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市会報告

井坂博文 議員

06年11月21日(火)

井坂博文議員の質問と答弁の大要 06年11月定例市会 本会議代表質問

子どもの教育について

 日本共産党市会議員団を代表して質問いたします。

 最初に、子どもと教育に関してお聞きします。まず、いじめと自殺問題です。文科省が「いじめ問題へのとりくみの徹底について」という通知を十月に発表して以降でも、十二人の子どもが自殺しています。いじめを苦にして「私がいなくなってほっとしたでしょう」「だめ息子でごめん。いじめられてもう生きていけない」「これでお荷物が減るからね。もう何もかも、がんばることに疲れました」との遺書を残して自殺した子がいます。文科省への自殺予告や各地での自殺事件が相次ぎ、新聞報道でも「止まらぬ連鎖」と警鐘を鳴らしています。子どもにとどまらず、いじめや必修科目未履修のあった学校の校長先生の自殺も続いています。

 私も小学生、高校生と三人の子どもをもつ父親として、いじめを理由に自殺にまで追い込まれた子どもの思いや親御さんの悲しみと憤りを思うとやりきれません。文科省の「七年間にわたっていじめ自殺はゼロ件」という報告の裏で起きている厳しい現実に慄然といたします。この背景には、学校現場で競争と管理、数値目標と成果主義による「いじめを報告すれば教師と学校の評価が下がる」という傾向があったといわざるをえません。文科省もようやくいじめ自殺の再調査の指示をおこないました。いじめは「どの学校でも、どの子にも起こりうる」と同時に「教育の現場で絶対にあってはならない」問題です。いじめを根絶し、自殺を二度と起こさせない決意をもってただちに対策を講じるよう強く求めるものであります。

 また許せないのは、政府主催の「教育改革タウンミーテイング」における「やらせ質問」です。全国八ヶ所中五会場で教育基本法改定に賛成意見を発言させるという世論誘導が行われ、冒頭発言者には謝礼金が支払われ、県職員が大量動員されていた事実が、次々と明らかになりました。質問は文科省が作成・主導し、内閣府が実行するという共犯でした。文科省がどう関与したのか調査し、事実関係を国民に明らかにし謝罪すべきではありませんか。

 そして高校・中学における必修科目未履修問題です。文科省は「事実を知らなかった」「黙認していたわけではない」と弁解していますが、過去六年間で百四十人もの官僚が文科省から各県の教育委員会に出向し人事交流を図っていたことが判明しております。さらに四年前に文科省自身の行った調査で大学生の十六%が「世界史未履修」と回答した報告書が提出されている事実が明らかになっています。「知らなかった」では通用しません。責任は文科省の隠蔽体質にあるといわざるをえません。

 これに対して安倍首相は「子どもや先生に規範意識モラルを持たせることが必要」と言いましたが、規範意識が一番欠けているのは「やらせ質問」や隠蔽体質の首相と文科省のほうではありませんか。このような政府に教育基本法改定法案を提出する資格などありません。先の三点は法案の中身にも関わる重大な問題であります。ところが政府与党は今国会で改定法案を成立させることを最優先し、衆議院で公聴会の翌日に単独採決を強行しました。この暴挙に対して新聞の社説でも「基本法改正は、やらせ質問発覚で説得力を失った。今国会での成立にこだわらず国民の声に耳を傾け、充実した審議に徹する必要がある」と厳しく指摘しています。

 現場の声はどうでしょうか。東大基礎学力開発研究センターが、今年の七月から八月にかけて全国の公立学校の校長先生に、学力問題や教育改革について意見を聞いた調査結果があります。「教育基本法改正案に賛成か」との問いに、「そうは思わない」「全くそうは思わない」が合わせて六六%を占めております。

 そこでお聞きします。いじめ根絶にむけての市長の決意をお示しください。また学校現場で半数以上が反対する教育基本法改定法案にきっぱり反対するよう求めます。いかがですか。

〈門川教育長〉 いじめは人間として許されない行為。「見逃しのない観察」「手遅れのない対応」「心の通った指導」を実践している。各課横断のプロジェクト設置、学校・家庭・地域連携でいじめ根絶にとりくんでいる。教育基本法改正は長時間にわたり今国会で審議。その帰趨を注視、反対する考えはない。

