せのお直樹 議員
06年12月15日(金)
2005年度国保・介護保険特別会計決算についての反対討論 06年11月定例市会 閉会本会議討論
決算の態度を決める際も、市民の暮らしにとってどうなのかを十分に考えなくてはなりません。日本共産党市会議員団は、報第15号国民健康保険事業特別会計決算、報第16号介護保険事業特別会計決算は認定しないとの態度を表明しておりますので、その理由を申し述べ討論を行います。
本市も国民健康保険安定のための措置を国に求めておりますが、国のすすめる「医療制度改革」は国保の安定化とは無縁で、国民から医療を奪うひどいものとなっています。
平成20年4月からの後期高齢者医療制度は、窓口負担がさらに増え、介護保険料と合わせると1万円を超える保険料が特別徴収され、滞納者には資格証明書を発行するというものです。また、この4月からの診療報酬改定で脳血管障害は180日など日数制限が導入され、リハビリの打ち切りが続出しています。療養病床は全国38万床のうち23万床を2012年までに廃止するとしており、今でも特別養護老人ホームに入りたくても入れない状況が続く中、多くのお年寄りが行き場を失うことになることは火を見るよりも明らかです。これらの点について国に対して明確に反対の意思を示すとともに、市民の命と健康を守るためにより一層努力することが求められています。
平成17年度は保険料の賦課方式が変更されました。保険料値上げ分の2. 63%値上げが12万世帯、2倍までの値上げ世帯が4万5千世帯、2倍以上が2万1千世帯、計18万6千世帯が値上げとなりました。低所得者の暮らしを直撃することは当初からわかっていたことであり、市民から153件もの値上げ反対の請願が出ていたにもかかわらず、賦課方式変更に賛成した自民、公明、民主と無所属議員の責任は重大です。その結果、当局資料でも全体の保険料徴収率は上がっているのに、所得の低い「応益割のみの世帯」の徴収率は91. 80%から83. 37%に落ち込み、事実上の保険証の取り上げである資格証明書の発行は320世帯増え、過去最高の3,967世帯、短期証は800世帯増の17,648世帯となっています。17年度決算では一般の受診率は1220%つまり年12回程度受診されていますが、資格証明書発行世帯は7%、約3600世帯の受診が1年間でわずか255件しかなく、急性期の中核病院である市立病院での受診はなんと一件もなかったことが、審議を通して明らかになりました。資格証明書の発行が医療を受ける権利を奪うことになっていることは明らかです。府内でも資格証明書を発行している自治体は少数です。すべての市民が保険証一枚で安心して医療にかかれるようにすることは市としての当然の責務であり、資格証明書、短期保険証を発行し、増やしていることは断じて認められません。
また、払える保険料にするための独自努力も不十分です。一般会計からの繰入金は過去最高といいますが、その内容を見れば、市単独の繰入金である保険給付費等繰り入れは約70億円。1人当たり16,753円で政令市ワースト2。国の基盤安定分を下回っているのは京都市だけです。過去最高の13年度が約79億円ですから、9億円も下回っています。
介護保険事業では、昨年10月から施設入居者の食費と居住費の別枠負担が開始されました。私がお聞きした老人保健施設に入所されている方は、利用料に食費、居住費を合わせて毎月6万円の負担。施設の事情もあり少人数の部屋に入っているため、その差額分が一日1,500円で月4万5千円。合わせて月10万円以上の負担となっています。身内の方は、「行き場がないから仕方がない。受け止めていただいているだけでもありがたい」と話しておられます。金がなければ介護が受けられない状態が広がっています。国が負担増をすすめているからこそ自治体の支援が求められていますが、本市の保険料減免制度はまだまだ不十分であり、利用料の減免制度はいまだになく、市民の期待にこたえていません。
以上、認定できない理由を述べ討論といたします。