倉林明子 議員
06年9月12日(火)
倉林明子議員の質問と答弁の大要 06年9月定例市会 本会議代表質問
市職員不祥事・犯罪行為の全容解明と根絶を求める
日本共産党京都市会議員団を代表し、市長に質問します。
京都市職員による相次ぐ犯罪、不祥事の続発に市民の怒りは沸騰しています。今年度に入ってからだけでもすでに10人の逮捕者が出ており、京都市政始まって以来の異常事態です。その内容も全くひどいもので、生活保護費の詐取・横領、児童買春、ATMをゴルフクラブで壊した窃盗未遂、中学生に対する暴力行為、挙句の果ては覚せい剤の使用で2名、譲渡で1名が逮捕されたのです。
確かに4月以降、市職員の犯罪・不祥事が噴出していますが、今に始まったことではないのです。市長就任以来10年、市職員の不祥事は絶えず、市長は市政の重要課題として、年頭の訓示にとどまらず繰り返し根絶の取組や決意を表明されてきたのです。ところが先日の不祥事問題を集中審議した常任委員会連合審査会の市長総括質疑で、あなたは「全体としては、そう大きな数値であるとは認識していない」という発言をされ、議会にも市民にも衝撃が走りました。わが党議員の撤回の求めに対し、発言は撤回されたものの、その理由は「誤解を招くものであり不適切だった」と説明されました。問題は、市長の認識です。逮捕者90人という数、覚せい剤取締法違反だけで22名など犯罪の中身から言っても、大した数値でないというあなたの認識は重大な間違いです。市職員による不祥事や犯罪行為の件数は大きな数値であること、中身も本当にひどいことをまず認めるべきではありませんか。いかがですか。こうした事態にあって、家庭ごみの有料化を粛々とすすめるなど、もっての外です。10月実施は中止すべきです。市長は自らも減給の措置をとり、最も重い処分だといいますが納得できるものではありません。市民の声に応え辞任すべきです。いかがですか。
〈答弁→桝本市長〉 個人の問題にとどまらず、組織的・構造的な問題があった。私をはじめ過去もっとも厳しい処分をおこない、けじめをつけた。「大綱」の改革策断行が、信頼回復の唯一の道であり、私に課せられた使命だ。家庭ごみ有料化は、これまでのとりくみで多くの市民の理解を得ている。
「大綱」の内容では納得できない
そもそも、職員の犯罪行為がなぜ京都市でこれだけ多発するのか、市長は市民に対してその原因と背景について説明し、自らの責任を明らかにしなければなりません。「大綱」で示された原因では、かつての同和選考採用と採用後の指導などの甘さが指摘されていますが、それだけで現状の深刻さは説明できません。そもそも同和地区住民を優先する雇用いわゆる同和選考採用制度は1980年代に大きくゆがめられ、運動団体の既得権となりました。特に部落解放同盟に対しては、暴力で現場の職員に対する威圧を背景に、不当・不正な要求にも屈してきたのが歴代市長ではなかったでしょうか。是正された運動団体に対するカンパや職免の廃止、不正な補助金問題でも、旧同和地区内の市営住宅施設敷地の不法な占有に対しても、議会から繰り返し指摘され、裁判で負けるなどしてようやく措置を取ったものでした。大綱で指摘された甘さが生じた理由と背景に何があったのか、教育委員会時代から深く関わってきた当事者でもある市長は、京都市役所の根深い体質を最も知りうる立場にあるのですから、説明責任を果たすべきです。
いまだそのゆがみは継続されていることも審議を通じて明らかになりました。その一つが部落解放同盟の幹部である市職員に対して、異例づくめの特別対応が取られている問題です。本来、懲戒免職にあたる横領や公金詐取を繰り返したケースワーカーの元職員は、今年4月に退職金を受け取り依願退職していますが、部落解放同盟田中支部、市協の幹部でした。東山図書館長だった職員は、依願退職した後、嘱託として再雇用され、現在は住宅供給公社にいます。この職員は部落解放同盟千本支部の元支部長であり、市協の元副議長です。さらに上下水道局では部落解放同盟錦林支部長の職員が係長級に昇進し、現在労務担当の補佐をしている事例も判明しました。これら3人に共通しているのは、同和補助金不正支出事件、97年からの5年間で8000万円を超える補助金が不正に部落解放同盟及び地区内自治会に支出されていた事件の当事者であり、いずれも補助金を受け取っていた支部の責任者であったと言う点です。なぜこうした特別扱いが許されたのか、全く説明がされていないではありませんか。
