せのお直樹 議員
06年3月17日(金)
障害者自立支援法施行にともう条例制定反対の討論 06年2月定例市会 閉会本会議討論
日本共産党市会議員団は、議第33号「京都市障害者自立支援法の施行に関する条例の制定について」と議第34号「障害者自立支援法の施行に伴う関係条例の整備に関する条例の制定について」に反対を表明しておりますので、その理由を申し述べます。
重大な問題-「応能負担」から「応益負担」への転換
障害者自立支援法は、2005年10月31日の特別国会において、与党の自民党・公明党が、日本共産党、民主党などの反対を押しきって可決、成立させたものです。身体・知的・精神の3障害にたいする福祉サービスの提供の一元化など関係者の声を反映した部分もあります。しかし、障害者福祉にも、“自己責任”と“競争原理”を徹底して、国の財政負担の削減をおしすすめようとする小泉「構造改革」のもとで、多くの問題点を抱える制度となっています。とりわけ重大な問題は、利用料は能力に応じて負担するという「応能負担」原則を、利用したサービス量に応じて負担するという「応益負担」へと転換したことです。
障害者が人間としてあたりまえの生活をするために必要な支援を、「益」とみなして負担を課すという「応益負担」は、憲法や福祉の理念に反します。障害が重い人ほど負担が重くなり、負担に耐えられない障害者はサービスを受けられなくなる事態が起きることは必至です。だからこそ、障害者・家族の反対運動が空前の規模で全国に広がりました。京都でも「障害者自立支援法案に意義あり! 「応益負担」に反対する実行委員会」の取り組みなど、大きな運動が繰り広げられました。
ムダな公共事業費の見直し、ごく一部をまわすだけも充実できる
示された国の基準があまりにも高いため、京都市では独自に3億6500万円の予算を組んで国基準の負担上限額を半分にする独自の軽減措置と、福祉サービス、自立支援医療、補装具を重複して利用する場合の総合上限額を設定して負担軽減を行うとしています。これらは、障害者団体のねばりづよい運動が反映したものであり評価できます。しかし、それでも、生活保護の方以外については何らかの利用者負担が生じる事となります。
昨年10月実績をもとにした本市の見込みでは、入所分と障害児施設を除いた一ヶ月の負担額ごとの人数は、今まで無料だった方4949人が742人に、割合では85.7%から12.8%に激減し、逆に月6001円から8000円の負担の方は115人から2966人に、現在の2%からなんと51.3%に激増します。月6001円から8000円の負担に、1年で72000円から96000円の負担です。上限額までの負担になる方は全体の60%に及ぶとされ、住民税非課税世帯も最高7500円の負担になります。食事代や交通費は別にかかります。
介護保険では一割の利用料が導入されたため、払える範囲での介護プランにすると言う利用抑制がおきています。障害者福祉の分野でも、同じように必要なサービスが受けられなくなる恐れがあります。
政府は、「応益負担」導入の理由を、「増大する福祉サービス費用を皆で支えてもらうため」、つまり、「お金がないから」などと説明しています。しかし、障害福祉予算は来年度予算案で8,131億円、国家予算の1%程度にすぎません。国際的にみても、国内総生産(GDP)にしめる障害者福祉関係の支出割合は、日本はドイツの5分の1、スウェーデンの8分の1ときわめて低い水準です。公共事業費などのムダを見直し、そのごく一部をまわすだけで、700億円の負担増になる「応益負担」など導入せずに、障害者福祉を大幅に充実できます。京都市も、こうした立場で予算のあり方を見直すことが必要です。
議第34号は負担増の内容を定めるものであり、認められません。議第33号は虚偽の報告があった場合などと言えども障害者や家族に最高10万円もの過料を課す事を定めるものであり認められません。
以上で私の討論を終わります。