井坂博文 議員
07年3月13日(火)
2007年度一般会計予算案等に対する反対討論 07年2月定例市会 閉会本会議討論
日本共産党は平成19年度一般会計予算案、同じく国民健康保険特別会計予算案、介護保険特別会計予算案、駐車場事業特別会計予算案、及び国民健康保険条例の一部改正に反対しておりますので党市会議員団を代表して、その理由をのべ討論をおこないます。
反対する第一の理由は、国の税制改正をそのまま市民におしつける大幅な市民税増税の一方で、市長自ら「日本一の行政改革」と称する事務事業見直しと戦略的予算編成システムによる市民サービス切り捨ての予算であるからです。
先般衆議院で18年ぶりに強行採決された政府予算案は、定率減税全廃で新たに庶民に1・7兆円、昨年の分と合わせると3・3兆円もの大増税。その一方、史上空前の利益をおう歌する大企業や大金持ちにたいしては減税の大盤振る舞いの逆立ちした「貧困と格差拡大」予算であります。その定率減税廃止と老年者非課税措置の見直しの影響による市民税増税見込みは30億円にもなります。局別質疑で理財局部長から「臨時の特例措置を元に戻しただけで増税ではない」と開き直りの答弁があり、保健福祉局では、国の生活保護の母子加算廃止に対して反対の声をあげるよう求めたのにたいし「一般世帯より被保護世帯のほうが生活費が高い。反対しない」との驚くべき認識でした。まさに国の言い分そのまま、市民の痛みに目を向けない冷たい姿勢が示されています。
16年度から本格実施された戦略的予算編成システムそのものにも重大な問題があります。「日本一の行政改革」の的になったのが保健福祉局所管の高校生奨学金ではありませんか。局枠の予算編成の中で新たな事業をやるためには他の事業をリストラしなければならない、というシステムが、高校生奨学金廃止の予算提案につながったことは間違いありません。
市長は予算説明の際に、「未来への希望を切り開く予算」だと言いましたが、高校生の未来と希望を奪おうとする予算を提案した責任は重大です。結果として廃止提案を撤回したことは歓迎しますが、総括質疑での「現行制度を継続する」という答弁を堅持していただきたい。強く求めておきます。
反対する第二の理由は、市財政危機の中で本来削るべき無駄で不要な財政支出を継続していることであります。まず高速道路です。局別予算質疑で、「出資金117億円、斜久世橋工区関連56億円、ランプ支援事業184億円、関連街路事業169億円」との理事者答弁がありました。さらに洛南連絡道路の京都市負担が当局資料でも190億円にもなり、総額で700億円を越えることが明らかとなりました。雪だるま式に増えるとんでもない負担ではありませんか。あらためて進行中の二路線の凍結と見直し、残る三路線の中止を強く求めるものであります。
また、焼却灰溶融炉にも54億円が計上されていますが、環境局質疑の中でランニングコストが人件費を含めると当初の説明18億円を大きく越えることが判明しました。つくるだけではなく、その後も大きな負担になるものでありませんか。あわせて、有料指定袋制導入による財源の説明も明確に破綻しました。導入当初は、ごみ減量など環境行政に使うとの説明をしておりましたが、当局作成の「有料指定袋制の実施に伴う財源を活用する事業」の一覧を見ると、財源全体13億3000万円の内、有料化以前から実施していたもの又は実施が決まっていた事業が9億9600万円であり、有料化に伴って実施されるものはわずか3億3300万円分にすぎません。市民を欺いて有料化を進めたものと言わざるをえません。
反対する第三の理由は、市職員の不祥事根絶と同和特別対応に全くメスが入っていないことであります。市長は「不祥事続発の要因となってきた膿を全て出しきったとはいえない」と繰り返し言明されましたが、なぜ膿が出し切れないのか。今年に入ってからも4人の職員が懲戒処分になり、その中にはかつて水道局に勤務し、そこで犯罪を起こし分限免職になっていながら、その経歴を詐称し京都市に再就職していた事実が判明しました。昨年の3人に続いて「京都市は犯罪者の再就職先なのか」との批判の声が起きるのは当然です。しかもこの不祥事もわが党議員が委員会で指摘し、当局が調査し判明したものあり、京都市が自ら膿を出したものではありませんでした。これでは、いつまで経っても不祥事の根絶は望むべくもありません。
口では同和行政の終結を言いながら、実際には同和特別対応を継続しています。その典型が自立促進援助金です。旧日本育英会奨学金受給者は大学を卒業してがんばって返済しているのに、なぜ同和奨学金を受給した子どもだけが返済が免除されるのでしょうか。一般の非課税世帯への高校生奨学金を削る一方で、同和の奨学金は行政が返済を肩代わりする。不公平の極みではありませんか。市民や関係者からの強い抗議と党議員団の要望で高校生奨学金廃止計画を撤回したのであれば、この自立促進援助金もきっぱりと廃止すべきであります。強く求めておきます。
つぎに国民健康保険特別会計に関して。高すぎる保険料の支払いは限界を越えています。総括質疑でも紹介された事例を改めて紹介します。家内加工業者で年間所得350万円の夫婦です。定率減税半分縮減、府市民税が5%から10%になり、そこに国保料、介護保険料、国民年金保険料の支払いの総合計で実に113万円。所得の三分の一が税と保険料に消えているのです。まさに国保料は負担能力をはるかに越えているのです。ところが局別質疑で理事者は、一昨年の国保料値上げの際におこなった、新たに所得割が生じる非課税世帯への三割減額という激変緩和措置の継続をわが党が求めたのに対し「経過措置であり継続しない」と答え、払える国保料への引き下げを求めたのに対しても「払えない保険料ではない」「引き下げは困難」と強弁しました。
一般会計からの繰り入れに関しても「過去最高の繰入をしている」と言いますが、任意の繰入金である保険給付費繰入金は過去最高の13年度約79億円を9億円も下回っているではありませんか。払える保険料へと引き下げをおこなうよう強く求めます
また、保険証の取りあげ問題も深刻です。この10年間で資格証明書の発行は10倍以上の3,967件、短期保険証は5・5倍の17,648件。その結果、17年度決算で資格証明書世帯の受診率は7%で一般世帯の170分の1にとどまっています。なぜこれほどの格差が生じるのか。医療から排除されているこの現実をしっかり直視し、資格書・短期証の発行をやめるべきであります。同時にこの資格書では、せっかくの子ども医療費助成制度が拡充されても適用の対象外になってしまいます。せめて乳幼児世帯は発行対象からはずすよう求めます。
保険証の取り上げへの反省もなく、独自の繰り入れの努力も不足している、まさに「福祉の心」がない国保予算案であります。
同じく介護保険特別会計にかんして一言述べておきます。介護ベッドの取りあげについては国の責任が重大であります。同時に「真に必要な方を大きく変えるものではない」とする一方で、本市独自の支援策は拒否しているのは問題です。この点での改善を求めておきます。
以上、予算案に反対する態度を申し述べましたが、今ほど地方自治体の役割が問われている時はありません。市民税や国保料の通知が届いた昨年の6月には、各区役所の窓口に4万人もの市民がおしかけました。市民税増税、国保料の軽減措置が廃止される本予算案がこのまま成立するならば、今年の6月には昨年を上回る市民が殺到するでしょう。日本共産党は「住民の福祉と暮らしの増進を図る」という地方自治体の本来の責務を高く掲げ、市民のみなさんが安心して生活と営業できる京都市政と、それを支える市議会の実現をめざして全力を尽くすことを申し上げて討論といたします。