ふじい佐富 議員
06年3月17日(金)
2006年度一般会計予算に反対する 06年2月定例市会 閉会本会議討論
日本共産党議員団は、二〇〇六年度一般会計予算案ほか、予算関連議案十二件には反対し、その他の議案については賛成の立場を表明しております。私は、日本共産党市会議員団を代表して、その理由を述べ、討論を行います。
年間52億円をこえる新たな市民負担
反対する第一の理由は、提案された予算案が、昨年の国民健康保険料や保育料の値上げに続き、介護保険料の値上げや家庭ごみ袋の有料化など、今年度もさらに年間五十二億円を超える新たな市民負担を押しつけるものだからです。
昨年四月だけでも、国民健康保険料や保育料の値上げなど約二十五億円。九月には、地下鉄運賃の値上げで十五億円。これだけで約四〇億円もの負担を市民に押しつけました。
そして、今年度予算では、家庭ごみ袋の有料化で今年は半年分の一〇億円ですが、年間で二〇億円。介護保険料の値上げで三十二億円、学童保育所利用料の値上げで五千六百万円、芸術大学授業料の値上げで千五百万円というひどさです。
学童保育所利用料の問題では、子どもたちの放課後の生活保障とともに、幼い命が犠牲にされて痛ましい事件が相次ぐ中、子どもの安全を守るという点でも、学童保育所の役割は非常に大きくなっています。学童保育所利用料の値上げは保護者に新たな負担を強いるもので反対です。
国民健康保険の値上げで市民の生活はどうなったのか。未成年者二人をかかえるある母子家庭で、年間二百四十七万円の収入。平成十六年の国保料は住民税非課税世帯で所得割りはかからず一〇万四千百円だったのが、三十四万円と実に三倍となり、もろに生活費に食い込んでしまいました。さらに今年度は小泉政権による国民大増税の影響で、こういう世帯にまた、新たな負担が押しつけられます。さらに、高齢者世帯でも公的年金控除の縮減や老年者控除の廃止などで、住民税非課税世帯から課税世帯になる人たちが生まれます。二割減免や激変緩和の三割減免が受けられなくなる世帯に対して、救済するのは当然なのに、これも冷たく拒否しました。新たな市民負担を押しつける予算提案は言語道断です。
商店街や中小企業への支援に消極的な京都市の姿勢
反対する第二の理由は、京都経済の中心である中小企業・伝統産業対策が後退しているからです。国の来年度中小企業対策予算は百十四億円も削減され「中小企業支援センター」に対する予算は全廃となりました。京都市の予算でも、中小企業支援事業予算は昨年の五千三百二十七万円から四千九百四十一万円へと削減されています。ひどいものです。
京都からはじまった「あんしん借換え融資」は中小企業のみなさんにも使い勝手の良い制度として喜ばれてきました。しかし、京都銀行に続き昨年末に中央信用金庫、京都信用金庫が七号指定から外され、不況業種の五号も半減する中で、「あんしん借換え融資」が使いたくても使えない状況になっています。京都市としてこの機能を生かし、新しい融資制度を創設して中小企業を応援すべきです。厳しい経営を迫られている商店街や中小企業への支援に消極的な京都市の姿勢は問題です。
また、国におけるまちづくり三法の見直しは、大型店出店により商店街が疲弊するなかで、規制を求める世論と運動の成果です。しかし、大店立地法には手が付けられていません。理事者は「見直しの方向に需給調整はない」との答弁でしたが、需給調整で大型店を規制しなければ何も解決しません。京都市でも「ジャスコ洛南店」「ハナ」の出店など、大型店の出店の一方で、地域コミュニティー形成の役割を持つ商店街が「シャッター通り」と言われて久しい中、その商店街振興組合がこの一〇年で七ヶ所も減り四十六所になっているではありませんか。さらに大型店を呼び込むキリンビール工場跡地開発を中止することなど、強く見直しを求めておきます。
厳しい財政事情を言い続けながら、無駄な大型公共事業推進
