せのお直樹 議員
07年3月13日(火)
障害者自立支援法・「応益負担」撤回を求める請願の採択を求める討論 07年2月定例市会 閉会本会議討論
日本共産党市会議員団は請願第1783号「障害者自立支援法の応益負担撤回等の要請」の不採択に反対し、採択すべきと考えますので、以下、理由を申し述べ、討論を行います。
京都肢体障害者友愛会のみなさんから提出された本請願は、定率負担すなわち応益負担の撤回を国に求めること、応益負担が撤回されるまで市独自の軽減策を進めること、国が支給を廃止した補装具、日常生活用具の復活などを行うこと、身体介護を伴う移動支援についても負担をなくすこと、障害程度区分認定を生活実態に見合ったものに改善すること、の5点で、いずれも障害者とご家族、関係者の切実な願いです。
厚生委員会で公明党の委員は、応益負担の撤回は法を反故にするもので議論がかみ合わないと発言され、自民党の委員は、応益負担の撤回までは踏み込めないとして不採択を主張されましたが、障害者自立支援法の最大の欠陥は応益負担であり、国の負担軽減措置がとられたものの、ことの本質は何ら変わっておりません。関係者が応益負担の撤回を求めるのは当然です。
何故、応益負担が法の最大の欠陥なのか。それは応益負担が、障害をもって生きることへの権利侵害だからです。障害の原因はさまざまです。遺伝的なものもあれば、事故や疾病が原因の場合もあります。視覚障害や聴覚障害などの機能的な障害、そこから生じる移動やコミュニケーションなどの能力的な障害、そして就職などの社会的不利、これらはいずれも個人の責任に起因するものではありません。そして、これらは決して個人の責任において解決できる問題ではありません。だからこそ福祉施策は社会保障として公的責任で行われ、費用負担についてはあくまでも本人の所得の負担能力に応じて支払う応能負担方式がとられてきたのです。
応益負担は、生きていくにあたって必要不可欠なサービスを「益」ととらえ、障害が重度であればあるほど負担が重くなり、その上、家族の収入まで利用料算定の根拠にされるなど、社会保障の理念に真っ向から反するものであり、絶対に認められません。
国において負担上限を4分の1にするなどの措置がとられ、本市では新京都方式としてさらに負担を軽くする方策が示されました。国の改善策を実現した背景には、障害者・家族・関係者のこの間の運動があり、とりわけ「出直してよ! 自立支援法10.31大フォーラム」では、全国各地から1万5000人が集い行動するなど、かつてない関係者の共同行動が全国的に展開されたことがあげられます。上限額が下げられたことは運動の反映であり前進ですが、前の制度の下で負担が0だった市民の多くが上限までの範囲で負担が生じたことに変わりはありません。この矛盾は応益負担を撤回することなしに解決できないものです。
民主党は国においては応益負担の凍結を求める改正法案を出しながら、本請願については委員会で採択を主張されませんでした。このような曖昧な態度は、法の根本的な改善を求める市民の
運動に水を差すものです。また、本請願は、応益負担の撤回だけでなく、障害程度区分認定の生活実態に見合ったものへの改善など、他の切実な項目も入っております。十把一絡げにして不採択にする自民党と公明党の態度は、障害者、関係者の願いを踏みにじるものであることも申し添え、討論といたします。