2003年、同和補助金不正支出事件の最終報告書で京都市の組織的責任について「一時期において運動団体と軋轢が生じないよう事業をすすめることが同和問題の解決にとって有効であるという考え方を過度に職員に意識させる傾向が醸成された」と分析されています。つまり、不当・不正なことでも同和問題ならまかり通る組織になっていたと言う反省でした。「当該団体に対しても、厳格かつ毅然とした姿勢で臨まなければならないにも関わらず、本市組織としてはそれを徹底できなかったところに最大の問題があった」として、市長を含めた処分が実施されました。ところが、部落解放同盟の幹部に対するでたらめな処遇は、この反省の舌の根も乾かないうちのことで、本質は今も変わっていないことを示しているではありませんか。副市長は「現場で過去を引きずって、そうせざるを得ないと自己抑制していることはある」と答弁されましたが、現場の職員の責任だけではなく、組織的構造的な問題だということが教訓だったはずです。同和補助金不正支出事件の教訓がまったく生かされていないではありませんか。いかがですか。
〈答弁→星川副市長〉 運動団体との関係で新たに問題を生み出すような不正常な状況は、現在一切ない。補助金問題と今回の不祥事案は原因・背景が異なる。ただ、運動団体との関係が正常でない状況は、個々の問題として、一部現場に残っていたのも事実。特定の個人・団体の特別扱いを容認する習慣・組織風土があれば、この際一掃するよう強い指示を市長が出した。
現業職場の実態を明らかにし、うみを出し切れ
これらの事実は京都市が自らすすんで明らかにしたものではなく、議会で質問されて事実を認めたものです。自ら明らかにするどころか、逆に事実を隠す、報告しない事例も相次ぎ、深刻な隠蔽体質があるといわざるを得ません。下京区のコミュニティーセンターの職員による暴力事件は、今回中学生に対する暴力で発覚したものですが、過去にも繰り返し暴力行為を行っており、相手は同じ市職員であったことが私たちの調査で明らかになりました。また、上下水道局では出勤していないのに出勤していたと当局が出勤簿を改ざんしていた事実を認めています。生活保護費を横領した職員が、来庁者用の区役所駐車場を私的に占有していた事実を指摘されても、認めようとしません。市長は「膿を出し切る」と繰り返し発言されていますが、自らはちっとも膿を出していないではありませんか。掛け声だけでなく、自ら自浄機能を発揮すべきです。まず、環境局、上下水道局、建設局など現業職場の勤務実態を明らかにし、なぜそうなってきたのかも含めて説明をすべきです。いかがですか。
〈答弁→桝本市長〉 現環境局の現業職場では、同一職場に長期在職者がいるために生じる排他的な職場風土、大規模な事業所での管理監督の不十分さ、研修の不足など人事業務管理で不十分な点が数多くあり、不祥事の発生しやすい組織風土をつくる要因になった。ごみ収集業務の50%民間委託、人事異動、重点的な研修、懲戒処分の厳格化など「大綱」の断行で、再発防止を図る。
覚せい剤事件など全容解明し、闇のルートを一掃せよ
さらに覚せい剤事件が集中している環境局のまち美化事務所では、所属長が職員を恐れ、まともに指示できない実態、勤務時間に見合った仕事量がまともに提起されていないことも明らかになりました。覚せい剤取締法違反の異常な拡大について、特別に原因と背景の解明が必要です。先日、教育委員会の元職員が職員だった当時も覚せい剤を使用していたことが判明しました。さらに、環境局の職員が覚せい剤の使用及び譲渡の事実を認め、懲戒免職となりましたが、いずれの職員も暴力団員や元暴力団員との接触があり、入手ルートになっていたことが警察の捜査でわかっています。全体の奉仕者であるべき市職員に闇の世界が入り込むなど絶対にあってはならないことです。今回の事例にとどまらず、01年度にも覚せい剤譲渡で逮捕された職員は元暴力団員から入手し、職員に売り渡していた事件もありました。ヤミ金融にかかわった職員の逮捕者も出しています。私は、市職員に暴力団という闇のルートがつながっている事態を正確に認識し、徹底的にその全容を解明する責任が市長にあると考えます。なぜ入り込んだのか、なぜ繰り返しこうした事件が起こっているのかを明らかにし、断固たる決意で暴力団との関係を一掃する決意を求めるものです。
〈答弁→星川副市長〉 入手が容易になり主婦や青少年に覚醒剤使用が広がっていることはよく言われていること。これまでの事件を総括・分析し、専門家の意見をよく聞きながら対策・対応を急ぎたい。監察体制を強化し、兆候が見られるときは告発・通報するなど警察との連携を強化する。
免職職員の再雇用など「甘さ」の解明なしに、体質は変わらない
