設による周辺住民とのトラブルも増え、議会への請願や調整・調停の申し立て数も増え続けています。市民から、「なぜもっと早く根本対策をとらなかったのか」との強い声が出されるのも当然です。これまでのまちこわしに対して、京都市が明確な反省にたってこそ、市民の協力と理解がすすみ、新しい景観政策にそったまちづくりが促進されることを、あらためて指摘しておきます。

 景観政策を進めるにあたっては、住民の参加を制度化することも重要です。委員会審議の中では、都市計画審議会などで市民意見を反映させるとの答弁がありましたがそれだけは不十分です。さらに実効力のある住民参加の制度の確立が求められています。また、マンション対策として、住民も参加する継続的な協議の場を設置することは関係者のみなさんからも要望が出されているもので、その方向性が示されたことは重要です。必ず、実施する必要があります。
 地区ごとの詳細な計画については、さまざまな意見が市民から出されています。いったん決められた計画であっても、住民にとって改善が必要な場合は、計画の変更を条例にもとづいて行なう必要があります。
 高層マンションなど、これ以上の駆け込み建築を許さないことが求められていますが、既存の住宅に関しては、そこに住む住民の支援をしっかりと行う必要があります。木造住宅の耐震改修助成制度はまったく使いづらい制度のままになっており、希望する人が使える制度へと充実させることが重要ですし、景観の形成に寄与する住宅へのリフォーム工事への助成制度をつくることも有効な手段です。マンションの住民への支援として耐震診断の助成制度がつくられますが、診断ができても、改修工事までできないマンションが多いことが関係者からも指摘されています。マンションに関しては耐震改修工事やバリアフリー工事、大規模リフォーム工事や建て替えなどに対して支援する制度をつくることが求められています。

 市民への説明責任を果たすことも重要です。いまだに市民から、「ケラバがどの家にも必要なる」とか「既存不適格になるとローンが組めない」など、間違った認識にもとづく疑問が出されたりします。説明責任を果たすためにも、市民新聞やホームページなどでのお知らせにとどまらず、行政が積極的に市民の中に出かけて行く必要があります。
 今回の関連条例が、日々更新されていく町並みの中で、山紫水明の京都のあるべき姿を市民とともに考え、つくっていく新たな出発点となることを心から望み、賛成討論とします。