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市会報告

さとう和夫 議員

06年3月17日(金)

国民保護基本計画関連議案に対する討論 06年2月定例市会 閉会本会議討論

 議第617号京都市国民保護協議会条例、並びに議第618号京都市国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部条例ついては、国による「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」の施行に伴い、都道府県の国民保護基本計画などの策定を受け市町村が計画の策定や各対策本部などの組織及び運営に関して必要な事項を定めるとしています。以下、日本共産党市会議員団を代表してその反対する理由を述べます。

国民を「戦争できる体制」に組み込むもの

 第一に、国民保護基本計画は「平時」から「戦時」を想定し、すべての行政機関をつうじて国民を「戦争できる体制」に組み込むからです。

これでは、住民の福祉を増進させ生命と財産を守る自治体本来の役割を自己否定することになります。

 第二に、有事法制の一環である国民保護法による基本計画の策定は、アメリカの戦争に巻き込まれる危険がいっそう高まるからです。

先制攻撃戦略をとる米軍が日本の周辺で戦争を引き起こせば、周辺事態法では自衛隊が後方支援をすることなります。この紛争相手国が自衛反撃権を発動する可能性がある、すなわち米軍に基地を提供している日本に対して武力攻撃の予測される事態が発生する、という具合につぎつぎに連動してゆきます。その結果、日本有事とかかわりなく、台湾有事とか朝鮮有事とかの際、米軍や自衛隊の作戦行動を円滑にするために、あらゆる便宜が用意されます。そのひとつが武力攻撃事態のいろいろな類型を想定すると称し、日頃から戦争協力のための啓発や訓練を国民に課すことであります。しかも、最大の狙いは米軍再編を地球的規模ですすめ、日本を出撃拠点とするために、米軍基地の拡大・強化による基地公害を住民に押し付けることです。現に、沖縄県の宜野湾市への基地の移転問題や神奈川県座間に米陸軍の第一師団司令部が移転する問題などに対し、首長を先頭にした自治体ぐるみの住民の反対の声が広がています。とりわけ、山口県岩国市では空母艦載機の移転について住民投票がおこなわれ、約9割近くの圧倒的多数の反対の意思表示がなされました。これ以上の基地公害には反対、憲法九条を守ることが平和づくりという声を活かすことこそが、真の地方分権です。

地域紛争などは平和的に解決を、が世界の流れ

 第三に、地域紛争などを平和的に解決しようという世界政治の流れに逆行するからです。

国連憲章にもとづき、地域紛争や国家間紛争を武力行使ではなく平和的に解決しようという地域共同体運動が広がっています。東南アジア諸国連合や上海協力機構、南米諸国共同体、アフリカ連合などですが、とりわけ武力行使を禁止し紛争の平和的な解決を盛り込んだ「東南アジア友好協力条約」には、20ヶ国・世界人口の53%の人々が住んでいます。いまや「東アジア共同体構想」も展望されていますが、日本もこの加盟国です。自治体としてもこうした方向で努力することが、いま求められています。

 以上、同僚議員の賛同を求め、私の討論とします。ご清聴ありがとうございます。