不祥事根絶にむけた「大綱」で打ち出された改革の内容はどうでしょう。その柱は民間委託と処分の厳格化となっていますが、これで犯罪や不祥事がなくせるのか、早くも職員団体からも疑問の声があがっています。特にごみ収集業務を50%民間委託することがなぜ不祥事根絶につながるのでしょうか。零細事業者が多い業界のどこが受け皿になるのか、現在の職員をどこが受け入れるのか。現場に大きな混乱と不安が広がっています。まずやるべきは、業務量に見合った人員配置にすること、仕事をきちんとする当たり前の職場にすることが必要です。また、処分の厳格化を度重ねてきたにも関わらず効果がなかったのはなぜなのかを徹底的に明らかにすべきです。2000年には覚せい剤使用で過去懲戒免職にした職員を再雇用していましたが、考えられない甘さがなぜ通ってきたのか、その解明なしに処分をいくら強化しても、不祥事続発の体質は変わらないと思いますが、いかがですか。
市職員の犯罪・不祥事の続発に、市長の責任と同時に、議会の役割、チェック機能を最大限発揮することが市民から今ほど求められている時はありません。組織的・構造的な問題として、全容の解明が求められているにも関わらず、原因や背景には触れず、不祥事を起す職員や幹部職員のみを批判する発言が目立ちましたが、市長の責任を免罪するものではありませんか。前回の一斉地方選挙では民主、公明の会派の議員で部落解放同盟から推薦を受けた方々がおられますが、全容解明の歯止めにしてはならないと考えます。日本共産党市会議員団は引き続く調査特別委員会で徹底した全容解明と根絶に向け、全力をあげることを表明するものです。
〈答弁→星川副市長〉 甘い採用・指導の原因・背景はハッキリしている。甘い採用は、同和対策事業としての選考採用にある。甘い指導は、同一職場での長期在職者の存在、事業所組織の肥大化による管理監督の不十分さなど複合的な要因が重なりあったもの。処分の甘さや本庁のバックアップ体制の不十分さも要因だった。懲戒処分の厳格化、分限処分の本格適用は再発防止の大きな力になる。免職歴のある職員の再採用は現時点では考えられないことで、今後いっさい起こらないようにする。
医療・社会保障制度の改悪は許されない
さて、こうした市職員の犯罪が多発する一方で市民には相次ぐ負担増です。今年の6月に住民税及び国民健康保険料が、7月には介護保険料の通知が届き、市民からは悲鳴のような声があがっています。「住民税が7倍だ。間違いではないのか」「国民健康保険料が払えない」「介護保険をやめさせてほしい」など区役所納税課に1万5千人、国保担当の窓口には2万4千人あまりの市民が、わずか3週間あまりの間に直接相談にこられました。間違いではないと区役所でいくら説明されても納得できる負担増ではありません。ある高齢者の声です。「今年から、妻が年金生活に入り、私の分が26万円以上少なくなりました。来年さらに8万円以上も負担が増えて大変です。先日、前立腺がんの疑いがあり、現在精密検査中ですが、検査料が2万円近く取られ、もし本当に癌であればこれからの治療費が思われます。税負担と医療費負担でつぶれそうです」。負担増はまさに高齢者が耐えられる限度を超え、生存権をも脅かすものではないでしょうか。なぜこんなことになったのか。5年間続いた自民・公明による小泉政権の痛みの押し付けが最大の原因であることは言うまでもありません。改革という名のもとで、痛みが連続して市民のくらしにのしかかっています。昨年の配偶者特別控除33万円、老年者控除50万円を廃止、年金本体の控除は20万円も縮小しました。そのために高齢者の年金収入は減少しているにもかかわらず、課税所得が大幅に増加し、増税・負担増が襲いかかっているのです。そもそもこのとんでもない増税の出発点は3年前の総選挙です。年金改革が争点となり、公明党は「定率減税の廃止、高額所得者の年金に課税し財源にあてる」とし、年金安心100年プランを目玉の公約に掲げました。つまり庶民への増税で年金の国庫負担分を2分の1に戻すというものですが、実施されたのは増税だけ、国庫負担の引き上げはまたもや先送りにするというのですから、約束が違うではありませんか。「改革」の結果、高齢者の生活を壊し、生きる気力までうばっています。現役並み所得に相当する全国200万人の高齢者には容赦なく医療制度改革により、窓口負担が8月には2倍にあがり、さらに10月には3倍と連続した値上げを押し付けたのです。未曾有の高齢者いじめではありませんか。そこで市長に質問します。高齢者に対するこれ以上の負担増計画の見直しと中止を政府に求めるべきです。同時に京都市独自の軽減措置が緊急に求められています。急激な増税となる高齢者世帯に市税減免措置を創設することとあわせ、新たに課税となった年金生活者世帯に国民健康保険料の減免措置をとることを求めます。便乗値上げに等しい介護保険料や敬老乗車証など新たな課税による値上げには減額措置を実施すべきです。いかがですか。お答えください。