京都の「教育改革」について

 関連して京都の「教育改革」についてお聞きします。門川教育長は安倍新内閣のもとで設置された教育再生会議委員に就任されました。教育再生会議の再生プランについて、旗振り役の下村博文内閣官房副長官は「国の基準を満たせない学校は廃校になっても仕方がない。学校選択制のもとでは子どもも集まらないだろうから、つぶれてしまうだろう。先生は廃校とともに職探しをしてもらうことになる」と再生会議の目的をあけすけに語っています。

 教育長の再生会議委員への就任は、この考えを京都の教育にもちこむものでありませんか。教育長の「公教育に市場原理はそぐわない。すべての学校を選ばれる学校にしたい」という発言と大きく矛盾するのではありませんか。そして教育長は「ひとりひとりを徹底的に大切に」とか「地域と連携した教育改革」と言いますが、その教育改革こそ教育再生会議と再生プランを先取りするものでありました。そこで市長にお聞きします。

 第一に、学力競争、学校間競争をあおるのが、来年四月に小学六年生と中学三年生全員を対象に実施される全国いっせい学力テストです。すでに学力テストを実施している東京都は、テストの結果を学校ごと、教科ごとに公表しました。その結果、学力テストのための模擬試験を行う学校や、成績の悪い子のデータは提出しない学校が生まれたり、子ども達からは「僕たちの学校はダメな学校だ」という声がでたとのことです。学校と子どもを競争に駆り立て、学校間のランク付けを行うのが学力テストの狙いではありませんか。だからこそ愛知県犬山市は「画一的な教育につながる」として不参加を表明しています。本市も全国いっせい学力テストに参加しないよう強く求めます。いかかですか。

 あわせてジュニア京都検定について一言申し上げます。「歴史認識に問題あり」と京都大学教授の方々が、検定の中止とテキストの回収を要望されました。住民監査請求においては「決定書による手続きがない事業であり不十分」「市長の関与は職務権限の範囲を超えている」ときびしく指摘をしています。したがって今回の検定は中止するよう求めておきます。

 第二に、一部の学校への特別扱いによる教育格差の問題です。三年前、御所南小学校がテレビで「学力日本一」と紹介された際に、「宿題をみる先生が五人もいる」ことが報道されました。「三十人学級の実現で、先生を増やして子どもをもっとていねいに見て欲しい」という親の願いには「予算がない」と冷たく拒否しながら、特定の学校には「宿題先生」を配置し「学力日本一」と自慢する教育委員会の姿勢は問題であります。また、西京中高一貫校はエレベーターつきの全館冷暖房を整備しながら、北区のあるマンモス小学校は学校予算が削減され、老朽校舎が放置されたまま、トイレ掃除はPTAのボランテイアと子どもに任されています。また、統廃合で新設される下京中学では、中学校の年間標準授業回数980回(50分授業)を大幅に超える1225回(45分授業)にし、毎日7時限まで授業をおこなう。さらに放課後に「学びの充実ルーム」を設置し、週4日夜7時まで補修勉強させるという特別扱いです。

 一部の学校を特別扱いし、典型校をつくり他の学校を広げると言いますが、それが格差そのものであり、子どもの負担を増やしているのです。どの地域でもどの学校でも子どもが最善の教育をうけられるよう学校間の格差を直ちに是正するよう求めます。そのためにも、来年度予算編成を前にして、市長公約どおり「十九年度からの三十人学級導入」をきっちりと実施するよう求めます。あわせてお答えください。

 第三に、いっそう進む高校の序列化の問題です。「特色ある高校や学科」と中高一貫校の定員を増やす一方で、定時制高校の定員は百名削減されました。「堀川の奇跡」「西京の躍進」などと一部の高校が難関大学に何人合格させたのか競わせる一方で、高校の序列化と経済的事情から行きたい高校に行けない中学生を生みだしていることには目を背けています。大学受験と進学を最大の評価基準にするエリート進学高校づくりをすすめる中で起きたのが、塔南高校での必修科目未履修問題ではないでしょうか。学校は「大学受験を優先させるための対策だった」と説明していますが、基本的な学習内容よりも競争と進学実績を優先させてきた結果であり、学校長の責任と同時に教育委員会の管理監督責任が問われているのであります。このような「京都の教育改革」こそが、特定の学校だけを特別扱いし、格差をもちこみ、受験競争をすすめる学校をつくってきたのではありませんか。「京都の教育改革」を見直し、特別扱いを是正するよう求めます。いかがですか。

