河合ようこ 議員
06年3月17日(金)
家庭ごみ有料指定袋制に反対 06年2月定例市会 閉会本会議討論
有料化方針は撤回し、市民と協力して分別・リサイクル、ごみ減量こそ進めるべき
日本共産党市会議員団は、議第27号「京都市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例の一部を改正する条例について」に反対をしていますので、代表してその理由について述べます。
まず、家庭ゴミの「有料指定袋制の実施」についてです。
反対の理由の第一は、「市民の意見に従って最終方針を決める」と厚生委員会で答弁しながらも、市民の意見を反映せず、パブリックコメントや意見交換会でだされた市民意見の集約結果も意図的に歪められ「有料化ありき」ですすめるものだからです。家庭ごみ有料化に対するパブリックコメントには763通2、103件もの意見が寄せられ、意見交換会には212箇所にのべ7、279人の市民が寒い中、足を運ばれました。会場での発言が2612件、意見記入が4、648通も寄せられました。これは、市民がごみ問題に強い関心を持っておられ、自らも一緒に考えていこうという積極的姿勢が示されているものです。ところが、「有料化する前に、もっと分別・リサイクルをするべきだ」「有料化すると不法投棄が増えるのではないか」という多くの市民の意見に対して理事者は「有料化する際の施策の中に取り入れる」と答え、「有料化は困る」「反対」という意見に対しては「否定的意見には不法投棄への不安がだされているが、それへの対策はとっているので賛成していただけるもの」「反対が多いのは事実だが、分別・リサイクルを進めるべきというものが多い。分別品目を増やす、生ごみ処理機支援でクリアできる」などと答弁されました。これらの市民意見は、有料化より前に市が実行すべきだと求めているものです。自らの都合のいいように解釈し、市民の意見の真意を歪めることは、絶対に認められません。その上、「結局は、有料指定袋制には反対です」と、はっきりと書かれている意見まで「肯定的意見」に分類し、「分類できない意見」に集約されている中にも反対の意見が多く含まれていました。この点についてのわが党議員の指摘に対し、本会議で副市長からは「市民意見集計の捻じ曲げはない」と答弁し、総括質疑で市長は、「あまりな言い方は謹んでいただきたい」と答弁されました。ところが、3月10日の厚生委員会で、市長も副市長も実際には「この意見に目を通してはいなかった」ことが明らかになりました。市民の意見が正しく反映されているかどうかという大事な問題で、問題になっている文書意見に目を通すこともなく答弁するというのはあまりにも無責任です。市長・副市長自らが市民の声に耳を傾けず、有料化先にありきの先頭にたって進められてきたことの現われです。市民とのパートナーシップというのなら、今回の提案はすべきではありません。
反対の理由の第2は、名古屋市や横浜市など有料化しないでごみ総量を減らしている経験に全く学ばず、あくまでも有料化に固執しているからです。ごみ減量に成功しているところは、分別・リサイクルを拡充していることが明らかになっています。また、名古屋市では、有料化せず、行政が市民と協力して分別・リサイクルを進め、6年間に焼却ごみを3割、CO2排出量を20万トン、ごみ総量を6万5千トンも減らしています。ところが、市は「有料化だけでなく、分別・リサイクルの合わせ技でやる」と言いつつも、長期に取り組んでこられた名古屋市の実践を一年間だけ捉えて、「ごみ総量は減っていない」「京都市はごみ総量を減らすために有料化する」と繰り返すだけです。「リサイクル貧乏という言葉すら聞かれる」とまで批判しています。京都議定書発効の地京都市だからこそCO2排出量を大幅に減らした名古屋市を評価し学ぶべきですが、どうして評価しないのですか。市内でも左京区市原の住民の方たちが分別にとりくんで、ごみを減らしてこられた経験もあります。これらの貴重な実践、事実から学ぼうとしない姿勢は、本気でごみを減らすことを考えているのかと、市の姿勢そのものが問われるものです。本当にごみを減らそうというのであれば、「有料化の前にやれることをやるべきだ」という市民の意見に応えて、有料化を前提とせず、分別・リサイクルの拡充、市民への働きかけを今すぐ始めるべきです。
反対の理由の第3は、厳しい市民生活を省みない、新たな市民負担の押し付けだからです。この提案が実施されれば、これから毎年20億円もの負担が市民にかかってきます。理事者は「市民意見を聞いて、45リットルの袋は当初の50円から45円に下げた。5リットルの袋も作った。」「有料指定袋による収入はごみ減量対策に使用する」と言われていますが、1リットル1円の新たな負担になることには変わりありません。理事者は「市民に負担をかけるのはわかっている」と言いつつ「多少の負担感がないとごみは減らない」と言い、市長も「45リットルのごみ1袋のごみ処理は260円、それに対し45円を負担していただく…意識改革がなければごみはどんどん増えるばかりで大変なことになる。ご了承いただいて賛成いただきたい」と、ごみを減らすために市民負担は当然だという旨の答弁をされました。低所得者や、年金生活者・若い子育て世代をはじめ市民の生活は厳しさを増しています。こういう時に全市民に新たな負担を増やすとは、本当に冷たい姿勢です。その上、“負担がないとごみを減らさない”というのは、全く市民を信頼しないものであり、市民とのパートナーシップとは名ばかりといわざるを得ません。市民を信頼し、市民負担を増やさず、いかにごみを減らすかということに心を砕くことこそ自治体としてとるべき方向ではないでしょうか。今議会に市民から666通もの「家庭ごみ有料指定袋制導入反対」の請願書、1万筆を超える署名も提出されています。市民に理解が得られない家庭ごみ有料指定袋制の導入の方針は撤回すべきです。
最後に、事業系ごみについてです。97年をピークに家庭ごみが減ってきている中で、事業系ごみは横ばいです。ごみ総量を減らす上で、事業系ごみの減量対策は全国的にも大きな課題とされています。今回の提案では、許可業者の持ち込み手数料を8年かけて減額措置をなくすとされていますが、手数料の値上げが示されているだけで、分別の指導など具体的な減量の手立ては示されていません。2、234ものマンションの家庭ごみが分別されず、事業系ごみとして扱われることは放置したままです。事業系ごみについて、「非常に問題だと感じている。分別問題やごみの量も含め、目標も設定して厳しく指導していきたい」と市長も答弁されました。事業系ごみで出されているマンション・事業所への分別・リサイクルの徹底・指導や、事業系ごみとして持ち込まれたごみの中身の点検・業者への指導などは8年を待たず、危機感を持ってやるべきです。なぜ、1~2年で実行するとしないのですか。市民の意見を聞かず、有料化を押し付けながら、事業系ごみの減量対策は手付かずということは認められません。また、本議案に対し、自民党、公明党、民主・都みらいから13項目にも及ぶ内容が付帯決議として提出されています。このことは、本議案がいかに問題の多いものであるかを証明するものであります。
家庭ごみ有料化の方針は撤回し、有料化せずに、市民と協力して分別・リサイクル、ごみ減量こそ進めるべきです。以上で、私の反対討論を終わります。