〈答弁→毛利副市長〉 持続可能な社会の構築のため、適正な負担は避けて通れず、厳しい財政事情を勘案すれば、やむを得ない。その中で本市は、国保料や地下鉄運賃の改定率の抑制、自立支援法での独自軽減策などやってきた。敬老乗車証が増額となる方の多くが年2千円。何度でも乗れることを考えると、やむを得ないと理解いただける。
医療・介護・障害者福祉について
小泉改革のもとで、社会保障制度が大きく変えられ、低所得者や社会的弱者が社会保障から排除される事態が広範に広がっています。福祉では障害者自立支援法が始まって原則受けたサービスの定率負担が導入されて、負担増から施設や通所をあきらめざるを得ない方、事業継続を断念する施設も生まれています。京都の障害者団体の調査によれば昨年10以降、通所施設で23人が利用をやめ、入所施設では7人が退所に追い込まれています。7月に開催された自立支援法検証フォーラムでは、「これでは自殺支援法だ」と発言されていますが、私もその通りだと思います。京都市独自の軽減措置が取られましたが、事態は深刻です。介護保険法の改定による特別養護老人ホームなどの食費・居住費の全額自己負担が昨年10月から実施された影響で、退所者数が30都府県で1326人にのぼることが8月末に厚生労働省の調査でわかりました。今年10月からは、要介護1の利用者からベットや車椅子が介護保険の給付外となることから、継続して利用しようとすればこれまでの数倍の負担となります。現場では前倒しで取り上げがすすんでいます。経済的な負担能力のない障害者や高齢者が排除される仕組みは、もはや福祉と呼べないのではないでしょうか。
医療制度も大きく変えられ、行き場のない医療・介護難民が生まれています。療養型病床の診療報酬を引き下げて赤字を押し付け、市内のいくつかの病院ですでに廃止となり、行き場のない高齢の患者が増えています。療養の必要な方が減少したわけではないのに、なんの受け皿もないまま6年間に全国で療養型病床の6割に匹敵する23万床も減らすなど無謀、無責任なやり方です。さらにリハビリは180日で打ち切るというやり方は、あまりにも機械的で再起を目指す患者さんの希望を奪うものです。この先、混合診療を導入し、保険証一枚では平等な医療が受けられなくなる制度へ変質させようとしていますが、国民皆保険制度を根本から崩壊させるものです。保険証をもって病院にいっても、「重い病気」は保険では間に合わない、「軽い病気」には保険が効かない、こんな医療に絶対してはいけないと今、多くの医療関係者や患者が批判の声をあげています。
小泉首相は「歳出をどんどん切り詰めていけば、『やめてほしい』という声が出てくる。増税してもいいから必要な施策をやってくれという状況まで、歳出を徹底的にカットしなければならない」と6月の経済財政諮問会議の中で述べていますがとんでもありません。国民、とりわけ弱者を兵糧攻めで締め上げたあげく、消費税増税を求める世論をつくるやり方は絶対に許せません。日本経団連に代表される財界は、社会保障の財源として消費税の増税を一貫して要求してきましたが、社会保険料の企業負担軽減のために他なりません。法人税や高額所得者の税負担の軽減も政府と一体となってすすめてきたのです。こうした構造改革の流れが格差を確実に拡大したのではないでしょうか。7月に発表された経済協力開発機構(OECD)の対日経済審査報告書では、日本の税や社会保険料などを除いた相対的貧困率がアメリカに次いで二番目に高くなったと報告しています。貧困率の増加幅が一番高く、OECD加盟国の中で最も格差が拡大していることが明らかになりました。弱者に一層の負担を求めるのではなく、大企業や高額所得者にこそ応分な負担を求めるべきではないでしょうか。市長は、小泉構造改革による市民に対する負担増が、市民生活を脅かしているという認識をお持ちですか。それとも負担はやむを得ないとお考えですか。さらなる負担増はもちろん消費税増税はやるべきでないとはっきり求めるべきだと考えますがいかがですか。答弁を求めます。
〈答弁→毛利副市長〉 消費税は、安定的な歳入確保に資する税。少子・高齢化のなか、役割はますます重要になっている。より幅広く総合的な視野で検討される課題と認識している。