〈門川教育長〉 学力調査は学力実態を的確に把握し指導改善にいかすために有意義。独自に実施してきており、国の調査も指導の充実に生かしていく。教職員の努力、保護者・地域の参画が全国で評価されている。先進的取り組みを進め、成果をすべての学校に生かす。「勝ち組、負け組」はつくらないと教育改革を進めている。格差や一部の学校の特別扱いはない。すべての学校の教育条件向上にとりくむ。学力向上で205日間の授業日数を確保し夏休み補習している。30人学級は教員定数改善計画の停止、厳しい財政のもとではあるが、ひきつづき検討している。

職員不祥事の根絶を

 次に、本市行政の焦点である職員不祥事の根絶に関してお聞きします。

「抜本改革大綱」が発表されてから二ヶ月以上が経過しました。この大綱が不祥事根絶に効力を発揮しているのか、あらためて市長の責任を問うものです。

 第一に、市長は「過去最も厳しい処分をおこない、けじめをつけた」と九月議会で答弁されましたが、はたしてそうなのでしょうか。九月議会が終わった途端に、三人の職員が逮捕される、環境局では病休中の職員が深夜まで妻の飲食店を手伝い懲戒免職処分を受ける、ととどまるところがありません。全くけじめなどついていないではありませんか。

 この間の不祥事摘発に共通している特徴は、「運転しない連絡運転手」のように議員から指摘されたら動く、「やまごえ温水プール所長のセクハラ疑惑」のように外部やマスコミから告発されたら動く、10月の三件のように警察が逮捕したら懲戒処分する。行政自らが動いてメスを入れ、摘発したのは一件も無いではありませんか。なぜ自らの力で膿を出すことができないのか。結局、マニュアルの作成、服務観察チームの設置、懲戒処分の強化などを並べても、所属長から「どれだけ徹底したか」数字の報告を受けるだけではありませんか。市長は「全職員が一丸となって」とか「今一度緊張感を持って」と大綱が徹底されていないと嘆いていますが、なぜ旗を振っても不祥事が繰り返されるのか、なぜ大綱そのものに効力がないのか。大綱が職員の意識や実態にかみあっていないことを直視し、あらためて大綱そのものを見直して、原因の解明と抜本的な対策を示すべきです。いかがですか。

〈桝本市長〉 「大綱」を策定以降、職員の意識にある「事なかれ主義」を払拭、膿を出しきることが市民の信頼回復の道だと確信し、全庁あげ全力でとりくんできた。10月、3名の逮捕者を出し慚愧に耐えない。課題を抱える職員を把握し指導を開始。懲戒処分指針の制度見直し、服務監察会議で作成した指針の徹底等で、職場に緊張感が生まれた。職員の意識は変わりつつある。全庁一丸となり「大綱」の改革策を実施し市役所の再生を図る。

 第二に、市役所に広がる深刻な覚せい剤汚染の問題です。七月以降覚せい剤で逮捕された市職員は元学校給食調理員を含めると五人にもなります。これらの職員に共通しているのは周辺に暴力団の姿があり、覚せい剤の入手ルートになっている可能性が高いということです。市役所に暴力団の闇のルートが入り込み、資金源となっているのではありませんか。だから京都府警がそのルートを解明するために、事件を起こしてもすぐに逮捕せず、しばらく泳がせていた、とマスコミからも指摘されているではありませんか。十月の特別委員会で副市長は「暴力団の手が及んでいて組織的にされているのかどうか答えようがない」と答弁されましたが、市役所の中に闇の入手ルートがあるかどうか調査されたのですか。調査をしていないのであれば何故なのか、ただちに調査するよう求めます。明確にお答え下さい。