反対する第三の理由は、厳しい財政事情を言い続けながら、無駄な大型公共事業を推し進め、市民負担を増やし続けていることです。財政非常事態宣言から五年、建設事業関連では非常事態宣言前の規模を超えています。市民には非常事態だと耐え難い痛みを押し付ける一方で、京都高速道路を優先させ、焼却灰溶融炉などの大型公共事業はしっかり復活させています。最優先すべき課題を取り違えています。財政健全化という点で見ても、市債残高は過去最高、市民一人当たり七十五万円まで膨らませています。財政健全化どころか逆行しています。最優先すべきは市民の負担の軽減です。市民には負担を、市職員にはリストラを押し付けるやり方は本当に改めるべきです。
ゼスト御池に対する九十九億円の損失補償も大きな問題です。第三セクター方式とは、地方自治体に大型開発を行わせ、大手ゼネコンや大銀行を儲けさせるために生み出された方式です。大手ゼネコンは工事代金をすでに受け取り、金融機関、特に三菱東京UFJ銀行では融資した金利で二十七億七千万円も儲けています。我が党が当時から指摘してきたとおり、第三セクターの破綻は明らかです。京都市の責任は極めて大きいと指摘しておきます。
また、京都市は新たな公共事業の手法としてPFI方式を採用し拡大しているのは問題です。第一にこの方式は大手民間企業の経済対策に過ぎないということ。第二に地元発注が著しく制限されます。第三に公的サービスが後退するという問題です。市立小学校の冷房化は、当然必要な事業ですが、PFI手法の見直しが必要です。指摘しておきます。
なお、駐車場事業特別会計では、過大な投資のツケとして、毎年十五億円も一般会計から繰り入れされています。抜本的な改善を求めておきます。市内高速道路計画は一旦凍結し見直すべき
京都高速道路で、二七〇億円の新たな巨額の負担が生じたことについて、毛利副市長は「本来ならば半分程度を負担するところを五分の一程度にまで縮小できた」と答弁をされました。阪神高速道路公団が民営化され株式会社となり、建設費を今後四十五年間で返済することが義務付けられた結果、京都市は市内高速道路の一部「斜め久世橋」を街路事業として引き受けてしまったものです。その事業総額は二七〇億円。国と京都府に支援も受けても五十六億円は京都市の負担です。四車線にしようと思えばさらに七十五億円が必要ということも明らかになりました。もともと全く想定されていなかった新たな負担ではないですか。自慢どころか最悪の事態です。
最大の問題は、斜め久世橋線など予想外の過大な投資が発生しても事業を推進して、借金を増やしていることです。高速道路計画は一旦凍結して見直すべきです。また、残る三路線:久世橋線・油小路線・堀川線は直ちに中止の決断をするよう、強く求めておきます。
同和優先施策の継続は許されない
最後に、反対する第四の理由は、市長が「十一月市会の市会決議を重く重大な決議と受けとめる」と言いながら、依然として特別施策の継続や一般施策に変更して同和優先施策を継続しているからです。その事実を示して「廃止を前提にきっぱりとした見直し」をと求めたところ、市長は社会的困窮者や障害者に対する施策を引用して「一般行政に加えて特別行政として援助を行うのは、憲法二十五条の生存権を保障する政策。同時に社会正義の実現を目指している」と答弁し、同和特別行政を合理化されました。それで反論したつもりでしょうが、生活保護や税金の免除、養護学校のどこが特別行政なのですか? 憲法二五条の生存権を保障する施策は、一般行政のなかで収入や所得、ハンデイキャップに応じて条例や要綱を設置し実施してきました。それが不十分な場合は、一般施策の充実で対応してきたのではありませんか。また、実態のない同和団体補助金や一律的な返還免除の奨学金は違法なものであるとして、京都地裁の判決によって明確に断罪されています。これでどうして社会正義の実現といえるのですか。
さらに市長は「奨学金は五〇年にわたる同和行政の最終章である」と言いきりましたが、返済免除の自立促進援助金見直しを拒否することは、同和行政の最終章なるものを二〇二九年まで継続するという差別の固定化そのものではありませんか。
市民から見て特別扱いがなくなったと、実感できるまでの見直しをおこなうべきです。
以上、申し述べて討論を終わります。