行革・財政健全化プランについて
小泉構造改革の痛みが国民に激痛を与える今こそ、地方自治体が本来の役割を発揮しなければなりません。ところが京都市はさらに市民の痛みを増すばかりではありませんか。2001年以降、負担増は国民健康保険料や介護保険料、学童保育利用料、保育料など146億円にのぼり、切り捨てられた市民サービスは無料敬老乗車証、市営葬儀、ちびっこプールなどまさに「ゆりかごから墓場まで」に至りました。市長は全国屈指の行政改革だとその成果を強調されていますが、市民の目線と大きくかけ離れているのではないでしょうか。あなたが行政改革の目標を前倒しで達成したと報告された市税や国民健康保険料の徴収率引き上げの背景にある、督促状にため息をつきながら、必死の思いでやりくりして納付している大勢の市民の生活にこそ思いを寄せるべきです。2004年からは、このままでは財政再建団体に陥ると、財政危機をあおりさらに市民負担を加速させていますが、これ以上の市民負担の増加は市民生活を破たんに導くものです。負担増や市民サービス切り捨てはきっぱりとやめるべきです。いかがですか。
〈答弁→毛利副市長〉 安定的で持続可能な行財政を確立するため、引き続き市政改革実行プラン・財政健全化プランを着実に推進する。
民間委託は拡大すべきではない
また、京都市がすすめる「委託できるものは全て民間委託へ」という流れは、市民サービスを向上させるものとなっているでしょうか。いち早く進められた市バスの管理の受委託は、今では市バスの半分に達しています。市バスを使い制服も交通局のものでありながら京阪や弥栄など民間バスに営業させるこの手法は、自前でやるよりコストダウンできるとしているものです。そのために運転手の賃金や労働条件を押さえて請け負わざるを得ず、現場では長時間運転が当たり前となり、自宅にも帰れず宿泊所もいっぱいで自分の車の中で寝泊まりするなど過酷な実態が広がっています。ある運転手の妻は「とにかく睡眠時間を取らせてほしい」「夫の体が大丈夫か、いつか事故を起こすのではないか」と不安の声を寄せています。現実に市バスの事故は昨年度一年間で170件、その内、民間委託先の事故が43件でした。今年は4ヶ月足らずの間に委託先の事故だけで25件と増加しています。コストダウン優先で最も大事にしなければならない安全が後回しになっているのではありませんか。京都市は受委託先の運転手の労働実態も含め安全管理の実態を把握する責任があると考えますが、どう把握していますか。お答えください。大量の乗客の生命を預かる公共交通機関の最大の使命は安全であることを改めて決意し、安全対策に徹底して取り組むべきです。改めて民間活力導入をいっそう拡大する方針は見直すべきだと考えますが答弁を求めます。
〈答弁→交通局長〉 管理の受委託は、事業の効率化をはかり市民の足を守るもっとも有効な方策。民間バス事業者の応募は、その労働組合との合意が許可要件。全市バス安全運行推進会議を毎月開き、安全管理の実態を把握し、安全対策の徹底強化にとりくんでいる。
不要不急の大型公共事業をやめ、市民のいのちとくらしを守ることこそ信頼回復の道
一方で、財政非常事態だとされる京都市の税金の使い方はどうでしょうか。2002年度と2003年度は、新規建設事業を原則凍結したものの、その後は建設事業費を毎年拡大し今年度予算では、965億円を超えています。市内高速道路や焼却灰溶融炉など大型公共事業は復活させ、市民の借金である市債残高は過去最高に膨らませているではありませんか。市民には負担増、サービス切り捨てをすすめながら、不要不急の大型公共事業は借金してでもすすめるやり方は間違っています。京都市は今、市職員による犯罪行為や不祥事の噴出で、市長も認めるように市民の信頼は地に落ちた状態です。市民の信頼を取り戻す決め手は、犯罪の根絶と同時に市職員が全体の奉仕者として市民に認めてもらえる仕事をすることです。市民いじめを続けてどうして信頼回復ができるでしょうか。財政再建を口実に市民サービスを切り捨てる行革をすすめる三つのプランを撤回し、市民の生命と安全、暮らしを最優先する自治体の役割を今こそ発揮するよう強く求めて私の第一質問とします。
第二質問
ご答弁をいただきました。市長はみずから作ってきた京都市の体質から目を背けてはなりません。いままさに京都市は不祥事・犯罪続発という深刻な病におかされた状況です。治療には正確な診断が欠かせません。原因となっている部落解放同盟との特別な関係、特別扱いを認めずに正しい治療はできないということを強く指摘し、私の質問を終わります。