〈中野総務局長〉 研修推進担当を対象に薬物乱用の実態と危険性について研修を実施した。全職員ヒヤリングした結果、市役所の中には闇の入手ルートはない。服務監察チーム等により違法薬物事案の根絶にとりくんでいく。

 第三に、いっこうに是正されない部落解放同盟への特別対応の問題です。調査特別委員会で審議しているさなかの九月末に、部落解放同盟支部が中心となった「部落問題を考える集い」が東山区で開催されました。配布されたチラシにはメイン会場のコミュニテイセンターの別称として「東三条部落解放センター」とありました。明確な行政施設に運動団体のセンター名をかぶせるという私物化そのものではありませんか。さらにこの「集い」にあたって、交通局が部・課・営業所ごとに細かく人数を割り振って参加の動員をしていたことが内部告発によって明らかになりました。昨年の九月市会総括質疑で副市長は「(割り当て動員に関して)適正に今後対処をしていきたい」と答弁されました。ところが現場では、旧態依然とした参加動員がおこなわれているではありませんか。これも「職員が過去をひきずっている」として現場と職員に責任転嫁するのですか。直ちに是正し、解放同盟への特別対応を一切やめるよう求めますが、いかがですか。

 第四に、不公平で職員を信頼しない改革大綱の問題です。警察官OBを入れた環境局服務観察チームに対して、職員からは「私らを犯罪者と見ているのか」との声があがっています。その上に「問題職員」のリストアップです。確かに「月に三日しか働かない連絡運転手」のように、運転手として採用されながらまともに出勤せず、出勤しても仕事をしない職員は論外です。運転を必要としない職場であれば総務局に異動させ一括管理する、運転が必要なのであればふさわしい仕事をさせる、そして全庁的に輸送業務そのもののあり方を見直すことは当然ではありませんか。ただちに改善を求めます。

 また、窃盗容疑で逮捕された元保育士は職員採用以降の要勤務日数三、三〇八日のうち半数以上の一、五九七日も休職および病休を取っていました。覚せい剤使用容疑の保育所作業員も三年前から病休を繰り返し四月以降はほとんど出勤せず、病休中に妻の店を手伝っていた環境局職員は、この一年半の間に十五日しか出勤していませんでした。このような職員への処分は当然であります。一方で、不祥事と職員の休暇・休職をとることの関係は慎重に検討し対応すべきであります。病休に疑念があるのであれば複数の医師による診断を条件に判定するよう求めます。また、神経症などで病気休職をとり、治療とリハビリの結果復職したものの、再び医師の診断の下で休暇・休職をとる場合もあります。これに対して副市長答弁のように「病休と休職を累計して三年を超えたら分限免職ができるよう検討する」と簡単に言えるのでしょうか。十分慎重な対応を求めますが、いかがですか。

〈福徳文化市民局長〉 地域の各種団体で構成の実行委員会がとりくんでいる。主会場の別称は市民への誤解を招く事から使用しないよう申し入れている。各局に情報提供しており参加動員はしていない。職員への周知文の表現は誤解を招かないよう是正した。毅然とした態度でのぞむ。業務の内容に応じ、職員の運転手業務に差異があることは事実。効率性を検討し必要な見直しをする。病気休務・休職制度を悪用する職員には厳しく対処する。分限免職処分の適用は人事院が示した指針を参考にし厳格に運用、制度を不正利用した者は懲戒処分を含め厳しく対応する。

家庭ごみ有料化の中止を

 次に家庭ごみ有料化の問題です。10月から実施されて以降、市民の怒りは収まりません。共産党議員団にも多くのファックスやメールが届いています。「そもそもわれわれ市民の意見を聞いて実施したのか。いまでも納得できない」「四十五リットル袋が四十五円は高い。袋の価格を下げてほしい」「有料化の一方で、また環境局職員が不祥事やないか」など市民不在の負担増に怒りの声です。

 確かに「昨年と比べて家庭ごみで二割、資源ごみで三割減少」となっています。しかし、「今まで週に二回出していたのを一回にした。京都市はごみの排出量が減った、というが家庭に残っているだけやないか」という市民の声や、街のコンビニや公園のゴミ箱に投棄されるごみが増え、十月以降は事業系のごみ量が増加しているのが実態ではありませんか。環境局や市長は「ほぼ順調にスタートした」「市民の環境意識の高さに感動した」と自画自賛していますが、市民に年間二十億円もの負担増を押し付けたことに痛みを感じないのですか。

