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市会報告

加藤あい 議員

06年8月31日(木)

国民健康保険料の引き下げ等を求める請願の不採択に反対する討論 06年8月臨時市会 閉会本会議討論

 請願1512号から1514号「国民健康保険料の引き下げ等を求める請願」について、日本共産党は採択すべきと考えておりますので、不採択に反対する討論を行います。

 請願は、第一に国保料を誰もが納められる額に引き下げる、第二に保険料滞納者から保険証をとりあげないこと、第三に保険料・医療費の減免制度を拡充すること、第四に本市が国・府に補助を増やすよう要求することを求めています。

請願を審議する委員会においても「払える保険料とはどれだけか」が議論になりましたが、市民の生活実態からすれば、現行の国民健康保険料は、被保険者にとって、「負担の限界」をこえていることは明らかです。

 たとえば総所得150万円の世帯でいえば、年間22万円もの保険料負担を強いられています。実に、総所得にしめる割合は15%近くにまで及びます。これで、「払える保険料」と言えるでしょうか。

 さらに、昨年の保険料算定方式の変更につづいて、今年も国の税制改悪で保険料負担が大幅に増える世帯が生まれています。

 わが党議員団にも、直接、悲痛な声がいくつもよせられました。FAXをおくってこられた75才の女性の方はこう書いておられます。「3年前、主人が結腸ガンで膀胱を全部摘出した。借金が残り、夫婦の年金と節約で暮らしている。受け取る年金は減り、去年までなかった市民税がかかり、国保料は大幅に上がり、介護保険料は増えていく。生活弱者に苛酷な小泉政治に怒りを感じています」。この方は、2004年、2005年と所得税・住民税が非課税だったのが5万円になり、介護保険料も2004年3万円だったのが今年7万円になり、その上、国保料も2005年に大幅に値上がりとなり18万円だったのが、今年さらに25万円にあがったとのことでした。

 今年の6月には、保険料通知が届いた直後から半月で、「どうしてこんなに保険料が上がるのか」と2万3000人もの方が区役所に来られました。一日平均2000名ちかくもの方が区役所を訪れたことになります。それだけの市民が、区役所の窓口を訪れなくてはならないことに、事態の深刻さが現れています。

 また、本市の資格証明書の発行数が10年前と比べて6倍以上と大幅に増えていること自体、多くの被保険者が、負担の限界をこえる国保料に苦しんでいることを示しているのではないでしょうか。

 7月4日付け「朝日新聞」が、資格証明書・短期証で「受診ひかえ『死亡』21人」と報道しました。死亡した方の遺族に聞き取り調査を行ってみたら、資格証明書や短期証による受診抑制を明確に口にしていた例が21件あったとのことです。53才の男性が「勤務先の倒産で困窮、半年間腹痛我慢し、胃ガンで死亡」、51才男性が「意識もうろうで搬送され、2時間後死亡。消化器系ガン」等々、ごく限られた調査であり、氷山の一角にすぎませんが、いったん病院窓口で医療費の全額負担を求められることが、受診の抑制につながり、手遅れになり、命まで奪っている実態が明らかになりました。

 開業医の6割が加入する全国保険医団体連合会の調査でも、国保加入者にしめる資格証明書の方の受診率は1から4%にしかすぎないことが明らかになっています。

 本市でも、市立病院における資格証明書の方の受診は、2004年はたったの一人、2005年においては、ゼロ、一人もおられないという実態です。滞納対策と保険証の取りあげを結びつける資格証明書の発行をやめると同時に、「誰もが払える国保料」を実現する必要があるのではないでしょうか。

 委員会の審議のなかでは、理事者や与党会派のみなさんからも「負担の限界」についての言及がありました。市民の苦しい経済状況と負担の限界をこえている実態をふまえ、請願を採択すべきであると表明して、討論を終わります。