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市会報告

かとう広太郎 議員

06年3月17日(金)

意見書案「電気用品安全法施行の見直し等」についての討論 06年2月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党議員団は、民主・都みらい議員団が提出しています「電気用品安全法施行の見直し並びに猶予期間の再延長を求める意見書」に賛成し、自民党・公明党から提出されています同法の「円滑な施行を求める意見書」に対して反対討論を行います。

 この「電気用品安全法」は、事業者が電気用品の安全性を確保し、消費者を感電等の事故から守る目的で、H13年4月1日に施行され、市場に流通している規制対象製品については、経過措置として期限を区切って販売または販売目的で陳列することを認めてきました。対象物は、テレビや冷蔵庫をはじめ、自動販売機、電子楽器、音響機器、ゲーム機など、今年4月から対象となるだけで259品目あり、品目ごとに5年、7年、10年の猶予期間が設けられて、電気製品450品目を対象に期限が過ぎた電機製品は新たな表示の「PSEマーク」のない物は販売ができなくなり、違反すると罰則を科す物であります。

 問題なのは、5年間の猶予機関に、経済産業省は古物商やリサイクル業界には何一つ周知の対策を取らず、本年2月10日になって突如告示をした事で、関係業者から「寝耳に水だ、倒産しかない」との悲鳴だけでなく、「古くから存在する電気ピアノなどの電子楽器、真空管を利用したギターアンプ等、その豊かなサウンドクオリティーは全く代用が聞かないのに、文化の破壊だ」「リサイクルや物を大切にするという流れにも反する」「家庭電気の分野でも中古製品に頼らざるを得ない多くの人たちはどうなるのか」などと批判の声が出されているのも当然です。

 今国会でも明らかになったことは、同法の審議経過からも、また、経済産業省製品安全課が編集した「電気用品安全法関係法令集」にも「猶予期間は、製品の流通在庫が存在すると考えられる期間であり、中古品は対象品として明記されていないこと」や改定時の国会論議でも中古品を対象とする議論は一切行われていないことが明らかになっています。

 国の、中古電気製品をあくまで販売禁止にするとの強行姿勢に、業者や消費者、音楽家が猛反発し、ついに「古くて希少価値の高い、即ちビンテージ楽器の一部を対象から外す」との対策を国が14日に発表しましたが、「ビンテージ物を除くと言っても、ビンテージ物の範囲をどうするのか」「ビンテージものと誰が決めるのか」の問題も明確ではないだけに、解決にはまだまだ問題を残しており、関係者の不満と怒りはおさまりません。

 届け出を受け入れる近畿経済産業局の体制も全く不十分で、「近畿全域からPSEの申請に来るのに、窓口はたったの三人」で、一昨日も”届け出の列が建物の外まで並んでいる”状態で、猶予期間切れの直前なのにこんな状態です。

 「メーカーであれば、新品だから一度の申請で同じ製品も何千台と通っても、在庫の中古品は一品一品の申請が必要」で、しかも発熱部の形態など、設計者でなければ分からない器具も多く、専門家に依頼すると数万円の費用もかかるなど、業者の負担も大変になっています。

 中古リサイクル業者に対する「負担軽減」等の”半年間は無料検査”などの自主検査を支援する体制の整備等も、多くの在庫とともに今後持ち込まれる商品を考える時に対応できないと、今後も生じる事態に疑問が出されています。「ビンテージ物を除外する」今回の動きは「ルールの変更は出来ない」とかたくなな態度をとり続けてきた経済産業省を揺り動かし始めたのです。新聞も「土壇場ルール変更」「中古家電規制迷走」「『場当たり的』と反発も」「経産省、苦しい例外扱い」と国のドタバタぶりを報じ、「さらなる譲歩を余儀なくされる可能性」を東京新聞は報じているのです。

自民・公明案は、「もったいない」思想にも逆行

 自民党・公明党案は、「安全な電気用品の普及と環境づくり」のみを強調し、法の円滑な施行を求めるだけで、今、流通している電化製品を基本的に販売不可能として、一部リサイクル業者を廃業の危機に追い込むだけでなく、貴重な製品を一般廃棄物にすることを推進することであり、国や京都市が進める循環型社会形成の取組からも、又、全世界に拡がっている「もったいない」思想にも逆行するだけに、認めることはできません。14日の「緊急対策」を発表した二階経済産業省大臣も、「出来るだけのことを行ってみて、その結果は又、ご相談したい」とさらなる見直しに含みを持たせる発言をしているのです。

 自民党・公明党案のように、国に対して、混乱を来すことのないように事業者への適切な対応を求めるだけでは、解決はしないのです。循環型社会形成の趣旨をふまえて、「法の見直しも含めて猶予期間の再延長を強く求める」ことこそ、京都市会の役目ではないでしょうか。このことを強く求めて討論といたします。