そこで市長にお聞きします。有料化をいったん中止して、ごみ行政のあり方について市民的議論をおこなうこと。ビン・缶・ペットボトル三種混合回収を見直して分別・リサイクルを徹底すること。その業務量に見合った人員配置をおこない、仕事をきちんとする当たり前の職場に転換すること、を求めます。いかがですか。

〈上原副市長〉 ごみ有料化は市民の高い環境意識に支えられ、ほぼ100%の協力を得て順調にスタート。今年度より20%以上のゴミ減量効果が現れている。マイバック持参運動、リターナブル容器利用促進等を重点的にゴミ減量にとりくむ。三種一括収集は人員・機材を効率的に活用できる最も合理的な収集方法であり今後も継続していく。

「三位一体」改革による地方財政の拡充を

 さて日本共産党市会議員団は先日、市長に対して「来年度予算編成にあたっての要望書」を提出しました。その中で、国の責任を後退させ地方自治体の財源の大幅削減をすすめる「三位一体改革」に反対し、自治体が住民の利益と地方自治の立場をつらぬいて国の悪政からの防波堤としての役割を発揮するよう求めました。

 国の「三位一体改革」によって、国庫補助負担金が五兆二千億円削減され、義務教育費、国民健康保険、公立保育所運営費、児童手当・児童扶養手当などが削減されました。さらに地方自治体の財政を苦しめているのが、地方交付税の大幅削減です。三年間で合計五兆円も削減されました。七月に発表された全国首長アンケートでも「三位一体改革について評価しない」「あまり評価しない」と答えた首長が八割を超えたのは当然ではありませんか。

 さらに、「骨太方針2006」による新たな地方財政への攻撃が始まっています。第一に「大幅な人件費の削減」をすすめ、地方交付税をさらに削減する。第二に「自治事務の執行基準を地方条例で定めるようにする」として国の基準を廃止し、国庫補助負担金をさらに廃止・縮小する。第三に地方の財政実態やコストを無視して人口と面積によって税額を算定する新型交付税を導入する、という新たな「三位一体改革」が提起され、ますます国の財政責任を後退させようとしています。

 このような連続する「三位一体改革」による地方財政への攻撃に、市長として断固として反対の声を上げるべきであります。いかがですか。

〈毛利副市長〉 地方公共団体への税源移譲、地方財源の拡充強化が不可欠である。今後、交付税総額の確保については全く予断を許さない状況。税源移譲を含めた税源配分の見直し検討は不明確である。真の地方分権の実現へ指定都市とも連携し、国に強く訴える。

憲法改悪反対の堅持を求める

 憲法問題に関してお聞きします。衆院憲法調査特別委員会で、国民投票手続き法案が審議入りしています。安倍晋三首相は就任後、「五年以内の改憲」を政権の課題として正面にかかげ、改憲への一里塚となる手続き法を今国会で成立させることに執念を燃やしています。

 与党も民主党も「形式的な手続き法づくりにすぎない」といいますが、改憲手続き法は改憲の動きと密接に結びついています。自民党はすでに「新憲法草案」を示しました。平和憲法の要である戦力の不保持、交戦権否認を定めた九条二項を削除し、自衛軍の保持と海外での武力行使を可能にする規定を盛り込んでいます。公明党の新運動方針は、「加憲」の中身として「自衛隊の法的認知」、「平和への貢献」の名による海外派兵を打ち出しました。民主党も「憲法提言」で「制約された自衛権」、武力行使を含む国連多国籍軍への参加を主張しています。改憲勢力はいずれも、明確に、九条に狙いを定めた改憲の方向を示しています。とても「改憲内容とは関係ないルールづくり」などと言えるものではありません。憲法九条改憲に道を開く手続き法案は、廃案にするしかありません。

 国際平和都市を標榜し、議会決議においても非核平和都市を宣言している京都市の市長として、憲法改憲を主張する意見に対して明確に反対するよう求めます。いかがですか。

〈桝本市長〉 憲法改正の議論は国民全体で深められるべき。日本国憲法の平和理念は人類普遍の理念と考えている。平和都市宣言をした京都市の市長として平和理念を守り、世界文化自由都市の実現をめざす。

伝統産業の振興について

 最後に、京都経済の再生に関わって、伝統産業の振興策についてお聞きします。

 京都府内の八月の企業倒産(負債額一千万円以上)は、発生件数で過去最高水準になり、負債総額も前月に比べて大幅に増えています。その原因が、和装や流通関連での大型倒産であり、中心は呉服販売大手のたけうちグループです。業界紙によれば、「グループ全体の売上高は年間五百六十億円、呉服全体の十分の一の市場が一瞬にして消滅した。三月の愛染蔵を加えると八百億円規模がなくなったことになる」とその影響が懸念されています。実際にメーカーや産地にまで影響が広がっています。上京区の織物会社が隔週の休機を10月末から実施し、他の中堅企業でも生産制限や「当分の間、週三日の出勤にしてくれ」と言われた職人さんもおられます。

 たけうちグループの販売手法は、ホテルや貸し会場や仕入先のイベントなどを利用しての展示会販売を中心に高価な宝飾品なども扱い、高齢者にも高額な商品をおしつけ、長期のローンを組ませ、支払い能力以上の無理な契約を強いる、など強引な商法です。今回の倒産の背景には、このモラルからはずれた商法に対する消費者の信用低下があります。落ちた信用を取り戻すためには、このような商法や姿勢を業界から一掃するために産地・流通・行政が一致して取り組むことが求められています。

現在、行政として相談窓口の設置や、つなぎ資金の融資などの手だてをとっていますが、倒産の影響による実態をつかみ、根本的な対策を講じるよう求めます。

 第一に、不当商法や不正表示を規制できるよう取引ルールの確立を「伝統産業活性化推進条例」に位置づけて、推進計画にも生かすこと。第二に、不当な安売りを防止し、消費者の信用を回復するためにトレーサビリテイーを明確にし、適正な価格を表示した伝産品を北区役所などに展示し、啓発すること、の二点を提案します。いかがですか。

 推進計画が策定されました。条例と計画をより実効あるものにするためにも、計画がどう実行されているのか、行政の施策は職人さんの現実や思いにかみ合っているのか、予算や補助金は効果的に活用されているのか、本市職員が現場に足を運んで、目で見て聞き取りする実態調査をおこなうことを求めます。

 また、後継者育英資金の増額と要件の緩和を求めます。対象年齢が44歳以下、従事期間が10年以下となっていますが、現実の和装産業従事者の年齢構成や経験年数から、技術の進展のなかで新たな分野に挑戦するにあたって44歳という年齢制限や10年以下という従事期間は大きなハードルになっています。金額を増額すること、青年技術者の系統的な育成計画と同時に、対象要件の緩和をおこない技術継承を希望する者を対象とするよう求めます。あわせて三点について答弁をお願いします。

〈森井産観局長〉 適切な情報提供、京もの履歴表示、地域団体商標登録など業界団体のとりくみ支援を掲げている。本物価値を理解してもらい活用につなげる。実態調査は条例の制定や計画の策定にあたりとりくんできた。今後も職人、業界の実態把握をする。15年度に「技術後継者育成制度」を創設し、対象要件を緩和し支給額を増やしてきた。現行施策の点検をし若手技術者の育成に努める。

第二質問

 職員不祥事に関して、市長は「改革大綱が着実に浸透している。緊張感が生まれ、意識は確実に変わっている」と答弁があった。それが現実とのギャップだと指摘している。その認識と立場だから不祥事の全容にメスが入らないし、根絶されない。同和特別対応を今でも継承し、不祥事に自らメスを入れない、覚醒剤のルートも解明できない。市長の責任が問われている。それに対しまともな総括がないままの改革大綱に実効性がないのは当然ではないか。本日の新聞で改革大綱について「思いつく施策を出したという感じだ。組織風土を変えられなかったのはなぜか、病理の原因に十分踏み込んでいない」と厳しく指摘しているではないか。党議員団は引き続き全力をあげて、市民から信頼される市政転換へ奮闘する。